1on1

必要なのは「任せる勇気」。AI時代だからこそ求められる、1on1の本質

米国で1on1が広がった経緯を振り返りながら、国内企業の対話の現在地を捉え、「機能する1on1」のあり方を問い直す鼎談企画。

外資系企業で約30年にわたり人事・経営に携わり、日本でもいち早く1on1を導入したFunleash CEOの志水静香氏、組織人事領域のコンサルティングを手がけるPwCコンサルティングの土橋隼人氏、KAKEAI代表取締役社長の皆川恵美が語り合いました。

前編では、米国・西海岸で「人が競争力の源泉である」という思想のもとに1on1が広がった経緯や、コロナ禍を経て目的が多様化してきた日本企業の1on1の現状を取り上げました。

後編では、1on1をどうすればワークさせられるのかを掘り下げます。

▶ 動画で見る Dialogue 02「ビジョンと思いを接続せよ」

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必要なのは「任せる勇気」。AI時代だからこそ求められる、1on1の本質

なぜ日本の1on1は、やるだけになるのか。置き去りにされた「本来の目的」

国内企業に広く普及した1on1ですが、現場からは「形だけになっている」「何を話せばいいかわからない」という声も聞こえてきます。

もともと米国で始まった1on1は、日本という異なる土壌でどのように育ち、変化してきたのか。

外資系企業で約30年にわたり人事・経営に携わり、日本でもいち早く1on1を導入した経験を持つFunleash CEOの志水静香氏と、KAKEAI代表取締役社長の皆川恵美が語り合いました。ファシリテーターを務めるのは、組織人事領域のコンサルティングを手がけるPwCコンサルティングの土橋隼人氏です。

前編では、国内企業で1on1がどう運用されているのかを確認したうえで、米国企業がそもそも何のために1on1を始めたのかをたどります。日米の「目的」の違いが、議論のなかで輪郭を現していきます。

▶ 動画で見る Dialogue 01「どこが違う? 日米の1on1」

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なぜ日本の1on1は、やるだけになるのか。置き去りにされた「本来の目的」

AIトランスフォーメーションの出発点に、なぜ「1on1」が有効なのか

近年、急速に広がる企業のAI活用。だが、その多くは実験段階を出ず、変革につなげた例は少ない。

2026年8月1日、アクセンチュア株式会社から株式会社うるるへ移り、執行役員CHROに就任した太田昂志氏は、同社のAIトランスフォーメーション(AX)の推進を担う。

その太田氏が着任直後の3カ月で取り組むのは、約300人の正社員との1on1だ。

1人30分としても計150時間。なぜAXの出発点に、時間を要する1on1を据えるのか。

その理由をたどると、経営と現場を往復しながら変革の焦点を絞り込む、新しい1on1の使い方が見えてきた。

太田 昂志
株式会社うるる 執行役員CHRO

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システムインテグレーター等を経て、株式会社ゆめみに転じる。CHRO、取締役、上席執行役員を歴任し、事業の急成長を人事・組織面から牽引。働きがいのある会社として、複数の外部アワード受賞や各種ランキング入賞にも導いた。その後、アクセンチュア株式会社との経営統合を主導。統合後はプリンシパル・ディレクターとして、クライアント企業のカーブアウト型M&Aに伴う組織人事・チェンジマネジメント領域のコンサルティングに従事。2026年8月より現職。共著に『職場を上手にモチベートする科学的方法 無理なくやる気を引き出せる26のスキル』(ダイヤモンド社)
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AIトランスフォーメーションの出発点に、なぜ「1on1」が有効なのか

出張続きの営業組織で、1on1だけは譲らない理由

良い上司に恵まれた人は、その経験を、部下へと受け渡していく。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の九州サプライヤー営業部を率いる島岡真澄さんも、その一人だ。

外勤のメンバーが多く、全員が顔をそろえるのは週に一度。自身も客先訪問で不在にしがちだが、部下との1on1は毎月欠かさない。

出張の多い組織で、チーム内のコミュニケーションを、どう成り立たせているのか。その工夫を島岡さんに聞いた。

三井住友ファイナンス&リース株式会社 九州サプライヤー営業部長 島岡真澄氏
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出張続きの営業組織で、1on1だけは譲らない理由

1on1で部下が答えやすい問い、答えにくい問い

 💬「最近どう?」「まあ、ぼちぼちです」 
 💬「困ってることはない?」「特にないですね」


5分で終わる1on1。実施はしているのに、何も動いている気がしない。こうした手応えのなさは、各種の調査でも共通して挙がる悩みです。

なぜ、対話が深まらないのか。一つの答えが、“問いの広さ”にあります。

組織開発を専門とするMIMIGURI共同代表の安斎勇樹氏は次のように指摘します。

“「この会社で何かやりたいことある?」といった問いは広すぎて、答えづらい。部下は「考えておきます」と言葉を濁し、上司はそれを「主体性がない」と受け取りがちだが、問題は聞き方にある” (参考記事)

問いを変えれば、対話は変わります。次の例をもとに考えてみましょう。

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1on1で部下が答えやすい問い、答えにくい問い

【実践知】アセスメントを1on1に役立てる方法とは

1on1では、「もっと相手のことを知りたい」「考えを理解したい」と感じる場面がある。
一方で、本人としても、自分の価値観や判断基準をうまく言葉にできないことは少なくない。

特に、多様な価値観や働き方が共存する現在の組織では、「なんとなく伝わる」「察してもらえる」が難しくなっている。

その中で注目されているのが、アセスメントを“共通言語”として活用する考え方である。
タイプや特性をきっかけに会話することで、自分や相手の考え方を整理しやすくなり、1on1での相互理解も深まりやすくなる。

本記事では、「ジョハリの窓」をもとに、自己開示の難しさを整理しながら、アセスメントを対話に活かす具体的な考え方を紹介する。

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【実践知】アセスメントを1on1に役立てる方法とは

乖離が広がる、エンゲージメントスコアと現場の実態。上司-部下の本当の関係値をどう測る?

年に一度のエンゲージメントサーベイ。上司と部下の関係を問う設問は、おおむね良好な値を示している。ところが現場から日々届く声は、その数字とどこか食い違っている。こうした隔たりに居心地の悪さを覚える人事担当者は、少なくないのではないでしょうか。

このようなズレが生まれる要因の一つは、サーベイの仕組みそのものにあります。

組織サーベイは、個人が特定されない前提で行われるため、回答者は安心して答えられますが、その仕組みゆえに一問ごとに真剣に向き合う動機は失われがちです。

近年ではサーベイが手軽に実施できるようになり、その機会も増えました。結果として、回答者が「アンケート疲れ」に陥り、惰性で答えるケースが増えているという指摘もあります。

こうした回答が積み重なれば、スコアは実態よりいくらか高いところに着地します。したがって、良好な数字は現場のありようをそのまま映しているとは限らないのです。

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乖離が広がる、エンゲージメントスコアと現場の実態。上司-部下の本当の関係値をどう測る?

新人との1on1で何を話せばいい? 押さえておきたい三つのポイント

新人との1on1で何を話すべきか、多くのマネジャーが悩んでいるのではないでしょうか。

入社半年ほどで早期離職を考え始める。就活時より勤務先への満足度が下がる。新人の中にはそういう存在が一定数いることが各種の調査で示されています。

新人の気持ちは想像以上に揺れているからこそ、1on1が重要な意味を持ちます。といっても、難しく考える必要はありません。

新人に聞くべきことは、大きく三つ。現在の状況、これからの目標、得られた学びです。

順に見ていきましょう。

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新人との1on1で何を話せばいい? 押さえておきたい三つのポイント

「1on1で話すことがない」という管理職へ。部下のタイプ別「本音の引き出し方」

1on1は、今や多くの職場に定着しました。一方で、定着が進むほど浮かび上がってきたのが、運用する側の戸惑いです。

「何を話せばいいか分からない」「特に話すことがない」

こうした悩みは、各種の調査でも示されている、多くの現場に共通する傾向です。何を話し、どう関わるかを各自が手探りで進めた結果、対話の中身が深まらず、効果を実感しにくい状態に陥りやすいのです。

ではどうすれば、手探りから抜け出せるのか。鍵の一つが、相手によって「問い」を変えることです。

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「1on1で話すことがない」という管理職へ。部下のタイプ別「本音の引き出し方」

フィードバックとは? 本来の意味と、部下に届く伝え方を解説

「何度伝えても、部下の行動が変わらない」「改善点を指摘したら、相手が黙り込んでしまった」「よかった点を褒めても、同じ成果が再現されない」

フィードバックの難しさを感じている管理職は少なくないでしょう。

フィードバックとは、相手の行動や成果について情報を返し、次の行動や改善につなげることです。ただし、上司が評価や意見を一方的に伝えれば、それで部下が変わるわけではありません。

KlugerとDeNisiは、採用基準を満たした131本の論文から607の効果量を抽出し、1万2,652人、2万3,663件の観測値を分析しました。その結果、フィードバック介入は平均するとパフォーマンスを高めていました。一方で、効果量の38%超はマイナスでした(Kluger & DeNisi, 1996)。3回に1回以上は、フィードバックがかえってパフォーマンスを下げていたことになります。

フィードバックは、行えば必ずよい結果をもたらすものではありません。

本記事では、フィードバックを単なる「伝え方」ではなく、相手とともに次の行動をつくる一連のプロセスとして捉え、本来の意味、種類、手法、場面別の例文、届かない原因、1on1での活用法まで解説します。

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メンバーへの関わり
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フィードバックとは? 本来の意味と、部下に届く伝え方を解説

1on1推進の現場で何が起きていたか──大日本印刷・ABセンター事務局の試行錯誤

新規事業組織では、新しいアイデアを生み出すために対話が欠かせない。一方で、人材の入れ替わりが激しく、上司・部下の関係性が固定されにくいという構造的な難しさも抱えている。

2025年11月に開催されたKAKEAI主催のカンファレンス「RE:ENGAGE 2025」では、大日本印刷(以下、DNP)の佐藤英吾氏が、新規事業組織における1on1の実践について語った。

佐藤氏の所属するABセンターは、内部にR&D部門と事業部門を抱え、自ら予算を持って事業化まで担う新規事業創出組織だ。講演後、佐藤氏のもとには参加者からさまざまな質問が寄せられた。本記事では、そのQ&Aをもとに事業成果に結びつく1on1のあり方を掘り下げる。

佐藤 英吾  
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大日本印刷株式会社 ABセンター

価値創造プログラム推進本部業務革新推進室 室長 2002年富士フイルム株式会社入社。SCM、労組専従、経営企画、新規事業マネージャーを歴任。2020年大日本印刷株式会社入社。新規事業創出プログラム「OneABスタジオ」を立ちあげ運営中。主に新規事業開発の仕組みづくりと実行支援を推進。

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1on1推進の現場で何が起きていたか──大日本印刷・ABセンター事務局の試行錯誤

大日本印刷の新規事業組織──1on1を事業成果につなげるための実践

大企業の新規事業が生まれる現場で、1on1はどのように生かされているのだろうか。

2025年11月に開催されたKAKEAI主催のカンファレンス「RE:ENGAGE 2025」に、大日本印刷(以下、DNP)の佐藤英吾氏が登壇。

「新規事業推進に不可欠な1on1とエンゲージメント──DNPの実践事例から学ぶ」と題した講演で、人が流動的に入れ替わる新規事業組織において「対話」を基盤に据え、1on1を実践してきた理由を語った。

本記事では、同社の取り組みを通じて、1on1が関係性づくりにとどまらず、新たなアイデアを生み出すための組織の基盤としてどのように機能しているのかを紐解く。

佐藤 英吾  
大日本印刷株式会社 ABセンター 価値創造プログラム推進本部業務革新推進室 室長 

2002年富士フイルム株式会社入社。SCM、労組専従、経営企画、新規事業マネージャーを歴任。2020年大日本印刷株式会社入社。新規事業創出プログラム「OneABスタジオ」を立ちあげ運営中。主に新規事業開発の仕組みづくりと実行支援を推進。

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大日本印刷の新規事業組織──1on1を事業成果につなげるための実践