ディープ・コンセンサス
なぜ 「器」が大きい人は、合意形成がうまいのか。永田町・霞が関から学ぶ対話の核心
相手に“憑依”する——。PoliPoli代表取締役CEOの伊藤和真氏は、合意形成の極意をそう語る。
政策プラットフォーム「PoliPoli」を核に、政治・行政と企業・生活者を結ぶ事業を展開する。例えば、企業が直面する市場の規制や制度の壁を「解決すべき社会課題」と捉え直し、政治家や官僚と対話しながら、ルール変更の後押しや新たな事業機会の創出を支援している。
永田町・霞が関の現場で、多様な当事者が議論できる「場」を整え、合意形成を後押しする。そんな伊藤氏の実践からは「対話に不可欠な条件」が見えてきた——。


「みんなが主役」の船を作る。博報堂ケトル嶋浩一郎氏に学ぶ、現代の合意形成リーダーシップ
現代社会は「合意形成」そのものが困難な時代を迎えている。政治の世界では分極化が進み、SNSでは対話を欠いた議論が平行線をたどる。家庭では親子の価値観にずれが生じ、地域社会では多様な利害の調整が課題となっている。
企業も同様だ。かつては比較的同質的な価値観を持つメンバーで構成されていたが、今や異なる世代、多様な背景、様々な人生観を持つ人々が同じ職場で働いている。
従来のトップダウン型意思決定や暗黙の了解に基づく業務進行は機能しにくくなり、多様性を前提とした新しい形の合意形成が求められている。組織の目標と個人の価値観、上司の期待と部下の希望──これらの間に横たわる溝を埋め、真の合意を生み出すことが現代ビジネスリーダーの急務となった。
新シリーズ「ディープ・コンセンサス」は、表面的な妥協ではなく、厳しい対話を通じて本質的な合意を築く技術を探求する。
第一弾として、30年以上にわたり業界の壁を越えた合意形成を実践してきたPRのプロフェッショナルで、「本屋大賞」の立ち上げ、運営への参画、さらには博報堂ケトルでの数々の地方創生プロジェクトを通じ様々なステークホルダーと関係を築いてきた嶋浩一郎氏に話を聞いた。
(構成:樫本倫子 撮影:南 阿沙美)



