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【形骸化を招く】「1on1は部下のための時間」を、取り違えていないか?
「1on1は部下のための時間」。そう掲げた結果、部下が話すことを何も用意しないまま、「手ぶら」で1on1にやって来る。そんな場面に心当たりのあるマネジャーも多いのではないでしょうか。
立命館大学大学院教授の樋口知比呂氏は、こうした状況を招く原因は1on1の位置づけの甘さにあると指摘し、1on1を評価プロセスの一部に組み込むことを提案します。
多くの企業が直面する1on1の形骸化から、どうすれば抜け出せるのか。PwCコンサルティングの加藤守和氏、KAKEAI代表取締役社長の皆川恵美を交えた議論は、1on1の目的をどう定めるかに始まり、生成AIが対話にどう関わるかにまで広がりました。

1on1の価値は「話した後」に表れる。働きがいと成果をつなぐ対話の条件
上司と部下の対話は、部下の働きがいや仕事の成果に、どのように結びつくのか──。立命館大学ビジネススクール教授の樋口知比呂氏、PwCコンサルティングの加藤守和氏、KAKEAI代表取締役社長の皆川恵美の3者に、これからの上司の役割、形だけの対話から抜け出す方法、生成AI時代の対話のあり方などを議論していただきました。
本鼎談は、樋口氏と皆川のプレゼンからスタート。樋口氏は、働く人の意欲がどのような条件で高まるのかを、産業・組織心理学の研究をもとに解説。皆川は、約1万人を対象にした1on1の実態調査から、成果につながる1on1とそうでない1on1の違いを報告しました。
本稿では、この二つの発表の内容をダイジェストで紹介します。

「なぜ多様な人が集まってうまくいくと思うのか」。摩擦を前提にしたダイバーシティマネジメント
年上の部下、時短勤務のメンバー、価値観の異なる中途入社者。チームの前提がそろわなくなるにつれて、同じ言葉が人によって違う受け取られ方をする場面が増えている。ダイバーシティは推進すべきものとされながら、現場のマネジャーが感じているのは、関わりにくさのほうかもしれない。
社会心理学者の正木郁太郎氏(東京女子大学准教授)は、多様性が語られ始めた頃から、その前提に疑問を持っていたという。人は同質性を好む生き物であり、多様な人が集まれば摩擦も増える。それは避けられないことであり、だからこそ多様性によって何が起きるのか、成功にはどのような工夫が求められるかを分析する必要がある、と。
企業のダイバーシティ推進を支援してきたPwCコンサルティングの吉田亜希子氏もまた、制度は整ってきたものの、何のためにやるのかが宙に浮いたままの企業が増えていると語る。
摩擦は消せない。相手を完全に理解することもできない。ではマネジャーは、目の前のメンバーとどう関わればいいのか。二人の話は、感謝と称賛という具体的な行為と、それが届かない理由へと進んでいった。

「育成キャンセル」は、上司だけの問題か。AI時代の若手の育て方
上司が部下や後輩への指導を控える「育成キャンセル」が注目を集めている。2026年9月21日、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)が育成を避けたがる上司の本音を取り上げ、話題を呼んだ。その後、『ABEMA Prime』でも特集され、KAKEAI代表の本田英貴も出演している。
番組では、管理職の6割以上が「育成キャンセル」を経験しているという調査を起点に、上司がなぜ指導をためらうのかが議論された。
大手チェーン企業の人事部に所属し、自らも中間管理職として部下を育ててきたゲストのよっしー氏は、部下が自分を飛ばして相談窓口に訴えたことがあって以来、部下に言いたいことが言えなくなったと語った。
もっとも、上司が育成から手を引くのは、ハラスメントへの恐怖からだけではない。
昨年の東洋経済オンラインの記事では、仕事に追われ、部下を育てる余力のない管理職の間で「部下育成キャンセル界隈」という言葉が自虐的に使われていると紹介している*。
番組で紹介されたライトワークスの調査では、『何度指導しても改善が見込めず、効果がないと感じた』(55.4%)が、管理職が指導を控える理由の最多だった*。
つまり、「育成キャンセル」の背景には、部下に踏み込むことへの躊躇だけでなく、育てる余力のなさや、「言っても変わらない」という手応えのなさなど、さまざまな事情が絡んでいる。
そこに近年、生成AIの普及が加わり、若手が仕事を覚える環境そのものが揺らぎ始めている。
育成の必要性も難しさもこれまで以上に高まるなか、上司は部下にどう関わればいいのだろうか。
1on1が仕事の成果につながる人、つながらない人。その分かれ目は「面談の後」にあるのかもしれない
同じように1on1をやっていても、成果につながる人とつながらない人がいます。その差はどこから来るのでしょうか。KAKEAIが2026年5月、上司と定期的に1on1を行う会社員約1万人に実施した1on1の実態調査から読み解きます。
About 1min.DATA
論点は1つ。数字は1つ。読む時間は1分。
マネジメントにまつわる論点を、毎回1つだけ取り上げるデータ解説企画です。
一息で読み切れる分量で、日頃のモヤモヤを解く手がかりをお届けします。
1on1で上司に「何をしてほしいか」が明確な人は、成果につながると感じる割合が高い
1on1で上司に何を求めるかは、人によって異なります。すぐに助言がほしい人もいれば、一緒に考えてほしい人、ただ聞いてほしい人もいる。
では、そうした求めるものがはっきりしている部下と、特にない部下とでは、1on1が成果につながっているという実感に違いがあるのでしょうか。
KAKEAIが2026年5月に、上司と定期的に1on1を行う会社員約1万人に実施した調査から読み解きます。
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1on1に主体的に臨む層と受動的に臨む層、「成果実感」に約3倍の差
部下がどんな動機で1on1に臨んでいるか、考えたことはありますか。その動機は、部下自身の成果の実感に、どれくらい関係しているのでしょうか。KAKEAIが2026年5月に、上司と定期的に1on1を行う会社員約1万人に実施した調査から読み解きます。
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面倒見の良い店長の前で、次々に部下が倒れていく。崩壊を食い止めたのは、たった30分の対話だった(ウィル取締役・神野正和氏)
2018年、名古屋。会社が初めて関西の外に構えた拠点で、体調を崩した部下が一人、また一人と離脱していく。崩れゆくチームを前に、店長は呆然としていた。自分はちゃんと部下を見てきたはずなのに、なぜ――。
不動産仲介を中核とする株式会社ウィルの取締役、神野正和さんが8年前に経験した出来事だ。社内の誰よりも熱い思いで1on1に取り組む神野さんの原点は、ここにある。
1対1の対話は、崩れかけたチームをどう変えたのか。当時の状況をありのままに振り返ってもらった。
ABOUT THE SERIES
DISCOVERING 1on1とは
なぜ、あの人は1on1に情熱を注ぐのか。思いの奥には、対話の大切さに気づいた原点がある――。本シリーズでは、1on1に深く向き合ってきたキーパーソンに、その始まりの物語を聞く。さまざまな原体験に触れる中で、私たちも自らが対話を行う理由を見つけていく。
叱るのをためらう上司、傷つかずに成長したい若手——すれ違いを埋めるネガティブ・フィードバックの技術
ハラスメントと捉えられることを恐れ、部下に対する指導の仕方に悩んでいませんか?
ある調査では、上司の8割以上が「ミスをしてもあまり厳しく叱咤しない」と回答しています。その一方で、上司からのフィードバックの少なさに物足りなさを感じている部下も少なくありません。
最近は「褒める」「認める」といったポジティブ・フィードバックの重要性が強調されることが多いですが、それと同時に、ミスや望ましくない行動を是正するためのネガティブ・フィードバックも必要不可欠です。しかし、指摘の仕方によっては相手が過度に落ち込んだり反発したりして逆効果になる可能性もあり、より難しさを感じているマネジャーも多いのではないでしょうか。
そこで、ネガティブ・フィードバックに関する現状や研究結果を確認しつつ、若手の成長につながる指導の仕方を探っていきます。

1on1の「頻度」や「時間」は成果につながる? 1万人調査から見えた意外な事実
実施頻度を上げる、時間を延ばす、場所を変える。こうした工夫は、1on1にどのような効果をもたらすのでしょうか。KAKEAIが2026年5月、上司と定期的に1on1を行う会社員約1万人に実施した調査から読み解きます。
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なぜミドルマネジャーに「自己認識」が必要なのか? 自律する組織のつくり方
プレイヤー業務をこなしながら、評価や育成、部門間の調整も担う──。ミドルマネジャーの役割は膨らみ続けるが、その一方で、かつての「管理・指示・命令」型のマネジメントでは、組織は動かなくなっている。自ら考え、動く自律的な組織をつくるには、マネジャーはどうすればいいのか。
PwCコンサルティングでリーダーシップ育成に携わる石川圭悟氏と、企業の人材育成や組織づくりに携わるKUDEN WORLD取締役の柳下聖也氏が、「自己認識」をキーワードに、これからのマネジメントを問い直した。
