組織を動かす
「自分は公平」と思う管理職こそ危ない。アンコンシャスバイアスの具体例と1on1での防ぎ方
「最近の若手は、打たれ弱い」「育児中の彼女に、この仕事は頼めないだろう」「A大学出身なら、優秀に違いない」。
職場で日々交わされる、こうした何気ない判断。その中に、本人も気づいていない「ものの見方の偏り」が潜んでいることがあります。アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)と呼ばれるものです。
やっかいなのは、そこに悪意がないことです。むしろ「よかれと思って」「経験に照らして」下した判断ほど、偏りを疑う姿勢を保ちづらくなります。そして、評価をつけ、仕事を割り振り、昇進を決める立場、すなわちマネジメントの側の思い込みは、部下のキャリアと組織の意思決定を静かに左右していきます。
バイアスのかかった評価は優秀な人材の離職につながり、偏った登用は経営層の同質化と意思決定の質の低下につながり得ます。誰に何を任せるかという判断の精度は、組織のパフォーマンスに直結するからです。
本記事では、アンコンシャスバイアスの定義や種類の解説にとどまらず、評価・仕事の割り振りや、マネジャーが日々直面する意思決定の場面に焦点を当てます。そのうえで、評価面談で使える具体的な型や、評価を確定する前のセルフチェックの方法まで、順を追ってご紹介します。

まずはマネジャーがセルフケアを。チームを守るストレスチェックの活かし方
50人以上の労働者がいる事業所でストレスチェックの実施が義務づけられたのは、2015年12月のことです。しかし、その後の10年間で精神疾患による労災請求件数は約2.5倍に増加しています。
メンタルヘルス不調による休職者や退職者の数も減っておらず、欠員のカバーと不調者のケアに苦労しているマネジャーも多いのではないでしょうか。今は元気な部下に囲まれているマネジャーも、どこかでこの問題に直面する可能性があります。

2028年4月1日からは、50人未満の事業所でもストレスチェックの実施が義務化されます。そこで今回は、部下のメンタル不調予防策のひとつとして、ストレスチェックをいかに活用するかについて考えてみましょう。


「合理的配慮」は対話から。成果を上げるニューロダイバーシティの本質
障がい者雇用において、合理的配慮と成果の両立は可能なのか?——この問いに対し、独自の「3ステップ」と「フルリモート」を武器に、精神・発達障がい者雇用の新たなスタンダードを築いているのが日揮グループの特例子会社・日揮パラレルテクノロジーズ(JPT)です。
同社は「ニューロダイバーシティアワード2025」においてニューロダイバーシティ賞を受賞するなど、先進事例として注目されています。
今回は同社社長の阿渡健太氏にインタビュー。阿渡氏自身も身体障がい者であり、日揮グループで障がい者採用を含めた人事担当者として勤めてきた背景があります。
なぜニューロダイバーシティには対話が必要なのか。マネジャーの属人的な頑張りに頼らない、再現性のある組織設計について伺いました。

日揮パラレルテクノロジーズ 代表取締役社長
1986年神奈川県横須賀市生まれ。先天性の両上肢障害がある。2005年に日揮(現日揮ホールディングス)入社し、人事を経験。2021年の日揮パラレルテクノロジーズ設立に携わり、2024年に社長就任。パラテコンドー日本代表選手としても活動する。

「人事屋」からどう抜け出すか。Shippio伊達氏が語る、事業と経営の交点に立つ人事
人事制度が綺麗に整ったからといって、事業が伸びるとは限らない。
そう語るのは、エン・ジャパン(現エン)で人事と新規事業の責任者を歴任し、弁護士ドットコムではクラウドサインの急成長期を組織面から支えてきた、Shippio VP of HRの伊達雄介氏だ。
約20年の現場で見てきたのは、エンゲージメントや離職率の改善、そして人事施策のユニークさが人事の成果として語られていく構造への違和感だった。
「人事屋」から抜け出した先で伊達氏が立とうとしているのは、事業と経営の交点だ。その選択の背景にある持論を聞いた。

株式会社Shippio VP of HR/株式会社事業人 共同創業者
2006年エン・ジャパン(現エン)入社。営業、経営企画を経て、人事制度改訂プロジェクトの起案を機に人事へ移り、人事企画マネジャー、人事責任者、新規事業責任者を歴任。2018年弁護士ドットコムに参画し、約100名規模から人事の立ち上げを担う。在籍中、急成長期を人事面から支え、退職時の組織規模は約500名。同時期に株式会社事業人を5人の共同代表で創業し、複数のスタートアップの人事支援に携わる。2023年10月よりShippioに参画し、現職。


自由だけでも、管理だけでも、組織は続かない。40年のキャリアで見えた、経営の本質
経営とは、組織文化の「サイクル」をマネージし続けることである。フリーランスと企業のマッチングを手がける株式会社Hajimari 執行役員人事統括(HRC)の有賀誠氏はそう語る。
そのカギを握るのが、「元気」と「束ね」という二つの状態の見極めだ。組織文化はこの二つの間を絶えず行き来し、どちらか一方に振り切れば、遠からず組織の成長は行き詰まる。だが、今日多くの組織が、コンプライアンスの厳格化とともに「束ね」へ傾きすぎてはいないかと同氏は警鐘を鳴らす。
日本企業とグローバル企業、大組織とベンチャー。両極を渡り歩いてきた有賀氏に、40年余りの人事・経営のキャリアから導かれた持論を聞いた。

執行役員人事統括
北海道大学卒業後、1981年、日本鋼管(現・JFEグループ)入社。1993年、ミシガン大学経営大学院(MBA)修了。1997年、日本ゼネラルモーターズ(現・ゼネラルモーターズ・ジャパン)入社。部品部門デルファイの取締役副社長 兼 アジア・パシフィック人事本部長を務める。2003年、三菱自動車工業常務執行役員 人事本部長。ユニクロ執行役員を経て、2006年、エディー・バウアー・ジャパン代表取締役社長。その後、日本IBM人事部門理事、日本ヒューレット・パッカード取締役 執行役員 人事統括本部長、ミスミグループ本社グループ統括執行役員 人材開発センター長、日本M&Aセンター取締役 人材本部長 グループCHROを歴任。2024年11月より現職。


なぜ今、チームは「日常の外」に出る必要があるのか。企業合宿のススメ
「今からポール通すね」「ちょっと待って、ここ押さえてて」
ホテルの中庭に、10数人が集まっている。ふだん会議室でしか顔を合わせない管理職たちが、テントの骨組みを手に、笑いながら声をかけ合っている。正解のない作業の前では、役職は関係ない。気づけば、普段は寡黙な部長が一番大きな声を出していた——。
これは、ある企業が実施したアウトドア研修の一コマだ。もちろん、ここまで本格的な「キャンプ」である必要はない。静かな温泉宿の一室でも、都会の貸し切りワークスペースでも、「いつものデスク」を離れるだけで、チームの空気は一変する。

リモートワークの普及、AIによる業務変革、出社率の回復。あらゆる変化が重なる今、「企業合宿」というアナログな手法が静かに、しかし確実に注目を集めている。
世界のコーポレートリトリート(企業研修旅行)市場は318億ドル(2024年時点)で、今後2034年にかけて年平均成長率は9.1%成長するという予測もあり、日本でも大企業の部門単位や次世代リーダー選抜プログラムでの活用が急増しているようだ。
なぜ今、世界中の企業が「非日常の場」を求めるのか。 その理由は、単なるリフレッシュではない。今回は、企業合宿の効果やポイントを取材した。「全員でキャンプに行くのはハードルが高い」と感じるチームでも、今日から取り入れられる手軽なスタイルも紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
(トップ画像:スノーピークビジネスソリューションズ提供)

【最新版】キャリア自律とは? 意味・定義から企業の支援方法・注意点まで解説
「優秀な若手の離職」や「形骸化する研修」――。多くの経営者が抱くこれらの悩みは、個人がキャリアを「自分のもの」と捉え始めた構造変化に対し、企業の仕組みが追いついていないことに起因します。
統計でも、正社員の約7割が自分で職業生活設計を考えていきたいと答える一方で、直近1年間にキャリアコンサルティングを受けた正社員は1割強にすぎません。(令和6年度能力開発基本調査」)自律意識は広がっているものの、企業内でキャリアを言語化し方向づける機会の整備は道半ばです。
本記事では、公的調査や論文に基づき、キャリア自律の定義から、経営者が直面する五つの懸念への回答、そして実効性のある支援施策までを論理的に整理していきます。

理論書には答えがなかった。25年の実践の末に辿り着いた、人事の本質
「人事の本質は、人を生かして事をなすことである」
シリーズ企画「ジンジロン」で坪谷邦生さんが掲げたこの持論。その言葉が生まれた背景には、25年に及ぶ試行錯誤の積み重ねがありました。
エンジニアから人事への転身、現場との摩擦、経験を体系化するために飛び込んだコンサルタントの世界。本編では語りきれなかった坪谷さんのキャリアの軌跡を辿ると、理想論ではない、泥臭い実践の果てに掴み取った「答え」の重みが見えてきます。
一人の人事の実務家が歩んできた25年の歳月と、持論の背景にある物語をひもときます。

なぜ「人を大切にする」だけでは組織は動かないのか? 停滞を突破する人事のありかた
人事が立つべきは、経営と現場が交差する「葛藤の中心」である。
「人を大切にするだけでは組織は動かない」と断じるのは、組織設計のプロフェッショナルとして、理論と現場の往復を続けてきた株式会社壺中天 代表・坪谷邦生氏だ。経営の論理と現場の状況、あるいは短期と中長期の成果。その板挟みをいかに「統合」し、双方を最大化させるのか。
本稿では「人を生かして事をなす」という坪谷氏の持論を深掘りし、組織と人が同時に躍動するための確信、そして人事が本来持つべき役割を紐解いていく。

株式会社壺中天 代表取締役、壺中人事塾 塾長。中小企業診断士、認定スクラムマスター。立命館大学理工学部卒業後、エンジニアとしてIT企業に入社。現場の疲弊を解決すべく人事へ転身し、実務からマネジメントまでを経験。その後、リクルートマネジメントソリューションズにて50社以上の人事制度構築や組織開発に従事。2016年、アカツキの人事企画室立ち上げを経て、2020年に「人事の意志をカタチにする」ことを目的として、壺中天を設立。代表と塾長を務める。Type image caption here (optional)


ジョブ・クラフティングとは? 三つの視点と職場での実践ステップを解説
「部下のモチベーションが上がらない」「言われたことしかやってくれない」——そうした悩みを日々抱えるマネジャーは少なくないのではないでしょうか。人事・組織開発担当者にとっても、従業員の働きがいをどう生み出し、エンゲージメント向上を図るかは大きなテーマの一つです。
こうした課題の解決策として注目されているのが、「ジョブ・クラフティング」です。従業員自身が仕事の捉え方や進め方を主体的に見直し、やりがいを生み出していく考え方で、厚生労働省の報告書でもワークエンゲージメントを高める手法として取り上げられています。
本記事では、ジョブ・クラフティングの基本概念から3つの視点、企業にもたらすメリット・デメリット、実践の5ステップ、組織での推進方法までを、マネジャー・人事の双方の視点から解説します。

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