インタビュー
組織を「動かす人事」と「沈める人事」はどこが違うのか? プロ人事の思考と行動
人事の世界には、数多くの名著がある。人事図書館を主宰する吉田洋介さんは、その多くに触れ、読み込み、現場で試してきた一人だ。そんな吉田さんが昨年11月、『「人事のプロ」はこう動く 事業を伸ばす人事が考えていること』(日本実業出版社)を上梓した。

名著が揃っているにもかかわらず、なぜあらためて本を書いたのか。吉田さんは、人事の本は数多く読んできたものの、「自分自身が次に何をすればいいのか」を具体的に示してくれる本には、なかなか出会えなかったと振り返る。
特に、ひとり人事として働く人が、どの順番で力をつけていけばいいのかが見えにくいと感じていたという。そこで本書では、「ひとり人事が、どう動けばプロに近づいていけるのか」を示すガイドブックとして描くことを目指した。
一方で、その分量と構造をシンプルに保つため、あえて載せなかった話も少なくない。自社サービスの値上げを提言した人事、恨まれる覚悟で決断した人事——本記事では、ガイドブックの裏側にある“B面”の人事像も含めて、吉田さんに話を聞いた。

「パフェ行きません?」飲み会なし時代に“仲良くなる”最適解
職場における飲み会の意義が問い直される中、仕事仲間との関係づくりをどう進めればよいか模索している人も少なくないだろう。
深夜まで続く飲み会を、週1回のペースで繰り返していたのは、「デイリーポータルZ」ウェブマスターの林雄司さんだ。「デイリーポータルZ」は、日常の疑問や素朴な好奇心を記事にする老舗Webメディアで、企画の実験性の高さなどから多くのファンを獲得している。林さんは本メディアの編集長として、複数のライターと企画をつくり、記事を世に送り出す役割を担ってきた。
5年前の断酒をきっかけに、林さんは「飲み会がなくても人と仲良くなる方法」を、真剣に考えるようになった。
編集の仕事では、企画を出し、試し、形にしていく過程で、編集者と書き手の距離の近さが仕事のスピードや質に直結する。雑談の中からアイデアが生まれ、ちょっとした勢いで「それ、やってみよう」と話が進むことも少なくない。だからこそ、飲み会が成立しなくなった今、「関係性をどうつくるか」は切実なテーマだった。
「このあと、パフェ食べませんか?」
そんな一言から見えてきたのは、飲み会に代わる“場”の条件と、マネジャーが人を誘うときに必要な「理由」の設計だった。林さんの実体験をもとに、飲み会なし時代の現実的なチームビルディングをひもとく。

「罰ゲーム」に陥らない人たちは何が違うのか。ミドルマネジャーたちの「生命線」
PwCコンサルティングの加藤守和氏、キャリアコーチのずんずん氏、KAKEAI代表取締役社長・皆川恵美による鼎談の中編。
前編では、メンバーのパフォーマンスマネジメントと感情ケアの両立が重要な論点となりました。今回は、その両立を支える営みとなる「対話」の価値を掘り下げます。
部下が求めているのは共感か、それとも別のものか。多様性の時代にマネジャーは何を磨くべきか。三者によるマネジャー論はどこまでも広がっていきます——。

なぜ「正論」に人は心を閉ざすのか。反対派を味方に変える「伝え方」の極意
息子が通う小学校のPTA会長を3年間務めた政治学者・岡田憲治氏。民主主義の研究者による「フィールドワーク」は、机上の世界と現実の差を痛感する経験となった。その様子は著書『政治学者、PTA会長になる』(毎日新聞出版)で赤裸々に綴られている。
徹底した前例主義、強力な人間関係の磁場——「魔界」とも評されるPTAで、組織改革を唱える岡田氏の「正論」はPTAメンバーから猛反発を受けた。挫折を経た岡田氏は「その場の理(ルール)」への理解を深め、PTAメンバーや学校関係者らと、時に情熱的に、時にアクロバティックに対話を重ねていく。
今回、当時の経験をユーモアを交えながら振り返る岡田氏に合意形成の本質を尋ねた。その答えは、シンプルながら、現代のビジネスリーダーには不可欠と言えるものだった——。
✒️シリーズ「ディープ・コンセンサス」
多様な価値観を持つメンバーが集まる現代の組織では、表面的な妥協ではなく本質的な合意を築く力が、ミドルマネジャーやビジネスリーダーに求められています。本シリーズでは、ビジネス、政治、地域社会の現場で対話を重ね、「深い合意」を実現してきた実践者たちの知見を紹介します。
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合意形成は遅らせろ。MIMIGURI安斎氏が教える「本質的な納得」のつくり方
「合意を形成するだけなら簡単です。誰にでもできますよ」——。経営コンサルティングファーム「MIMIGURI」共同代表の安斎勇樹氏は、そう語る。意味深な発言の裏にあるのは、対話が空洞化することへの警鐘だ。
理想のゴールは、すべての参加者が「自分たちで決めた」という実感を得られること。その目標に向けて、安斎氏は議論のプロセスを緻密にデザインしている。
日本を代表するウォッチブランド「CITIZEN」のデザインアイデンティティ構築プロジェクトを例に、「納得感が高い対話を生み出す方法」を解説してもらった。
✒️シリーズ「ディープ・コンセンサス」
多様な価値観を持つメンバーが集まる現代の組織では、表面的な妥協ではなく本質的な合意を築く力が、ミドルマネジャーやビジネスリーダーに求められています。本シリーズでは、ビジネス、政治、地域社会の現場で対話を重ね、「深い合意」を実現してきた実践者たちの知見を紹介します。

なぜ 「器」が大きい人は、合意形成がうまいのか。永田町・霞が関から学ぶ対話の核心
相手に“憑依”する——。PoliPoli代表取締役CEOの伊藤和真氏は、合意形成の極意をそう語る。
政策プラットフォーム「PoliPoli」を核に、政治・行政と企業・生活者を結ぶ事業を展開する。例えば、企業が直面する市場の規制や制度の壁を「解決すべき社会課題」と捉え直し、政治家や官僚と対話しながら、ルール変更の後押しや新たな事業機会の創出を支援している。
永田町・霞が関の現場で、多様な当事者が議論できる「場」を整え、合意形成を後押しする。そんな伊藤氏の実践からは「対話に不可欠な条件」が見えてきた——。
✒️シリーズ「ディープ・コンセンサス」
多様な価値観を持つメンバーが集まる現代の組織において、表面的な妥協ではなく、本質的な合意を築くことがミドルマネジャーやビジネスリーダーの急務となっています。本シリーズでは、ビジネス、政治、地域社会などの現場でコアな対話を通じて「深い合意」を実現してきたエキスパートたちの実践知を紹介します。
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チーム全員が幸福であることが成果を最大にする。ゆめみCHRO太田氏が語る“関係性のマネジメント”
ティール組織の実践企業として知られる株式会社ゆめみ。
全員CEO制や助言プロセスなど、自律を支える仕組みを取り入れてきたが、その根底にあるのは「関係性をどう築くか」という問いである。コーチング専門部隊の設置、リモートから出社への転換、そして2025年に始まった1on1制度——。
同社CHROの太田昂志氏は、試行錯誤の末に見出したのは「聴くこと」ではなく「関係性を機能させること」だと語る。幸福と成果を両立させるチームをいかに設計するのか。その思想と実践を聞いた。

株式会社ゆめみ 上席執行役員CHRO
システムインテグレーター等を経て、株式会社ゆめみに入社。CHRO、取締役、上席執行役員を歴任し、DX・内製化支援の分野でリーディングカンパニーとしての成長に貢献。「働きがいのある会社」アワード各賞の受賞にも導いた。共著に『職場を上手にモチベートする科学的方法 無理なくやる気を引き出せる26のスキル』(ダイヤモンド社)がある。
“発信”から“関係構築”へ。PRの第一人者が語る、対話と倫理のマネジメント
SNSやAIによって情報があふれ、発信のスピードばかりが重視される。そんな時代に、マネジャーはどうすれば信頼を保ち、組織を健全に動かし続けられるのか。
「組織を動かす出発点は、必ず対話にあります」と語るのは、パブリック・リレーションズ(PR)の第一人者、井之上喬氏だ。企業広報の黎明期から日本のPR研究と教育を牽引し、政官財にわたる数多くの危機対応や広報戦略を支援してきた人物でもある。信頼を“発信”ではなく“関係構築”によって育むために、今のマネジャーに求められることとは。井之上氏の言葉から、そのヒントを探る。
井之上 喬
株式会社井之上パブリックリレーションズ 代表取締役会長兼CEO。早稲田大学第一商学部卒業。早稲田大学大学院公共経営研究科博士後期課程修了。博士(公共経営)。日本楽器製造(現ヤマハ)を経て、1970 年に井之上パブリックリレーションズを設立。2009年、「自己修正モデル」の研究によりパブリック・リレーションズ分野で日本初となる博士号を取得。京都大学経営管理大学院特命教授。北海道大学大学院客員教授。
組織の「しがらみ」から考える、職場の評価と働きがい
「しがらみ」――。元来は水流を堰き止める柵を意味するが、転じて束縛や制約、煩わしいつながりを指す言葉として使われている。
意思決定のシンプル化に伴う過剰な根回しの減少、上下関係の変化による飲みニケーションの強要の消滅など、組織の「しがらみ」と呼ばれたものは徐々に存在感を薄めつつある。
職場の風通しが良くなり、働きやすさが高まっていることを実感している人も少なくないだろう。
だが一方で、コンプライアンス遵守やハラスメント意識の高まりに伴い、組織内の人間関係そのものが希薄化しているという声も聞く。それは働き手にとって本当に望ましいことなのだろうか。
著書『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』で「しがらみ」の価値を問い直す井上慎平氏に、「1on1総研」編集長・下元陽が話を聞いた。





