
コミュニケーションが苦手なマネジャーが知っておきたい思考のクセ
「これを言ったら傷つけるかもしれない」「部下に話しかけるタイミングが、つかめない」――そう考え込んでいるうちにタイミングを逃し、言えないまま終わってしまう。コミュニケーションに苦手意識を持つマネジャーは、こんな悩みを抱えていないだろうか。
対人場面での心理的負荷が高く、その負荷を下げるために会話の機会を回避・最小化しようとする――こうした特性はマネジメントの壁となり得るが、必要なコミュニケーションを取るための方法はある。その手がかりの一つとなるのが、自分も相手も尊重しながら率直に思いを伝え合う「アサーティブネス」だ。
この領域の研究を長年続ける近畿大学の堀田美保教授に話を聞いた。
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マネジャーはどこで詰まるのか
対人場面での心理的負荷が高いタイプ。一口にそう言っても、その特徴は様々だ。本稿では次のような傾向を一部あるいは全て有している人を仮定する。
これらの特徴がマネジャーの役割と重なるとどうなるか。「詰まり方」は色々な形で表れるだろう。
本稿では「B. 過剰忖度」にフォーカスする。フィードバックや業務上の指摘は、部下を育て、組織を前に進めるための中核的な行為だ。先延ばしを続ければ、部下は成長の機会を失い、上司本人も言葉にできない不満を抱え続けて消耗していく。
「相手も自分も尊重する」アサーティブネスという考え方
部下に言うべきことが言えない。この問題を解きほぐす鍵が、「アサーティブネス」だ。
「アサーティブネスとは、自分の気持ちを大切にし、心のうちに閉じ込めることなく、その気持ちを相手に届けやすくするためのスタンスとスキルの総体です。とはいっても、無理にでも相手にイエスと言わせる方法ではありません。相手も自分も尊重するコミュニケーションを指します」(堀田教授)
堀田教授は、「自分を尊重する・しない」と「相手を尊重する・しない」という二軸で、コミュニケーションの型を四象限に整理している。
この四象限のうち、対人場面に大きな負荷を感じやすい人の多くは「④受身型」に位置づけられるという。

「受身型」は、周囲に忖度し、我慢をし続ける傾向がある。その結果、不満を爆発させてしまったり、あるいはため息を漏らす、視線をそらす、そっけない返答をする、といった態度を無意識に取ってしまったりすることがある。
「頼まれた仕事を100%納得して引き受けているなら問題ありません。しかし多くの場合、どこかに小さな不満が残っているものです。『なんで自分ばかり』『これだけやっているのに誰も感謝しない』といった不満が大きくなると、次第に『相手が悪い』という方に思考が向かってしまいます」(堀田教授)
上司であれば、こうした不満が部下に向いてしまうおそれがある。
アサーティブネスの基本となる「五つの柱」
「受身型」から抜け出すには、何を心がければよいのか。堀田教授は、アサーティブに振る舞うための基本として「五つの柱」を挙げる。

このうち、コミュニケーションに苦手意識を持つマネジャーがつまずきやすいのが「②率直」と「④自己責任」だ。
まず、心の中の不満や苛立ちをそのまま口にしてしまうことには気をつけたい。「またミスしたのか」「やる気はあるのか」などと感情のままに強い言葉をぶつけるのは、「率直」ではなく「攻撃」である。
「アサーティブネスは相手を責めない限りにおいて成立します。自分を主語にして『私は心配している』『私はこう感じている』と率直に伝えることが大事です」(堀田教授)
「自己責任」も常に意識しておきたい。その姿勢を持たないと、思わしくない状況になった時に、その理由を外に求めてしまいやすい。経緯はどうあれ、言いづらいからといって先延ばしを選択してきたのは自分である。その事実を引き受けて初めて「(望ましい状況を引き寄せるために)自分から相手に働きかける」「自分からコミュニケーションを取る」という選択肢が生まれる。
なお、この「自分から伝える」という行動は、部下に対してのみ求められるものではない。マネジャー本人が自身の上司にものを言えているか、困ったときに相談できているか、部下はその振る舞いを見ている。
マネジャー自身が自分の上司と必要なコミュニケーションが取れていないのに、「困ったら相談してほしい」と部下に伝えても、その言葉は響かない。アサーティブネスは、自分の上司や同格以上の相手に対しても発揮すべきものであることを、ぜひ頭の片隅に置いておいていただきたい。
本稿ではアサーティブネスの基本的な考え方を整理した。後編の記事では、具体的な実践の方法を紹介する。
🔹後編「耳の痛いことを伝える六つのポイントとは? コミュニケーションが苦手なマネジャーの実践的会話術」はこちら
(構成:堀尾大悟)
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「相手も自分も尊重する」アサーティブネスという考え方
部下に言うべきことが言えない。この問題を解きほぐす鍵が、「アサーティブネス」だ。
「アサーティブネスとは、自分の気持ちを大切にし、心のうちに閉じ込めることなく、その気持ちを相手に届けやすくするためのスタンスとスキルの総体です。とはいっても、無理にでも相手にイエスと言わせる方法ではありません。相手も自分も尊重するコミュニケーションを指します」(堀田教授)
堀田教授は、「自分を尊重する・しない」と「相手を尊重する・しない」という二軸で、コミュニケーションの型を四象限に整理している。
この四象限のうち、対人場面に大きな負荷を感じやすい人の多くは「④受身型」に位置づけられるという。

「受身型」は、周囲に忖度し、我慢をし続ける傾向がある。その結果、不満を爆発させてしまったり、あるいはため息を漏らす、視線をそらす、そっけない返答をする、といった態度を無意識に取ってしまったりすることがある。
「頼まれた仕事を100%納得して引き受けているなら問題ありません。しかし多くの場合、どこかに小さな不満が残っているものです。『なんで自分ばかり』『これだけやっているのに誰も感謝しない』といった不満が大きくなると、次第に『相手が悪い』という方に思考が向かってしまいます」(堀田教授)
上司であれば、こうした不満が部下に向いてしまうおそれがある。
アサーティブネスの基本となる「五つの柱」
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このうち、コミュニケーションに苦手意識を持つマネジャーがつまずきやすいのが「②率直」と「④自己責任」だ。
まず、心の中の不満や苛立ちをそのまま口にしてしまうことには気をつけたい。「またミスしたのか」「やる気はあるのか」などと感情のままに強い言葉をぶつけるのは、「率直」ではなく「攻撃」である。
「アサーティブネスは相手を責めない限りにおいて成立します。自分を主語にして『私は心配している』『私はこう感じている』と率直に伝えることが大事です」(堀田教授)
「自己責任」も常に意識しておきたい。その姿勢を持たないと、思わしくない状況になった時に、その理由を外に求めてしまいやすい。経緯はどうあれ、言いづらいからといって先延ばしを選択してきたのは自分である。その事実を引き受けて初めて「(望ましい状況を引き寄せるために)自分から相手に働きかける」「自分からコミュニケーションを取る」という選択肢が生まれる。
なお、この「自分から伝える」という行動は、部下に対してのみ求められるものではない。マネジャー本人が自身の上司にものを言えているか、困ったときに相談できているか、部下はその振る舞いを見ている。
マネジャー自身が自分の上司と必要なコミュニケーションが取れていないのに、「困ったら相談してほしい」と部下に伝えても、その言葉は響かない。アサーティブネスは、自分の上司や同格以上の相手に対しても発揮すべきものであることを、ぜひ頭の片隅に置いておいていただきたい。
本稿ではアサーティブネスの基本的な考え方を整理した。後編の記事では、具体的な実践の方法を紹介する。
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(構成:堀尾大悟)
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