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若手の半数以上? 「静かな退職」を防ぐために人事ができること
若手の半数以上? 「静かな退職」を防ぐために人事ができること

若手の半数以上? 「静かな退職」を防ぐために人事ができること

最近の調査で、20代の正社員の半数以上が「静かな退職」をしているという驚きの結果が公表されました。

一方で、新入社員の多くは「成長したい」「挑戦したい」「評価されて出世したい」という希望を持って社会人生活をスタートしていることも分かっています。

せっかく意欲のあった若手が成長や貢献のチャンスに背を向けるようになってしまうのは、非常に残念なこと。そのような状態に陥る前に、予防策を講じたいところです。今回は、若手が「静かな退職」を選択する原因を確かめ、それを防止するために人事がすべきことを考えます。

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目次

「静かな退職」を選択する若手が多い日本の職場

毎年140以上の国や地域の従業員エンゲージメント調査を行っているギャラップ社によれば、あえて不満を言ったりはしないものの、仕事に対するモチベーションが低く、必要最低限の仕事をこなして勤務時間をやりすごす——そんな「静かな退職」は世界的なトレンドです。その中でも日本は、職場や仕事にエンゲージしている従業員の割合が7%と最も低水準であり、特に若手の「静かな退職」状態が問題だと指摘されています(参考:ギャラップ「変革への挑戦:日本の職場の新しい姿」)。

マイナビが行った「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」でも、20代の50.5%が「静かな退職」をしているという結果で、全年代のなかで最も高い割合となっています。

若手の多くは、最初からやる気がなく、「最低限の仕事だけしておこう」と考えているわけではありません。

マイナビの「2026年度 新入社員のキャリア意識調査」によれば、「出世したい・どちらかといえば出世したい」と回答した新入社員が約9割にのぼります。「若者は出世に興味がない」、「管理職になりたがらない人が多い」という世間の言説とは真逆の結果です。

また、社会人生活に「かなり期待している・どちらかといえば期待している」が約7割から8割に達しており、具体的には「自分が成長できる」、「収入が得られる」、「新しいことに挑戦できる」といったことに期待を持っているようです。

何が「静かな退職」を選ばせるのか

若手に限らず、多くの人は最初から「静かな退職」を選択するわけではありません。Great Place To Work® Institute Japan(以下GPTW Japan)による2024年の調査では、「静かな退職」状態にある人のうち「働き始める前からそのような働き方をしようと思っていた」という人は29.0%と少数派です。

また、「静かな退職」を選択したきっかけは「仕事よりプライベートを優先したいと思うようになったから」(38.2%)が最も多く、「努力しても報われない(正当に評価されない・給与に反映されない)から」(27.3%)が続きました。

「仕事よりプライベートを優先したい」と思うようになるのには、様々な理由が考えられます。

例えば、育児や介護などプライベートで責任や負担が増えたことが原因かもしれませんし、趣味や学び、ボランティア活動など、仕事よりも面白いことややりがいのあることが見つかったのかもしれません。

これらはライフステージや興味関心の変化によるもので、本人にとっては「静かな退職」が前向きな選択である可能性があります。しかし、仕事や職場に失望したことが理由で「これからはプライベートを優先しよう」と考えることもあるでしょう。最初は意欲的だった若手においては、このケースが多いのではないでしょうか。

失望の理由は、「きっかけ」の2番目に上がっている「努力しても報われない」状況にあるかもしれません。与えられた仕事にやりがいを感じられない、という可能性もあります。

がんばりが空回りする状態を生まないために

会社に失望する若手に対し、「そんなに簡単に評価されると思うな」、「努力の方向性が間違っている」、「仕事にやりがいを見いだせないのは視野が狭いからだ」などと、厳しい声が上がることもあるかもしれません。しかし、その背景にある「ズレ」に注目することが重要です。

そう感じるのは、がんばっているのは事実だが評価できるレベルにまで至っていない、本人はがんばっているつもりだが努力の方向性が間違っている、渡された仕事の意義が理解できていないなど、本人の意識や行動と組織が求めるものとにズレがある可能性が高いからです。

そのズレを解消すれば、もともと持っていた「成長したい」「挑戦したい」「評価されて出世したい」という意欲のもと、若手が成長し、戦力になってくれる可能性があります。

そのため、若手が「静かな退職」状態に陥るのを防ぐには、彼らが入社時に持っているやる気と、会社の方針や若手人材に求めることのベクトルを一致させることが重要になります。

この点において人事ができることとして、ひとつは会社の経営方針や社員に求める姿勢などを、入社時研修などで分かりやすく伝えることです。

また、配属先が決まったタイミングでは、配属先部署の役割や、そこで若手に期待されること、その後のキャリアの展望などを一人ひとりに丁寧に説明する(または、配属先部署の担当者に説明を促す)ことも大切です。

管理職とのベクトル合わせ、育成スキルの提供も重要

いくら会社としての方向性や行動指針、キャリアの展望を伝えても、若手と日々接する上司のベクトルがズレていると元も子もありません。

会社が若手の新しい発想を求めて行う新規事業提案制度に応募したら、上司からは「そんなことやってないで、目の前の仕事に集中してくれ」と言われ、人事評価も下げられた——そんなことがあると、むしろ目の前の仕事へのモチベーションが下がったり、会社を信頼できなくなったりするリスクがあります。

そのようなことがないよう、管理職に対しては、仕事を回すという視点だけでなく人材育成の視点ももって、若手にどのような声掛けや指導をすべきかを理解してもらう必要があります。

また、人事評価の根拠となる目標管理の精度が低いと、「努力しても報われない」、あるいは「目標は達成したけれど、この仕事に何の意味があるのか」といった思いを抱く社員が出てきます。

そうならないためには、若手に対しては目標設定について丁寧に研修を行う、管理職に対しては部下の目標が会社や部署の目標とベクトルが合っているか、本人の成長を促進するものであるかをチェックするよう促すなど、まずは目標設定の精度を上げる取り組みが必要です。その上で、期中の進捗確認やアドバイスのための1on1を推進したり、期末評価マニュアルの整備や評価研修など管理職向けの支援を行ったりすることで、評価の納得度を高めることができます。

大切なのは「褒める」より「伝えて認める」こと

昨今、パワハラへの懸念などから、部下との関わり方に悩む管理職が増えています。褒めることを意識していても、的外れな声かけは「ちゃんと見てくれているのかな」「そこを褒められても嬉しくない」など、若手の失望を招くこともあります。

効果的なのは、まず「どんながんばりが評価や成長につながるか」を明確に伝えること。その上で努力をきちんと認めてフィードバックすることで、若手は「もっとがんばろう」と思えるのです。

人事には、こうした管理職の育成を後押しする役割もあります。若手の意欲を守ることは、組織の未来を守ることでもあります。そのために若手と管理職の両者にアプローチし、ベクトルを一致させていくことが、重要な役割だと言えるでしょう。

「静かな退職」を選択する若手が多い日本の職場

毎年140以上の国や地域の従業員エンゲージメント調査を行っているギャラップ社によれば、あえて不満を言ったりはしないものの、仕事に対するモチベーションが低く、必要最低限の仕事をこなして勤務時間をやりすごす——そんな「静かな退職」は世界的なトレンドです。その中でも日本は、職場や仕事にエンゲージしている従業員の割合が7%と最も低水準であり、特に若手の「静かな退職」状態が問題だと指摘されています(参考:ギャラップ「変革への挑戦:日本の職場の新しい姿」)。

マイナビが行った「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」でも、20代の50.5%が「静かな退職」をしているという結果で、全年代のなかで最も高い割合となっています。

若手の多くは、最初からやる気がなく、「最低限の仕事だけしておこう」と考えているわけではありません。

マイナビの「2026年度 新入社員のキャリア意識調査」によれば、「出世したい・どちらかといえば出世したい」と回答した新入社員が約9割にのぼります。「若者は出世に興味がない」、「管理職になりたがらない人が多い」という世間の言説とは真逆の結果です。

また、社会人生活に「かなり期待している・どちらかといえば期待している」が約7割から8割に達しており、具体的には「自分が成長できる」、「収入が得られる」、「新しいことに挑戦できる」といったことに期待を持っているようです。

何が「静かな退職」を選ばせるのか

若手に限らず、多くの人は最初から「静かな退職」を選択するわけではありません。Great Place To Work® Institute Japan(以下GPTW Japan)による2024年の調査では、「静かな退職」状態にある人のうち「働き始める前からそのような働き方をしようと思っていた」という人は29.0%と少数派です。

また、「静かな退職」を選択したきっかけは「仕事よりプライベートを優先したいと思うようになったから」(38.2%)が最も多く、「努力しても報われない(正当に評価されない・給与に反映されない)から」(27.3%)が続きました。

「仕事よりプライベートを優先したい」と思うようになるのには、様々な理由が考えられます。

例えば、育児や介護などプライベートで責任や負担が増えたことが原因かもしれませんし、趣味や学び、ボランティア活動など、仕事よりも面白いことややりがいのあることが見つかったのかもしれません。

これらはライフステージや興味関心の変化によるもので、本人にとっては「静かな退職」が前向きな選択である可能性があります。しかし、仕事や職場に失望したことが理由で「これからはプライベートを優先しよう」と考えることもあるでしょう。最初は意欲的だった若手においては、このケースが多いのではないでしょうか。

失望の理由は、「きっかけ」の2番目に上がっている「努力しても報われない」状況にあるかもしれません。与えられた仕事にやりがいを感じられない、という可能性もあります。

がんばりが空回りする状態を生まないために

会社に失望する若手に対し、「そんなに簡単に評価されると思うな」、「努力の方向性が間違っている」、「仕事にやりがいを見いだせないのは視野が狭いからだ」などと、厳しい声が上がることもあるかもしれません。しかし、その背景にある「ズレ」に注目することが重要です。

そう感じるのは、がんばっているのは事実だが評価できるレベルにまで至っていない、本人はがんばっているつもりだが努力の方向性が間違っている、渡された仕事の意義が理解できていないなど、本人の意識や行動と組織が求めるものとにズレがある可能性が高いからです。

そのズレを解消すれば、もともと持っていた「成長したい」「挑戦したい」「評価されて出世したい」という意欲のもと、若手が成長し、戦力になってくれる可能性があります。

そのため、若手が「静かな退職」状態に陥るのを防ぐには、彼らが入社時に持っているやる気と、会社の方針や若手人材に求めることのベクトルを一致させることが重要になります。

この点において人事ができることとして、ひとつは会社の経営方針や社員に求める姿勢などを、入社時研修などで分かりやすく伝えることです。

また、配属先が決まったタイミングでは、配属先部署の役割や、そこで若手に期待されること、その後のキャリアの展望などを一人ひとりに丁寧に説明する(または、配属先部署の担当者に説明を促す)ことも大切です。

管理職とのベクトル合わせ、育成スキルの提供も重要

いくら会社としての方向性や行動指針、キャリアの展望を伝えても、若手と日々接する上司のベクトルがズレていると元も子もありません。

会社が若手の新しい発想を求めて行う新規事業提案制度に応募したら、上司からは「そんなことやってないで、目の前の仕事に集中してくれ」と言われ、人事評価も下げられた——そんなことがあると、むしろ目の前の仕事へのモチベーションが下がったり、会社を信頼できなくなったりするリスクがあります。

そのようなことがないよう、管理職に対しては、仕事を回すという視点だけでなく人材育成の視点ももって、若手にどのような声掛けや指導をすべきかを理解してもらう必要があります。

また、人事評価の根拠となる目標管理の精度が低いと、「努力しても報われない」、あるいは「目標は達成したけれど、この仕事に何の意味があるのか」といった思いを抱く社員が出てきます。

そうならないためには、若手に対しては目標設定について丁寧に研修を行う、管理職に対しては部下の目標が会社や部署の目標とベクトルが合っているか、本人の成長を促進するものであるかをチェックするよう促すなど、まずは目標設定の精度を上げる取り組みが必要です。その上で、期中の進捗確認やアドバイスのための1on1を推進したり、期末評価マニュアルの整備や評価研修など管理職向けの支援を行ったりすることで、評価の納得度を高めることができます。

大切なのは「褒める」より「伝えて認める」こと

昨今、パワハラへの懸念などから、部下との関わり方に悩む管理職が増えています。褒めることを意識していても、的外れな声かけは「ちゃんと見てくれているのかな」「そこを褒められても嬉しくない」など、若手の失望を招くこともあります。

効果的なのは、まず「どんながんばりが評価や成長につながるか」を明確に伝えること。その上で努力をきちんと認めてフィードバックすることで、若手は「もっとがんばろう」と思えるのです。

人事には、こうした管理職の育成を後押しする役割もあります。若手の意欲を守ることは、組織の未来を守ることでもあります。そのために若手と管理職の両者にアプローチし、ベクトルを一致させていくことが、重要な役割だと言えるでしょう。

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執筆者
やつづか えり

1999年一橋大学社会学部卒業。2009年デジタルハリウッド大学院修了。コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務後、フリーランスに。2013年より組織に所属する個人の新しい働き方、暮らし方の取材を開始。各種ウェブメディアで働き方、組織、イノベーションなどをテーマとした記事を執筆中。2020年に東京から長野県佐久穂町に移住。町の活性化を目指した情報発信、地域創生戦略策定、ゼロカーボン戦略の策定などにも関わる。

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