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外向型を演じ続ける必要はない。内向型マネジャーが「静かな影響力」を持つ方法
外向型を演じ続ける必要はない。内向型マネジャーが「静かな影響力」を持つ方法

外向型を演じ続ける必要はない。内向型マネジャーが「静かな影響力」を持つ方法

一人で考える時間を好み、人と接すると消耗する。前に立ってチームを束ねる場面になると、急に影が薄くなる。こうしたタイプゆえに、「自分はマネジャーに向いていない」と感じている人は少なからずいるだろう。

だが、その思い込みは本当に正しいのだろうか。組織のあり方も働き方も大きく変わり、自ら声を上げ前に出ることが、これまで以上に求められる時代である。そうしたなかで、静かな気質のマネジャーが、自分らしくその役割を果たすにはどうすればよいのか。

チームワークとリーダーシップを研究する早稲田大学商学部准教授の村瀬俊朗氏と、内向型リーダーシップ開発を専門とする株式会社HINOE代表の矢本洋介氏が議論した。

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目次

なぜ、静かな人がマネジャーに選ばれるのか

──内向型のマネジャーの中には、「自分は向いていない」と感じている方が少なくありません。そうした人は、そもそもどういう経緯で管理職に就くのでしょうか。

矢本 私は3社でコーポレート(人事・人材開発)を経験していますが、最も多かったのは、年功的に引き上げられるケースです。ヒトよりモノに向き合うのが得意な人が、「勤続も長いし、そろそろ管理職に」と登用される。

当然、管理職になると成果創出の方法が一変し、これまで通りにはいきません。「私の背中を見て」と率先垂範を続けても、人を生かし伸ばす側へ回りきれず、メンバーが離れてしまう。そして本人も、「自分はマネジャーに向いていないのでは」と思い込んでしまうわけです。

矢本洋介
株式会社HINOE代表

ブリティッシュコロンビア大学(心理学)卒業、立教大学大学院経営学研究科リーダーシップ開発コース修了。三井物産人材開発、ジョンソン・エンド・ジョンソン、NECにて人材開発・組織開発・タレントマネジメントに従事し、次世代経営人材やグローバルリーダーの育成に携わる。2024年に株式会社HINOEを創業。自身も内向的な気質を持つ実践者として、日本人リーダーが自分らしさを失わずに信頼され、影響力を発揮するための支援を行う。京都女子大学講師。


村瀬
 そのご経験は、データとも符合するように思います。以前、ある大手企業の長期にわたる人事データを見る機会があったのですが、係長レイヤーまでは、昇進スピードに1年ほどの誤差しかなく、ほぼ横並びでした。こうした構造のもとでは、「管理職に向いてない」と自覚している人でも、一定の役職まで届く余地があるわけです。

もっとも、コミュニケーションを多く取らない内向型の中には、 そのぶん高い集中力で仕事に向き合う人も少なくありません。目の前の業務を着実に仕上げ、その成果が認められて引き上げられていく。そういった年功とは別の形の昇進もあるでしょうね。

村瀬 俊朗
早稲田大学 商学部 准教授

1997年に高校卒業後、渡米。2011年、University of Central Floridaにて産業組織心理学の博士号を取得。Northwestern UniversityおよびGeorgia Institute of Technologyで博士研究員(ポスドク)を務めた後、シカゴにあるRoosevelt Universityで教鞭を執る。2017年9月から現職。専門はチームワークとリーダーシップ。


──矢本さんは外資系企業も経験されていますが、組織のカルチャーによって内向型の評価は変わりますか。

矢本 大きく変わると思います。マネジャーの選抜には、圧倒的な成果で拓かれる道と、人徳で拓かれる道がありますが、日本のような和を重んじる組織では後者の比重も大きく、内向型の気質とよく噛み合います。むやみに目立たず、場を独り占めしない振る舞いが、「謙虚でいい人だ」「この人についていきたい」と受け取られ、自然と引き上げられていくわけです。

ところが、外資はやや勝手が違いました。とりわけ痛感したのが「ビジビリティ(Visibility)」、すなわち目立つことの重要さです。リーダーは前に出て存在感を示し、アサーティブに主張して、人の目に留まる存在でなくてはならない。人事の現場でも、次世代リーダーとして名前が挙がるのは、雄弁で目立つ人が多かったように思います。

控えめな性格で、自分を大きく見せるのが得意でないと、それだけで昇進に影が差すこともある。同じ気質が組織によって美点にも弱点にもなる、ということだと思います。

村瀬 結局、組織の価値観次第ですよね。この点はデータでも裏付けられていて、たとえばコンサルティング系の組織を調べると、外向性の高い人が昇進しやすい傾向がはっきり出ています。一方、組織の文脈が変われば、ほとんど確認できなくなります。

つまり、世間では「リーダー=外向的な人」というイメージが根強いですが、それはどの組織にも当てはまるわけではありません。

矢本 私も同じ実感です。ただ、近年では「目立つ人を是とする」空気が、国内企業にも広がり始めている気がします。

私が在籍していた電機メーカーでも、グローバル化の中で上司が外国人になり、外資出身者が次々に加わりました。その結果、察し合い協調性を重んじる日本的コミュニケーションは影を潜め、意見を率直に伝え合う環境へと変わっていきました。

多くの日本企業がまさに今、こうした変化の過渡期にあるのではないかと感じます。

内向型のマネジャーが磨くべきスキルとは

──外資系的なビジビリティが強く求められる環境では、内向型の人がより上のポジションへ目指すのは難しいのでしょうか。

矢本 簡単ではありませんが、工夫次第で壁を越えることは可能です。私の見立てでは、壁を超える人は外向型を「演じる」のが巧みです。元々の気質は内向的なのに、必要な場面では外向のペルソナをまとい、相手や場に応じて振る舞いを切り替える。本当は内向型であることに、周囲は気づいていない。

かく言う私もセルフモニタリングが高く、比較的器用に演じられるタイプでした。ただ、演じることは内側でエネルギーを消耗する行為ですから、回復の場を持たないと心身が持ちません。

私もいつしか疲れを覚え、本物の外向型と同じ土俵で演じ続けるのはフェアではないと、徐々に考えが変わりました。仮面をかぶることは一時しのぎとしては有効でも、その役柄に本来の自分まで譲り渡すことはおかしいのではないか、と。

村瀬 今の矢本さんのお話は、性質とスキルは別物であり、それぞれを切り離して捉えることの重要性を示しているように思います。

それこそ大学教員も人前に立つ仕事ですが、誰もが外向的かといえば、そんなことはありません。研究に没頭する寡黙な人もいます。

それでも注目を集めながら話すスキルの必要性を認め、割り切ってその方法を学び、実行できるくらいに磨き上げれば、内向的なまま十分に務まります。これは一般企業のマネジャーにも同じことが言えます。

ーー内向型のマネジャーが磨くべきスキルとは、例えばどういうものがあるのでしょうか。

村瀬 それはチームにおけるマネジャーの役割を考えると、はっきり見えてきます。まず、チーム戦とは、メンバーが力を持ち寄り、一人では届かない場所へ到達していく営みです。

そこでマネジャーに求められるのは、目指す場所を指し示して共感を生むこと、そして、その道のりに立ちはだかる課題を皆の声を聞きながら見定め、解決へと導いていくこと。いずれも、声を張って先導すればうまくいくという類いのものではありません。

目指す場所に共感してもらうには、筋道を立てて「そこを目指す意味」を説くことが必要になります。課題を見定める場面では、自ら語り続けるのではなく、問いを重ねてメンバーの考えを引き出すことが必要です。

こうした関わり方は生まれつきの才に拘らず、磨いて身につけられるもの。内向型の性質とも比較的親和性が高いのではないかと思います。

矢本  前に出て引っ張るだけが、リーダーシップではないということですよね。外向性は「報酬を求める」方向に、内向性は「罰を避ける」方向に働きやすいと指摘されますが、罰を避けようとする人は、自然と慎重になります。この慎重さは、臆病とは別物です。

事前に手を尽くして備える。観察眼を働かせて議論の本質を捉え、話がそこから逸れないように場を運ぶ。このとき自分は、意見を主張する主役ではなく、メンバーに話を振り、それぞれの考えを引き出し、相手を引き立てる役に回っています。

そうした中立中庸な関わり方でゴールにたどり着くリーダーシップも、確かにあるのだと思います。

──とはいえ、メンバーが指示に従うのは、マネジャーに権威を感じていればこそ、という側面もある気がします。控えめな内向型は、そこで弱くなりはしないでしょうか。

矢本 権威や影響力をひもとくと、そこには「才」と「徳」という二つの側面があるように思います。才、すなわち能力や実力が伴わなければ、人はそもそも耳を貸しません。そして徳、すなわち人としての信頼が伴わなければ、人は心から従いません。この両輪を備えていれば、真夏の太陽のような強さをまとわずとも、その人ならではの影響力を発揮できます。

したがって、控えめなことは直ちに権威の弱さを意味するものではありません。私が内向型ビジネスパーソンのリーダシップ開発に取り組んでいるのも、翳りを活かしてメンバーを輝かせる、静かなリーダーの価値を再定義したいからです。

村瀬 権威を「才」と「徳」に分解するのは面白いですね。実力は磨くしかないとして、問題は信頼をどう築くかです。マネジャーへの尊敬は、会話の量には比例しません。言葉を交わさなければ話になりませんが、交わすほどに慕われるわけでもない。

それよりも、メンバーの見落とされがちな努力に「ここを頑張っているね」と目を留める。疲れや迷いを察して、寄り添う。そうしたことを積み重ねるなかで、メンバーの側に「この人になら弱みを見せても大丈夫だ」という信頼が育まれ、腹を割って話せる間柄になっていきます。

チームを機能させるうえで、こうした関係を築くことは、外向的に振る舞えること以上の力になります。

矢本 先生がいまお話しされた「マネジャーがメンバーとつながろうとする意思」は、私も非常に大事だと思っています。ただ、内向型はその意思表示が控えめです。繋がろうとする意思を抱いていても、表情や口数の乏しさから、悪気なく無関心に映ってしまう。

「静かだけれど、皆をよく見ている人だ」と、周囲がその方の認知的な好みを理解していれば問題ないのですが、着任したばかりの上司のように、まだコンテキストが共有されていない場面では、その静けさが無関心と受け取られてしまいます。

この誤解がマネジメントの妨げになっては、もったいないですよね。だからこそ、内向型は胸の内の関心を意識して、言葉や態度として表現する必要があると思います。

(撮影:小池大介)

🔹後編へ続く

【議論】内向型で「人に関心がない」。それでもマネジャーは務まるのか

なぜ、静かな人がマネジャーに選ばれるのか

──内向型のマネジャーの中には、「自分は向いていない」と感じている方が少なくありません。そうした人は、そもそもどういう経緯で管理職に就くのでしょうか。

矢本 私は3社でコーポレート(人事・人材開発)を経験していますが、最も多かったのは、年功的に引き上げられるケースです。ヒトよりモノに向き合うのが得意な人が、「勤続も長いし、そろそろ管理職に」と登用される。

当然、管理職になると成果創出の方法が一変し、これまで通りにはいきません。「私の背中を見て」と率先垂範を続けても、人を生かし伸ばす側へ回りきれず、メンバーが離れてしまう。そして本人も、「自分はマネジャーに向いていないのでは」と思い込んでしまうわけです。

矢本洋介
株式会社HINOE代表

ブリティッシュコロンビア大学(心理学)卒業、立教大学大学院経営学研究科リーダーシップ開発コース修了。三井物産人材開発、ジョンソン・エンド・ジョンソン、NECにて人材開発・組織開発・タレントマネジメントに従事し、次世代経営人材やグローバルリーダーの育成に携わる。2024年に株式会社HINOEを創業。自身も内向的な気質を持つ実践者として、日本人リーダーが自分らしさを失わずに信頼され、影響力を発揮するための支援を行う。京都女子大学講師。


村瀬
 そのご経験は、データとも符合するように思います。以前、ある大手企業の長期にわたる人事データを見る機会があったのですが、係長レイヤーまでは、昇進スピードに1年ほどの誤差しかなく、ほぼ横並びでした。こうした構造のもとでは、「管理職に向いてない」と自覚している人でも、一定の役職まで届く余地があるわけです。

もっとも、コミュニケーションを多く取らない内向型の中には、 そのぶん高い集中力で仕事に向き合う人も少なくありません。目の前の業務を着実に仕上げ、その成果が認められて引き上げられていく。そういった年功とは別の形の昇進もあるでしょうね。

村瀬 俊朗
早稲田大学 商学部 准教授

1997年に高校卒業後、渡米。2011年、University of Central Floridaにて産業組織心理学の博士号を取得。Northwestern UniversityおよびGeorgia Institute of Technologyで博士研究員(ポスドク)を務めた後、シカゴにあるRoosevelt Universityで教鞭を執る。2017年9月から現職。専門はチームワークとリーダーシップ。


──矢本さんは外資系企業も経験されていますが、組織のカルチャーによって内向型の評価は変わりますか。

矢本 大きく変わると思います。マネジャーの選抜には、圧倒的な成果で拓かれる道と、人徳で拓かれる道がありますが、日本のような和を重んじる組織では後者の比重も大きく、内向型の気質とよく噛み合います。むやみに目立たず、場を独り占めしない振る舞いが、「謙虚でいい人だ」「この人についていきたい」と受け取られ、自然と引き上げられていくわけです。

ところが、外資はやや勝手が違いました。とりわけ痛感したのが「ビジビリティ(Visibility)」、すなわち目立つことの重要さです。リーダーは前に出て存在感を示し、アサーティブに主張して、人の目に留まる存在でなくてはならない。人事の現場でも、次世代リーダーとして名前が挙がるのは、雄弁で目立つ人が多かったように思います。

控えめな性格で、自分を大きく見せるのが得意でないと、それだけで昇進に影が差すこともある。同じ気質が組織によって美点にも弱点にもなる、ということだと思います。

村瀬 結局、組織の価値観次第ですよね。この点はデータでも裏付けられていて、たとえばコンサルティング系の組織を調べると、外向性の高い人が昇進しやすい傾向がはっきり出ています。一方、組織の文脈が変われば、ほとんど確認できなくなります。

つまり、世間では「リーダー=外向的な人」というイメージが根強いですが、それはどの組織にも当てはまるわけではありません。

矢本 私も同じ実感です。ただ、近年では「目立つ人を是とする」空気が、国内企業にも広がり始めている気がします。

私が在籍していた電機メーカーでも、グローバル化の中で上司が外国人になり、外資出身者が次々に加わりました。その結果、察し合い協調性を重んじる日本的コミュニケーションは影を潜め、意見を率直に伝え合う環境へと変わっていきました。

多くの日本企業がまさに今、こうした変化の過渡期にあるのではないかと感じます。

内向型のマネジャーが磨くべきスキルとは

──外資系的なビジビリティが強く求められる環境では、内向型の人がより上のポジションへ目指すのは難しいのでしょうか。

矢本 簡単ではありませんが、工夫次第で壁を越えることは可能です。私の見立てでは、壁を超える人は外向型を「演じる」のが巧みです。元々の気質は内向的なのに、必要な場面では外向のペルソナをまとい、相手や場に応じて振る舞いを切り替える。本当は内向型であることに、周囲は気づいていない。

かく言う私もセルフモニタリングが高く、比較的器用に演じられるタイプでした。ただ、演じることは内側でエネルギーを消耗する行為ですから、回復の場を持たないと心身が持ちません。

私もいつしか疲れを覚え、本物の外向型と同じ土俵で演じ続けるのはフェアではないと、徐々に考えが変わりました。仮面をかぶることは一時しのぎとしては有効でも、その役柄に本来の自分まで譲り渡すことはおかしいのではないか、と。

村瀬 今の矢本さんのお話は、性質とスキルは別物であり、それぞれを切り離して捉えることの重要性を示しているように思います。

それこそ大学教員も人前に立つ仕事ですが、誰もが外向的かといえば、そんなことはありません。研究に没頭する寡黙な人もいます。

それでも注目を集めながら話すスキルの必要性を認め、割り切ってその方法を学び、実行できるくらいに磨き上げれば、内向的なまま十分に務まります。これは一般企業のマネジャーにも同じことが言えます。

ーー内向型のマネジャーが磨くべきスキルとは、例えばどういうものがあるのでしょうか。

村瀬 それはチームにおけるマネジャーの役割を考えると、はっきり見えてきます。まず、チーム戦とは、メンバーが力を持ち寄り、一人では届かない場所へ到達していく営みです。

そこでマネジャーに求められるのは、目指す場所を指し示して共感を生むこと、そして、その道のりに立ちはだかる課題を皆の声を聞きながら見定め、解決へと導いていくこと。いずれも、声を張って先導すればうまくいくという類いのものではありません。

目指す場所に共感してもらうには、筋道を立てて「そこを目指す意味」を説くことが必要になります。課題を見定める場面では、自ら語り続けるのではなく、問いを重ねてメンバーの考えを引き出すことが必要です。

こうした関わり方は生まれつきの才に拘らず、磨いて身につけられるもの。内向型の性質とも比較的親和性が高いのではないかと思います。

矢本  前に出て引っ張るだけが、リーダーシップではないということですよね。外向性は「報酬を求める」方向に、内向性は「罰を避ける」方向に働きやすいと指摘されますが、罰を避けようとする人は、自然と慎重になります。この慎重さは、臆病とは別物です。

事前に手を尽くして備える。観察眼を働かせて議論の本質を捉え、話がそこから逸れないように場を運ぶ。このとき自分は、意見を主張する主役ではなく、メンバーに話を振り、それぞれの考えを引き出し、相手を引き立てる役に回っています。

そうした中立中庸な関わり方でゴールにたどり着くリーダーシップも、確かにあるのだと思います。

──とはいえ、メンバーが指示に従うのは、マネジャーに権威を感じていればこそ、という側面もある気がします。控えめな内向型は、そこで弱くなりはしないでしょうか。

矢本 権威や影響力をひもとくと、そこには「才」と「徳」という二つの側面があるように思います。才、すなわち能力や実力が伴わなければ、人はそもそも耳を貸しません。そして徳、すなわち人としての信頼が伴わなければ、人は心から従いません。この両輪を備えていれば、真夏の太陽のような強さをまとわずとも、その人ならではの影響力を発揮できます。

したがって、控えめなことは直ちに権威の弱さを意味するものではありません。私が内向型ビジネスパーソンのリーダシップ開発に取り組んでいるのも、翳りを活かしてメンバーを輝かせる、静かなリーダーの価値を再定義したいからです。

村瀬 権威を「才」と「徳」に分解するのは面白いですね。実力は磨くしかないとして、問題は信頼をどう築くかです。マネジャーへの尊敬は、会話の量には比例しません。言葉を交わさなければ話になりませんが、交わすほどに慕われるわけでもない。

それよりも、メンバーの見落とされがちな努力に「ここを頑張っているね」と目を留める。疲れや迷いを察して、寄り添う。そうしたことを積み重ねるなかで、メンバーの側に「この人になら弱みを見せても大丈夫だ」という信頼が育まれ、腹を割って話せる間柄になっていきます。

チームを機能させるうえで、こうした関係を築くことは、外向的に振る舞えること以上の力になります。

矢本 先生がいまお話しされた「マネジャーがメンバーとつながろうとする意思」は、私も非常に大事だと思っています。ただ、内向型はその意思表示が控えめです。繋がろうとする意思を抱いていても、表情や口数の乏しさから、悪気なく無関心に映ってしまう。

「静かだけれど、皆をよく見ている人だ」と、周囲がその方の認知的な好みを理解していれば問題ないのですが、着任したばかりの上司のように、まだコンテキストが共有されていない場面では、その静けさが無関心と受け取られてしまいます。

この誤解がマネジメントの妨げになっては、もったいないですよね。だからこそ、内向型は胸の内の関心を意識して、言葉や態度として表現する必要があると思います。

(撮影:小池大介)

🔹後編へ続く

【議論】内向型で「人に関心がない」。それでもマネジャーは務まるのか

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執筆者
下元陽

「1on1総研」編集長。クリエイターチーム「BLOCKBUSTER」、ミクシィ、朝日新聞社、ユーザベースを経て2025年KAKEAI入社。これからの人間のつながり方に関心があります。

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