
「なんで今それ言う?」すれ違う上司と部下、その構造を徹底解剖!
「なんで今それ言うの?」——1on1の最中、心の中でそうつぶやいた経験はありませんか。上司にとっては何気ない一言でも、部下には戸惑いのもとになることがあります。
本記事は部下から寄せられた“がっかり発言”シリーズの第二弾。実際の1on1で部下が「これは困った」と感じた発言をもとに、言葉のズレがなぜ生まれるのか、その背景や構造を丁寧に紐解きます。上司・部下の双方が明日から実践できる、ズレを縮めるヒントもご紹介します。
思い込みが激しく、柔軟性ゼロ……


「過去はこうだったからこうしたい」といった提言をさせてもらえない。過去のことを言っても仕方ないのはわかっているが、過去からも学んでほしい。

「1on1は前向きな時間に使わないといけない」という思い込みは、時に対話を狭めてしまいます。
未来の話を深めるには、“過去から現在への流れを丁寧に聞き取ることが欠かせません。
💬「その背景にはどんな出来事があった?」
💬「どういう経験から、その考えに至ったの?」
💬「前回の出来事は、今どう影響している?」
こうした過去の振り返りは、愚痴を引き出すことが目的ではありません。部下が語る「経緯」や「体験」を、未来を良くするための材料として扱う視点が大切です。

あなたは、過去の話をしたいわけではなく、過去の経験をもとに、これからどうしていきたいかという未来の話をしたいと考えているのではないでしょうか。上司が“未来志向を強く求めるタイプ”の場合は、話す順序を工夫すると伝わりやすくなります。
まずは「私は今後〇〇したいと思っています」と未来の結論を先に置きます。そのうえで、
「そう考える理由は、以前××ということがあったからです」と、必要な範囲だけ過去を添えると受け入れられやすくなります。
未来→過去の順番で伝えることで、上司にも状況を理解してもらった上で対応を考える“建設的な1on1”になるでしょう。
自慢したくてしかたない……


上司がただ自慢して承認欲求を満たしたいだけだと感じてしまった。1on1の時間が上司をほめる時間になり、意味を見出せない。上司の主観はいらないので、一般的な理論ややり方を教えてほしかった。

コミュニケーションの大原則として、いきなり否定から入るのは絶対に避けたいところです。
まずは、「なるほど、そう感じているんですね」「その背景を少し教えてもらえますか?」と相手の意図や状況を理解する姿勢を持つことが第一です。
また、成功体験を語る際も注意が必要。自分としてはアドバイスのつもりでも、具体的すぎる経験談を聞くと、部下は自分ごと化できず、「武勇伝を話しているな」と感じてしまいます。
👨「前に営業をやっていたから、君の悔しい気持ちはわかるよ」
👨 「こういう場面って、誰でも判断が難しいよね」
このように、“抽象度の高い共感”にとどめたほうが、部下には伝わりやすいでしょう。

上司は「経験談=役立つ助言」だと思っている可能性が高いです。そのため、望んでいるアドバイスの方向性は、部下側から明確に伝えたほうがよいでしょう。
「一般的な考え方や方法論を知りたいです」「経験談よりも、別の視点や整理の仕方を教えてほしいです」とリクエストすることで、1on1の質はぐっと変わります。
がっかりだけど……知っておきたい上司の気持ち
部下側から寄せられた“がっかり発言”の中には、上司に悪意があったわけではなく、意図のすれ違いによって生まれたものも見られました。ここでは、そんな事例の中から“明日の1on1に生かせる視点”をいくつか紹介します。

この発言が出るシーンは、部下が「こういうことが起きて困っています」と状況説明をしたときではないでしょうか。
部下としては、「じゃあ私が解決してあげよう」と言ってほしい場合もありますが、“自主性を尊重する文化”の組織では、上司はあえて「何をしてほしい?」と問い返すことが正解になります。

次の様な意図で聞いているケースが多くあります。
☑️ 勝手に介入して“指示型”になるのを避けたい
☑️ 自分で考える力を育てたい
☑️ 部下の主体性を尊重したい

受動的に「どうしたらいいですか?」と待つのではなく、次のように自分の求める支援を明確に伝えることで、対話がスムーズになります。
👩「困っているので一緒に整理してほしいです」
👩「解決策の方向性を相談させてください」

これは、上司・部下どちらも不幸だったケース。過去の経験やスキルを細かく共有する機会は意外と少ないもの。上司は単に知らなかっただけということがほとんどです。だからこそ、自分の経験やスキルを上司にどこまで伝えるかは、部下側が主体的にコントロールしておくことが望ましいです。

😢 事前に知っていれば仕事の任せ方を変えられた
😢 もっと活躍してもらえる余地があった
「もっと早く言ってよ」という発言の裏には、このような“悔しさ”が含まれていると考えられます。

自分のキャリア・強み・経験は、早めに上司に伝えておきましょう。「こういう経験があるので、活かせる仕事があれば挑戦したいです」と具体的に伝えることで、任される仕事の幅が広がり、機会損失を防げます。

他の人と比較されると否定された気分になるのは当然のこと。一方で、上司側には「基準を伝えたかった」という意図がありそうです。

🤔 期待値を数字以外で説明するのが難しい
🤔 「イメージしやすい基準」として、つい身近な人を例に出してしまう
こうしたケースは少なくありません。しかし、悪気はなくても、人との比較は避けるべきでしょう。

他者との比較が出てきたら、客観的な「数値・基準」に話を引き戻しましょう。
👦「周囲との比較ではなく、私のポジションに対する期待を具体的に教えてください」
👦 「どのような成果が出せれば、この仕事における合格ラインに達しますか?」
などと質問し、評価基準を“人物”ではなく“要件”に変換することで、双方の納得感が生まれます。
☆☆☆
1on1で起きる言葉のズレは、特別な失敗ではなく、誰にでも起こり得る小さなすれ違いです。ここまで見てきたとおり、上司も部下も悪意はないのに、良いコミュニケーションが成り立たないという事態が起こります。
大事なのは、完璧な対話を目指すことではなく、互いの意図を確認し合うこと。それだけで、1on1の温度も内容も大きく変わります。あなたの1on1が、少しずつ良い時間になっていきますように。
🔹1on1がっかり発言集Vol.1はこちら
思い込みが激しく、柔軟性ゼロ……


「過去はこうだったからこうしたい」といった提言をさせてもらえない。過去のことを言っても仕方ないのはわかっているが、過去からも学んでほしい。

「1on1は前向きな時間に使わないといけない」という思い込みは、時に対話を狭めてしまいます。
未来の話を深めるには、“過去から現在への流れを丁寧に聞き取ることが欠かせません。
💬「その背景にはどんな出来事があった?」
💬「どういう経験から、その考えに至ったの?」
💬「前回の出来事は、今どう影響している?」
こうした過去の振り返りは、愚痴を引き出すことが目的ではありません。部下が語る「経緯」や「体験」を、未来を良くするための材料として扱う視点が大切です。

あなたは、過去の話をしたいわけではなく、過去の経験をもとに、これからどうしていきたいかという未来の話をしたいと考えているのではないでしょうか。上司が“未来志向を強く求めるタイプ”の場合は、話す順序を工夫すると伝わりやすくなります。
まずは「私は今後〇〇したいと思っています」と未来の結論を先に置きます。そのうえで、
「そう考える理由は、以前××ということがあったからです」と、必要な範囲だけ過去を添えると受け入れられやすくなります。
未来→過去の順番で伝えることで、上司にも状況を理解してもらった上で対応を考える“建設的な1on1”になるでしょう。
自慢したくてしかたない……


上司がただ自慢して承認欲求を満たしたいだけだと感じてしまった。1on1の時間が上司をほめる時間になり、意味を見出せない。上司の主観はいらないので、一般的な理論ややり方を教えてほしかった。

コミュニケーションの大原則として、いきなり否定から入るのは絶対に避けたいところです。
まずは、「なるほど、そう感じているんですね」「その背景を少し教えてもらえますか?」と相手の意図や状況を理解する姿勢を持つことが第一です。
また、成功体験を語る際も注意が必要。自分としてはアドバイスのつもりでも、具体的すぎる経験談を聞くと、部下は自分ごと化できず、「武勇伝を話しているな」と感じてしまいます。
👨「前に営業をやっていたから、君の悔しい気持ちはわかるよ」
👨 「こういう場面って、誰でも判断が難しいよね」
このように、“抽象度の高い共感”にとどめたほうが、部下には伝わりやすいでしょう。

上司は「経験談=役立つ助言」だと思っている可能性が高いです。そのため、望んでいるアドバイスの方向性は、部下側から明確に伝えたほうがよいでしょう。
「一般的な考え方や方法論を知りたいです」「経験談よりも、別の視点や整理の仕方を教えてほしいです」とリクエストすることで、1on1の質はぐっと変わります。
がっかりだけど……知っておきたい上司の気持ち
部下側から寄せられた“がっかり発言”の中には、上司に悪意があったわけではなく、意図のすれ違いによって生まれたものも見られました。ここでは、そんな事例の中から“明日の1on1に生かせる視点”をいくつか紹介します。

この発言が出るシーンは、部下が「こういうことが起きて困っています」と状況説明をしたときではないでしょうか。
部下としては、「じゃあ私が解決してあげよう」と言ってほしい場合もありますが、“自主性を尊重する文化”の組織では、上司はあえて「何をしてほしい?」と問い返すことが正解になります。

次の様な意図で聞いているケースが多くあります。
☑️ 勝手に介入して“指示型”になるのを避けたい
☑️ 自分で考える力を育てたい
☑️ 部下の主体性を尊重したい

受動的に「どうしたらいいですか?」と待つのではなく、次のように自分の求める支援を明確に伝えることで、対話がスムーズになります。
👩「困っているので一緒に整理してほしいです」
👩「解決策の方向性を相談させてください」

これは、上司・部下どちらも不幸だったケース。過去の経験やスキルを細かく共有する機会は意外と少ないもの。上司は単に知らなかっただけということがほとんどです。だからこそ、自分の経験やスキルを上司にどこまで伝えるかは、部下側が主体的にコントロールしておくことが望ましいです。

😢 事前に知っていれば仕事の任せ方を変えられた
😢 もっと活躍してもらえる余地があった
「もっと早く言ってよ」という発言の裏には、このような“悔しさ”が含まれていると考えられます。

自分のキャリア・強み・経験は、早めに上司に伝えておきましょう。「こういう経験があるので、活かせる仕事があれば挑戦したいです」と具体的に伝えることで、任される仕事の幅が広がり、機会損失を防げます。

他の人と比較されると否定された気分になるのは当然のこと。一方で、上司側には「基準を伝えたかった」という意図がありそうです。

🤔 期待値を数字以外で説明するのが難しい
🤔 「イメージしやすい基準」として、つい身近な人を例に出してしまう
こうしたケースは少なくありません。しかし、悪気はなくても、人との比較は避けるべきでしょう。

他者との比較が出てきたら、客観的な「数値・基準」に話を引き戻しましょう。
👦「周囲との比較ではなく、私のポジションに対する期待を具体的に教えてください」
👦 「どのような成果が出せれば、この仕事における合格ラインに達しますか?」
などと質問し、評価基準を“人物”ではなく“要件”に変換することで、双方の納得感が生まれます。
☆☆☆
1on1で起きる言葉のズレは、特別な失敗ではなく、誰にでも起こり得る小さなすれ違いです。ここまで見てきたとおり、上司も部下も悪意はないのに、良いコミュニケーションが成り立たないという事態が起こります。
大事なのは、完璧な対話を目指すことではなく、互いの意図を確認し合うこと。それだけで、1on1の温度も内容も大きく変わります。あなたの1on1が、少しずつ良い時間になっていきますように。
🔹1on1がっかり発言集Vol.1はこちら





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