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ミスした直後の1on1で「評価を落とす人」と「信頼を積む人」の決定的な差
ミスした直後の1on1で「評価を落とす人」と「信頼を積む人」の決定的な差

ミスした直後の1on1で「評価を落とす人」と「信頼を積む人」の決定的な差

ミスをしたあとの1on1は気まずいもの。多くの人は「どう謝ればいいか」を考えがちです。しかし、上司が求めているのは、謝罪よりも再発防止に向けた整理と提案です。

この記事では、ミス後の1on1で信頼を落とさず前に進めるための「基本の型」と、言い訳に聞こえやすい場面の乗り越え方を解説します。

目次

ミスしたあとの1on1、基本の「型」

「やらかした」と思うミスはいくつか種類があると思いますが、ここでは会社の業績に関わらない事案を想定しています。

このとき上司には①「なぜこんなことをしたのか」という怒り、②「想定の範囲内」という割り切り、③部下に挑戦させたことへの自責という三つの感情が働いています。

🔹参考記事

『部下がミスした直後の1on1で「原因追及」してはいけない本当の理由』

そうした気持ちを上司が抱いていると想定したうえで、あなたがプロとして仕事しているのであれば、謝罪→事実→判断→原因→再発防止策という順序で話しましょう。これは、ミスしたあとの上司への対応における「基本の型」です。

たとえば、SaaS企業のカスタマーサポート担当が、顧客から「この機能は使えますか?」と聞かれた場面を考えてみましょう。

担当者は自己判断で「対応可能です」と即答したものの、実際には追加設定が必要な機能でした。顧客には誤った期待を持たせてしまい、上司が火消しに回ることに。このケースで、1on1をどう進めるか見ていきます。

①謝罪:迷惑をかけたことを謝る

 💬「私の回答によって、A様(顧客)に誤った期待を持たせてしまい、結果的にBさん(上司)のフォローが必要な状況を作ってしまいました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

②事実:実際に起きたことを伝える

 💬「◯日の午前にお問い合わせをいただき、過去の対応事例をもとに私の判断で『対応可能』と返信しました。ところが開発部に確認すると、無条件では対応できない案件でした。現在はBさんから顧客に正しい前提条件を説明していただき、認識をすり合わせた状況です」

③判断:なぜそう判断したか、というプロセスを伝える

 💬「過去に同様の要望で対応できたケースがあり、今回も同じ条件だと考えました。ただ、正式な仕様を確認せず、『急いだほうがよい』という判断を優先してしまいました」

④原因:再発しうる構造を確認する

 💬「今回の原因は、似た事例があると自己判断で回答してしまうこと、確認が必要な問い合わせに対する判断基準が自分の中で曖昧だったことの二点にあると考えています」

⑤再発防止策:具体的な仕組み・手順・相談タイミングを提案する

 💬「今後は、①納期や仕様に関わる回答は即答せず、確認フローに乗せる、②過去に対応したことがある場合でも、必ず条件を明示する、③判断に迷った時点で、上司か開発に一次相談する、という運用を徹底し、再発防止に努めます」

つまり、この場で伝えるべきなのは、

「私はその時点では100点のつもりで判断しましたが、結果から見れば60点の対応でした」という事実です。

ここで「60点は取れていました」「何も考えずにやったわけではありません」と付け加えてしまうと、上司と部下の認識はすれ違ってしまいます。

大切なのは、どこで判断がずれ、次に同じ状況が起きたときにどう行動を変えるのかを、自分の言葉で示すことです。どうしたら再発しないかを言語化できれば、今回のミスは評価を下げる出来事ではなく、業務を改善する材料となった出来事になります。

「私のせいじゃないのに」というときは

場合によっては「謝りたくない」と感じることもあるかもしれません。たとえば、自分の判断は間違っていなかったと思えるときや、自分の担当範囲外の仕事だと感じるときには、謝罪したくないという気持ちが生まれるのも自然なことです。

しかし、上司が部下のミスに対して考えているのは、「謝ってほしい」ということではありません。上司が確認したいのは、その出来事が持つ重大さを理解しているかどうかです。

たとえば、メールの送り忘れというミスがあった場合を考えてみましょう。「たまたま1件だけ送れていなかっただけで、ほかのメールは送っていた。だから大きなミスではない」と受け止めるのではなく、そのミスが事業や顧客にどのような影響を及ぼし得るのかを理解したうえで指導したいと、上司は考えています。

このとき、部下が「自分は仕事をしていなかったわけではない」と考え、謝罪をしないままでいると、上司は「事の重大さが伝わっていない」と受け取り、結果として関係が悪化してしまうことがあります。

ミスをした場面で、上司が最終的に目指しているのは再発防止です。その前提を忘れずに持つことで、作業ミスそのものを責め合う場ではなく、ミスが起きた状況や構造をどう改善するかを話し合う対話へと切り替えることができます。

「なんでできないの」への対処法

上司によっては、ミスをしたときに「なんでできないの」と強く叱責する人もいるかもしれません。しかし、この場で部下が「できなかった理由」を細かく説明する必要はありません。理由の説明は、状況次第では言い訳に聞こえ、対話が前に進まなくなるからです。

このような場面で、1on1で部下が伝えるべきことは二点だけです。

 💬「やったことが悪かった(影響が出た)ことは理解しています」
 💬「次からはこうします」

たとえば、次のような言い方で十分です。「今回の対応が適切ではなかったことは理解しています。次回は、◯◯の時点で確認を入れ、同じことが起きないようにします」

1on1では、まずはここまで言えれば十分です。大切なのは、この一回で終わらせず、ここを起点に対話を重ねることです。そして「次に同じような状況になったとき、再発を防げた」と上司と部下が一緒に実感できる体験をつくることが、信頼回復の近道になります。

反対に、同じミスを繰り返すと、上司は「もうその仕事は任せない」という形で再発防止を図ろうとします。再発防止とは、本来そういう結論に追い込まれないための取り組みでもあります。

改善が続き、少しでも成長が見えると、上司は「ミスはしたけれど、あれから立て直したな」と感じられるようになります。「うまくいったね」と互いに言える瞬間が増えれば、二人の信頼関係も深まっていくはずです。

上司は謝罪だけを聞きたいわけじゃない

「自分のせいじゃない」と思ったとしても、やってはいけないことは黙り込むことです。上司の言葉を待ち、それに従えばよいと思うかもしれません。しかし、十分に時間を取れない上司ほど、「もう一度考えてきて」と言うだけになりがちです。

上司が部下に期待しているのは、「次からどうすれば再発しないか」を自分の言葉で考え、提案してくれることです。

ここで、少しプライベートの話に置き換えてみましょう。

たとえば友人との約束で、あなたが何度か同じ失敗をしてしまったとします。相手が聞きたいのは、「ごめん」という謝罪の言葉だけでなく、「次はどうする」という具体的な改善策ではないでしょうか。そこで黙り込まれると、次も同じことが起きる不安が残り、「また約束しよう」とは思いにくくなるはずです。

上司と部下という立場はいったん横に置き、身近な人との関係を想像してみると、伝えるべきことが見えやすくなります。「これくらい大丈夫」ではなく、「次はこうする」と言葉にする。その姿勢が、ミスの後に信頼をつなぎ直すための出発点になります。

🔹あわせて読みたい

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このとき上司には①「なぜこんなことをしたのか」という怒り、②「想定の範囲内」という割り切り、③部下に挑戦させたことへの自責という三つの感情が働いています。

🔹参考記事

『部下がミスした直後の1on1で「原因追及」してはいけない本当の理由』

そうした気持ちを上司が抱いていると想定したうえで、あなたがプロとして仕事しているのであれば、謝罪→事実→判断→原因→再発防止策という順序で話しましょう。これは、ミスしたあとの上司への対応における「基本の型」です。

たとえば、SaaS企業のカスタマーサポート担当が、顧客から「この機能は使えますか?」と聞かれた場面を考えてみましょう。

担当者は自己判断で「対応可能です」と即答したものの、実際には追加設定が必要な機能でした。顧客には誤った期待を持たせてしまい、上司が火消しに回ることに。このケースで、1on1をどう進めるか見ていきます。

①謝罪:迷惑をかけたことを謝る

 💬「私の回答によって、A様(顧客)に誤った期待を持たせてしまい、結果的にBさん(上司)のフォローが必要な状況を作ってしまいました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

②事実:実際に起きたことを伝える

 💬「◯日の午前にお問い合わせをいただき、過去の対応事例をもとに私の判断で『対応可能』と返信しました。ところが開発部に確認すると、無条件では対応できない案件でした。現在はBさんから顧客に正しい前提条件を説明していただき、認識をすり合わせた状況です」

③判断:なぜそう判断したか、というプロセスを伝える

 💬「過去に同様の要望で対応できたケースがあり、今回も同じ条件だと考えました。ただ、正式な仕様を確認せず、『急いだほうがよい』という判断を優先してしまいました」

④原因:再発しうる構造を確認する

 💬「今回の原因は、似た事例があると自己判断で回答してしまうこと、確認が必要な問い合わせに対する判断基準が自分の中で曖昧だったことの二点にあると考えています」

⑤再発防止策:具体的な仕組み・手順・相談タイミングを提案する

 💬「今後は、①納期や仕様に関わる回答は即答せず、確認フローに乗せる、②過去に対応したことがある場合でも、必ず条件を明示する、③判断に迷った時点で、上司か開発に一次相談する、という運用を徹底し、再発防止に努めます」

つまり、この場で伝えるべきなのは、

「私はその時点では100点のつもりで判断しましたが、結果から見れば60点の対応でした」という事実です。

ここで「60点は取れていました」「何も考えずにやったわけではありません」と付け加えてしまうと、上司と部下の認識はすれ違ってしまいます。

大切なのは、どこで判断がずれ、次に同じ状況が起きたときにどう行動を変えるのかを、自分の言葉で示すことです。どうしたら再発しないかを言語化できれば、今回のミスは評価を下げる出来事ではなく、業務を改善する材料となった出来事になります。

「私のせいじゃないのに」というときは

場合によっては「謝りたくない」と感じることもあるかもしれません。たとえば、自分の判断は間違っていなかったと思えるときや、自分の担当範囲外の仕事だと感じるときには、謝罪したくないという気持ちが生まれるのも自然なことです。

しかし、上司が部下のミスに対して考えているのは、「謝ってほしい」ということではありません。上司が確認したいのは、その出来事が持つ重大さを理解しているかどうかです。

たとえば、メールの送り忘れというミスがあった場合を考えてみましょう。「たまたま1件だけ送れていなかっただけで、ほかのメールは送っていた。だから大きなミスではない」と受け止めるのではなく、そのミスが事業や顧客にどのような影響を及ぼし得るのかを理解したうえで指導したいと、上司は考えています。

このとき、部下が「自分は仕事をしていなかったわけではない」と考え、謝罪をしないままでいると、上司は「事の重大さが伝わっていない」と受け取り、結果として関係が悪化してしまうことがあります。

ミスをした場面で、上司が最終的に目指しているのは再発防止です。その前提を忘れずに持つことで、作業ミスそのものを責め合う場ではなく、ミスが起きた状況や構造をどう改善するかを話し合う対話へと切り替えることができます。

「なんでできないの」への対処法

上司によっては、ミスをしたときに「なんでできないの」と強く叱責する人もいるかもしれません。しかし、この場で部下が「できなかった理由」を細かく説明する必要はありません。理由の説明は、状況次第では言い訳に聞こえ、対話が前に進まなくなるからです。

このような場面で、1on1で部下が伝えるべきことは二点だけです。

 💬「やったことが悪かった(影響が出た)ことは理解しています」
 💬「次からはこうします」

たとえば、次のような言い方で十分です。「今回の対応が適切ではなかったことは理解しています。次回は、◯◯の時点で確認を入れ、同じことが起きないようにします」

1on1では、まずはここまで言えれば十分です。大切なのは、この一回で終わらせず、ここを起点に対話を重ねることです。そして「次に同じような状況になったとき、再発を防げた」と上司と部下が一緒に実感できる体験をつくることが、信頼回復の近道になります。

反対に、同じミスを繰り返すと、上司は「もうその仕事は任せない」という形で再発防止を図ろうとします。再発防止とは、本来そういう結論に追い込まれないための取り組みでもあります。

改善が続き、少しでも成長が見えると、上司は「ミスはしたけれど、あれから立て直したな」と感じられるようになります。「うまくいったね」と互いに言える瞬間が増えれば、二人の信頼関係も深まっていくはずです。

上司は謝罪だけを聞きたいわけじゃない

「自分のせいじゃない」と思ったとしても、やってはいけないことは黙り込むことです。上司の言葉を待ち、それに従えばよいと思うかもしれません。しかし、十分に時間を取れない上司ほど、「もう一度考えてきて」と言うだけになりがちです。

上司が部下に期待しているのは、「次からどうすれば再発しないか」を自分の言葉で考え、提案してくれることです。

ここで、少しプライベートの話に置き換えてみましょう。

たとえば友人との約束で、あなたが何度か同じ失敗をしてしまったとします。相手が聞きたいのは、「ごめん」という謝罪の言葉だけでなく、「次はどうする」という具体的な改善策ではないでしょうか。そこで黙り込まれると、次も同じことが起きる不安が残り、「また約束しよう」とは思いにくくなるはずです。

上司と部下という立場はいったん横に置き、身近な人との関係を想像してみると、伝えるべきことが見えやすくなります。「これくらい大丈夫」ではなく、「次はこうする」と言葉にする。その姿勢が、ミスの後に信頼をつなぎ直すための出発点になります。

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執筆者
相馬留美

2002年にダイヤモンド社に入社し、「週刊ダイヤモンド」編集部で記者となる。その後、フリーランスに転向。雑誌「プレジデントウーマン」や「週刊ダイヤモンド」などの経済メディアでフリーランス記者・編集者として携わる。また、複数の企業・NPOでオウンドメディアの編集長を務める。2024年12月に起業し、執筆活動をするとともに、事業会社のクリエイティブに関わる。空気は読めないけれど、人が好き。

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