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部下がミスした直後の1on1で「原因追及」してはいけない本当の理由
部下がミスした直後の1on1で「原因追及」してはいけない本当の理由

部下がミスした直後の1on1で「原因追及」してはいけない本当の理由

予定のダブルブッキング、確認漏れによるクレーム——。「どうしてそんなミスをしたのか?」と部下を追及するのは、一見もっともらしく見えます。しかし多くの場合、それは叱責に近づくだけで、次の行動にはつながりません。

部下が故意ではないミスをしたあとの1on1で、上司は何をすべきか。失敗を「反省」で終わらせず「学び」に変える進め方を解説します。

目次

やらかしには「経緯」と「習慣」がある

部下がミスをしてしまった——。その後、上司であるあなたは、どのように部下と向き合うべきでしょうか。

"やらかし"が判明した直後の1on1で部下に話してもらうときは、出来事の経緯と、その背景にある普段の習慣に切り分け、順番に言語化できる問いを用意しておきましょう。

たとえば、部下が取引先との面談の予定を重ねて入れてしまったとします。これを①経緯と②習慣に分けて問いを立ててみます。

①経緯

 💬「二つの面談はいつ、どんな経路で予定に入れましたか?」

面談の予定は、どこかのタイミングで必ず登録されています。まずは、二つの面談がいつ、どのような手段で設定されたのかを確認します。

電話で日時を決めたのか、カレンダーや日程調整ツールを使ったのか、前回の面談の場で次回日程を決めたのか。ここでは評価や解釈を挟まず、実際に起きたことを丁寧に押さえます。

②習慣

 💬「自分のアポを一度見返すタイミングは作ってますか?」

ミスの多くは、知識不足よりも確認・準備・共有といったプロセスの抜け漏れから起きます。たとえば、予定を入れる前に空き時間を確認する、週の始めや週末に翌週の予定を棚卸しする、対面面談なら入館方法や移動時間まで見積もる——こうした手順も、確認・準備のプロセスに含まれます。

もし「予定は全部カレンダーに入れていたのに、あとから見返していなかった」という返事が返ってきたら、上司は「では、毎週末に翌週の予定を必ず一度見直そう」と、再発防止の行動に落とすとよいでしょう。

大切なのは、部下に「また同じミスをやりかねない」と自覚してもらうことです。そのうえで、再発防止のために、次から何をどう変えるのか、部下に答えを出させるようにするとよいでしょう。

部下が「失敗から学ぶ」ための問い方

部下のミスにはさまざまなレイヤーがありますが、大前提として、失敗時における1on1は「学び」につなげてこそ意味があります。その点、「なぜ失敗したのか」という原因追及型の問いを立てるのは、不十分なアプローチといえます。

故意でなければ、ミスの理由は多くの場合、「大丈夫だと思った」「これまで問題がなかった」といったものに収束します。

そこから「なぜ大丈夫だと思ったんだ」と詰めても、叱責に近い空気が生まれるだけで、次の行動は見えてきません。

上司が知りたいのは原因そのものではなく、今後、部下がどうアクションの質を高められるのかです。だからこそ問いを変え、「次に同様の場面に出くわしたら、何に気をつけたらいいと思う?」と未来の行動に意識を向けさせましょう。

上司に生まれる三つの感情

部下の失敗後に1on1に臨む上司の心境は大きく次の三つに整理できます。

①「なぜこんなことをしたのか」という怒り

この怒りは、上司が「当然こうするはず」と思っている基準と、部下の判断基準がずれているときに生じます。つまり、部下のミスそのもの以上に、「前提が共有できていなかった」ことに反応しているケースが多いのです。

②「想定の範囲内」という割り切り

失敗をある程度織り込み済みだと感じているとき、上司には「この状況なら起き得る」という割り切りの感情が生まれます。「それくらいいいよ」「これはしかたない」と思っていて、「良くはないが、ここから立て直せる」というモードになっています。

③部下に挑戦させたことへの自責

部下に少し背伸びした目標や役割を任せた結果、失敗が起きたとき、上司は「自分の支援が足りなかった」と自責しやすくなります。これは上司の責任感の表れでもあります。

起きてしまったことは変えられません。だからこそ、まず上司自身が自らの感情を自覚し、1on1の場での態度と話の切り出し方を選びましょう。

①の怒りが強く、感情的になりそうなときは、いったん間を置き、「改善のための1on1をする」という姿勢を先に示します。たとえば「責めるためではなく、次から同じことが起きないように整理しよう」と言い切るだけでも、対話の空気は変わります。

②の割り切りが強いときは、「失敗は良くない。でも、この状況なら起き得る。次にどうするか考えよう」と未来志向で切り出しましょう。ここでは再発防止の設計に早めに入ることがポイントです。

③の自責が強いときは、上司が必要以上に重く受け止めすぎないことも大切です。まずはリカバリを優先し、落ち着いたあとで「私もサポートが足りなかった部分があった。次は一緒にやり方を整えよう」と声をかけられると、部下は安心します。

上司の感情を整えることは、部下を反省させるためではなく、再発防止の対話を成立させるための準備だと捉えると良いでしょう。

ミスから始まる未来志向の1on1

ミスの内容によっては、部下が「自分のせいではない」と感じるケースもあります。こうしたときに上司がやりがちなのが、「でも結果として起きたんだから」と、本人の納得を飛ばして対策論だけに入ってしまうことです。すると、部下には理不尽さだけが残ります。

たとえばAさんは、外注先から届いた大量のデータをフォルダで受け取り、取引先に送付する業務を担当していました。しかしある日、外注先が誤ったデータを混ぜて納品していたため、Aさんが取引先からクレームを受けてしまいました。

このとき、Aさんを責めるのは酷でしょう。本人も「全件を目視で確認して送るのは現実的ではない」と感じているかもしれません。

このときに上司がまずかけるべきなのは、次の三つの言葉です。

 💬 「あなたが矢面に立たされることは避けにくかった」
 💬 「だからといって、全件チェックを個人に求める話ではない」
 💬 「これはチーム全体の問題として扱おう」

ポイントは、「誰が悪いか」を決めることではなく、部下と一緒に改善策を考えることです。本人の過失ではないトラブルでは、個人の反省よりもプロセスや仕組みの改善に目を向けたほうが、チーム全体の学びになります。

部下のミス(あるいはミスに見える出来事)をきっかけに、上司と部下の関係性を深めることもできます。もちろん直後に関係改善を狙うのは難しいでしょう。けれど、このときの対話が「次はうまくいった」「同じことが起きなかった」という経験につながり、上司がそれを確認できれば、学習のサイクルが回りはじめます。その積み重ねが、信頼関係をつくっていくでしょう。

やらかしには「経緯」と「習慣」がある

部下がミスをしてしまった——。その後、上司であるあなたは、どのように部下と向き合うべきでしょうか。

"やらかし"が判明した直後の1on1で部下に話してもらうときは、出来事の経緯と、その背景にある普段の習慣に切り分け、順番に言語化できる問いを用意しておきましょう。

たとえば、部下が取引先との面談の予定を重ねて入れてしまったとします。これを①経緯と②習慣に分けて問いを立ててみます。

①経緯

 💬「二つの面談はいつ、どんな経路で予定に入れましたか?」

面談の予定は、どこかのタイミングで必ず登録されています。まずは、二つの面談がいつ、どのような手段で設定されたのかを確認します。

電話で日時を決めたのか、カレンダーや日程調整ツールを使ったのか、前回の面談の場で次回日程を決めたのか。ここでは評価や解釈を挟まず、実際に起きたことを丁寧に押さえます。

②習慣

 💬「自分のアポを一度見返すタイミングは作ってますか?」

ミスの多くは、知識不足よりも確認・準備・共有といったプロセスの抜け漏れから起きます。たとえば、予定を入れる前に空き時間を確認する、週の始めや週末に翌週の予定を棚卸しする、対面面談なら入館方法や移動時間まで見積もる——こうした手順も、確認・準備のプロセスに含まれます。

もし「予定は全部カレンダーに入れていたのに、あとから見返していなかった」という返事が返ってきたら、上司は「では、毎週末に翌週の予定を必ず一度見直そう」と、再発防止の行動に落とすとよいでしょう。

大切なのは、部下に「また同じミスをやりかねない」と自覚してもらうことです。そのうえで、再発防止のために、次から何をどう変えるのか、部下に答えを出させるようにするとよいでしょう。

部下が「失敗から学ぶ」ための問い方

部下のミスにはさまざまなレイヤーがありますが、大前提として、失敗時における1on1は「学び」につなげてこそ意味があります。その点、「なぜ失敗したのか」という原因追及型の問いを立てるのは、不十分なアプローチといえます。

故意でなければ、ミスの理由は多くの場合、「大丈夫だと思った」「これまで問題がなかった」といったものに収束します。

そこから「なぜ大丈夫だと思ったんだ」と詰めても、叱責に近い空気が生まれるだけで、次の行動は見えてきません。

上司が知りたいのは原因そのものではなく、今後、部下がどうアクションの質を高められるのかです。だからこそ問いを変え、「次に同様の場面に出くわしたら、何に気をつけたらいいと思う?」と未来の行動に意識を向けさせましょう。

上司に生まれる三つの感情

部下の失敗後に1on1に臨む上司の心境は大きく次の三つに整理できます。

①「なぜこんなことをしたのか」という怒り

この怒りは、上司が「当然こうするはず」と思っている基準と、部下の判断基準がずれているときに生じます。つまり、部下のミスそのもの以上に、「前提が共有できていなかった」ことに反応しているケースが多いのです。

②「想定の範囲内」という割り切り

失敗をある程度織り込み済みだと感じているとき、上司には「この状況なら起き得る」という割り切りの感情が生まれます。「それくらいいいよ」「これはしかたない」と思っていて、「良くはないが、ここから立て直せる」というモードになっています。

③部下に挑戦させたことへの自責

部下に少し背伸びした目標や役割を任せた結果、失敗が起きたとき、上司は「自分の支援が足りなかった」と自責しやすくなります。これは上司の責任感の表れでもあります。

起きてしまったことは変えられません。だからこそ、まず上司自身が自らの感情を自覚し、1on1の場での態度と話の切り出し方を選びましょう。

①の怒りが強く、感情的になりそうなときは、いったん間を置き、「改善のための1on1をする」という姿勢を先に示します。たとえば「責めるためではなく、次から同じことが起きないように整理しよう」と言い切るだけでも、対話の空気は変わります。

②の割り切りが強いときは、「失敗は良くない。でも、この状況なら起き得る。次にどうするか考えよう」と未来志向で切り出しましょう。ここでは再発防止の設計に早めに入ることがポイントです。

③の自責が強いときは、上司が必要以上に重く受け止めすぎないことも大切です。まずはリカバリを優先し、落ち着いたあとで「私もサポートが足りなかった部分があった。次は一緒にやり方を整えよう」と声をかけられると、部下は安心します。

上司の感情を整えることは、部下を反省させるためではなく、再発防止の対話を成立させるための準備だと捉えると良いでしょう。

ミスから始まる未来志向の1on1

ミスの内容によっては、部下が「自分のせいではない」と感じるケースもあります。こうしたときに上司がやりがちなのが、「でも結果として起きたんだから」と、本人の納得を飛ばして対策論だけに入ってしまうことです。すると、部下には理不尽さだけが残ります。

たとえばAさんは、外注先から届いた大量のデータをフォルダで受け取り、取引先に送付する業務を担当していました。しかしある日、外注先が誤ったデータを混ぜて納品していたため、Aさんが取引先からクレームを受けてしまいました。

このとき、Aさんを責めるのは酷でしょう。本人も「全件を目視で確認して送るのは現実的ではない」と感じているかもしれません。

このときに上司がまずかけるべきなのは、次の三つの言葉です。

 💬 「あなたが矢面に立たされることは避けにくかった」
 💬 「だからといって、全件チェックを個人に求める話ではない」
 💬 「これはチーム全体の問題として扱おう」

ポイントは、「誰が悪いか」を決めることではなく、部下と一緒に改善策を考えることです。本人の過失ではないトラブルでは、個人の反省よりもプロセスや仕組みの改善に目を向けたほうが、チーム全体の学びになります。

部下のミス(あるいはミスに見える出来事)をきっかけに、上司と部下の関係性を深めることもできます。もちろん直後に関係改善を狙うのは難しいでしょう。けれど、このときの対話が「次はうまくいった」「同じことが起きなかった」という経験につながり、上司がそれを確認できれば、学習のサイクルが回りはじめます。その積み重ねが、信頼関係をつくっていくでしょう。

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執筆者
相馬留美

2002年にダイヤモンド社に入社し、「週刊ダイヤモンド」編集部で記者となる。その後、フリーランスに転向。雑誌「プレジデントウーマン」や「週刊ダイヤモンド」などの経済メディアでフリーランス記者・編集者として携わる。また、複数の企業・NPOでオウンドメディアの編集長を務める。2024年12月に起業し、執筆活動をするとともに、事業会社のクリエイティブに関わる。空気は読めないけれど、人が好き。

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