チームへの働きかけ
【社員のタイプ別】「静かな退職」への現実的マネジメント術
辞めるわけではないが、仕事への意欲を失い、必要最低限の業務しかしなくなる──。そんな「静かな退職(Quiet Quitting)」が組織課題として注目されている。黙って与えられた仕事だけをこなす姿勢は、短期的には問題が表面化しづらいが、放置すればチームの熱量を奪い、組織の推進力を損なうリスクがある。
働き方の多様化やキャリア観の変化を背景に、「静かな退職」に至る理由は一様ではなくなっている。マネジャーは、こうしたメンバーとどう向き合えばいいのか。必要なのは、価値観を否定せず、現実的な対話と実務的な工夫によって、チーム全体の熱量を維持することだ。この記事では、その考え方と具体的なアプローチを提案する。
アンガーマネジメントとは? やり方と6秒ルール、職場で使える実践例を徹底解説
「6秒待てば怒りはおさまる」。アンガーマネジメントといえば、そう記憶している人は多いのではないでしょうか。
ただ、部下のミスを前にして実際に6秒数えてみても、腹立たしさが消えないことはあります。それもそのはずで、この「6秒」に確固たる学術的根拠があるわけではないのです。
アンガーマネジメントは、怒りを消す技術ではありません。怒りとの付き合い方を身につけるトレーニングです。本記事では、その考え方を簡潔に押さえたうえで、6秒ルールをはじめとする具体的なテクニックと、職場ですぐ試せる実践例を紹介します。
【真偽】日本企業は本当に「人を大切」にしてきたのか
「胡蝶(こちょう)の夢」という中国の故事があります。
夢を見ているときの方が現実ではないかと、現実と夢の区別ができなくなる境地のこと。人生の儚さを暗示することもあります。大ヒットしたSF映画「マトリックス」では、現代社会が実は夢の世界に過ぎないというシナリオが強烈な印象を与えました。
現実と夢の境が揺れていることの一つといえば、日本の伝統的なサラリーマン像でしょう。
多くの日本企業はこれまで、「人を大切にする」ことを強調してきました。ところが、「現実」として起きていること、それは中高年社員を中心としたリストラ(人員整理)の話、あるいは若手から中堅にかけての社員の離職増加でしょう。
人を大切にする日本の人事慣行は、もはや現実ではなく儚い夢なのかもしれません。最近広がっているジョブ型雇用や人的資本経営などの人事改革も、「人を大切にする」の概念が揺らいでいたら元も子もありません。
そこで本記事は、社会からほぼ意識されることなく今日まで受け継がれてきた日本的雇用の「暗黙の了解」に迫り、その再考に迫ります。
【失敗の本質】「勤勉な国」日本では世界に通用しない
2025年1月に永眠された野中郁次郎氏。共著「知識創造論」(東洋経済新報社)や知識マネジメントを扱った「SECIモデル」のみならず、「失敗の本質」(ダイヤモンド社)の共同著者としても有名です。ロングセラーとなった「失敗の本質」は、太平洋戦争での日本の敗戦について分析したものです。
野中郁次郎氏の功績を多角的に深掘りする本特集の前編と中編では、高度経済成長期の日本の製造業の強みが、野中氏が確立した知識創造モデルを通じて、アメリカのソフトウエア開発やスタートアップビジネスにも応用されてきたことを紹介しました。
ということは、日本のものづくり企業の強みが、時代を超えて海を越えて業種を超えても通用する。つまり、本質的な強みには業種などを問わずに「普遍性」があるということです。
逆に、日本が抱える普遍的な弱みや課題とは何でしょうか。そのヒントが書籍「失敗の本質」に眠っているのです。
先にその一端を紹介すると、日本の課題とは、人材の「質の高さ」や「勤勉性」への過剰な依存です。本来は「強み」であるはずが、場合によっては「弱み」に転じるのです。
今でいうと、「人が中心」を標語とする人的資本経営に対する一つの警鐘ともいえるこのテーマを深掘りします。
【世界標準】米国は日本から生産性の本質を学んだ、さて日本はどうする
経営学者の野中郁次郎氏が2025年1月に永眠されました。竹内弘高ハーバード・ビジネス・スクール元教授・現国際基督教大学理事長と共に、かつての日本企業が「暗黙知」を含めた知識を創造し続ける仕組みを「SECI(セキ)モデル」にまとめました。
このモデルはアメリカで注目され、ソフトウェア開発モデルの発展にも貢献しました。
アメリカの経営の進展に大きく貢献した、もう一人の日本人をご存じでしょうか。トヨタ自動車元副社長の大野耐一氏です。
「トヨタ生産方式の父」としてご存じの人も多いでしょう。トヨタ生産方式もまた、アメリカの経営に多大な影響を与えました。それも、アメリカの自動車産業だけでなく、ソフト開発やスタートアップの経営に対してもです。
日本が培ってきたものづくりの力は、単に技術の範疇にとどまりません。国も業界も問わずに普遍的に応用できるマネジメントの要諦が詰まっています。巷で聞く「日本のものづくり思考は限界」といった意見はあまりに表層的です。
野中郁次郎氏の功績を多角的に深掘りする本特集の第二回は、知識労働としてのモノづくりのエッセンスに迫ります。あなたがどのような職種や業種に属していようとも、必ず役立つマネジメントの王道がそこにあります。
世界的経営者、野中郁次郎さんが日本人に一番伝えたかったこと
世界の経営学者の野中郁次郎一橋大学名誉教授が2025年1月に逝去されました。
竹内弘高ハーバード・ビジネス・スクール元教授・現国際基督教大学理事長と共同で構築した「SECI(セキ)モデル」はビジネスパーソンなら一度は聞いたことがあるでしょう。
勘やコツなどの言語化が難しい「暗黙知」に光を当て、一人の天才のひらめきではなく「組織として知識を生み出し続ける」といったイノベーションマネジメント論の先駆けです。
この「野中理論」は特に米国で注目を浴びました。そして、米国発のソフトウェア開発マネジメント「スクラム開発」の理論的支柱となったのです。
これは大変興味深いものです。
なぜなら、過去の日本における製造業を中心に構築されたモデルが、時代を経て、海を隔て、そしてソフトウェア産業においても応用できる…….それだけの「普遍性」があるからです。
よく、「昔の日本はモノを安く物を作るだけで成長してきた」、「今はイノベーションの時代。かつての製造業型経営は通用しない」といった論調が見受けられます。しかし、野中氏や竹内氏の経営モデルがデジタル産業の発展を支えている事実を踏まえると、こうした意見はあまりに表層的ではないでしょうか。
実は野中氏は晩年、「日本は自ら強みを捨ててしまった」、「自ら考えることを止め、『欧米流』を盲目的に取り入れている」と懸念していました。何を隠そう、筆者(平岡)が2024年1月に野中氏ご本人にインタビューをした際、そのようなご意見をじかに聞いたのです。
そこで、野中氏の経営哲学に込められた経営の神髄(しんずい)に迫りたいと思います。
プロフィール:野中郁次郎(のなか いくじろう)。1935年生まれ、早大卒、富士電機製造に9年間在職し、経営企画から労働組合まで幅広く経験。その後、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院で博士号取得。1986年に竹内氏と共同で、製品開発研究にまつわる日米比較の論文が「ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載されて以来、ナレッジマネジメント研究の第一人者に。ホンダやデンソー、パナソニックなどの幹部人材の育成にも注力。一橋名誉教授として生涯現役を貫いた。
【名著】グーグル躍進を支えた1兆ドルコーチに学ぶ、伝説の組織文化づくり
名選手の影に名コーチあり。名経営者の影にも名コーチがいます。
世界のデジタル産業革命をけん引し続けているシリコンバレーの地で、アップルのCEO、スティーブ・ジョブズやグーグルの元CEO、エリック・シュミットをはじめ、数多くの企業経営者に深い影響を及ぼした人物がいます。
それがビル・キャンベル。彼がコーチングした企業の時価総額を合わせるとトリリオン(1兆)ドルに達するとのことで、「1兆ドルコーチ」と呼ばれるようになりました。
そのコーチング哲学と生き様をまとめたのが「1兆ドルコーチ(著者:エリック・シュミットほか、発行:ダイヤモンド社)」。日本でも発行部数が17万部を超え、アマゾンには2000件以上ものレビューが付いています。
そんな希代の名コーチは、元々はラグビーのコーチをしていました。そこで養った人間と組織への観察眼、そして人たらしの術がビジネス界でいかんなく発揮されたのです。
シリコンバレーといえば「デジタル」や「テクノロジー」、そして「戦略」に長けた印象があります。しかし、ビルが重視したのが「コミュニティ(人間関係など)」や「誠実さ」、「実行力」でした。
これらは、猫も杓子も「DX」と口にする今の時代からすると泥臭いテーマ。でも、そこに古今東西不変のチームマネジメントの神髄があります。今こそ名コーチに学んでみませんか。
<プロフィール>
ビル・キャンベル(ウィリアム・ヴィンセント・キャンベル・ジュニア、1940年8月31日 – 2016年4月18日)。アメリカンフットボールの選手とコーチを経て実業界へ。1997~2014年アップル取締役。2001年にグーグルのコーチ就任。ツイッター(現X)やアンドリーセン・ホロウィッツ、元米副大統領アル・ゴアのコーチも務めた。
「タレントマネジメント」企業価値を高める戦略的な人材活用
「優秀な人材が辞めていく」「次世代リーダーが育たない」―多くの日本企業が直面するこの課題に、今、戦略的な解決策が求められています。
タレントマネジメントは、従業員一人ひとりの才能(タレント)を経営資本として捉え、その潜在能力を最大限に引き出す人材戦略です。1997年のマッキンゼー・レポート「War for talent」から始まったこの概念は、少子高齢化による労働力不足、人材の流動化、そして人的資本経営への転換という日本企業の喫緊の課題に対する有効な処方箋として注目を集めています。
本記事では、タレントマネジメントの基本概念から具体的な導入方法、サントリーやKDDI、日産自動車などの先進企業の成功事例、そして中小企業でも実践可能な段階的アプローチまで、組織の規模や状況に応じた実践的なノウハウを体系的に解説します。PDCAサイクルに基づく導入プロセス、主要システムの比較、スキルマップの活用法など、明日から使える具体的な手法もご紹介します。