
下元陽
「1on1総研」編集長。クリエイターチーム「BLOCKBUSTER」、ミクシィ、朝日新聞社、ユーザベースを経て2025年KAKEAI入社。これからの人間のつながり方に関心があります。
4年間の1on1がエンジニア組織を変えた ── 実施率100%の秘密に迫る
エンジニア組織に1on1は必要か? この問いに一つの解を示す企業がある。
世界有数の自動車部品サプライヤー、アイシングループの「アイシン・デジタルエンジニアリング」(ADE)。社員の8割がエンジニアという技術者集団が1on1を始めたのは2021年だった。
コロナ禍でのテレワーク移行により会話の機会を奪われた技術者たちは、仕事に対する不安を抱えながら、それを伝える場所を持たずにいた。また、メンバーの個性を活かした人材育成を進めるためにも、組織は対話の場を必要としていた。
顕在化した組織課題に向き合うべく同社は1on1を始め、2024年からは1on1支援ツール「Kakeai(カケアイ)」を導入。今では「実施率100%」を達成するなど組織に対話が定着している。
今年で5年目となる同社の1on1はなぜ形骸化しないのか。2人のキーパーソンの話から技術者集団を動かす対話の本質を探る。


なぜ1on1で悩み相談ができるようになったのか? エンジニアの心境を変えた上司の対応
「部下は私との1on1に価値を感じているだろうか」——多くのマネジャーはこんな疑問を抱えているだろう。そしてその答えはメンバーの声に隠されている。
自動車部品サプライヤー「アイシン」のグループ会社「アイシン・デジタルエンジニアリング」。エンジニアとして働く同社メンバーの森宏樹氏は、かつて1on1に懐疑的だったが、今では「部下のためのアルコールなしの飲み会」と表現するほどその価値を実感している。
ある上司の姿勢が森氏の心境を大きく変えた。業務報告で終わっていた30分が、なぜ本音を話せる場へと変わっていったのか。その過程からは多くのマネジャーが心得るべき重要な洞察が見えてくる。

医療安全の確保と組織変革を求めて──。大学病院「1on1」導入のリアル
医療現場では、1件の重大事故の背景に29件の軽微な事故、さらにその奥に300件のヒヤリ・ハットが潜んでいるといわれている。その背景には、日常的なコミュニケーション不足という組織課題が横たわっているのかもしれない。
検査データの提供で診断を支える神戸大学医学部附属病院・検査部と、画像診断装置を駆使して医療を支える北海道大学病院・放射線部。この二つの専門部門が、1on1ミーティングを活用しながら、医療安全とワークエンゲージメントの向上に挑んでいる。
2025年2月、株式会社KAKEAI(カケアイ)は神大病院検査部の今西孝充・臨床検査技師長と北大病院放射線部の孫田惠一・診療放射線技師長の意見交換会を実施。
両部門トップの話からは、医療現場が直面する生々しい課題と、対話の浸透による組織変革の可能性が見えてきた。

