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「30代クライシス」に見る、日本企業の「すでに起こった」課題

自らを「社会生態学者」と名乗ったピーター・ドラッカーは、「すでに起こった未来」という概念を提唱しました。

多くの場合、未来の予測は困難です。とはいえ、短期的な変動はあれど、長期的には一定の方向に進むことがほぼ確実なこともあります。例えば、出生率の低下に伴う人口動態や、社会のデジタル化などがそれに該当します。

ただし、そうした未来(変化)は、初期の頃には社会からはほとんど認知されません。変化の萌芽から世間からの認知までにタイムラグがあることを踏まえ、ドラッカーは「すでに起こった未来」と表現したのです。

現在の日本企業におけるすでに起こった未来はなんでしょうか。その一つが「30代離職」の増加ではないでしょうか。

業績そのものは堅調な企業であっても、「中堅社員」と呼ばれるこの層の流出が進行しているケースも。まるでボディーブローのように時間をかけてじわじわと効いてくる、忍び寄る危機です。

日本企業がずっと掲げてきた「人を大切にする」という標語。今ほどその標語の意味を再考することを迫られている時代はありません。そこで本連載を通じて、企業の成長の源泉である人事・雇用における「すでに起こった未来」を深掘りしていきます。

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「30代クライシス」に見る、日本企業の「すでに起こった」課題

「目標設定」決定版。部下が育つ実践的MBOチェックシート

今あなたの目の前にいる部下は、「『目標設定』という名の茶番に付き合わされている」と思っているかもしれない――。

上司と部下で毎年繰り返される「目標設定」。ここで決められた「目標」は本当に部下の成長のためになっているとあなたは言い切れるか。形骸化したMBO(目標管理制度)が企業の競争力を奪う時代に、部下の成長と事業成果を同時に実現する「勝てるマネジメント」のフレームワークを考える。

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「目標設定」決定版。部下が育つ実践的MBOチェックシート

【失敗の本質】「勤勉な国」日本では世界に通用しない

2025年1月に永眠された野中郁次郎氏。共著「知識創造論」(東洋経済新報社)や知識マネジメントを扱った「SECIモデル」のみならず、「失敗の本質」(ダイヤモンド社)の共同著者としても有名です。ロングセラーとなった「失敗の本質」は、太平洋戦争での日本の敗戦について分析したものです。

野中郁次郎氏の功績を多角的に深掘りする本特集の前編中編では、高度経済成長期の日本の製造業の強みが、野中氏が確立した知識創造モデルを通じて、アメリカのソフトウエア開発やスタートアップビジネスにも応用されてきたことを紹介しました。

ということは、日本のものづくり企業の強みが、時代を超えて海を越えて業種を超えても通用する。つまり、本質的な強みには業種などを問わずに「普遍性」があるということです。

逆に、日本が抱える普遍的な弱みや課題とは何でしょうか。そのヒントが書籍「失敗の本質」に眠っているのです。

先にその一端を紹介すると、日本の課題とは、人材の「質の高さ」や「勤勉性」への過剰な依存です。本来は「強み」であるはずが、場合によっては「弱み」に転じるのです。

今でいうと、「人が中心」を標語とする人的資本経営に対する一つの警鐘ともいえるこのテーマを深掘りします。

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【失敗の本質】「勤勉な国」日本では世界に通用しない

【世界標準】米国は日本から生産性の本質を学んだ、さて日本はどうする

経営学者の野中郁次郎氏が2025年1月に永眠されました。竹内弘高ハーバード・ビジネス・スクール元教授・現国際基督教大学理事長と共に、かつての日本企業が「暗黙知」を含めた知識を創造し続ける仕組みを「SECI(セキ)モデル」にまとめました。

このモデルはアメリカで注目され、ソフトウェア開発モデルの発展にも貢献しました。

アメリカの経営の進展に大きく貢献した、もう一人の日本人をご存じでしょうか。トヨタ自動車元副社長の大野耐一氏です。

「トヨタ生産方式の父」としてご存じの人も多いでしょう。トヨタ生産方式もまた、アメリカの経営に多大な影響を与えました。それも、アメリカの自動車産業だけでなく、ソフト開発やスタートアップの経営に対してもです。

日本が培ってきたものづくりの力は、単に技術の範疇にとどまりません。国も業界も問わずに普遍的に応用できるマネジメントの要諦が詰まっています。巷で聞く「日本のものづくり思考は限界」といった意見はあまりに表層的です。

野中郁次郎氏の功績を多角的に深掘りする本特集の第二回は、知識労働としてのモノづくりのエッセンスに迫ります。あなたがどのような職種や業種に属していようとも、必ず役立つマネジメントの王道がそこにあります。

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【世界標準】米国は日本から生産性の本質を学んだ、さて日本はどうする

人的資本経営が創る未来――従業員の力を最大化する投資と1on1の活用法

市場環境が大きく変化する中、時代の要請に応える経営手法として注目を集めているのが「人的資本経営」です。本記事では人的資本経営の本質をわかりやすく解説します。

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人的資本経営が創る未来――従業員の力を最大化する投資と1on1の活用法

今さら聞けない『働き方改革』2024年問題から企業が備えるべき体制まで

少子高齢化の進行と人手不足、さらにはテクノロジーの進化による働き方の多様化が進むなかで、重要性が高まる「働き方改革」。そのポイントをわかりやすく解説します。

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今さら聞けない『働き方改革』2024年問題から企業が備えるべき体制まで

【必見】「頑張る部下」が成果を出せない本当の理由

昼夜問わず仕事に時間を割き、休日はスキルアップの勉強に勤しむ、誰よりも熱心な部下。それなのに、いつも目標は未達成――。頑張りが成果につながらない部下は、マネジャーにとって悩ましい存在だ。何とかしてあげたいと思いつつも、「こんなに頑張っているのに成果が出ないならどうしようもない」とあきらめてしまうこともあるかもしれない。

しかし、それだけの熱意がある部下が成果を出せないのは、その人だけの問題ではないはずだ。本稿では、期待と行動のミスマッチを解消し、信頼関係を基盤とした効果的なフィードバック・サイクルで、部下の潜在能力を最大限に引き出す具体的手法を解説する。部下の「頑張り」を「成果」に変えるマネジメントの新たな視点とは。

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【必見】「頑張る部下」が成果を出せない本当の理由

世界的経営者、野中郁次郎さんが日本人に一番伝えたかったこと

世界の経営学者の野中郁次郎一橋大学名誉教授が2025年1月に逝去されました。

竹内弘高ハーバード・ビジネス・スクール元教授・現国際基督教大学理事長と共同で構築した「SECI(セキ)モデル」はビジネスパーソンなら一度は聞いたことがあるでしょう。

勘やコツなどの言語化が難しい「暗黙知」に光を当て、一人の天才のひらめきではなく「組織として知識を生み出し続ける」といったイノベーションマネジメント論の先駆けです。

この「野中理論」は特に米国で注目を浴びました。そして、米国発のソフトウェア開発マネジメント「スクラム開発」の理論的支柱となったのです。

これは大変興味深いものです。

なぜなら、過去の日本における製造業を中心に構築されたモデルが、時代を経て、海を隔て、そしてソフトウェア産業においても応用できる.......それだけの「普遍性」があるからです。

よく、「昔の日本はモノを安く物を作るだけで成長してきた」、「今はイノベーションの時代。かつての製造業型経営は通用しない」といった論調が見受けられます。しかし、野中氏や竹内氏の経営モデルがデジタル産業の発展を支えている事実を踏まえると、こうした意見はあまりに表層的ではないでしょうか。

実は野中氏は晩年、「日本は自ら強みを捨ててしまった」、「自ら考えることを止め、『欧米流』を盲目的に取り入れている」と懸念していました。何を隠そう、筆者(平岡)が2024年1月に野中氏ご本人にインタビューをした際、そのようなご意見をじかに聞いたのです。

そこで、野中氏の経営哲学に込められた経営の神髄(しんずい)に迫りたいと思います。

プロフィール:野中郁次郎(のなか いくじろう)。1935年生まれ、早大卒、富士電機製造に9年間在職し、経営企画から労働組合まで幅広く経験。その後、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院で博士号取得。1986年に竹内氏と共同で、製品開発研究にまつわる日米比較の論文が「ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載されて以来、ナレッジマネジメント研究の第一人者に。ホンダやデンソー、パナソニックなどの幹部人材の育成にも注力。一橋名誉教授として生涯現役を貫いた。

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世界的経営者、野中郁次郎さんが日本人に一番伝えたかったこと

将来の夢、ありません――現状維持思考から部下を解き放つ育成法

あなたのチームに「将来の夢」を持たない部下はいないだろうか? 国の調査では、実に半数近くの社員がキャリアプランを描けていないという衝撃の事実が明らかになっている。「なりゆきまかせ」の姿勢は、個人の成長だけでなくチーム全体の停滞を招く。

しかし、優秀なマネジャーである読者であれば、あきらめるのはまだ早い。この記事では、部下の何気ない反応から「隠れた情熱」を掘り起こし、自発的な成長へと導くマネジャー必携の観察力・質問力・フィードバック術を徹底解説する。「好き」の種を見つけ、キャリアの轍を刻み始めるための実践的アプローチをマスターしよう。

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将来の夢、ありません――現状維持思考から部下を解き放つ育成法

【若手マネジャー必見】「さすがですね」はNG! 年上部下の実力が最大限発揮されるフィードバックの極意

「年上の部下を育てる」とはどういうことか。実はそれは、部下に上司を応援したいと思わせるような関係性を築くことから始まるのだ。

プライドを傷つけず、知見の共有を促し、適切なフィードバックで成長を支援する。本記事では、年上の部下が持つ豊富な経験と知識を最大限に生かしながら、チーム全体の成果を高めるための実践的アプローチを紹介する。年下の部下と年下の上司の協力関係が生み出す、新たな組織の可能性とは。

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【若手マネジャー必見】「さすがですね」はNG! 年上部下の実力が最大限発揮されるフィードバックの極意

優秀すぎる部下の育て方。自律性を高める「適切な難題」とは?

あなたの下にいるエース、もっと成長させられますか?――業務では教えることが少ない、手のかからない優秀な部下に対して、多くのマネジャーは、自発的に成長していくことを期待しているかもしれない。しかし、そうしたエース級社員ほど、マネジャーが与える課題が成長速度を左右するのだ。

単なる指示出しを超えた、自律性を高めるフィードバック・サイクルで人材と組織の力を最大化する方法を紹介する。

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優秀すぎる部下の育て方。自律性を高める「適切な難題」とは?

【名著】グーグル躍進を支えた1兆ドルコーチに学ぶ、伝説の組織文化づくり

名選手の影に名コーチあり。名経営者の影にも名コーチがいます。

世界のデジタル産業革命をけん引し続けているシリコンバレーの地で、アップルのCEO、スティーブ・ジョブズやグーグルの元CEO、エリック・シュミットをはじめ、数多くの企業経営者に深い影響を及ぼした人物がいます。

それがビル・キャンベル。彼がコーチングした企業の時価総額を合わせるとトリリオン(1兆)ドルに達するとのことで、「1兆ドルコーチ」と呼ばれるようになりました。

そのコーチング哲学と生き様をまとめたのが「1兆ドルコーチ(著者:エリック・シュミットほか、発行:ダイヤモンド社)」。日本でも発行部数が17万部を超え、アマゾンには2000件以上ものレビューが付いています。

そんな希代の名コーチは、元々はラグビーのコーチをしていました。そこで養った人間と組織への観察眼、そして人たらしの術がビジネス界でいかんなく発揮されたのです。

シリコンバレーといえば「デジタル」や「テクノロジー」、そして「戦略」に長けた印象があります。しかし、ビルが重視したのが「コミュニティ(人間関係など)」や「誠実さ」、「実行力」でした。

これらは、猫も杓子も「DX」と口にする今の時代からすると泥臭いテーマ。でも、そこに古今東西不変のチームマネジメントの神髄があります。今こそ名コーチに学んでみませんか。


<プロフィール>
ビル・キャンベル(ウィリアム・ヴィンセント・キャンベル・ジュニア、1940年8月31日 - 2016年4月18日)。アメリカンフットボールの選手とコーチを経て実業界へ。1997~2014年アップル取締役。2001年にグーグルのコーチ就任。ツイッター(現X)やアンドリーセン・ホロウィッツ、元米副大統領アル・ゴアのコーチも務めた。

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