上司の方へ部下との関わり
部下が思い通りに動かないとき、 どう考えればよいか
先に答え
部下が思い通りに動かないときは、部下の意欲や能力を疑う前に、上司の頭の中にある「思い」のどこが部下に伝わっていなかったのかを考えることをおすすめします。思いは、仕事の完成の姿、優先順位、やり方の幅の3つに分けると整理しやすくなります。KAKEAIの1万人調査では、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、その理由を尋ねています。「自己像・ありたい姿と衝突してやりたくない」を挙げた人は8.3%で、10の理由の中で最も少ない答えでした。面談のあとの行動についての数字ですが、仕事を頼む場面でも、伝わっていなかった点を言葉にしてみてください。そのうえで部下の考えも聞き、二人で決め直しましょう。
数字で見る
KAKEAIの1万人調査で、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に理由を尋ねると、やりたくないという理由は最も少ない答えでした。目指す状態や必要な情報がそろっていないという理由のほうが、多く挙げられていました。また、面談で話したことが行動につながらない回もある、と感じている人が多くいました。面談についての数字ですが、部下が思い通りに動かないときに、意欲より先に、上司の思いのどこが伝わっていなかったかを考える手がかりになります。
- 8.3%
- 1万人調査
- 面談が行動につながりにくい理由(5つまで選択)として、「自己像・ありたい姿と衝突してやりたくない」を挙げた人の割合
- 尋ねた相手は、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人です。10の答えの中で最も少なく、「ありたい状態が定まっていない」は16.3%でした。やりたくないから動かない、という理由を挙げる人は少ないという意味です。
- 29.8%
- 1万人調査
- 面談がそのあとの行動に「ほぼ毎回そうなっている」と答えた人の割合
- 「毎回そうなっている」は9.4%で、最も多い答えは「半分くらいの回でそうなっている」の40.9%でした。部下の立場の人の多くが、面談で話したことが行動につながらない回もあると感じているという意味です。
1万人調査は、上司との面談のあとの行動について尋ねたもので、上司の指示通りに動いたかどうかを尋ねたものではありません。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下が思い通りに動かないときは、 上司の「思い」のどこが伝わっていなかったかを考える
部下が思い通りに動かないと感じたときは、部下の意欲や能力を疑う前に、上司の頭の中にある「思い」のどこが部下に伝わっていなかったのかを考えてみてください。上司が思い描いている仕事の姿は、言葉にしなければ部下には伝わらず、伝えたつもりでも一部しか伝わっていないことがあるからです。
上司の「思い」は、次の3つに分けると整理しやすくなります。
- 仕事の完成の姿。何がどうなっていれば、その仕事が終わったと言えるのか。
- 優先順位。ほかの仕事と比べて、どれを先に進めてほしいのか。
- やり方の幅。やり方のうち、決まっていて変えられない点と、部下に任せてよい点はどこか。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、その理由を尋ねています(5つまで選択)。「自己像・ありたい姿と衝突してやりたくない」を挙げた人は8.3%で、10の答えの中で最も少ない結果でした。「ありたい状態が定まっていない」は16.3%、「行動するために必要な情報が揃っていない」は15.9%です。やりたくないという理由より、目指す状態や必要な情報がそろっていないという理由のほうが、多く挙げられているということです。
面談についての数字ですが、部下が思い通りに動かないときも、意欲を疑う前に、仕事の完成の姿や必要な情報が伝わっていたかを見直すとよいでしょう。
以下では、小売店で、店長が部下に季節の売り場の陳列替えを任せた場面を例にします。
部下が思い通りに動かない場面を、 3つのずれに分けて考える
部下が思い通りに動かない場面は、完成の姿・優先順位・やり方の幅のどれがずれていたのかで、上司の最初の一言が変わります。
| ずれていたこと | 起きていること(例) | 上司の最初の一言 |
|---|---|---|
| 完成の姿 | 陳列替えは | 「陳列 |
| 優先順位 | 品出しを | 「今日は |
| やり方の幅 | 本部の | 「本部の |
完成の姿が伝わっていなかったとき
完成の姿がずれていたときは、上司がどんな姿を考えていたのかを伝え、部下がどんな姿を目指したのかも尋ねます。
- 陳列替え、ありがとうございます。仕上がりを見て、私が考えていた売り場の姿をお伝えしていなかったことに気づきました。
- 私は、入口から見て、季節の新商品が最初に目に入る売り場にしたいと考えていました。○○さんは、どんな売り場を目指して並べてくれましたか。
- 一緒に売り場を見ながら、どこを変えるとよさそうかを話しませんか。
- 次に任せるときは、始める前に、私が考えている売り場の姿を、本部の見本の写真を見ながらお伝えします。
優先順位が伝わっていなかったとき
優先順位がずれていたときは、上司が先にしてほしかった理由を伝え、部下の側の事情も尋ねます。
- 今日は品出しと陳列替えの、どちらを先にするかを決めていませんでしたね。私の伝え方が足りませんでした。
- 週末のセールに間に合わせたいので、明日は陳列替えを先にしたいと考えています。品出しが遅れると困ることはありますか。
- 急ぎの仕事が重なったときは、どれを先にするか、遠慮なく聞いてください。
やり方の幅が伝わっていなかったとき
やり方の幅のずれは、2つの方向で起こります。決まっていることと違うやり方をした場合と、任せたつもりのところまで部下が毎回確認してくる場合です。どちらも、決まっていることと任せることの境目を、上司が言葉にしていなかったことから起きると考えられます。
- 本部の指示で決まっているのは、この棚の商品の並びです。ここだけは、指示の通りにお願いしたいんです。
- それ以外の飾りつけや、商品の案内の置き方は、○○さんに任せたいと考えています。
- 任せたところは、私に聞かずに決めてもらってかまいません。もちろん、迷ったときは相談してください。
- 毎回確認してくれるのは助かっていますが、飾りつけは○○さんの判断で進めて大丈夫です。
上司の思いを伝えるだけでなく、 部下の思いも聞く
部下が思い通りに動かなかったときは、上司の思いを伝え直すだけでなく、部下がなぜそう進めたのかも尋ねることをおすすめします。部下にも、仕事の進め方についての考えと事情があるからです。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、万能のやり方はなく、型や手順を守ることは目的ではないと考えています。上司の段取りの通りに部下が動くことも、それ自体は目的ではありません。完成の姿が二人の間で共有されていれば、部下のやり方のほうがうまくいくこともあります。
- 私は陳列替えを先にすると考えていましたが、○○さんが品出しを先にしたのには、何か理由がありましたか。
- 夕方のほうがお客様が少ないから、という理由だったんですね。それは私も考えていませんでした。
- 次からは、どちらを先にするかを、朝の打ち合わせで一緒に決めませんか。
- 今回の売り場で、○○さんのやり方でうまくいったところも教えてください。次の売り場にも生かしたいです。
KAKEAIの1万人調査では、面談がそのあとの行動に「毎回そうなっている」と答えた人は9.4%、「ほぼ毎回そうなっている」は29.8%でした。最も多い答えは「半分くらいの回でそうなっている」で、40.9%です。部下の立場の人の多くが、面談で話したことが行動につながらない回もあると感じていることが分かります。
面談についての数字ですが、仕事を頼む場面に当てはめると、一度伝えただけで思い通りに進まないことは珍しくないと考えられます。すぐに部下の姿勢の問題と考えず、伝え方を変えて、もう一度二人で決め直してみてください。
- 前回お願いしたことが、うまく伝わっていなかったかもしれません。もう一度、一緒に整理しませんか。
- 次の陳列替えでは、始める前に5分だけ、完成の姿を一緒に確認しませんか。
部下が思い通りに動かないときに、 避けたいこと
避けたいのは、意欲や性格の問題と決めて指示を増やすことと、逆に、言っても変わらないと諦めてしまうことの両方です。
- 意欲や性格の問題だと決める。完成の姿や優先順位が伝わっていなかった場合、部下は何を変えればよいのかがわからないままになります。
- 指示を細かく増やして、思い通りに動かそうとする。任せたところまで指示が増えると、部下が自分で考えて決める余地がなくなります。
- 逆に、言っても変わらないと諦めて、上司が自分でやり直す。部下は、どこが違っていたのかを知らないまま、次の仕事に向かうことになります。
- 自分の段取りと違うところを、すべて直す。完成の姿に関わらない違いまで直すと、部下のやり方のよい点も消えてしまいます。
- ほかの人がいる前で、強い口調で指摘する。部下が事情を説明しにくくなり、上司が部下の理由を知る機会がなくなります。
部下との仕事の進め方の振り返り方
部下が思い通りに動かない場面を振り返るときは、部下の動き方ではなく、上司の頼み方と二人の話し方を見直します。
- 仕事を頼むときに、完成の姿・優先順位・やり方の幅を言葉にして伝えられたら、次は、部下がどう受け取ったかも聞いてみてください。
- 思い通りでなかったときに、自分の伝え方から振り返れたら、次に頼むときは、伝え方を1つ変えてみます。
- 部下が自分の考えでやり方を変えたときは、その理由を尋ね、うまくいった点を次の仕事にも生かします。
- 任せたところに口を出したくなったときは、それが決まっていて変えられない点に関わるかどうかを、先に考えるとよいでしょう。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
仕事を任せたあとの進み具合が見えず、細かく口を出しすぎるか、任せきりになるかで迷うときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
報告を受ける1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
任せた仕事の出来だけでなく、 部下が途中で何を考えて決めたのかを聞いてから、 中身を一緒に確かめられます。
部下が「この1on1へのメモ」に書いた内容や、選んだ期待する対応(「報告したい」など)を踏まえて、報告をどの順で受け取るとよいかが書かれます。部下が自分の判断で加えたことを先に尋ねる、といった入り方が示されることもあります。ご自身向けの内容です。
インドの地元1社が加わっていることも含め、実際に調べてみて変わったことや気づいたことを先に聞いてから、表の中身を一緒に見ていくと、森さんが何を判断して今の形にしたかが見えてきます。
仕事を任せる1on1の実施中に。
任せる仕事の期限を、 部下の考えを聞きながら、 1on1の中で二人で決めておけます。
会話の中から次に取り組むことが出てくると、Kakeai AI が次の一歩の候補を作り、話に出た担当と期限を入れます。期限が決まっていない候補が残っているときに右の列の下の球体(Kakeai AI に話題を提案させるボタン)をクリックすると、いつまでにするかを二人で決める提案が出ることがあります。決めるのはお二人で、「決定する」はどちらからもクリックできます。
残り4分ほどです。今日話した「一次調査の報告」の件で、一歩の候補が2つ出ています。「競合調査の表に代理店が日系か現地かの列を追加する」と「試算のやり方に割合の根拠(理由)を書く手順を入れる」、それぞれいつまでにやるかをお二人で一つ確かめて終わりませんか?森さん、いかがでしょう?
任せた1on1の終了後に、「今回よかった点」で。
口を出した場面と任せた場面のそれぞれで何が起きたかを、 具体的な発言で振り返れます。
部下が自分で考えた進め方を受け止めた場面や、ご自身が先に一言添えた場面が、実際の発言とともに書かれます。ご自身向けの内容で、部下には別の内容が表示されます。
要件表の項目についても「こっちで一回作ってみて」という小野寺さんの進め方を「それでいいと思う」と任せた判断は、相手が動きやすい余白を作っています。
1on1の実態を1万人のデータで見たい方は、無料のレポートをお受け取りください。
ご利用企業 累計600社以上/
無料の資料
この手引きの数字のもとになった、 1万人調査のレポート
1on1の踊り場から脱却するヒント:1万人調査が解明した、形骸化を超える構造(全43ページ・PDF)
- 1万人のデータで見る、1on1の頻度・時間・場所・話題の実態
- 成果・成長の実感を左右するもの(実施理由・上司への期待・困りごと・行動への接続)
- 明日の1on1からできること(前・最中・直後・日常の4つの場面と、具体的な声のかけ方)
画面を見ながら説明を聞きたい方は、30分のオンライン説明をご予約いただけます。
よくある質問
部下が思い通りに動かないのは、 上司の伝え方が悪いからですか。
部下が思い通りに動かない理由は、上司の伝え方だけとは限りません。ただ、上司が思い描いている仕事の姿は、言葉にしなければ部下には伝わりません。まずは、仕事の完成の姿・優先順位・やり方の幅のうち、どれが伝わっていなかったかを、上司の側から振り返ります。そのうえで、部下がなぜそう進めたのかを尋ねてください。
部下に何度言っても思い通りに動かないときは、 どうすればよいですか。
部下に何度言っても思い通りに動かないときは、同じ言葉を繰り返すより、伝え方を変えるほうが、部下にも何が違っていたのかが伝わりやすくなります。たとえば、仕事を始める前に5分だけ時間を取り、完成の姿を一緒に確認します。部下がなぜ違う進め方をしたのかも尋ねてください。部下の側に、上司が知らなかった事情や理由があることもあります。
部下が思い通りに動かないとき、 細かく指示を出したほうがよいですか。
部下が思い通りに動かないときに、指示を細かく増やすことはおすすめしません。任せたところまで指示が増えると、部下が自分で考えて決める余地がなくなるからです。細かく伝えるのは、本部の指示やお客様との約束のように、決まっていて変えられない点にとどめます。それ以外は任せるところとして、境目を言葉にして伝えましょう。
部下が思い通りに動かず、 イライラしてしまうときはどうすればよいですか。
部下が思い通りに動かずイライラしてしまうときは、その場で指摘する前に、上司の思いのどこが伝わっていなかったのかを考えてみてください。完成の姿、優先順位、やり方の幅のどれかが言葉になっていなかったとわかれば、部下に伝える最初の一言も決まります。何度伝えても変わらないと感じると、疲れてしまうものです。一人で抱えず、自分の上司に相談するのも1つの方法です。
部下に任せた仕事が、 自分の考えと違うやり方で進んでいるときは、 止めたほうがよいですか。
部下に任せた仕事が上司の考えと違うやり方で進んでいても、完成の姿に関わらない違いであれば、止めずに任せることをおすすめします。上司の段取りの通りに進むことは、それ自体は目的ではないからです。決まっていて変えられない点や、完成の姿から外れそうな点に関わるときは、理由を添えて早めに伝えましょう。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/when-work-differs-from-your-expectation
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: