上司の方へ部下との関わり
部下を全否定してしまう、 全否定されたとき
先に答え
部下を全否定してしまうときの問題は、否定的な意見を言うことではなく、仕事の一部への指摘が、仕事全体や部下自身への否定として届くことです。意見は、よいと思った点・気になった点・その理由・次にどうするかに分けて伝えることをおすすめします。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に一番期待することとして「意見を聞きたい」を選んだ人が14.1%いました。意見を言わないと決めるのではなく、伝え方を変えましょう。全否定してしまったら早めに言い直し、部下から全否定されたときはどの部分かを尋ねます。ハラスメントに当たるかどうかは、人事の担当や相談窓口に相談してください。
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KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごとが上司との関係のことだけの人は、面談が成長につながっていると感じる割合が低くなっていました。一方で、上司の意見を聞くことを一番に期待している人もいて、その人たちは面談の成果を実感している割合が高くなっています。
- 12.1%
- 1万人調査
- 面談の困りごとが、上司との関係のこと(上司の姿勢など)だけの人のうち、面談が成長につながっていると感じている人の割合
- 時間の確保などの実務の困りごとだけの人では36.4%、困りごとがない人では30.6%でした。上司との関係に困りごとを抱えている人は、面談が成長につながっていると感じる割合が低いということです。
- 14.1%
- 1万人調査
- 面談で上司に一番期待することとして、「意見を聞きたい」を選んだ人の割合
- この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は39.9%で、回答者全体の31.9%を上回っています。上司の意見を聞くことは、部下の側の期待の1つだということです。
1万人調査は、上司の全否定について尋ねたものではありません。上司との関係の困りごと(信頼できず本音が言えない、上司の姿勢、上司の話が役に立たない)の分け方は、公開しているレポートの分け方によるものです。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下を全否定してしまうとき、 何が問題なのか
部下を全否定してしまうときの問題は、否定的な意見を言うこと自体ではなく、仕事の一部への指摘のつもりが、仕事全体や部下自身への否定として届いてしまうことです。「全部やり直し」「そもそも考え方が違う」「向いていない」のような言葉は、どこを直せばよいのかがわからず、部下は次に何をすればよいのかを決められません。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごとの種類ごとに、面談が成長につながっていると感じている人の割合を比べています。困りごとが上司との関係のこと(信頼できず本音が言えない・上司の姿勢・上司の話が役に立たない)だけの人では、12.1%でした。時間の確保などの実務の困りごとだけの人では36.4%、困りごとがない人では30.6%です。上司との関係に困りごとを抱えている人は、成長の実感の割合が低いということです。
一方で、部下の中には、上司の意見を聞くことを一番に求めている人もいます。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に一番期待することとして「意見を聞きたい」を選んだ人が14.1%いました。この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は39.9%で、回答者全体の31.9%を上回っています。上司の意見を聞くことは、部下の側の期待の1つだということです。
KAKEAIは、全否定を避けようとして、上司は意見を言わないと決めておくことをおすすめしません。部下の期待は人と回によってさまざまで、上司の意見を求めている部下もいるからです。避けたいのは意見を言うことではなく、意見を全否定の形で伝えることです。
全否定には、上司が部下を全否定してしまう場面のほかに、部下が「全否定された」と受け取る場面と、上司が部下から全否定される場面があります。
| 場面 | 起きていること(例) | 上司の最初の一言 |
|---|---|---|
| 上司が | 部下の | 「昨日は |
| 部下から | 上司は | 「そう |
| 上司が | 上司が | 「全部うまくいかないと |
以下では、総務の部署で、部下が備品の発注の手順の見直し案を作った場面を例にします。
部下を全否定しないための、 意見の伝え方
部下の案に意見を伝えるときは、よいと思った点・気になった点・その理由・次にどうするかを分けて伝えることをおすすめします。分けて伝えれば、部下は、どこを残し、どこを直せばよいのかがわかりやすくなります。
意見を伝える前に、部下がその案で一番変えたかったことを尋ねておくと、上司の意見をその狙いに沿ったものにしやすくなります。
- 見直し案、ありがとうございます。まず、○○さんがこの案で一番変えたかったところを教えてもらえますか。
- 発注の申請を1枚にまとめた点は、とてもよいと思いました。各部署の手間が減ると思います。
- 気になったのは、金額の大きい発注も、小さい発注と同じ流れで承認まで進む点です。経理の確認が抜けてしまうおそれがあるからです。
- 金額の大きい発注だけ、経理の確認をはさむ形にできないか、一緒に考えませんか。
- どこで確認をはさむかは、経理の担当の方にも一度聞いてみましょう。私から声をかけておきます。
案の方向そのものに賛成できないときも、人や考え方を否定せず、上司の考えとして、理由と一緒に伝えます。
- 正直に言うと、私は今回、手順を大きく変えるより、今の手順の中で申請の書き方をそろえるほうがよいと考えています。来月から、会計のシステムが変わるからです。
- 新しいシステムに合わせて、手順を見直すのはどうでしょう。○○さんは、どう思いますか。
部下を全否定してしまったあとに、 上司ができること
部下を全否定してしまったと気づいたら、できるだけ早く、言い方がよくなかったことを伝え、意見を分けて言い直してください。時間がたつほど、部下の中で「案は全部だめだった」という受け止めが固まると考えられるからです。
- 昨日は、見直し案に「全部やり直し」と言ってしまいました。言い方がよくありませんでした。すみません。
- 時間をかけて作ってくれた案なのに、気になった点だけを強く言ってしまいました。
- 改めて、よいと思った点と、気になった点を分けてお伝えしたいです。少し時間をもらえますか。
部下から「全否定された」と言われたときは、上司にそのつもりがなかったとしても、まず、部下がそう感じたことを受け止めます。そのあとで、上司が伝えたかった点を言い直します。
- そう受け取らせてしまったんですね。話してくれて、ありがとうございます。
- 私が気になっていたのは、承認の流れの一点だけでした。ほかの点は、このまま進めてほしいと考えています。
- 私の言い方で、ほかにも気になったところがあれば教えてください。
全否定の言葉が繰り返されていたり、人格を否定する言葉や大きな声での叱責が含まれていたりする場合、それがハラスメントに当たるかどうかは、上司が自分で判断できることではありません。部下から相談があったときや、自分の言動に不安があるときは、就業規則を確認したうえで、人事の担当や社内の相談窓口に相談してください。
上司が部下から全否定されたときの受け止め方
上司が部下から全否定されたときは、その場で言い返さず、どの部分が気になっているのかを尋ねてみてください。「全部」という言葉の中に、部下が特に困っている点が含まれていることがあるからです。
- 全部うまくいかないと感じているんですね。特に気になっているのは、どのあたりですか。
- 各部署から、もう何か声が上がっていますか。わかっている範囲で教えてください。
- 申請の締め切りを週1回にすると、急ぎの発注に困るということですね。そこまでは、考えが及んでいませんでした。教えてもらえて助かります。
- 急ぎの発注だけ別の流れにする案は、どうでしょう。○○さんの考えも教えてください。
- 締め切りを決めること自体は、各部署の申請をまとめるために残したいと考えています。そのうえで、締め切りの曜日を一緒に決めませんか。
部下が強い言葉で全否定してきたときも、その場では言い方を指摘せず、まず内容に答えます。言い方について話したいことがあれば、落ち着いてから、別の機会に切り出します。
全否定の場面で、 避けたいこと
避けたいのは、案や人を一言で否定することと、逆に、全否定を恐れて何も言わなくなることの両方です。
- 案の全体や、部下の人柄を一言で否定する。「全部だめ」「向いていない」と言われても、部下は何を直せばよいのかがわかりません。
- 理由を言わずに、やり直しだけを求める。部下は、次の案でも同じ点を外してしまうかもしれません。
- 逆に、全否定を避けようとして、気になった点も言わずに認める。あとで問題がわかったときに、部下は「なぜ先に言ってくれなかったのか」と感じるかもしれません。
- 部下から全否定されたとき、その場で言い返したり、言い方を責めたりする。部下が困っている点を聞く機会がなくなります。
- 謝ったあとに、同じ言い方を繰り返す。謝った言葉そのものが、部下に信じてもらえなくなると考えられます。
全否定にならない伝え方ができているかの振り返り方
全否定にならない伝え方ができているかどうかは、上司の言い方と、二人のやり取りで振り返ります。
- 部下の案について、よいと思った点を伝えないまま話を終えた回があれば、次は、よいと思った点から具体的に話し始めます。
- 気になった点を理由なしに伝えてしまったと気づいたら、次の1on1で、理由と次にどうするかの案を添えて伝え直します。
- 部下が上司の考えに反対したとき、どの部分かを尋ねずに話を進めていたら、次は「特に気になっているのは、どのあたりですか」と尋ねてみてください。
- 部下が上司の言い方について話せる時間がなかったと感じたら、次の1on1の終わりに、「私の言い方で、気になったところはありますか」と尋ねる時間を取るとよいでしょう。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
注意や指摘を伝える必要があるのに、切り出し方に迷って先送りしたり、伝えたあとに受け止めてもらえたのかがわからなかったりするときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の前に、「メンバーに伝えたいこと」に入力して。
注意したいことを、どの話題の流れで切り出すかを、 1on1の前に考えておけます。
マネジャー権限でご自身のメンバーと行う1on1では、「予定・履歴」の次の1on1のカードの「メンバーに伝えたいこと」に、切り出したいことを入力できます。保存すると「1on1前のAIアドバイス」が書き直され、どの話題の流れの中で切り出すと自然かが示されます。入力した内容は部下には表示されず、ご自身向けのアドバイスにだけ使われます。
伝える1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
伝える中身だけでなく、 部下が何を求めているかに合わせた切り出し方を、 1on1の前に考えておけます。
Kakeai AI が、部下が選んだ期待する対応(「具体的なアドバイスが欲しい」など)とこれまでの1on1を踏まえて、どう切り出すとよいかと、最初の一言の案を書きます。ご自身向けの内容で、部下には別の内容が表示されます。
競合の範囲と情報源については、自分がやってきた中でこういう切り方をしていた、という話をまず共有しますね。そのうえで、森さんが今どこで迷っているかを聞かせてもらえますか。
伝えた1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
言いっぱなしになった指摘や問いに、 次の1on1でどう戻るかを、 具体的な一言で準備できます。
ご自身の返し方で部下の話が途中で終わった場面や、部下が答えに詰まったまま次の話に移った場面があると、次の1on1でその話にどう戻るかの一言の案が書かれることがあります。言い方が悪かったという指摘ではなく、次に試すこととして書かれます。ご自身向けの内容です。
加藤さんが何を怖れているのか、もう少し聞ける余地が残っています。…次回、昇格試験の準備状況を確認するタイミングで、「社内の評価の場面って、具体的にどんなときが一番きつい?」と一問戻してみませんか。
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よくある質問
部下を全否定するのは、 パワハラになりますか。
部下への全否定の言葉がハラスメントに当たるかどうかは、上司が自分で判断できることではありません。同じ言葉を繰り返している、人格を否定する言葉が含まれているなどの不安があるときは、就業規則を確認したうえで、人事の担当や社内の相談窓口に相談してください。面談での伝え方としては、仕事の一部への指摘として、理由と次にどうするかを添えて伝えるとよいでしょう。
部下を全否定してしまったときは、 謝ったほうがよいですか。
部下を全否定してしまったと気づいたら、できるだけ早く、言い方がよくなかったことを伝えて謝るとよいでしょう。そのうえで、よいと思った点と、気になった点を分けて言い直します。謝ったあとに同じ言い方を繰り返すと、謝った言葉そのものが信じてもらえなくなると考えられるので、次の指摘の場面で言い方を変えましょう。
部下の案がほとんど使えないとき、 全否定せずにどう伝えればよいですか。
部下の案がほとんど使えないと感じたときも、案の中でよいと思った点を具体的に伝えたうえで、方向そのものに賛成できない理由を、上司の考えとして伝えます。「全部だめ」ではなく、「私は、今回は今の手順の中で直すほうがよいと考えています。理由は〜です」と言い、部下の考えも尋ねます。次にどうするかを一緒に決めましょう。
部下から全否定されたとき、 上司はどう受け止めればよいですか。
部下から全否定されたときは、その場で言い返さず、どの部分が特に気になっているのかを尋ねることをおすすめします。「全部」という言葉の中に、部下が困っている具体的な点が含まれていることがあります。その点に答えたうえで、変えることと、理由があって残すことを分けて伝えます。言い方について話したいことがあれば、落ち着いてから別の機会に切り出しましょう。
全否定が怖くて、 部下に意見を言えません。 どうすればよいですか。
全否定を避けるために意見を言わないでいると、部下は上司が案をどう見ているのかを知ることができません。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に一番期待することとして「意見を聞きたい」を選んだ人が14.1%いました。意見は、よいと思った点・気になった点・その理由・次にどうするかに分けて伝えると、全否定の形になりにくくなります。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/total-rejection-of-subordinate-ideas
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: