上司の方へ部下との関わり
わがままな部下への対応
先に答え
わがままに見える部下の要望への対応は、要望を人柄の問題として退けるのではなく、仕事の話として聞くことから始めてください。KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごとが時間の確保や記録の管理といった実務のことだけの人のうち、面談が成果につながっていると感じている人は43.2%でした。困りごとがない人の37.3%より高い数字です。成果の実感が低かったのは、上司との関係についての困りごとだけがある人です。面談についての数字ですが、困りごとや要望が出てくること自体を、悪い兆しと受け取る必要はないと考えられます。要望は、受け入れられること・受け入れられないこと・上司が考えて決めることに分けて、理由と一緒に返すことをおすすめします。
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KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごとを、上司との関係についてのものと実務についてのものに分けて、面談の成果の実感を比べました。実務の困りごとだけがある人は、困りごとがない人より、面談の成果を実感している割合が高くなっていました。成果の実感が低いのは、上司との関係についての困りごとだけがある人です。面談で困りごとを挙げることと、成果を実感しにくいことは、必ずしも重なっていません。
- 43.2%
- 1万人調査
- 実務の困りごと(時間の確保や記録の管理)だけがある人のうち、面談の成果を実感している人の割合
- 困りごとがない人では37.3%、上司との関係の困りごと(本音が言えない、上司の姿勢、話が役に立たない)だけがある人では15.6%でした。困りごとがあるからといって、面談の成果を実感しにくいとは限らない、ということです。
- 15.6%
- 1万人調査
- 上司との関係の困りごとだけがある人のうち、面談の成果を実感している人の割合
- 上司との関係の困りごととは、信頼できず本音が言えない・上司の姿勢・上司の話が役に立たない、の3つです。回答者全体の31.9%を大きく下回っています。上司との関係についての困りごとだけを挙げた人は、面談の成果を実感しにくい傾向があります。
- 37.3%
- 1万人調査
- 面談の困りごとがない人のうち、面談の成果を実感している人の割合
- 実務の困りごとだけがある人の43.2%より低い数字です。面談の困りごとを挙げなかった人より、時間や記録の困りごとだけを挙げた人のほうが、面談の成果を実感している割合が高いということです。
この分け方は、KAKEAIが公開しているレポートの数字で、面談の困りごとについて尋ねた結果です。部下の要望や、上司がそれをどう受け取ったかを尋ねたものではありません。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下の要望がわがままに見えるとき、 まず仕事の話として受け取る
上司に「わがまま」に見える要望も、部下にとっては、仕事の分担や進め方、働き方についての要望であることが多いと考えられます。要望を全部受け入れる必要はありません。ただ、要望を口にすること自体を退けてしまうと、部下は上司に言わなくなりがちです。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごとを2つに分けて、面談の成果の実感を比べています。1つは上司との関係についての困りごとで、信頼できず本音が言えない・上司の姿勢・上司の話が役に立たない、の3つです。もう1つは実務についての困りごとで、自分や上司の時間の確保と、メモや記録の管理です。実務の困りごとだけがある人のうち、面談が成果につながっていると感じている人は43.2%でした。困りごとがない人では37.3%、上司との関係の困りごとだけがある人では15.6%です。つまり、困りごとがあるからといって、面談の成果を実感しにくいとは限りません。実感が低かったのは、上司との関係についての困りごとだけを挙げた人です。
面談についての数字ですが、部下から困りごとや要望が出てくること自体を、悪い兆しと受け取る必要はないと考えられます。要望を「わがまま」と受け取る前に、まず仕事の話として聞いてみることをおすすめします。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司も部下も、両方が当事者だと考えています。要望を言葉にするのは部下の役割で、仕事の分担を決めて理由を説明するのは上司の役割です。どちらか一方だけに責任を負わせない、という考え方です。
以下では、営業事務のチームで、受注処理と電話対応を数人で分担している場面を例にします。部下の一人から、「電話対応は外してほしい。受注処理だけにしてほしい」という要望が出ました。
わがままに見える要望の3つの種類と、 最初の一言
要望は、中身によって3つに分かれます。上司が決められるものと、決められないものを分けることが、最初の一歩です。
| 要望の種類 | 例 | 上司の最初の一言 |
|---|---|---|
| 自分の | 受注処理を | 「どんな進め方だと |
| 仕事の | 電話対応を | 「電話対応を |
| 上司の | 評価を | 「それは |
要望を聞くときの進め方と、 発言の例
- 要望の中身と理由を、決めつけずに聞きます。
- 電話対応を外してほしいという話、もう少し詳しく教えてください。負担の大きさの話ですか、それとも苦手だと感じている話ですか。
- 受注処理に集中したいという気持ちは、わかりました。電話対応のどのあたりが一番つらいですか。
- 言ってもらえて助かります。言われなければ、私は気づかないままでした。
- 要望を、受け入れられること、受け入れられないこと、上司が考えて決めることに分けて返します。
- 午前中は電話を取らずに受注処理に集中する、という形なら今週から試せます。
- 電話対応を完全に外すのは、ほかの3人に全部回ることになるので、今は難しいと考えています。
- 件数を減らす形ならできるかもしれません。チームの状況を見て、来週の面談で私の考えをお伝えします。
- 決めたことは、理由と一緒に伝え、本人の考えを尋ねます。
- 電話対応は、午後の時間だけ、ほかの人と同じ当番で続けてもらいたいと考えています。理由は、受注の内容を電話で聞いていないと、処理の判断に迷う場面が増えるからです。○○さんは、どう思いますか。
- 私の判断で納得できないところがあれば、言ってください。理由を聞いたうえで、私が考え直すこともあります。
- 決めたことは、期限を決めて見直します。
- この形で1か月やってみて、月末の面談でもう一度話しませんか。負担が変わっていなければ、分担を考え直します。
要望を受け入れられないときの伝え方
要望を受け入れられないときは、受け入れられない理由と、代わりにできることを一緒に伝えます。理由を言わずに「決まりだから」「皆やっているから」で返すと、部下には、聞いてもらえなかったという思いだけが残りがちです。
- ○○さんの希望を全部はかなえられませんが、負担を減らす方法は一緒に考えたいです。
- 電話対応を外せないのは、受注処理の判断に電話の内容が必要だからで、○○さんを困らせたいからではありません。
- 今回は分担を変えませんが、電話の取り方で困っている点があれば、そこは一緒に直せます。
上司の一存では約束できないこと(評価・昇給・異動・人員)は、その場で請け合わないようにします。「評価には響かない」「来期は希望をかなえる」のような言葉も、上司一人では約束できません。
- 評価や異動については、私の口からは約束できません。希望があることは、人事との話の場で伝えます。
- 確認した結果は、わかり次第お伝えします。遅くとも来週の金曜までには、一度状況を話します。
ほかのメンバーへの説明も、上司の仕事です。要望を出した本人のいないところで、本人の評価や人柄の話をしないようにします。
- 来月から、当番の分け方を一部変えます。受注処理の量が増えているので、全体の割り振りを見直すことにしました。皆の負担も聞きたいので、困る点があれば言ってください。
わがままな部下への対応で、 避けたいこと
避けたいのは、要望をすべて退けることと、波風を立てないためにすべて受け入れることの両方です。
- 「甘やかさない」と決めて、要望を聞かずに退ける。要望の中身を聞かなければ、受け入れられるものと受け入れられないものの区別もつきません。
- 逆に、面倒を避けるために要望を受け入れる。ほかのメンバーに負担が移ると、チームの中に別の不満が生まれます。分担はチーム全体のことなので、理由を説明したうえで上司が決めます。
- 性格や人柄の話にする。「自分のことしか考えていない」と言われても、部下は何を変えればよいのかがわかりません。話題は、どの仕事をどう分担するかに絞ります。
- 本人のいないところで、周りに「わがままな人」と話す。本人に伝わると、上司には何を言っても聞いてもらえないと受け取られかねません。
- 本人と話す前に、上司どうしで本人の扱いを決める。要望の理由を本人から聞く前に対応を決めると、見当違いの対応になることがあります。
- 「態度は評価に響く」と、評価の話で返す。評価は、基準に照らして別に話すものです。要望を言ったことを評価の話で返すと、部下は要望を言わなくなりがちです。
要望のやり取りを、 1か月ほどあとに振り返る
要望のやり取りは、部下が引き下がったかどうかではなく、1か月ほどあとの二人のやり取りから振り返ってみてください。次の点を、上司自身に問いかけてみるとよいでしょう。
- 要望の理由を、決めつけずに本人から聞けたでしょうか。
- 受け入れられること、受け入れられないこと、上司が考えて決めることを、分けて返せたでしょうか。
- 決めたことの理由を伝え、本人の考えを尋ねる時間を取れたでしょうか。
- 決めたことを見直す期限の約束を、二人で守れたでしょうか。
- その後も、部下が要望や相談を話してくれているでしょうか。要望が消えたなら、言えなくなっただけかもしれません。
- 分担を変えて1か月たちましたが、負担はどう変わりましたか。私の決め方で納得できていない点があれば、今日聞きたいです。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下からの反論や強い言い方を、その場でどう受け止めればよいか迷い、あとから関係がぎくしゃくしてしまうときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
反対の意見が出た1on1の最中と後に、「1on1のAI要約」で。
部下の反論を感情のぶつかり合いとしてではなく、 1つの意見として記録に残し、 あとから二人で同じ言葉に立ち返れます。
部下が述べた意見は、誰が何を述べたかという形で「1on1のAI要約」に残ります。評価の言葉ではなく、事実の言葉で書くように作られています。
石田さんは「要件が固まらないまま試作の日程だけが決まっている」のは順番としておかしいと述べた。
1on1の終了後に、「今回よかった点」で。
部下の意見を、 言葉で受け止めるだけでなく、 その場で引き取った動きとして示せていたかを振り返れます。
部下の指摘や懸念を受けて、ご自身がその場で次の動きを引き取った場面があると、その返し方が、実際の発言とともに書かれることがあります。ご自身向けの内容です。
石田さんへの確認を引き取ると伝えたことで、長谷部さんが「両方の工程を用意しておきます」と自分の一歩を言語化するところまで進みました。
次の1on1の前に、前回の「次の1on1や日常へ向けて」で。
口数が少なくなった部下に、 次の1on1でどの話の流れから声をかけるかを準備できます。
部下が短い返事で話を終えた場面について、次回どの話の流れで、どんな一言で尋ねるとよいかが書かれることがあります。たとえば、同じ問いを繰り返すのではなく、部下が自分から持ち込んだ話の続きとして尋ねる案が示されます。
次回、…「主幹として動いてみて、何か引っかかっていることはありますか。」と一言置いてみてください。前回と同じ問いを繰り返すのではなく、今日の会話で石田さんが自分から持ち込んだ「進め方がおかしい」という言葉の延長として聞くと、業務の話として入りやすくなります。
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よくある質問
わがままな部下には、 毅然とした態度で接するべきですか。
わがままに見える部下への対応で大事なのは、態度の強さより、要望を聞いたうえで分けて返すことです。要望の中身と理由を聞かずに退けると、受け入れられるものと受け入れられないものの区別がつかず、部下は上司に要望を言わなくなりがちです。進め方の要望は仕事の結果に影響しなければ受け入れ、分担の要望は理由を聞いたうえで上司が決めて説明します。受け入れないことも、理由と一緒に伝えれば、十分に毅然とした対応です。
部下の要望を断るとき、 どう伝えればよいですか。
部下の要望を断るときは、受け入れられない理由と代わりにできることを一緒に伝えます。「電話対応を外せないのは、受注処理の判断に電話の内容が必要だからです」のように仕事の理由で説明し、「負担を減らす方法は一緒に考えたい」と続けます。「決まりだから」「皆やっているから」だけで返すと、部下には聞いてもらえなかったという思いだけが残りがちです。決めたことは、1か月後に見直す約束をしておくとよいでしょう。
一人の部下の要望を聞くと、 ほかのメンバーから不公平だと言われませんか。
一人の部下の要望を受け入れるときは、ほかのメンバーに負担が移らないか、移るなら全体の割り振りをどう見直すかを、上司が考えて説明します。本人の人柄や評価の話はせず、「受注処理の量が増えているので、全体の割り振りを見直す」のように仕事の理由で伝えます。あわせて、ほかのメンバーの負担や困っている点も聞くと、一人だけを優先したという受け取り方になりにくくなります。
部下のわがままは、 性格の問題として指導すべきですか。
部下の要望がわがままに見えても、性格の問題として指導することはおすすめしません。「自分のことしか考えていない」と言われても、部下は何を変えればよいのかがわからず、自分の考えも話しにくくなりがちです。話題はどの仕事をどう分担するかに絞り、受け入れられること・受け入れられないこと・上司が決めることに分けて返します。言い方や伝え方について気になる点があるなら、要望の中身の話が済んだあとで、落ち着いた別の機会に切り出すとよいでしょう。
評価を上げてほしい、 異動したいと部下から言われたとき、 どう答えればよいですか。
評価や異動の要望は上司の一存では決められないので、その場で約束も否定もせず、誰に何を確認するかと、いつまでに返事をするかを二人で決めます。「評価には響かない」「来期は希望をかなえる」のような言葉も、上司一人では約束できません。評価については、評価シートを一緒に見ながら、基準を確かめて話すとよいでしょう。異動の希望は、人事との話の場で上司から伝えることまでは約束できます。確認した結果は、わかり次第、上司から部下に伝えます。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/subordinate-requests-that-look-selfish
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: