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心理的安全性のGoogleの研究と論文
先に答え
心理的安全性が広く知られるきっかけになったのは、Googleが自社のチームを対象に、成果の高いチームに共通する要素を調べた研究(プロジェクト・アリストテレス)です。この研究では、心理的安全性が最も重要な要素の1つだとされました。研究が言っているのは「言い出しても不利益を受けないと皆が感じていること」であり、上司が否定しない・聞き役になるという結論ではありません。KAKEAIの1万人調査では、上司との1対1の面談でさえ、本音を言いにくい困りごとを挙げた人が21.8%で、5人に1人を超えていました。職場で研究を生かすには、誰かが遅れや反対を言い出した直後に、上司が中身に答え、次に誰が何をするかを一緒に決めることから始めてみてください。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司と1対1で話す面談でさえ、本音を言いにくい困りごとを挙げる人が5人に1人を超えていました。言いにくさは年代によっても開きがあります。また、上司との関係についての困りごとだけがある人は、面談が成果につながっていると感じる割合が、実務の困りごとだけがある人や困りごとがない人より大幅に低くなっています。心理的安全性は、言い出せることと、言い出したあとに中身への答えが返ってくることの両方で見てください。
- 21.8%
- 1万人調査
- 上司との面談の困りごと(複数回答)に、本音を言いにくいことに関わる3つの答えのどれかを挙げた人の割合
- 3つとは、話したいことを切り出せないこと、評価が気になって本音が話せないこと、信頼関係がなく安心して話せないことです。上司と1対1で話す場があっても、本音を言いにくいと感じている人が5人に1人を超えるということです。
- 14.4%
- 1万人調査
- 20代の回答者のうち、面談の困りごとに「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人の割合
- 60代の回答では5.7%でした。「話したいこと、話すべきことを切り出せない」も、20代の回答で15.0%、60代の回答で6.4%です。20代の回答では、60代の回答より、上司との面談での言いにくさを挙げる割合が高くなっています。
- 15.6%
- 1万人調査
- 上司との関係についての困りごとだけを挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 実務の困りごと(時間の確保や記録の管理)だけを挙げた人では43.2%、困りごとがない人では37.3%でした。上司との関係についての困りごとだけを挙げた人は、実務の困りごとだけの人や困りごとがない人に比べて、面談の成果を実感している割合が大幅に低いということです。
この調査は、Googleの研究で扱われたチームの成果や、会議での発言については尋ねていません。数字は、上司との1対1の面談についての困りごとと、面談の成果の実感を集計したものです。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
心理的安全性のGoogleの研究と論文で、 何が分かったのか
心理的安全性が広く知られるようになったきっかけは、Googleが自社のチームを対象に、成果の高いチームに共通する要素を調べた研究(プロジェクト・アリストテレスと呼ばれています)です。この研究では、チームの成果を左右する要素のうち、心理的安全性が最も重要なものの1つだとされました。心理的安全性という言葉そのものは、この研究より前から経営学の論文で使われてきたものです。おおまかに言えば、分からないことを聞く・ミスを報告する・反対の意見を言うといった行動をしても、不利益を受けないとチームの皆が感じている状態を指します。
研究の結論は、「成果の高いチームは、言い出しても大丈夫だと皆が感じている」というものです。「上司が否定しない」「上司は聞き役になる」という結論ではありません。この違いが、職場でこの研究を生かすときの出発点になります。
このページでは、研究の細かな数字や方法には触れず、研究の結論を日本の職場でどう受け取り、上司と部下のそれぞれが何をすればよいかを書きます。例として、展示会の出展準備で、会場で配るパンフレットの納期が間に合わないかもしれないと担当者が気づいた場面を使います。
心理的安全性に関わる言いにくさは、 上司との面談にどのくらいあるか
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で困っていること(複数回答)として、本音を言いにくいことに関わる3つの答えのいずれかを挙げた人が21.8%でした。3つの答えとは、「話したいこと、話すべきことを切り出せない」「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」「上司との信頼関係がなく安心して話せない」です。つまり、上司と1対1で話す場があっても、本音を言いにくいと感じている人は、5人に1人を超えるということです。
年代で見ると、「話したいこと、話すべきことを切り出せない」を挙げた人は20代の回答で15.0%、60代の回答で6.4%でした。「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」は、20代の回答で14.4%、60代の回答で5.7%です。20代の回答では、60代の回答より、言いにくさを挙げる割合が高くなっています。面談についての数字ですが、会議でも、言い出しにくさを感じている人がいるかもしれないと考えておくとよいでしょう。
1万人調査では、困りごとの種類ごとに成果の実感を比べています。上司との信頼関係や上司の姿勢、上司の話が役に立たないことなど、上司との関係についての困りごとだけを挙げた人では、面談が成果につながっていると感じている人は15.6%でした。時間の確保や記録の管理といった実務の困りごとだけを挙げた人では43.2%、困りごとがない人では37.3%です。上司との関係の困りごとだけを挙げた人は、面談の成果を実感している割合が目立って低いということです。この困りごとには、「上司の話が役に立たない」も含まれています。安心して話せるかどうかだけでなく、話したあとに上司から役に立つ返事があるかどうかも、同じ困りごとの中にあります。
心理的安全性は、「言い出せること」と「言い出したら、中身に答えが返ってくること」の両方でできていると考えられます。KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司と部下の関係は、仕事の話を前に進める中でできると考えています。ただし、上司と部下の関係には段階があり、段階によって合う関わり方は変わります。
Googleの研究の結論を、 職場でどう生かすか: 部下の立場と上司の立場
心理的安全性は、上司だけがつくるものではありません。言う側(部下)と返す側(上司)のそれぞれにできることがあります。
| 場面 | 言う側(部下)にできること | 返す側(上司)にできること |
|---|---|---|
| 遅れや | 分かった | 今の |
| 上司や | 反対の | 言ってくれたことに |
| 分からないことがあるとき | 何が | 聞いてくれたことを |
| 自分の | 起きたことと、 | 報告を |
部下の立場で読んでいる人は、言い出すときに、上司に期待することを一言添えてみてください。「納期について、判断をお願いしたいことがあります」のように言うと、上司は何を返せばよいかが分かり、話が前に進みやすくなります。上司の立場で読んでいる人は、言ってくれたこと自体を先に受け、そのうえで中身について自分の考えを伝えることを意識してみてください。
心理的安全性をつくる場面ごとの言い方: 言う側と、返す側
展示会のパンフレットの納期が間に合わないかもしれない、と担当者が気づいた場面を例に、言う側と返す側の言い方を並べます。
遅れに気づいた部下が、 上司に伝えるとき
- 展示会のパンフレットの納期について、判断をお願いしたいことがあります。印刷会社から、今の原稿の戻し方だと納品が会期の前日になると言われました。
- 私の原稿の確認が遅れたことも、原因の1つです。それも含めてお伝えしたかったので、今日お時間をいただきました。
遅れを伝えられた上司が、 返すとき
- 今の時点で話してくれて助かります。前日だと会場への搬入に間に合わないので、今日中に手を打ちましょう。
- 原稿の戻しは、私が今日中に済ませます。印刷会社への納期の相談は、○○さんからお願いできますか。
- 遅れた原因は、あとで二人で振り返りましょう。今は、間に合わせることを先にします。
会議で、上司の案に反対の意見を言うとき
- 会期の前日に搬入する案は、私は難しいと考えています。理由は、会場の搬入の受付が午後3時までで、印刷会社からの到着が午後になる見込みだからです。
反対の意見を言われた上司が、 返すとき
- 反対の意見を会議で言ってくれて、ありがとうございます。搬入の受付の時間は、私の計画に入っていませんでした。
- 私の考えは、前日の搬入をやめて、3日前の納品に変える方向です。△△さんの指摘を踏まえて、印刷会社に相談してみます。皆さんは、どう思いますか。
分からないことを聞くとき
- 印刷の仕様書に、分からない言葉があります。「校了」とは、どの時点のことを指すのか、教えていただけますか。
分からないと言われた上司が、 返すとき
- 聞いてくれてよかったです。校了は、こちらから「この原稿で印刷してください」と最終の了承を出す時点のことです。
- 仕様書の他の言葉で分かりにくいものがあれば、印刷会社に確認するときの言い方も、一緒に見ましょう。
同僚のミスに気づいたとき
- 会場の案内図の日付が、先週の版のままになっているように見えます。私の見間違いかもしれないので、一緒に確認してもらえますか。
自分のミスを報告するとき
- 印刷会社に送った原稿に、古い価格が載っていました。今、差し替えの原稿を作っています。印刷は、まだ始まっていないことを確認しました。
ミスの報告を受けた上司が、 返すとき
- 印刷の前に気づいてくれて、助かりました。差し替えの原稿は、私も今日のうちに確認します。
- 価格の確認の手順は、展示会が終わってから、二人で見直しましょう。
次の会議で、 上司がその後の結果を伝えるとき
- 先週、○○さんが言ってくれたパンフレットの納期は、印刷会社と相談して、会期の3日前の納品に変更できました。
- 言ってもらったことがどうなったかは、私から先に伝えるようにします。
Googleの研究の受け取り方で、 避けたいこと
Googleの研究を職場で生かそうとするときに避けたいのは、研究の結論を「上司の口数のルール」に置き換えてしまうことと、逆に、言い出された話を上司がその場で否定したり遮ったりすることです。
- 「否定しない」「上司は聞き役」というルールにする。KAKEAIは、心理的安全性のために上司は否定せず聞き役に徹する、と決めておくことをおすすめしません。部下が反対の意見や問題を言い出したあとに、上司から中身への答えが返ってこなければ、言い出した側には「言っても何も起きない」という経験が残りやすいからです。
- 逆に、言い出された話を、その場で否定したり遮ったりする。「今それを言われても困る」と返されると、次からは、遅れやミスが気づいた時点では出てこなくなりがちです。
- 心理的安全性を、チームの仲のよさや雰囲気と取り違える。研究で見ているのは、言い出しても不利益を受けないと皆が感じているかどうかです。仲がよくても、遅れやミスを言い出せないチームはあります。
- 「何でも言ってください」と宣言して待つ。宣言だけでは、言い出した人がどうなるかは分かりません。多くの人が気にするのは、誰かが言い出した直後に上司がどう返したかでしょう。
- 心理的安全性を、基準を下げることと取り違える。納期や品質の基準を下げなくても、心理的安全性はつくれます。基準は保ち、言い出したことへの返し方を変えます。
- 研究の数字や言葉を覚えて終わる。研究の結論を知っていることと、自分の職場で言い出しやすくなることは、別のことです。
心理的安全性が高まってきたかを振り返る
心理的安全性が高まってきたかどうかは、研究の言葉を皆が知っているかではなく、職場での言い出し方と返し方がどう変わったかで振り返ってみてください。上司と部下のどちらの立場でも、次の点を見てみることをおすすめします。
- 遅れや問題の話が、締め切りの直前ではなく、気づいた時点で出るようになったでしょうか。
- 会議で、上司の案に反対の意見が出た回が、この1か月にあったでしょうか。
- 言い出した人に、その場で中身への答えが返り、次の会議でその後どうなったかが伝えられたでしょうか。
- 会議で、「分かりません」や「確認したいことがあります」という言葉が、いろいろな人から出るようになったでしょうか。
まだのものがあれば、次に誰かが言い出した場面での返し方から変えてみてください。心理的安全性は、研究を知ることではなく、職場で言い出しにくいことが出た直後のやり取りで、少しずつできていくと考えられます。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下の話をどこまで聞き、いつ自分の考えを伝えるかに迷う、言いにくい話をまず1on1で話せるようにしたいときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
話を聞くのか、 一緒に考えるのか、 意見を伝えるのかを、 部下の期待を知ったうえで選べます。
選ばれたテーマと、部下が選んだ期待する対応、これまでの1on1を踏まえて、その回の関わり方と最初の一言の案が書かれます。期待する対応がまだ選ばれていない回には、どう関わってほしいかを尋ねる一言が挙がることもあります。上司と部下のそれぞれに、ご自身向けの別の内容が表示されます(例は上司に表示されたもの)。
…「今日のテーマに『業務の進捗や進め方』を入れてくれていましたが、今一番気になっている業務はどのあたりですか。話を聞くのか、一緒に考えるのか、どちらが今日は助かりますか。」…
1on1のあと、上司向けの「1on1後のAIアドバイス」で。
自分の返し方で話が止まった場面を、 次の1on1の前に具体的に振り返れます。
部下が言いかけた話が、上司の一言のあと短く終わった場面があった回は、その場面を挙げて、次の回にもう一度聞ける点が書かれることがあります。言い換えの案は、ご自身の発言についてだけ書かれます。部下には別の内容が表示されます。
…加藤さんが何を怖れているのか、もう少し聞ける余地が残っています。 次回、昇格試験の準備状況を確認するタイミングで、「社内の評価の場面って、具体的にどんなときが一番きつい?」と一問戻してみませんか。…
1on1のあと、部下向けの「1on1後のAIアドバイス」で。
上司の前で自分の考えを口にした場面を、 自分向けの文章で振り返れます。
上司の問いに自分の考えを返せた場面や、言いにくいことを自分の言葉で話せた場面が、実際の発言とともに書かれることがあります。上司には別の内容が表示されます。
…砂・認証という柳瀬さんの整理に対して、値段という別の軸を自分の言葉で置いた一言です。…
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よくある質問
心理的安全性のGoogleの研究とは、 どんな研究ですか。
心理的安全性のGoogleの研究とは、Googleが自社のチームを対象に、成果の高いチームに共通する要素を調べた研究で、プロジェクト・アリストテレスと呼ばれています。この研究では、チームの成果を左右する要素のうち、心理的安全性が最も重要なものの1つだとされました。心理的安全性という言葉そのものは、この研究より前から経営学の論文で使われてきたものです。
心理的安全性とは、具体的にどういう状態のことですか。
心理的安全性とは、おおまかに言えば、分からないことを聞く・ミスを報告する・反対の意見を言うといった行動をしても、不利益を受けないとチームの皆が感じている状態のことです。チームの仲がよいことや、上司が否定しないことと同じではありません。KAKEAIの1万人調査では、上司と1対1で話す面談でさえ、本音を言いにくい困りごとを挙げた人が21.8%でした。上司と1対1で話す面談でも、言いにくさを感じている人は少なくないということです。
心理的安全性を高めるために、 上司は部下の意見を否定しないほうがよいですか。
心理的安全性を高めるために、上司が部下の意見を否定しないと決めておくことは、おすすめしません。Googleの研究が言っているのは、言い出しても不利益を受けないと皆が感じていることで、上司が意見を言わないことではありません。部下が反対の意見や問題を言い出したら、言ってくれたこと自体を先に受け、中身については上司の考えを理由と一緒に伝え、次に誰が何をするかを一緒に決めます。
部下の立場で、 職場の心理的安全性を高めるためにできることはありますか。
部下の立場で職場の心理的安全性を高めるためにできることは、言い出すときに、上司に期待することを一言添えることです。「納期について、判断をお願いしたいことがあります」「この点を確認していただけますか」のように言うと、上司は何を返せばよいかが分かり、話が前に進みやすくなります。遅れやミスは、原因の説明より先に、起きたことと今の影響を伝えると、対処を一緒に決めやすくなります。
Googleの研究の結論は、 日本の職場にも当てはまりますか。
Googleの研究の結論が日本の職場にそのまま当てはまるかどうかは、研究そのものからは言えません。KAKEAIの1万人調査も、チームの成果を尋ねたものではないため、この問いに直接は答えていません。研究の結論を当てはめられるかを考えるより、自分の職場で、遅れや反対の意見が気づいた時点で出ているか、出たあとに中身への答えが返っているかを振り返ってみるとよいでしょう。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/psychological-safety-google-research-explained
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: