上司の方へ部下との関わり
ネガティブな部下を、 どう指導すればよいか
先に答え
ネガティブに聞こえる部下の発言は、性格の問題として受け流さず、中身を聞き分けてから返すことをおすすめします。発言には、時間や人手の制約の指摘、不安や迷い、不満や諦めが混ざっていることがあります。制約の指摘なら、上司が判断や調整を引き取ります。不安なら、何がわかれば進められるかを二人で確かめ、不満なら、変えられることと変えられないことを分けて伝えます。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人の15.4%が、理由に「時間やコストの制約で動けない」を選んでいました。動けない理由が、本人の一存では変えにくい制約にある人もいるということです。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談のあと行動に移しにくい人が挙げた理由に、時間やコストの制約と、不安や迷いが含まれていました。面談についての数字ですが、ネガティブに聞こえる部下の発言にも、同じように制約の指摘や不安が含まれていることがあると考えられます。発言を打ち消さず、何が引っかかっているのかを具体的に尋ねることをおすすめします。
- 15.4%
- 1万人調査
- 面談が行動につながりにくい人が挙げた理由(5つまで選択)のうち、「時間やコストの制約で動けない」を選んだ人の割合
- 面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた6,074人の数字です。面談のあと動けない理由に、本人の一存では変えにくい時間やコストの制約を挙げる人もいるということです。
- 11.0%
- 1万人調査
- 同じ人たちのうち、「判断材料はあるが確信がもてない(不安・恐れ・迷い)」を理由に選んだ人の割合
- 最も多い答えは「その時々によって違う」で26.1%、次が「特にない」で23.4%でした。理由は1つに決まらず、不安や迷いを挙げる人もいる、ということです。
どちらの数字も、上司との面談のあと行動に移しにくい理由を尋ねたもので、部下の発言がネガティブかどうかを尋ねたものではありません。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下の発言がネガティブに聞こえるときは、 中身で3つに分けて受け取る
ネガティブに聞こえる部下の発言には、仕事の制約やリスクの指摘、不安や迷い、不満や諦めの3つが混ざっていることがあります。指導の前に、発言がどれに近いかを聞き分けると、上司が返す一言も変わります。「ネガティブな性格」と受け取って、中身を聞かずに済ませないことが出発点です。
ここでは、経理の部署で、請求書を発行する仕組みを新しいシステムに切り替える仕事を、部下が進めている場面を例にします。
| ネガティブに聞こえる発言 | 発言に含まれていること | 上司の最初の一言 |
|---|---|---|
| 「この日程では | 時間や | 「どの作業が |
| 「うまくいく気がしません」 | 不安や迷い | 「どのあたりが |
| 「どうせ営業の | 不満や、 | 「前に、 |
1つの発言に、いくつかが重なっていることもあります。どれに当たるか迷うときは、上司が決めつけずに、本人に尋ねるとよいでしょう。
- 今の話は、日程が厳しいということでしょうか。それとも、進め方そのものに心配があるということでしょうか。
面談のあと行動に移しにくい理由として、 制約や不安を挙げる人がいる
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた6,074人に、その理由を尋ねています(5つまで選択)。「時間やコストの制約で動けない」を選んだ人は15.4%、「判断材料はあるが確信がもてない(不安・恐れ・迷い)」は11.0%でした。つまり、面談のあと動けない理由には、本人の一存では変えにくい制約や、迷いも挙がっているということです。
同じ質問で最も多かった答えは「その時々によって違う」で26.1%、次が「特にない」で23.4%でした。動けない理由は1つに決まらず、本人にもはっきりしていない場合があると考えられます。
面談についての数字ですが、ネガティブに聞こえる発言の中にも、同じように制約の指摘や不安が含まれていることがあると考えられます。発言を性格の問題として受け流さず、何が引っかかっているのかを具体的に尋ねることをおすすめします。
制約や不安が含まれているときの、 指導の進め方
制約の指摘が含まれているときは、上司が判断や調整を引き受けられるかどうかを考えます。不安が含まれているときは、何がわかれば進められるのかを、二人で確かめます。
時間や人手の制約を指摘されたとき
日程や人手のように、部下の一存では変えられないことは、上司が引き取ります。指摘してくれたことへのお礼から始めます。
- 日程が厳しいと言ってくれて助かります。どの作業が、一番間に合わなそうですか。
- 切り替えの日を動かせるかどうかは、私から部長に相談します。今週中に結果をお伝えします。
- 日程を動かせなかったときに備えて、後ろに回せる作業がないかも、一緒に洗い出しませんか。
- 部長の返事が出るまでは、請求書の発行の手順書づくりから進めてもらえると助かります。
不安や迷いを打ち明けられたとき
不安は、励ましで打ち消すより、何が気になっているのかを具体的にしていくほうが、次の一歩につながりやすくなります。
- うまくいく気がしない、というのは、どのあたりが一番気になっていますか。
- 新しい手順で見えていないところがあれば、システムの説明書を一緒に読むところから始めましょうか。
- 前のシステムに切り替えたとき、困ったことがあれば教えてもらえますか。同じことが起きないように、今回の計画に入れておきたいです。
- 最初の1か月は、毎週15分だけ、進み具合を一緒に見る時間を取りませんか。気になることを早めに相談できるようにしておきたいんです。
部下が「でも」と心配を重ねるときも、心配をいったん受け止めてから、次の一歩の話に移ります。
- その心配はもっともだと思います。今の日程のまま進めるとしたら、何から手を付けるのがよさそうですか。
不満や諦めが続くときの話し方
不満や諦めが続くときは、理由を聞いたうえで、変えられることと変えられないことを分けて伝えます。会社として決まったことを上司が変えられないときは、そう正直に伝え、進め方の中で変えられることを一緒に探します。
- 前に、営業の人に入力をお願いしても進まなかったことがあったんですね。そのときは、何が一番困りましたか。
- 営業部への頼み方は、私も一緒に考えたいです。入力の手間を減らせる方法がないか、システムの担当にも聞いてみます。
- 営業部への説明会の段取りは、○○さんにお願いできますか。営業部長への話は、私が引き受けます。
- 切り替え自体は会社として決まったことなので、私の判断では止められません。そのうえで、進め方で変えられることは一緒に探したいと思っています。
- ○○さんが前の切り替えで見てきたことは、今回の計画を立てるうえで大事な材料です。気づいたことがあれば、遠慮なく言ってください。
ネガティブな発言が続くうえに、疲れている様子や、眠れないといった話が出てきたときは、仕事の指導の話はいったん置きます。まず話してくれたことにお礼を伝え、体調に関わることは、上司が判断せずに、産業医や人事の担当に相談できることを本人に伝えます。
- 話してくれて、ありがとうございます。仕事の量は、私のほうで一度見直します。体調のことは、産業医の先生にも相談できるので、よければ窓口をお伝えします。
部下の発言がネガティブに聞こえるときに、 避けたいこと
避けたいのは、発言を打ち消すことと、すべてを上司が抱え込むことの両方です。
- 「前向きに考えよう」と励まして終える。発言に含まれていた制約や不安が、そのまま残ります。
- 「またネガティブなことを言っている」と取り合わない。部下は、指摘しても意味がないと受け取るかもしれません。
- 逆に、心配ごとをすべて上司が先回りして解決する。部下が自分で進められる部分まで上司が引き取ると、どこまでを任せているのかが、あいまいになります。
- チームの前で、発言の仕方を注意する。発言の中身について話すときも、言い方について話すときも、二人の場にします。
- 性格の問題として決めつける。同じ人でも、仕事や時期によって、心配ごとの中身は変わります。
部下によって合う関わり方は違います。どの部下にも同じ励まし方を当てはめることを、KAKEAIはおすすめしません。
二人の話し合いがどう変わったかを振り返る
指導がうまくいったかどうかは、ネガティブな発言が減ったかどうかより、二人の話し合いのあとに、仕事が前に進んだかで振り返ります。KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、面談のよしあしは、そのあとの行動で見るものだと考えています。
- 発言が制約、不安、不満のどれに近いかを聞き分けたら、その受け取り方で合っているかを本人に尋ねます。
- 引き取った判断や調整の結果を伝えたら、次は、進め方を二人で決め直します。
- 心配ごとが次に取り組むことにつながったら、取り組む日も一緒に決めておくとよいでしょう。
- 変えられないことを理由と一緒に伝えたら、次は、変えられることを一緒に探します。
次の1on1では、前回出た心配ごとがその後どうなったかを、上司から最初に話題にしてみてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下の元気や自信がないように見えても、何がきっかけなのかがわからず、声のかけ方に迷うときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
元気がないように見える理由を推測で決めつける前に、 部下が話したいことを聞く入り方を考えられます。
Kakeai AI が、選ばれたテーマと、部下が選んだ期待する対応に合わせて、どう関わるとよいかと、最初の一言の案を書きます。たとえば、話を聞いてほしいという部下には、途中で提案を挟まずに聞く入り方が勧められます。ご自身向けの内容です。
「今後のキャリアについて、今どんなことを考えているか、聞かせてもらえますか。」…途中で整理や提案を挟まず、まず話し終えてもらうことで、何を一番伝えたかったのかが見えてきます。
話を聞いてほしいテーマがある1on1の実施中に。
仕事の話だけで時間が終わる前に、 部下が話したいと選んだことに時間を取れます。
部下は「1on1の準備」で、テーマと、上司に期待する対応(「話を聞いてほしい」など)を選べます。右の列の下の球体(Kakeai AI に話題を提案させるボタン)をクリックすると、Kakeai AI が、準備されたテーマとその回の会話をもとに話題を1つ提案します。まだ触れていないテーマがあると、そのテーマに時間を取ることを勧める提案になることもあります。
事前テーマに「今後のキャリア」(期待する対応:「話を聞いてほしい」)が挙がっています。今日の会話では競合比較の話が進みましたが、このテーマはまだ触れていません。今日のうちに少し時間を取って、今どんなことを考えているか聞かせてもらえますか?
1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
「大丈夫です」をそのまま受け取って終わらせず、 次の1on1で話を聞き直すきっかけを持てます。
部下が「大丈夫です」のような短い返事で次の話に移った場面があると、次の1on1でどう声をかけ直すかの案が書かれることがあります。ご自身向けの内容です。
次回、同じ場面に戻るとしたら、「大丈夫」の一言で終わらせず、「月曜の午前が取られると、週の動き出しはどう変わってる?」のように、具体の場面を一つ挙げて聞いてみると、小野寺さんが答えやすくなるかもしれません。
1on1の実態を1万人のデータで見たい方は、無料のレポートをお受け取りください。
ご利用企業 累計600社以上/
無料の資料
この手引きの数字のもとになった、 1万人調査のレポート
1on1の踊り場から脱却するヒント:1万人調査が解明した、形骸化を超える構造(全43ページ・PDF)
- 1万人のデータで見る、1on1の頻度・時間・場所・話題の実態
- 成果・成長の実感を左右するもの(実施理由・上司への期待・困りごと・行動への接続)
- 明日の1on1からできること(前・最中・直後・日常の4つの場面と、具体的な声のかけ方)
画面を見ながら説明を聞きたい方は、30分のオンライン説明をご予約いただけます。
よくある質問
ネガティブな発言ばかりする部下には、 どう接すればよいですか。
ネガティブな発言が続く部下には、発言を打ち消したり受け流したりせず、何が引っかかっているのかを具体的に尋ねてみてください。発言には、時間や人手の制約の指摘、不安や迷い、不満や諦めが混ざっていることがあります。制約は上司が判断や調整を引き取り、不安は何がわかれば進められるかを二人で考え、不満は変えられることと変えられないことを分けて伝えます。
ネガティブな部下を前向きにするには、 どうすればよいですか。
部下を前向きにすることを、指導の目標にしないほうがよいでしょう。「前向きに考えよう」と励ますだけでは、発言に含まれていた制約や不安がそのまま残るからです。発言の中身を聞き分け、上司が引き取れることは引き取り、心配ごとを次に取り組むことの話につなげます。指導のよしあしは、発言が減ったかどうかより、話し合いのあとに仕事が前に進んだかで振り返ります。
部下の「無理です」「できません」には、 どう返せばよいですか。
部下から「無理です」「できません」と言われたときは、まず「どの作業が一番きついですか」と、何が無理なのかを具体的に尋ねます。日程や人手のように部下の一存では変えられない制約なら、上司が判断や調整を引き取り、結果をいつ伝えるかも約束します。結果を待つ間に部下が進められる作業も、二人で決めておくとよいでしょう。
部下のネガティブな発言が、 チームの雰囲気に影響しているときはどうすればよいですか。
部下のネガティブな発言がチームに影響していると感じるときも、チームの前ではなく、二人の場で話します。まず発言の中身を聞き、制約や不安が含まれていれば、上司が引き取れることを先に扱います。会議で心配な点を出してもらうこと自体は、チームにとって役に立ちます。そのうえで、「会議の前に私にも聞かせてもらえると、一緒に準備できます」のように、会議の前に二人で話せる場を増やすのも1つの方法です。
ネガティブな発言が増えた部下が、 体調を崩しているかもしれないときは?
ネガティブな発言が増えたうえに、疲れている様子や、眠れないといった話が出てきたときは、仕事の指導の話はいったん置きます。まず話してくれたことにお礼を伝え、仕事の量は上司のほうで見直します。体調に関わることは上司が判断せず、産業医や人事の担当に相談できることを本人に伝えてください。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/negative-subordinate-guidance
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: