上司の方へ部下との関わり
自分より優秀な部下との付き合い方
先に答え
自分より優秀な部下との付き合い方は、技能で張り合うことでも、遠慮して任せきりにすることでもありません。上司の役割として、別の立場から見た意見を伝え、会社や他部署の情報を共有し、権限が要る判断を引き受けることです。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で上司に期待すること(5つまで選択)として最も多かった答えは「意見を聞きたい」の33.6%でした。意見を言うときは、まず本人の考えを聞き、それから理由と一緒に具体的に伝えてください。分からないことは、率直に認めて教わってかまいません。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、部下が上司に期待することとして最も多く選ばれたのは、上司の意見でした。また、面談で話したことが行動に移らない理由として、本人の力不足より、情報が揃っていないことのほうが多く挙げられています。上司の意見と、本人の手元にない情報を伝えることは、自分より優秀な部下との面談でも上司の役割になると考えられます。
- 33.6%
- 1万人調査
- 上司との面談で上司に期待すること(5つまで選択)として、「意見を聞きたい」を選んだ人の割合
- 選べる答えの中で最も多く、「具体的なアドバイスがほしい」「一緒に考えてほしい」が続きました。「報告したい」は25.3%、「話を聞いてほしい」は20.8%で、部下は報告や聞いてもらうことより、上司の考えを聞くことを多く期待しています。
- 15.9%
- 1万人調査
- 面談が行動につながるのが半分くらいの回以下の人のうち、「行動するために必要な情報が揃っていない」を理由に挙げた人の割合
- 「スキルが不足していてできない」は9.1%、「裁量や権限がなくできない」は9.4%でした。本人の力が足りないという理由より、情報が揃っていないという理由のほうが多く挙げられています。
- 8.2%
- 1万人調査
- 上司との面談の困りごとに「上司の話が役に立たない」を挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じる人の割合
- 回答者全体では31.9%でした。上司の話が役に立たないと感じている人では、面談の成果の実感がはっきり低くなっています。
この調査は、部下が自分の上司と比べてどちらが優秀かを尋ねていません。数字は、上司との定期的な面談について、部下の立場で答えたものです。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
自分より優秀な部下との付き合い方は、 張り合うことでも、任せきりにすることでもない
自分より優秀な部下との付き合い方は、上司の役割でできることに絞ると、楽になります。できることは3つあります。別の立場から意見を伝えること、会社や他部署の情報を共有すること、権限が要る判断を引き受けることです。技能で部下を上回る必要はなく、逆に、遠慮してすべてを任せきりにする必要もありません。
「部下が優秀で怖い」と感じるとき、上司が心配しているのは、自分の話が役に立たないのではないか、ということだと考えられます。ここでは、新商品の販促の企画書を作る仕事で、市場のデータの分析と企画の組み立てが上司より得意な部下と一緒に仕事をする場面を例に、上司に何ができるかを見ていきます。
| 部下のほうが得意なこと | 上司の役割でできること |
|---|---|
| 市場の | 経営会議で |
| 販促の | 営業や |
| 資料の見せ方 | 予算を |
部下が上司との面談で最も多く期待しているのは、 上司の意見
KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で上司に期待すること(5つまで選択)として最も多かった答えは「意見を聞きたい」で、33.6%でした。これに「具体的なアドバイスがほしい」「一緒に考えてほしい」が続き、「報告したい」は25.3%、「話を聞いてほしい」は20.8%です。部下が上司に期待することとしては、報告や聞いてもらうことより、上司の考えを聞くことが多く選ばれているということです。
同じ調査では、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、その理由を尋ねています。「スキルが不足していてできない」を挙げた人は9.1%で、「行動するために必要な情報が揃っていない」は15.9%、「裁量や権限がなくできない」は9.4%でした。本人の力が足りないという理由より、情報が揃っていないという理由のほうが多く挙げられているということです。
一方、同じ調査で、上司との面談の困りごとに「上司の話が役に立たない」を挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じる人は8.2%でした。回答者全体では31.9%です。上司の話が役に立たないと感じている人では、面談の成果の実感がはっきり低くなっています。
会社の方針や他部署の事情といった情報は、部下がどれだけ優秀でも、役割の上で上司のほうに先に入ってきます。権限が要る判断も、役割の上では上司が引き受けるものです。そのため、部下より詳しい話でなくても、部下の手元にない情報と上司の判断は、役に立つ話になりうると考えられます。
なお、この調査は、部下が自分の上司と比べてどちらが優秀かも、どんな話が役に立つのかも尋ねていません。
自分より優秀な部下に意見を伝えるとき: 本人の考えを先に聞き、 理由と一緒に具体的に
優秀な部下に意見を言うときは、まず本人の考えを聞き、そのうえで、上司の立場から見えることを理由と一緒に伝えます。本人には既に考えがあることが多いので、先に上司が意見を言うと、本人の考えを聞く前に話が終わってしまいがちです。
- 企画書、読みました。私の意見を言う前に、○○さんがこの案で一番自信のあるところと、迷っているところを教えてもらえますか。
- 分析は、私が読んでも新しい発見がありました。そのうえで、経営会議の側から見ると、気になる点が1つあります。初年度の利益の見通しが、議論の最初に聞かれる項目なんです。
- 営業部は、この時期に新しい販促を始めると、既存のお客様への案内と重なると考えています。先週の部長会で出た話なので、○○さんの耳にはまだ入っていないと思います。
- 今の話は、役に立ちそうですか。ずれていたら、どこがずれているかを教えてほしいです。
本人の案に対して、上司が「採用する」「しない」と裁定する形にはしません。よいと思った点と気になった点を、理由と一緒に伝えます。
- 私は、この案のうち、ターゲットの絞り方がいいと思っています。営業が説明しやすい形になっているからです。気になるのは予算の配分で、後半に寄りすぎているように見えるのですが、○○さんはどう考えていますか。
- 私の意見が的を外していたら、遠慮なく言ってください。企画の中身は、○○さんのほうがよく見えていると思います。
意見を求められたのに、答えを持っていないこともあります。そのときは、持っていないと言ったうえで、いつまでに何をするかを伝えます。
- その点は、今の私には判断がつきません。製造部の△△さんに確認して、木曜までに返事をします。
優秀な部下に情報を伝え、 判断を引き受け、 分からないことは教わる
上司の役割でできることのうち、部下に一番届きにくいのは、会社の方針や他部署の事情といった情報です。上司には自然に入ってくるので、部下にも伝わっているつもりになることがあります。会議で聞いたことのうち、本人の仕事に関わることは、その週のうちに伝えるとよいでしょう。
- 今日の経営会議で、来期の予算の考え方が変わりそうだという話が出ました。企画書の予算の部分に関わるので、決まっている範囲でお伝えします。
- 決まっていないことも含めて話すので、社外には出さないようにお願いします。方向が見えたら、またすぐに伝えます。
判断は、上司が引き受けます。優秀な部下に判断までゆだねると、本人は権限のないまま責任だけを負うことになりがちです。
- 2つの案のどちらで進めるかは、私が責任を持って決めます。○○さんの分析を踏まえて、営業の負担が小さいB案にしたいと考えています。○○さんは、どう思いますか。
- 部長への説明は、私がします。
- 予算の上限は、私の責任で決めるつもりです。今考えている範囲をお伝えするので、企画の中身から見て足りないところがあれば教えてください。
- 営業部との日程の調整は、私が引き受けます。○○さんには、企画の中身に時間を使ってもらえると助かります。
- 私にしか決められないことが出てきたら、面談を待たずに声をかけてください。その日のうちに返事をします。
本人のほうが詳しいことは、分からないと率直に認めて教わってください。知らないことを隠して話を合わせるより、教えてもらうほうが、仕事は進めやすくなります。
- このデータの読み方は、正直に言うと私は追いつけていません。15分ほど時間をもらって、教えてもらえますか。
- 教えてもらった分析の考え方を、来週の部長会で使いたいです。○○さんの名前を出して説明してかまいませんか。
- 先週の部長会で、この分析は○○さんが組んだものだと伝えました。部長から直接質問が行くかもしれません。
教わった内容を会議などで使うときは、本人の名前を出し、本人の仕事であることを周りにも伝えてください。上司が自分のものとして話してしまうと、本人の仕事が周りから見えなくなります。
自分より優秀な部下との付き合い方で、 避けたいこと
避けたいのは、優秀さを理由に、上司の関わり方を1つに決めてしまうことです。張り合う方向にも、引きすぎる方向にも起こります。
- 技能で張り合う。本人の分析に、上司が同じ土俵で反論しようとすると、上司としての意見や情報を伝える時間がなくなります。
- 威厳を保つために、情報を小出しにする。1万人調査では、面談のあとに行動へ移らない理由として、本人の力不足より情報が揃っていないことのほうが多く挙げられていました。会社の方針や他部署の事情は、本人の仕事に関わる範囲で、分かった時点で本人に知らせます。
- 逆に、優秀だからと、判断までゆだねる。権限がないまま判断を任された部下は、責任だけを負うことになりがちです。判断は上司が引き受け、本人の案のよいところを生かします。
- 本人の案を、採用するかしないかで返す。よい点と気になる点を、理由と一緒に伝えます。
- 評価や昇進を、引き止めや励ましのために口にする。「次は昇進させるつもりです」のように、上司の一存で決められないことを約束しません。
評価の話をするときは、基準と事実を一緒に見て、上司の考えとして伝えます。
- 評価シートのこの項目を、一緒に見てもらえますか。企画の仕事は、私は今期、高く評価したいと考えています。理由は、営業が使える形で企画を出せたことです。○○さんは、どう感じていますか。
優秀な部下との仕事がうまくいっているかを、 どこで見るか
自分より優秀な部下との仕事がうまくいっているかは、本人が上司を頼ってくれたかではなく、上司からの意見や情報、判断が本人の仕事に届いているかで振り返ります。次の点を、月に1回ほど自分に問いかけてみてください。
- この1か月で、会議や他部署から入った情報のうち、本人の仕事に関わるものを、その週のうちに伝えられたでしょうか。
- 本人の案に意見を言うとき、本人の考えを先に聞いてから、理由と一緒に伝えられたでしょうか。
- 上司が判断を引き受けるべきところで、本人に判断をゆだねてしまった場面はなかったでしょうか。
- 本人から教わったことを、本人の仕事として周りに伝えられたでしょうか。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司と部下は役割が違うだけで、どちらも仕事の当事者だと考えています。優秀な部下との間でも、上司の仕事は部下を上回ることではありません。上司としての意見と情報を伝え、判断を引き受けて、部下の仕事を前に進めることです。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下からの反論や強い言い方を、その場でどう受け止めればよいか迷い、あとから関係がぎくしゃくしてしまうときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
反対の意見が出た1on1の最中と後に、「1on1のAI要約」で。
部下の反論を感情のぶつかり合いとしてではなく、 1つの意見として記録に残し、 あとから二人で同じ言葉に立ち返れます。
部下が述べた意見は、誰が何を述べたかという形で「1on1のAI要約」に残ります。評価の言葉ではなく、事実の言葉で書くように作られています。
石田さんは「要件が固まらないまま試作の日程だけが決まっている」のは順番としておかしいと述べた。
1on1の終了後に、「今回よかった点」で。
部下の意見を、 言葉で受け止めるだけでなく、 その場で引き取った動きとして示せていたかを振り返れます。
部下の指摘や懸念を受けて、ご自身がその場で次の動きを引き取った場面があると、その返し方が、実際の発言とともに書かれることがあります。ご自身向けの内容です。
石田さんへの確認を引き取ると伝えたことで、長谷部さんが「両方の工程を用意しておきます」と自分の一歩を言語化するところまで進みました。
次の1on1の前に、前回の「次の1on1や日常へ向けて」で。
口数が少なくなった部下に、 次の1on1でどの話の流れから声をかけるかを準備できます。
部下が短い返事で話を終えた場面について、次回どの話の流れで、どんな一言で尋ねるとよいかが書かれることがあります。たとえば、同じ問いを繰り返すのではなく、部下が自分から持ち込んだ話の続きとして尋ねる案が示されます。
次回、…「主幹として動いてみて、何か引っかかっていることはありますか。」と一言置いてみてください。前回と同じ問いを繰り返すのではなく、今日の会話で石田さんが自分から持ち込んだ「進め方がおかしい」という言葉の延長として聞くと、業務の話として入りやすくなります。
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よくある質問
自分より優秀な部下が怖いと感じるのは、 上司として問題ですか。
自分より優秀な部下を怖いと感じるとき、心配の中身は、自分の話が役に立たないのではないか、ということだと考えられます。ただし、上司の役割は、技能で部下を上回ることではありません。部下より詳しくなくても、会社の方針や他部署の事情といった部下の手元にない情報と、権限が要る判断は、上司の役割として伝えられます。上司の役割をそこに絞ると、怖さは小さくなっていくでしょう。
優秀な部下には、 上司は口を出さずに任せたほうがよいですか。
優秀な部下にも、上司の意見と情報、権限が要る判断を伝える場面はあります。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で上司に期待すること(5つまで選択)として最も多かった答えは「意見を聞きたい」の33.6%でした。任せる範囲は広くてかまいませんが、会社の方針や他部署の事情といった情報は上司から伝え、権限が要る判断は上司が引き受けてください。任せることと、情報や判断を伝えないことは、別の話です。
自分より優秀な部下に、 指導や指摘をしてもよいですか。
自分より優秀な部下にも、上司の立場から見えることは伝えてかまいません。ただし、技能の中身で張り合うのではなく、会社や他部署やお客様の側から見て気になる点を、事実と理由で伝えます。まず本人の考えを聞き、続けて「経営会議の側から見ると、この点が最初に聞かれます」のように具体的に言うとよいでしょう。本人の案を採用するかしないかで返さず、よい点と気になる点を理由と一緒に伝えてください。
優秀な部下に、 上司が分からないことを聞いてもよいですか。
優秀な部下に、上司が分からないことを聞くのは、かまいません。知らないことを隠して話を合わせるより、「この分析の読み方は追いつけていないので、15分教えてもらえますか」と率直に頼むほうが、仕事を進めやすくなります。教わった内容を会議などで使うときは、本人の名前を出し、本人の仕事であることを周りにも伝えてください。
優秀な部下に、 将来の昇進や評価の話をして引き止めてもよいですか。
優秀な部下に対して、上司の一存で決められない昇進や評価の結果を約束することは避けてください。「次は昇進させるつもりです」と言って実現しなかったときには、本人の期待を裏切ることになります。伝えてよいのは、上司の考えとしての評価と、その理由です。評価シートの項目を一緒に見ながら「私は今期、ここを高く評価したいと考えています。理由は〜です」と伝え、本人の感じ方を尋ねるとよいでしょう。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/more-capable-subordinate-relationship
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: