上司の方へ部下との関わり
部下の不始末やミスで上司はどこまで責任を負うか
先に答え
部下の不始末やミスで上司が負う責任は、3つに分けると範囲が見えてきます。1つ目は会社としての対応で、お客様への連絡や社内への報告の窓口は上司が引き受けます。2つ目は人事上の処分や評価で、減給や懲戒がどうなるかは就業規則で決まるので、上司の一存で言わず人事の担当に確認します。3つ目は再発を防ぐ仕組みで、情報と権限が部下に届いているかを見直すのは上司の仕事です。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談のあと行動につながらない理由に「行動するために必要な情報が揃っていない」を挙げた人が15.9%いました。面談についての数字ですが、部下が動けない理由には上司の側で用意できるものが含まれていると考えられます。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で話したことが行動につながらない理由を尋ねました。「行動するために必要な情報が揃っていない」を挙げた人は15.9%で、「スキルが不足していてできない」の9.1%より多くいました。「裁量や権限がなくできない」は9.4%で、スキルの不足と同じくらいです。面談についての数字ですが、ミスのあとに情報と権限が部下に届いていたかを見直す手がかりになります。処分や評価の扱いは、就業規則と人事の担当に確認してください。
- 15.9%
- 1万人調査
- 面談が行動につながらない理由に「行動するために必要な情報が揃っていない」を挙げた人の割合
- 上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人(5つまで選択)の数字です。「スキルが不足していてできない」は9.1%でした。動けない理由として、本人の力の不足より、情報が揃っていないことを挙げた人のほうが多いということです。
- 9.4%
- 1万人調査
- 面談が行動につながらない理由に「裁量や権限がなくできない」を挙げた人の割合
- 同じく、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人の数字です。「スキルが不足していてできない」の9.1%とほぼ同じ割合です。動けない理由として、本人の力の不足と同じくらい、権限がないことを挙げる人がいるということです。
この調査は、部下のミスや上司の責任について尋ねたものではありません。数字は、上司との面談で話したことが行動につながらない理由を、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に尋ねた結果です。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下の不始末やミスで上司が負う責任は、 3つに分けて考える
部下の不始末やミスで上司がどこまで責任を負うのかは、責任を3つに分けると答えやすくなります。1つ目は、起きたことへの会社としての対応です。2つ目は、人事上の処分や評価です。3つ目は、同じことを繰り返さないための仕組みです。この3つは、決める人も、上司がすることも違います。
| 責任の種類 | 誰が決めるか | 上司がすること |
|---|---|---|
| 起きたことへの | 上司と、 | 窓口を |
| 人事上の | 就業規則と | 上司の |
| 再発を | 上司と | 部下の |
このうち、上司が自分の責任として確かに負えるのは、1つ目と3つ目です。2つ目は会社の規則で決まることなので、上司が範囲を決めることはできません。部下のミスで上司が減給になるのか、懲戒の対象になるのかは、会社ごとの就業規則で決まっています。このページでは法律や規則の判断には触れず、就業規則と人事の担当に確認することをおすすめします。そのうえで、面談で部下にどう言うかを書きます。
以下では、お客様に渡すパンフレットの発注で、部下が部数を1桁間違えて印刷会社に注文し、余分な費用と納期の遅れが出た場面を例にします。
ミスが起きた直後の責任: 会社としての対応の窓口は上司が引き受ける
ミスが分かった直後に上司が負う責任は、お客様や社内への対応の窓口になることです。部下だけで謝りに行ってもらうことも、部下を外して上司だけで対応することも、どちらもおすすめしません。窓口は上司が持ち、事実の整理と復旧は二人で進めます。
部下から報告を受けたときの最初の一言は、責める言葉ではなく、事実を一緒に確認する言葉にします。
- 教えてくれて、ありがとうございます。まず、今分かっていることを一緒に整理しましょう。注文した部数と、印刷がどこまで進んでいるかを教えてください。
- お客様と印刷会社への連絡は、私から入れます。○○さんには、経緯を時間の順に書き出してもらえますか。お客様に正確に説明するために、二人で経緯をそろえておきたいんです。
- 費用のことは、この場では決めません。先に、納期に間に合わせる方法を考えましょう。
その日のうちに全部を終わらせようとせず、どこまでを今日やるかを決めます。
- 今日は、印刷会社への連絡と、お客様への第一報までにしましょう。残りは明日の朝一番で、続きを話せますか。
お客様への説明に部下が同席するかどうかは、本人と相談して決めます。同席を頼むときは、何のためかを添えます。
- お客様への説明には、私が行きます。○○さんにも来てもらいたいのですが、謝るためというより、経緯を一番正しく話せるのが○○さんだからです。難しければ、私だけで行きます。
上司の上司への報告も、上司の仕事です。報告の内容は、部下に先に伝えておきます。
- 部長には、私から今日のうちに報告します。○○さんの知らないところで話が進まないように、何をどう伝えるかを先にお話ししておきます。
減給・懲戒・評価の責任: 上司の一存で決めず、 就業規則と人事に確認する
減給や懲戒の扱いと、上司自身の処分は、就業規則で決まることです。上司がその場で「減給になる」「評価を下げる」と言うことも、「評価には響かないから安心して」と言うことも、どちらも上司の権限を超えています。部下から尋ねられたら、分からないことは分からないと伝え、確認する日を約束します。
- それは、私の判断で決められることではありません。就業規則にどう書かれているかを人事に確認して、金曜までにお伝えします。
- 評価にどう反映されるかも、今の時点では私からは言えません。分かったことは、そのまま伝えます。
遅刻が続くときや、仕事が思うように進まないときも、同じ分け方で考えます。勤務や仕事の出来そのものは、本人が引き受けることです。一方で、決まりを伝えていたか、任せる範囲と確認の間隔が合っていたかは、上司の責任です。人事上の扱いは、やはり就業規則と人事の担当に確認します。遅刻の扱いを上司が自分の判断で「次は減給」と言わないのは、ミスのときと同じです。
部下が「全部私の責任です」と言うときも、「上司の責任です」と言うときも、どちらか一人に寄せる話にしません。
- 責任を○○さん一人に負わせるつもりはありません。確認の仕組みを決めていなかったのは私です。ただ、処分がどうなるかは、私にも○○さんにも決められないので、人事の返事を待ちましょう。
再発を防ぐ責任: 部下の注意力に頼らず、 情報と権限が届く状態を作る
再発を防ぐ責任は、上司の責任のうち、上司が最も確かに果たせるものです。「次からは気をつけてください」で終えると、次に頼れるのは部下の注意力だけになります。見直すのは、部下に必要な情報と権限が届いていたか、確認の間隔が合っていたかです。
KAKEAIの1万人調査では、上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、その理由を尋ねています(5つまで選択)。「行動するために必要な情報が揃っていない」を挙げた人は15.9%、「裁量や権限がなくできない」を挙げた人は9.4%でした。「スキルが不足していてできない」は9.1%です。部下が動けない理由として、本人の力の不足より、情報が揃っていないことを挙げた人のほうが多いということです。
面談についての数字で、ミスの原因を尋ねたものではありません。ただ、情報と権限は上司の側で用意できるものなので、ミスのあとも同じ点を見直す価値があると考えられます。発注の例では、見直す点は3つあります。部数の根拠になる資料が部下に渡っていたか、発注の前に誰かが確認する決まりがあったか、金額がいくらを超えたら上司の確認が要るかです。
- 今回のことを、○○さんの注意の問題にはしたくないんです。部数を決めたとき、どの資料を見ていたか教えてもらえますか。
- 発注の前に私が一度見る決まりにしていれば、今回は防げたと思います。それを決めていなかったのは、私の側の問題です。
- 一定の金額を超える発注は、二人で確認してから出す形にしませんか。○○さんは、どこで線を引くのがよいと思いますか。
- 印刷会社に部数の確認を返してもらう手順を足すのはどうでしょう。手間は増えますが、○○さんの考えを聞かせてください。
- 次に同じような注文を出すときは、出す前に一言声をかけてもらえますか。私も、その日は時間を空けておきます。
決めたことは、その場で二人で確認し、メモに残しておくとよいでしょう。あとで「言った」「聞いていない」の食い違いを防ぐためです。
部下のミスへの対応で、 避けたいこと
避けたいのは、責任をどちらか一人に寄せることと、上司の権限を超えたことを口にすることです。
- 「全部私の責任だ」と言って、部下から仕事を取り上げる。上司が一人で引き受ける姿は潔く見えますが、部下は、何が起きて何を直すのかを知る機会をなくします。次の発注を上司が代わりにすると、仕事を任せた意味もなくなります。
- 逆に、「本人の責任だから」と、謝罪も後始末も部下一人に任せる。お客様への対応の窓口は上司の仕事です。部下だけで謝りに行くと、お客様から見ても会社の対応になりません。
- その場で、減給や評価について上司が言う。「評価に響く」も「響かない」も、上司の一存では言えません。
- 原因を本人の性格にする。「そそっかしい」「確認が甘い」は、直し方になりません。見直すのは、情報、権限、確認の手順です。
- 注意を強くすれば防げると考える。強く言われた部下は、次のミスを報告しにくくなるかもしれません。報告が遅れることのほうが、ミスそのものより大きな損になることがあります。
部下のミスのあと、 二人の仕事がうまく回っているかを、 どこで見るか
ミスへの対応がうまくいったかどうかは、処分の軽重ではなく、そのあとの二人の仕事の進み方で振り返ります。次の点を、1か月ほどたったときに自分に問いかけてみてください。
- 上司が引き受けたこと(お客様への連絡、人事への確認、上司の上司への報告)を、約束した日までにできたでしょうか。
- 二人で決めた確認の手順は、今も続いているでしょうか。手間が大きすぎて止まっているなら、見直しの話をしているでしょうか。
- 小さな間違いや気になることを、早い段階で二人の間で話せるようになっているでしょうか。
- どこまでを部下の判断で進めてよいかを、二人の間で以前より明確にできているでしょうか。
- あれから1か月たちましたね。発注の前の確認は、手間になりすぎていませんか。続けやすい形に直したいので、率直に教えてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
ミスや仕事の遅れが続くとき、本人の性格や能力のせいにする前に、仕事のどこで止まっているのかを二人で確かめたいときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
遅れを話す1on1の最中と後に、「1on1のAI要約」で。
遅れの原因を、 本人への評価ではなく、 仕事のどこで止まっていたかという事実として、 二人が同じ記録を見ながら確かめられます。
Kakeai AI が会話をもとに、2分ごとに「1on1のAI要約」全体を書き直します。何がわからずに止まっているのか、誰が何をいつまでにするのかが、評価の言葉ではなく、二人が話した事実の言葉で書かれるように作られています。終了後はそのまま履歴に残ります。
…引き継ぎの担当者一覧が、先方の意思決定者の情報が不明なため作成途中になっています。三浦さんが佐々木さんに電話で直接確認した上で、6月25日までに一覧を完成させることになりました。
期限が近づいたときに、ホームで。
期限が過ぎてから気づくのではなく、 期限の前に部下に声をかけるきっかけを持てます。
ホームの「この先1週間のポイント」では、Kakeai AI が、ご自身の1on1の予定や次の一歩の期限などから、この先1週間で気にかけておくとよいことを、事実と、問いかけの形の提案で、最大3件書きます。ホームはご自身だけに表示されます。
小野寺さんとの1on1で決まった「今月の受注見込みをシステムで更新する(インドの案件を7月へ)」は6月17日が期限で、まだ完了していません。…期日前に状況を確認してみてはいかがでしょうか。
仕事を頼んだ1on1の後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
仕事の遅れの原因が、 頼む側の決め残しにある場合にも、 作業が進む前に気づけます。
会話の中で決めきれずに終わったことがあると、部下が作業を始める前に何を決めておく必要があるかと、確かめるための一言が書かれることがあります。ご自身向けの内容です。
6月23日の一次調査に向けて、対象国の範囲は森さんが表を作り始める前に決まっている必要があります。次回の冒頭か、それより前に一言確認しておくと、森さんが迷わず進められます。
1on1の実態を1万人のデータで見たい方は、無料のレポートをお受け取りください。
ご利用企業 累計600社以上/
無料の資料
この手引きの数字のもとになった、 1万人調査のレポート
1on1の踊り場から脱却するヒント:1万人調査が解明した、形骸化を超える構造(全43ページ・PDF)
- 1万人のデータで見る、1on1の頻度・時間・場所・話題の実態
- 成果・成長の実感を左右するもの(実施理由・上司への期待・困りごと・行動への接続)
- 明日の1on1からできること(前・最中・直後・日常の4つの場面と、具体的な声のかけ方)
画面を見ながら説明を聞きたい方は、30分のオンライン説明をご予約いただけます。
よくある質問
部下のミスで、 上司も減給や処分を受けることはありますか。
部下のミスで上司が減給や処分の対象になるかどうかは、会社ごとの就業規則で決まっていて、一律には言えません。気になるときは、就業規則を読み、人事の担当に確認してください。処分の有無にかかわらず、上司が自分の責任として果たせるのは、お客様や社内への対応の窓口を引き受けることと、同じことが起きないように情報・権限・確認の手順を部下と一緒に見直すことの2つです。
部下がミスをしたとき、 上司がお客様に謝りに行くべきですか。
部下がミスをしたとき、お客様への謝罪と説明の窓口は、上司が引き受けることをおすすめします。部下だけで謝りに行くと、お客様から見て会社としての対応になりません。部下に同席を頼むかどうかは本人と相談し、頼むときは「謝るためというより、経緯を一番正しく話せるのが○○さんだから」のように、何のためかを添えます。費用や処分の話は、その場では決めず、先に納期や復旧の方法を考えます。
部下の遅刻は、 上司の責任になりますか。
部下の遅刻そのものは本人の勤務の問題ですが、会社の決まりを伝えていたか、遅れると分かった時点で連絡をもらう約束をしていたかは、上司の責任の範囲です。遅刻が人事上の扱いにどうつながるか、上司の管理の責任が問われるかは就業規則で決まるので、上司の判断で「次は減給になる」と言わず、人事の担当に確認してから本人に伝えてください。
部下の仕事がうまく進まず、 成果が出ないことは、 上司の責任ですか。
仕事の出来そのものは、本人が引き受けることです。一方で、任せる範囲が今の力に合っていたか、必要な情報と権限が届いていたかは上司の責任の範囲です。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談のあと行動につながらない理由に「スキルが不足していてできない」を挙げた人は9.1%でした。「行動するために必要な情報が揃っていない」は15.9%です。面談についての数字ですが、本人の力の前に、情報と権限を見直す余地があると考えられます。
部下のミスを、 上司の上司にはどう報告すればよいですか。
部下のミスを上司の上司に報告するときは、まず起きた事実と、お客様や社内への影響を伝えます。次に、ここまでの対応と、再発を防ぐために変えることを話します。最後に、処分について人事に確認中であることを添えます。部下の性格や注意力についての評価は、報告に入れません。報告する前に、何をどう伝えるかを部下本人に話しておくと、本人の知らないところで話が進むことを避けられます。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/manager-responsibility-for-subordinate-mistakes
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: