個人目標を定例議題に。営業職の自律的成長を促す1on1

個人目標を定例議題に。営業職の自律的成長を促す1on1

パーソルキャリア株式会社 プラスサービス事業部 プロジェクトエージェント建設不動産部 マネジャー 池田 有那さん(左) / 同プラスサービス事業部 プロジェクトエージェント建設不動産部 柳 果歩さん

社名
パーソルキャリア株式会社
業界
サービス業
従業員規模
5001人以上
タイプ
ご利用ユーザーの声
導入目的
キャリア形成支援・人材育成
パフォーマンス向上

企業の採用支援と転職希望者の転職支援を一人で担う「両手型」の営業職、プロジェクトエージェント(PA)。パーソルキャリアで建設・不動産業界のPAチームを率いる池田有那さんは、メンバーの自律性向上を目指し、各自の個人目標に焦点を当てながら1on1に取り組んでいます。その結果、多くのメンバーが自らの課題と向き合うように。多くの企業で1on1の形骸化が課題となる中、池田さんのチームではどのように工夫し、対話の質を高めているのか。その実践方法を聞きました。

課題
  • メンバーが自律的に顧客への問いを立て、営業力を向上させること
  • メンバーごとの習熟度の違いに応じた適切な支援方法の確立
成果
  • メンバーの8、9割が主体的に1on1のアジェンダを準備する文化の醸成
  • 1on1で吸い上げた個別の声から組織共通の課題を発見し、改善活動へ展開

<池田さんインタビュー>

Q:現在の組織体制とマネジメント上の課題を教えてください。

30人の営業組織で、メンバーの自律性向上が課題

建設・不動産業界に特化したPAチームで約30人のメンバーを統括しています。うち20人は私が直接、残り10人はアシスタントマネジャー(AM)を通じて間接的にマネジメントしています。

現在の課題は、メンバーの自律性向上です。「両手型」営業では企業と転職希望者双方のニーズを把握し、最適なマッチングを実現する必要があります。そのためには、メンバー自身が顧客の本質的な課題を見抜き、自ら解決策を考えて提案できるようになることが求められます。

そのPAに必要なスキルや姿勢を育む手段として、1on1を活用しています。新卒入社以来、1on1が当たり前の環境で育ってきたので、馴染みがあるんです。

Q:1on1の運用ルールを教えてください。

メンバーの役割に応じて頻度と内容を使い分け

1on1は基本30分、頻度と内容はメンバーのミッション、役割、状態によって変えています。

アシスタントマネジャーとは週1回以上実施し、彼女が管理する10人の現状や目標達成の戦略について話し合います。また、各チームを牽引してくれているリーダーとも週1回、現場の状況や顧客活動について綿密に議論します。

そのほかのメンバーとは隔週から月1回程度です。彼らは日常的に各チームのリーダーやブラザーから業務指導を受けているため、私との時間は内省や成長支援がメイン。私からキャリアの話題を投げかけるなど、メンバーがより大きな視点で自身の成長を考える機会を提供しています。

実施形態も工夫しています。直下でマネジメントしている20人とはリモート(Teams)中心、間接マネジメントの10人とは日常的な接点が少ないため、出社日に対面で実施するよう調整しています。

Q:対話の質を高めるための工夫を教えてください。

個人目標を定例議題にし、メンバー主体の対話を実現

基本方針は「1on1はあなたの時間」です。冒頭で必ず「今日何話したい?」と聞くようにしています。

最も重要な工夫は、半期の目標設定との結びつけです。私のチームでは「顧客深耕」「行動量」「組織貢献」「能力開発」などの観点から半期ごとに個人目標を設定しますが、それらを1on1の定例議題としても取り上げます。そうすることで、特に経験の浅いメンバーは、何を話せばよいかが明確になるため、準備しやすくなります。

もちろん、その都度話したいテーマを持ち込んでも構いません。その場合は時間配分を調整し、両方のテーマを扱います。

継続性を保つ工夫も重要です。1on1の最後に、本人が話しきれなかった内容や、私から深掘りしたいポイントを確認し、「次回はこれについて考えてきてください」と宿題を出します。

これらの仕組みによって、現在では8、9割のメンバーが自らアジェンダを考えて1on1に臨むようになりました。

Q:30人規模のマネジメントで、Kakeaiはどう役立っていますか?

記憶の限界を補完し、組織課題の発見にも活用

毎日幾つも会議がある中、30人分の1on1の内容まで細かく覚えておくことはできません。Kakeaiはメモや対話の履歴が残るので助けられています。

メンバーの家族事情や悩み、私から上司に相談すべきことなどは自分だけが見えるメモ欄に記録し、次回の「宿題」については双方が見えるメモ欄に記載しています。

個別のトークテーマを設定できる「2人のテーマ」も活用しています。半期の個人目標をベースに、各メンバーと話し合うべき定例議題を決めて登録。顧客活動、組織貢献、能力開発など個々人の議題を明確にしながら1on1を進めています。

蓄積された履歴を見返していると、複数のメンバーが実は同じことを思っていたりすることに気づくことがあります。チーム共通の課題を発見した時は、リーダーと相談してチームミーティングの議題に上げ、組織改善につなげています。

Q:1on1を実践する中で直面した困難と、それをどう乗り越えたか教えてください。

「問い」を投げる力の不足を他者から学んで克服

アシスタントマネジャーになりたての頃は、ただ聞くだけの人になってしまいました。メンバーの性格に合わせて、どう問いを投げれば自己認知が進み、行動変容につながるか。このアプローチに苦戦しました。

1on1は他者のやり方を見る機会がほとんどありません。そこで上司や、メンター役を務めてくれる他部署のゼネラルマネジャーとの1on1で「これはいい問いだな」と思ったものをひそかにメモして、自分でも試すようにしています。

新任のアシスタントマネジャーには、私の1on1に同席してもらったり、逆に私が同席したりして、実地で学んでもらっています。

実践を重ねて得た気づきは、仮に的確な問いかけができても、メンバーがその場ですぐに腹落ちするとは限らない、ということです。

その時は響いていなくても、1カ月後、半年後に「あの時、上司が言っていたのはこういうことだったんだ」と気づいてくれることもある。さまざまな角度から問いかけを重ねることで、メンバーの気づきを促すことが大切だと考えています。

<柳さんインタビュー>

Q:メンバーから見たKakeaiの活用状況を教えてください。

「メモ」と「履歴」を活用し、準備と振り返りを習慣化

2023年新卒入社の3年目です。現場配属の9月から1on1が始まり、その1、2カ月後にKakeaiが導入されたので、私にとってはKakeaiでの1on1がスタンダードです。

頻度は2週間に1回。池田さんが予約を入れてくださるので、貴重な時間をいただいているという感覚があります。

話すのが得意ではないため、Kakeaiのメモ機能を活用して相談内容を事前に整理しています。しっかり準備することで、聞きたいことや話したいことの漏れがなくなり、限られた時間を有効に使えるようになりました。また、Kakeaiには過去の1on1の履歴が残るので、後から振り返りたい時に内容を確認できて助かっています。

Q:1on1でのマネジャーの言動で、特に信頼関係の構築につながったと感じるものはありますか。

入念な事前準備とメンタルのケア

池田さんは1on1の冒頭で、私がKakeaiに書いた相談内容を見て「今日これ話したいんだよね」と確認してくださいます。また「最近好調だね」「ちょっと落ち込んでそうだけどどう?」と、私の状況も気にかけてくださる。書いた内容全てに触れようとしてくれるのがうれしいです。

担当企業への深耕方法について相談したいと書いた際、その企業の関連データを池田さんが用意してくださったこともありました。おかげでスムーズに議論が進み、しっかり見てもらえているという安心感を覚えました。

Q:メンバーとして1on1が持つ価値をどう感じていますか。

成長実感の獲得と、安心して相談できる環境

1on1の価値の一つは、自分の成長を客観的に確認できることです。月1回、目標の振り返りを行っていますが、その際に池田さんは私が気づかなかった数値の変化を指摘してくれます。「ここも上がっているよね」と言われることで、自分の行動が成果につながっている実感を得られ、モチベーションにもつながっています。

もう一つは、相互理解が進むことです。自分の状況を理解してもらえるだけでなく、上司がどう思っているかも把握できる。その結果、話しやすさが格段に高まり、日常業務においても気兼ねなく相談できるようになります。

もし1on1がなかったら、悩みを吐き出す場所がなくなり、気持ちの部分でしんどくなる気がします。業務報告にとどまらず、成長と心理的な支えの両方を得られる場として、1on1は私にとって欠かせない時間です。


※上記事例に記載された内容は、2025年09月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。

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