上司の方へ部下との関わり
自己中心的な部下をどう指導すればよいか
先に答え
自己中心的に見える部下を指導するときは、「自己中心的だ」と人柄を指摘するのではなく、起きていることを1つ選んで仕事の話として伝えることをおすすめします。周りの依頼の後回しや、打ち合わせの内容の非共有といった具体的な行動のことです。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談をしている理由(5つまで選択)に「会社や組織の考えや状況を理解するため」を選んだ人は38.5%で、2番目に多い答えでした。部下の側も、会社や組織の状況を知ることを面談に求めているということです。誰が何を待っているかを、上司が事実として伝えてください。そのうえで、優先順位のうち上司が決める部分は上司が引き受け、本人の判断でよい範囲を二人で確認します。
数字で見る
上司との面談で、部下は自分の仕事を進めることと並んで、会社や組織の状況を知ることを求めています。また、面談のあと行動につながらない理由として、やりたくないという理由より、必要な情報が揃っていないという理由を挙げた人のほうが多いという結果でした。面談についての数字ですが、自己中心的に見える動きも、周りの状況が本人に届いていないところで起きていることがあると考えられます。指導では人柄ではなく、誰が何を待っているかという事実と、優先順位の決め方を話題にしてください。
- 38.5%
- 1万人調査
- 上司との面談をしている理由(5つまで選択)に、「会社や組織の考えや状況を理解するため」を選んだ人の割合
- 「自分の仕事を進めるため」52.8%に次いで2番目に多い答えでした。部下の側は、自分の仕事を進めることと並んで、会社や組織の状況を知ることを面談に求めています。
- 15.9%
- 1万人調査
- 面談のあと行動につながりにくいと答えた人のうち、理由に「行動するために必要な情報が揃っていない」を選んだ人の割合
- 面談のあと行動につながるのが半分くらいの回かそれより少ないと答えた人の答え(5つまで選択)です。「自己像・ありたい姿と衝突してやりたくない」8.3%より多く挙げられていました。やりたくないという理由より、情報が足りないという理由を挙げた人のほうが多いということです。
調査は、部下が周りからの依頼や情報の共有をどう扱っているかを尋ねたものではありません。2つの数字は、上司との面談をしている理由と、面談のあと行動につながらない理由についてのものです。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下が自己中心的に見えるときの指導は、 人柄ではなく起きていることから始める
「自己中心的」は、上司の目に映った結果をまとめた言葉で、本人に伝えても何を変えればよいのかが伝わりません。指導を始める前に、実際に起きていることを分けてください。上司が自己中心的だと感じるとき、実際に起きていることは、たとえば次のようなものです。
- 周りからの依頼を後回しにしていること。
- 打ち合わせで得た情報を、自分だけで持っていること。
- 会議で自分の案だけを主張し、ほかの案を聞かないこと。
- 成果を、自分だけの手柄として話すこと。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談をしている理由(5つまで選択)に「会社や組織の考えや状況を理解するため」を選んだ人は38.5%でした。「自分の仕事を進めるため」52.8%に次いで、2番目に多い答えです。つまり、部下の側は、自分の仕事を進めることと並んで、会社や組織の状況を知ることを面談に求めているということです。
1万人調査では、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、その理由も尋ねています(5つまで選択)。「行動するために必要な情報が揃っていない」は15.9%で、「自己像・ありたい姿と衝突してやりたくない」8.3%や「スキルが不足していてできない」9.1%より多く挙げられていました。この質問に答えた人の中では、やりたくないという理由より、情報が足りないという理由を挙げた人のほうが多いということです。
面談についての数字ですが、自己中心的に見える動きも、誰が何を待っているかという周りの状況が本人に届いていないところで起きていることがあると考えられます。本人は、自分の担当の中だけで優先順位を決めているのかもしれません。そうであれば、指導の中身は人柄を直すことではなく、周りの状況を事実として伝えることと、優先順位のうち上司が引き受ける部分を明らかにすることです。
KAKEAIは、1on1は、その部下の仕事を決められる直属の上司が行うのがよいと考えています。ただし、上司であっても、部下の仕事を見てもいないなら、上司が行う意味はありません。優先順位を決めることと、本人の仕事の様子を自分の目で見ることは、この場面でも直属の上司にしかできない仕事です。以下では、新しい受注管理の仕組みを導入するプロジェクトを任されている部下を例にします。
自己中心的に見える4つの行動と、 本人の側にありうる事情
同じ行動でも、本人の側の事情は1つではありません。事情を決めつけずに、最初の一言は、起きている事実と、尋ねる言葉で始めます。
| 起きていること | 本人の側にありうる事情 | 最初の一言 |
|---|---|---|
| 周りからの | 誰が | 「経理から |
| 情報を | 共有する | 「ベンダーとの |
| 会議で | 自分の | 「○○ |
| 成果を | 周りの | 「導入が |
周りの依頼を後回しにしているとき: 優先順位を二人で決める
周りの依頼を後回しにしているときは、本人を責める前に、誰が何を待っているかを本人が知っているかを確かめます。知らないなら、伝えるのが先です。知っていて後回しにしているなら、優先順位の判断が二人で食い違っているということなので、上司が引き受ける部分を本人に伝えます。
- 経理から頼まれていたデータ形式の確認、まだ返していないと聞きました。今、何を優先して進めているか教えてもらえますか。
- ベンダーとの調整を先にしているんですね。急ぐ理由はわかります。ただ、経理の確認が止まると、月末の締めの作業が全部待つことになります。
- 他部署が待っている依頼の順番は、私が引き受けて決めたいです。今週は経理の確認を先に、ベンダーの調整は木曜からにしませんか。この順番で、進めにくいところはありますか。
誰が何を待っているかは、本人の席からは見えにくいものです。上司の側で、周りの状況が本人に届く形を作ります。
- 誰が何を待っているかは、○○さんの席からは見えにくいと思います。これからは、週の初めに私が一覧にして共有します。
- 自分の担当の中で順番を決めてよいことと、私に聞いてほしいことを一度分けておきませんか。他部署が待っている依頼は、順番を決める前に私に一声かけてください。
情報を共有しない、 会議で自分の案だけを主張するとき
打ち合わせの内容を共有していないとき
打ち合わせの内容が共有されていないときは、共有してほしい理由を、上司の都合ではなく仕事の理由で伝えます。共有の形は、本人の手間が増えすぎないものを二人で決めます。
- ベンダーとの打ち合わせの内容が、○○さんしか知らない状態になっています。責めたいのではなく、○○さんが休んだ日に誰も答えられないのが心配なんです。
- 打ち合わせのあとに、決まったことを3行でチームのチャットに書いてもらえますか。私も、経営会議で決まったことは同じ日に書きます。
- 共有の形は、○○さんがやりやすいものでかまいません。チャットが手間なら、週の定例で口頭でも大丈夫です。
会議で自分の案だけを主張しているとき
会議で自分の案だけを主張しているときは、その場で案を否定せず、ほかの案の懸念に答える形に話を向けます。決めるのは上司の役割なので、両方の案を聞いたうえで上司が決めます。
- ○○さんの案は、よく考えられていると思います。ただ、△△さんの案の懸念に答えないまま進めると、あとで同じ話が出ます。△△さんの懸念に、答えられる点はありますか。
- どちらの案で進めるかは、両方の話を聞いたうえで、私が判断を引き受けます。今日はまず、△△さんの話を最後まで聞きませんか。
成果を自分だけの手柄として話すときは、上司が周りの手助けを言葉にします。
- 導入が予定通り進んでいるのは、○○さんの設計があったからです。同時に、データの移行は△△さんが週末に対応してくれました。部長への報告では、私から二人の名前を挙げます。
- ○○さんからも、△△さんの分を一言添えてもらえると助かります。次の案件で、△△さんが協力しやすくなります。
部下が自己中心的に見えるときの指導で、 避けたいこと
周りの部下から「○○さんは自己中心的だ」と苦情が来たときに、その言葉のまま本人に伝えることが、最も避けたいことです。苦情は手がかりですが、本人の仕事の様子を上司が自分の目で見るまでは、何が起きているかはわかりません。
- (周りの部下に)話してくれてありがとうございます。○○さんと話す前に、私も実際の様子を見てみます。何があったか、具体的な場面を教えてもらえますか。
- (本人に)先週の進め方について、少し話したいことがあります。私が見た範囲の話なので、違っていたら教えてください。
- (本人に)○○さんの側で、周りに伝わっていないと感じていることがあれば、それも教えてください。
- 「自己中心的だ」「周りを見なさい」と人柄の言葉で指導すること。本人は何を変えればよいかがわからず、評価されたという印象だけが残りがちです。起きていることを1つ選んで伝えてください。
- 周りの苦情だけで判断すること。本人の側の事情は、本人に聞くまでわかりません。上司が自分の目で仕事の様子を見てから、本人と話します。
- 優先順位の判断を本人に任せたまま、結果だけを責めること。他部署が待っている依頼の優先順位は、上司が決める部分です。決めずにいて、あとから「なぜ後回しにしたのか」と言うのは、順番が逆です。
- 本人の仕事を進めたい気持ちまで否定すること。自分の担当を進めたいという気持ちは、仕事の土台です。直すのは、周りの状況を知らずに決めているところだけにします。
- 逆に、気まずさから何も言わないこと。周りの部下は、上司が何も言わないことを見ています。
指導のあと、 二人のやり取りを振り返る
指導が届いたかどうかは、本人の返事ではなく、次に同じ場面が来たときの動きと、二人のやり取りで見ます。
- 周りの依頼の優先順位について、本人から「これは先に進めてよいですか」と聞かれるようになったら、上司が決める部分と本人が決める部分の線が、二人で共有できています。
- 打ち合わせの内容がチームに共有されるようになったら、次は、上司の側も約束した共有を続けられているかを見てください。
- 周りからの苦情が減ったかどうかより、本人と周りの部下が、仕事の話を直接できているかを見ます。間に上司が入り続けているなら、二人の間で優先順位の決まりが共有できていないのかもしれません。
一度の指導で変わらなくても、周りの状況を伝えることと、上司が引き受ける部分をはっきりさせることは、毎週続けられます。続けるうちに、本人が周りの状況を自分で確かめるようになれば、指導は役目を果たしたと言えます。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下からの反論や強い言い方を、その場でどう受け止めればよいか迷い、あとから関係がぎくしゃくしてしまうときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
反対の意見が出た1on1の最中と後に、「1on1のAI要約」で。
部下の反論を感情のぶつかり合いとしてではなく、 1つの意見として記録に残し、 あとから二人で同じ言葉に立ち返れます。
部下が述べた意見は、誰が何を述べたかという形で「1on1のAI要約」に残ります。評価の言葉ではなく、事実の言葉で書くように作られています。
石田さんは「要件が固まらないまま試作の日程だけが決まっている」のは順番としておかしいと述べた。
1on1の終了後に、「今回よかった点」で。
部下の意見を、 言葉で受け止めるだけでなく、 その場で引き取った動きとして示せていたかを振り返れます。
部下の指摘や懸念を受けて、ご自身がその場で次の動きを引き取った場面があると、その返し方が、実際の発言とともに書かれることがあります。ご自身向けの内容です。
石田さんへの確認を引き取ると伝えたことで、長谷部さんが「両方の工程を用意しておきます」と自分の一歩を言語化するところまで進みました。
次の1on1の前に、前回の「次の1on1や日常へ向けて」で。
口数が少なくなった部下に、 次の1on1でどの話の流れから声をかけるかを準備できます。
部下が短い返事で話を終えた場面について、次回どの話の流れで、どんな一言で尋ねるとよいかが書かれることがあります。たとえば、同じ問いを繰り返すのではなく、部下が自分から持ち込んだ話の続きとして尋ねる案が示されます。
次回、…「主幹として動いてみて、何か引っかかっていることはありますか。」と一言置いてみてください。前回と同じ問いを繰り返すのではなく、今日の会話で石田さんが自分から持ち込んだ「進め方がおかしい」という言葉の延長として聞くと、業務の話として入りやすくなります。
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よくある質問
自己中心的な部下には、 どう注意すればよいですか。
自己中心的に見える部下には、「自己中心的だ」と人柄を指摘するのではなく、起きていることを1つ選んで伝えてください。たとえば「経理から頼まれた確認、まだ返していないと聞きました。今、何を優先しているか教えてもらえますか」のように、事実と尋ねる言葉で始めます。そのうえで、誰が何を待っているかを伝え、優先順位のうち上司が引き受ける部分を決めて伝えます。
部下が自己中心的になるのは、 なぜですか。
部下が自己中心的に見える理由は1つではありません。考えられる理由の1つは、周りの状況が本人に届かず、自分の担当の中だけで優先順位を決めている状態です。KAKEAIの1万人調査では、面談をしている理由(5つまで選択)に「会社や組織の考えや状況を理解するため」を選んだ人は38.5%で、2番目に多い答えでした。部下の側も、組織の状況を知ることを面談に求めているということです。周りの状況を伝えることが、指導の入口になると考えられます。
周りの部下から、 特定の部下が自己中心的だと苦情が来ました。 どう対応すればよいですか。
周りの部下から苦情が来たときは、話してくれたことに感謝を伝えたうえで、何があったのか具体的な場面を聞いてください。そのあと、本人と話す前に、上司が自分の目で仕事の様子を見ます。苦情の言葉をそのまま本人に伝えると、本人は誰が言ったのかを気にして、起きていることの話ができなくなりがちです。本人には、「私が見た範囲の話なので、違っていたら教えてください」と、上司が見た事実から切り出します。
自己中心的な部下が、 注意しても変わらないときはどうすればよいですか。
自己中心的に見える部下が注意しても変わらないときは、注意の言葉を強くする前に、周りの状況が本人に届く形ができているかを見直してください。週の初めに、誰が何を待っているかを一覧で共有するといった形です。KAKEAIの1万人調査では、面談のあと行動につながらない理由として「行動するために必要な情報が揃っていない」を挙げた人は15.9%でした。「自己像・ありたい姿と衝突してやりたくない」の8.3%より多い答えです。
自己中心的な部下の、 仕事を進めたい気持ちは認めてよいですか。
自分の担当の仕事を進めたいという部下の気持ちは、仕事の土台なので、否定せずに認めてください。直すのは、周りの状況を知らないまま優先順位を決めているところだけです。「急ぐ理由はわかります。ただ、経理の確認が止まると月末の締めが全部待つことになります」のように、気持ちを受け止めたうえで周りへの影響を事実として伝えます。そのうえで順番を上司が決めると、本人の意欲を保ったまま動きを変えやすくなります。
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出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/subordinate-who-puts-own-work-first-how-to-guide
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: