上司の方へ部下との関わり
部下の不満をどう把握し対応するか
先に答え
部下の不満は、言われるのを待つより、直属の上司が普段の1on1で、仕事の割り振りや上司自身の対応について具体的に尋ねて把握することをおすすめします。聞いた不満は「上司が変えられること」「変えられないこと」「確認が要ること」に分けて返し、返事の時期を約束して守ります。KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごととして時間についてのものを挙げた人の41.7%が、面談が成果につながっていると感じていて、回答者全体より高い割合でした。困りごとを口にすることと、面談を役に立たないと感じることは同じではありません。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごととして最も多く挙げられたのは、時間についての困りごとでした。それを挙げた人は、面談が成果につながっていると感じている割合が回答者全体より高くなっています。一方、上司に一番期待することとして「期待していることは特にない」を選んだ人は、その割合が回答者全体を大きく下回っていました。
- 39.6%
- 1万人調査
- 面談の困りごと(複数回答)として、時間についての2つのどちらかを挙げた人の割合
- 2つは「自分自身の実施時間の確保」と「上司の時間確保や日程調整」です。困りごとを1つずつ見ても、最も多いのは「上司の時間確保や日程調整」の24.6%と、「自分自身の実施時間の確保」の23.9%でした。
- 41.7%
- 1万人調査
- 時間についての困りごとを挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 回答者全体では31.9%でした。時間についての困りごとを挙げた人は、面談の成果を実感している割合が高いということです。困りごとを挙げることと、面談を役に立たないと感じることとは、同じではありません。
- 8.4%
- 1万人調査
- 「期待していることは特にない」を一番の期待に選んだ人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- この答えを選んだ人は15.6%でした。「その他」を除く7つの答えの中で、成果を実感している割合が最も低いのが、この人たちです。上司に何も期待しないまま面談に臨む人は、成果もほとんど感じていないことがわかります。
1万人調査の困りごとは、上司との定期的な面談について尋ねたもので、仕事や職場全体への不満を尋ねたものではありません。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下の不満は、 期待の裏返しとして把握し対応する
部下の不満を把握し対応するときは、不満をなくすことより、不満の裏にある部下の期待を知り、二人で仕事を前に進めることを目的にするとよいでしょう。不満を上司に話してくれる部下は、上司との仕事にまだ期待を持っている人でもあるからです。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、面談の困りごと(複数回答)として、「自分自身の実施時間の確保」か「上司の時間確保や日程調整」のどちらかを挙げた人が39.6%いました。困りごとの中でも、時間についての困りごとは最も多く挙げられています。この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は41.7%で、回答者全体の31.9%を上回っています。つまり、困りごとを挙げることと、面談を役に立たないと感じることとは、同じではないということです。
KAKEAIの1万人調査では、上司に一番期待することを尋ねた質問で「期待していることは特にない」を選んだ人が15.6%いました。この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は8.4%で、「その他」を除く7つの答えの中で最も低い割合です。上司に何も期待しないまま面談に臨む人は、面談の成果もほとんど感じていないことがわかります。
どちらも面談についての数字ですが、仕事や職場への不満も、口にしてくれるうちは、部下が上司に期待を持っている印と考えられます。
反対に、不満が聞こえてこないことを、不満がない印とは受け取らないほうがよいでしょう。上司の目には見えなくても、伝えたいことを部下が抱えていることがあるからです。以下では、経理の部署で、月末の締め作業の割り振りについて、部下が不満を持っている場面を例にします。
部下の不満を把握するには、 直属の上司が具体的に尋ねる
部下の不満は、「何か不満はありますか」と尋ねても、なかなか出てきません。普段の1on1で、仕事の割り振りや進め方、上司自身の対応について、具体的に尋ねることをおすすめします。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、1on1は、その部下の仕事を決められる直属の上司が行うのがよいと考えています。ただし、上司であっても、部下の仕事を見てもいないなら、上司が行う意味はありません。不満の中身を知り、仕事の割り振りや進め方を変えられるのも、普段から部下の仕事を見ている直属の上司です。
- 今月の締め作業の割り振りで、負担が偏っていると感じるところはありますか。
- 私の進め方で、やりにくいと感じていることがあれば教えてください。直せるところは直したいです。
- 先月決めた請求書の確認の分担は、実際にやってみてどうでしたか。
- 最近、私がすぐにつかまらなくて困ったことはありませんでしたか。
尋ねる時期は、繁忙期のあとや、担当や体制が変わったあとなど、仕事のやり方が変わったときを選ぶとよいでしょう。
- 締めが終わってひと息ついたところで、今月のやり方を一緒に振り返らせてください。
その場で言いにくそうなときは、無理に聞き出さず、別の機会を用意します。
- すぐに思いつかなければ、それでかまいません。思い出したときに声をかけてもらえると、うれしいです。
人づてに不満を耳にしたときは、誰から聞いたかを本人に告げず、上司から仕事の話として尋ねてみてください。
- 締め作業の分担について、私が気づいていないことがあるかもしれないと思っています。気になっていることがあれば教えてください。
匿名のアンケートでは、誰が、どの仕事のどこに不満を持っているのかがわかりません。また、KAKEAIは、人事が1on1の記録の中身を読むことをおすすめしません。不満を知るために記録を人事が読んだり、匿名の回答から書いた人を探したりすると、部下は1on1でも本音を話しにくくなるでしょう。
部下の不満の種類ごとの、 上司の対応と最初の一言
不満の中には、上司が自分で変えられるものと、変えられないものがあります。種類によって、上司の対応は変わります。
| 不満の種類 | 上司ができること | 上司の最初の一言 |
|---|---|---|
| 仕事の | 分担を | 「話してくれて |
| 上司の | 上司自身が | 「その点は、 |
| 評価 | 評価の | 「評価シートの |
| 給与、 | 上司一人では | 「私一人では |
| 会社の | 決まった | 「決まった |
ハラスメントや心身の不調に関わる訴えは、上司一人で判断しないでください。就業規則を確認し、会社の決まりに沿って、人事の担当や相談窓口に相談します。
不満を聞いたあとの進め方
- 話してくれたことへのお礼を、まず伝えます。すぐに反論や言い訳をしません。
- 言いにくいことを話してくれて、ありがとうございます。
- 何が起きていて、部下が何を変えてほしいのかを尋ねます。
- 一番困っているのは、月末の3日間に確認の作業が集中することでしょうか。どうなると一番やりやすいですか。
- 今の分担になってから、帰りが遅くなる日はどのくらい増えましたか。
- 上司が変えられること、変えられないこと、確認が要ることに分けて伝えます。
- 請求書の確認の分担は、私の判断で今月から変えられます。人を増やす話は私一人では決められないので、部長に相談してみます。
- 締めの日程そのものは本社の決まりなので、すぐには変えられません。ただ、前倒しでできる作業がないかは一緒に探せます。
- 返事の時期を約束し、守ります。
- 部長に相談した結果は、来週の1on1でお伝えします。
- 来週までに結論が出なければ、その時点でわかっていることだけでもお話しします。
- 変えたあとの様子を、次の1on1で尋ねます。
- 分担を変えてみて、先月と比べてどうでしたか。まだやりにくいところはありますか。
部下の不満に対して、 避けたいこと
避けたいのは、不満を打ち消すことと、聞くだけで何も返さないことの両方です。
- その場で反論や言い訳をする。「みんな同じように忙しいですよ」と返されると、部下は次から不満を話さなくなるでしょう。
- 聞くだけで、何も返さない。話したのに何も変わらず、返事もないと感じると、部下は上司に期待しなくなるかもしれません。変えられないときも、変えられない理由を伝えます。
- できない約束をする。給与や昇格、異動など、上司一人では決められないことを「何とかします」と約束すると、守れなかったときに不満が大きくなります。
- 不満を言ったことを、評価の話と結びつける。「そういうことを言うと評価に響きますよ」と言われると、部下は不満を口にしなくなります。
- 聞いた不満を、周りに話す。誰が何を言ったかが広がると、部下は上司に話したことを後悔するでしょう。人事などへの相談が必要なときは、会社の決まりに沿い、本人にも伝えたうえで進めます。
- 不満がなさそうだからと、話す機会を減らす。上司の目には見えなくても、伝えたいことを部下が抱えていることがあります。
部下の不満への対応は、 どう振り返ればよいか
不満が減ったかどうかより、話したことに上司が応えられているかで振り返ります。
- 部下から不満を聞けたなら、次の1on1では、変えたことと約束した返事の結果を、上司から先に話してみてください。
- 変えられなかったことがあるなら、その理由を伝えられていたかを振り返り、まだなら次の回で伝えます。
- 部下のほうから仕事のやり方についての要望を早めに話してくれるようになったら、次は、その要望を割り振りの見直しに生かせないかを一緒に考えてみてください。
- 不満がしばらく聞こえてこないなら、上司から、仕事の割り振りや上司の対応について具体的に尋ねる時間を取ります。
- 先月変えた分担は、その後どうですか。私の対応で変えてほしいことがあれば、それも教えてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下が相談や報告をしてくれない、本音や不満が見えないと感じるときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
報告を受けるだけの時間にせず、 部下が話したいことを持ち込める場として1on1を始められます。
Kakeai AI が、選ばれたテーマと、部下が選んだ期待する対応、これまでの1on1をもとに、今回どう関わるとよいかと、最初の一言の案を書きます。たとえば初めての1on1では、進み具合を聞く前に、この場をどう使いたいかを部下に先に聞く入り方が勧められることがあります。ご自身向けの内容です。
「今日が初めての1on1です。山岸さんにとってこの場をどう使うと一番役に立つか、まず聞かせてもらえますか。」…業務の進捗を聞く前に「この場をどう使いたいか」を先に聞くと、山岸さんが何を持ち込んでよいかを自分で決める余地が生まれます。
1on1の開始直後に、Kakeai AI のメッセージ欄で。
その回にどう関わってほしいかを、 言葉で確かめるところから1on1を始められます。
Kakeai AI が、準備されたテーマと、部下が選んだ期待する対応を挙げ、前回の一歩があればその担当の方に、無ければテーマを選んだ方に、最初の一言を向けます。期待する対応が選ばれていない回には、どう関わってほしいかを尋ねることもあります。期待する対応は、部下の側だけが選べます。
長谷部さん、このテーマを今日はどう関わってほしいですか?話を聞いてほしいのか、一緒に考えてほしいのか、具体的なアドバイスが欲しいのか、一言教えていただけますか?
1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
相談を待つだけでなく、 その回に決まった仕事の話から、 部下が困りごとを言い出しやすい問いを用意できます。
「1on1後のAIアドバイス」のご自身向けの欄に、困りごとを広く尋ねた問いに部下が短く返した場面があると、その回に決まった仕事に結びつけて尋ね直す一言の案が書かれることがあります。部下には別の内容が表示されます。
次回、同じ問いをもう少し絞って出してみることが一手になります。たとえば「仕様書の番号の件、石田さんと話した後で、長谷部さんが動きにくいことが出てきたら教えてください」のように、今日決まった動きに紐づけた形で聞くと…
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よくある質問
部下の不満に気づくには、 どうすればよいですか。
部下の不満に気づくには、「何か不満はありますか」と尋ねるより、普段の1on1で仕事の割り振りや上司自身の対応について具体的に尋ねるほうが、部下も答えやすくなります。たとえば「今月の割り振りで、負担が偏っていると感じるところはありますか」と聞きます。繁忙期のあとや担当が変わったあとなど、仕事のやり方が変わった時期には、上司から時間を取るとよいでしょう。
部下から不満を言われたら、 その場でどう答えればよいですか。
部下から不満を言われたら、反論や言い訳をする前に、まず「話してくれてありがとうございます」と伝えます。そのうえで、何に一番困っていて、どうなるとやりやすいのかを尋ねます。その場で決められることは決め、上司一人では決められないことは、確認して答える時期を約束します。変えられないことも理由と一緒に伝えれば、部下は次にどうするかを考えやすくなるでしょう。
部下の不満を把握するために、 匿名のアンケートを取ってもよいですか。
部下の不満を把握する方法として、匿名のアンケートに頼ることはおすすめしません。匿名の回答からは、誰が、どの仕事のどこに不満を持っているのかがわからず、上司が本人と一緒に手を打てないからです。回答から書いた人を探そうとすると、部下は本音を書かなくなるかもしれません。不満の中身は、普段から部下の仕事を見ている直属の上司が、本人と話す中で尋ねます。
給与や昇格への不満を言われたとき、 上司はどう対応すればよいですか。
給与や昇格への不満を言われたときは、上司一人では決められないことを「何とかします」と約束しないでください。まず話してくれたことへのお礼を伝え、何に納得できていないのかを尋ねます。そのうえで、「人事に確認して、来週の金曜までにお伝えします」のように、確認して答える時期を約束します。評価の基準について上司が説明できることは、評価シートを一緒に見ながら伝えるとよいでしょう。
部下の不満に対応しても、 状況が変わらないときはどうすればよいですか。
部下の不満に対応しても状況が変わらないときは、上司が変えたことが、部下の困りごとの中心に合っていたかを本人に尋ねてみてください。「分担を変えてみて、まだやりにくいところはありますか」と聞き、次に変えることを二人で決めます。上司一人で変えられないことは、部長や人事に相談した結果を、約束した時期に伝えます。変えられないことが残っても、返事を伝えることは続けましょう。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/grasp-subordinate-dissatisfaction
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: