上司の方へ評価の面談
バックオフィスの人事評価をどうするか
先に答え
バックオフィスの人事評価が難しいのは、成果が上司の目の前ではなく、依頼した他部署に「問題が起きなかった」という形で現れるからです。評価では、2つのことを進めます。1つは、「正確な業務遂行」のような基準を、期限と正確さ・依頼した側への対応・問題への対応・改善の4つの観点で仕事の言葉に書き直すことです。もう1つは、材料を本人の報告・依頼した側の声・期の途中の記録の3か所から集めることです。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に一番期待することが「報告したい」の人の成果の実感は36.8%、「一緒に考えてほしい」の人は46.2%でした。報告より、一緒に考えることを期待する人のほうが、成果を感じる割合が高いということです。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、面談で上司に一番期待することごとに、面談の成果の実感を比べています。「報告したい」の人も「一緒に考えてほしい」の人も、成果を感じている割合は回答者全体より高く、中でも「一緒に考えてほしい」の人の割合が最も高くなっていました。評価について尋ねた数字ではありませんが、評価の材料を集める面談でも、報告を聞く時間に加えて改善を一緒に考える時間を取ると、本人の考えも材料にできます。
- 36.8%
- 1万人調査
- 面談で上司に一番期待することが「報告したい」の人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 回答者全体の31.9%は上回っています。一番の期待が「報告したい」の人も、全体より高い割合で成果を感じていますが、「一緒に考えてほしい」の人の46.2%と比べると低い結果です。
- 46.2%
- 1万人調査
- 面談で上司に一番期待することが「一緒に考えてほしい」の人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 一番の期待ごとに比べた中で、最も高い割合でした。上司と一緒に考えることを一番に期待する人は、面談の成果を感じやすい傾向がある、ということです。
この調査は、バックオフィスの評価について尋ねたものではなく、職種ごとの集計もしていません。数字は、上司との定期的な面談で上司に一番期待することと、面談の成果の実感を比べたものです。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
バックオフィスの人事評価が難しいのは、 成果が上司の目の前に無いから
バックオフィス(総務・人事・経理・法務・社内システムの担当など)の人事評価が難しいのは、成果が上司の目の前に現れないからです。成果は、依頼した側である社内の他部署に現れ、しかも「問題が起きなかった」という形で現れます。契約の更新が漏れなく済んだ月は何も起きず、漏れた月だけが上司の耳に入ります。売上や受注のように数字が手元に届く仕事とは、材料の集まり方が違います。
| バックオフィスの成果 | どこに現れるか | 上司の目に入るか |
|---|---|---|
| 期限と正確さ | 依頼した | 守られているときは |
| 依頼した | 依頼した | 依頼した |
| 問題が | 影響が | 大きくなったときだけ入る |
| 起きにくくする改善 | 同じ問い合わせや | 減ったことは |
この表の右の列が「入らない」「知らない」ばかりなので、期末に上司の記憶だけで点を付けると、起きた問題の数で評価が決まりがちです。バックオフィスの評価では、基準を仕事の言葉で書くことと、材料を上司の記憶の外から集めることの2つが要になります。
バックオフィスの評価基準: 「期待通り」の状態を、 仕事の言葉で書く
バックオフィスの評価基準は、「正確な業務遂行」「円滑な調整」のような言葉のままにせず、役割ごとに「期待通り」の状態を仕事の言葉で書き直します。書き直す観点は、表の4つです。以下では、総務で契約の更新の管理と、社内からの備品や設備の依頼への対応をしている部下を例にします。
| 観点 | 言葉のままの基準 | 仕事の言葉に書き直した例 |
|---|---|---|
| 期限と正確さ | 正確な | 契約の |
| 依頼した | 円滑な | 社内からの |
| 問題が | 迅速な対応 | 設備の |
| 起きにくくする改善 | 業務の改善 | 同じ問い合わせが |
書き直した基準は、期の初めに本人と一緒に見て、本人の意見を聞いて直します。本人のほうが、どの場面で何が起きるかを知っているからです。目標を「問題を起こさない」だけで書くと、起きたときの対応と、起きにくくする改善が評価に入りません。問題が起きるかどうかには、本人の手の届かない事情も混ざります。
- 今期の評価の基準を、総務の仕事の言葉に置き換えてみました。一緒に見てもらえますか。「正確な業務遂行」は、契約の更新を期限の1か月前までに起案して、差し戻しが無い状態、と私は考えています。
- 「業務の改善」の項目は、同じ問い合わせが続いたときに案内や手順を見直したか、という場面で考えるのがよいと思っています。ほかに、評価に入れてほしい場面はありますか。
- 設備の故障は、起きるかどうかは○○さんの手の届かないところで決まります。評価では、起きたときに代わりの手段をどう用意したかのほうを大事にしたいと考えています。○○さんは、どう思いますか。
バックオフィスの評価の材料は、 3か所から集める
バックオフィスの評価の材料は、上司の記憶の外にあるので、3か所から集めます。本人からの報告、依頼した側である他部署からの声、そして上司が期の途中に書き留めた記録です。どれか1つでは足りません。本人の報告だけでは依頼した側が助かった点や困った点が分からず、依頼した側の声だけでは本人の事情が分かりません。上司の記録だけでは、起きた問題に偏りがちです。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、面談で上司に一番期待することが「報告したい」の人のうち、「面談が成果につながっている」と感じている人は36.8%でした。一番の期待が「一緒に考えてほしい」の人では46.2%です。どちらも回答者全体の31.9%を上回っていますが、報告を一番の期待にしている人のほうが低くなっています。つまり、面談を報告の場として期待する人よりも、上司と一緒に考える場として期待する人のほうが、面談の成果を感じている割合が高いということです。
評価についての数字ではありませんが、評価の材料を集める面談でも、本人の報告を聞く時間に加えて、依頼した側の声や改善を一緒に考える時間を取るとよいでしょう。
本人から聞くとき
- 今期、問題なく終わった仕事で、私が知らないものがあれば教えてください。契約の更新の件数や、社内からの依頼にどのくらいの早さで返せていたかを、数と一緒に聞きたいです。
- 設備の故障が続いた月は、代わりの手段をどう用意していましたか。あの月の○○さんの動きを、私はあまり見られていなかったので、詳しく聞かせてほしいです。
- 手順を変えたところはありますか。同じ問い合わせが減ったと感じている仕事があれば、それも評価に入れたいです。
依頼した側(他部署)から聞くとき
依頼した側から聞くときは、何のために聞くのかを本人に先に伝え、聞いた内容は本人にも伝えます。本人の知らないところで情報を集める形にしないためです。
- ○○さんの今期の評価の参考にしたいので、営業部の皆さんが総務に依頼したときの対応について、伺わせてください。伺った内容は、本人にも伝えたうえで使います。
- 依頼してから受け付けの返事が来るまでの早さと、見通しの伝え方について、助かった点と困った点をそれぞれ教えていただけますか。
- 営業部の△△さんに、今期の依頼への対応について伺いました。受け付けの返事が早くて助かった、という話と、工事の日程の見通しがもう少し早く分かると助かる、という話がありました。○○さんから見て、心当たりはありますか。
上司が期の途中に書き留めるとき
上司が書き留めるのは、本人の失敗を集めるためではなく、期末に起きた問題だけで判断しないためです。「何月に、何の仕事で、何がよかったか」を1行ずつ残します。
- 7月の面談で、契約の更新の起案を1か月半前に出していると聞きました。差し戻しも無かったと記録してあります。この進め方は、今期の評価で「期待通り」と考える根拠の1つにしたいと思っています。
- 9月に空調の故障があったとき、○○さんが当日中に仮の対応を用意して、各部署に知らせてくれていたことを書き留めてあります。問題が起きた月については、起きたことよりも、このときの対応を大事にしたいと考えています。○○さんは、あの月をどう振り返っていますか。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、1on1は、その部下の仕事を決められる直属の上司が行うのがよいと考えています。ただし、上司であっても、部下の仕事を見てもいないなら、上司が行う意味はありません。バックオフィスの上司は、他の部門と兼務していて、部下の仕事を見る時間が少ないことがあります。評価の面談を行う前に、月に一度でも、本人の仕事の場面を自分の目で見る時間を取ってください。見ていない仕事を印象で評価するより、見た仕事を根拠に話すほうが、本人にも上司にも納得できる面談になりやすいでしょう。
バックオフィスの評価面談での、 上司の言い方
評価を伝えるときは、基準を一緒に見る・上司の考えとして言う・本人の見方を尋ねる、の3つをそろえます。
- 期初に一緒に作った基準の表を、もう一度見てもらえますか。契約の更新の項目は、今期は「期待通り」だと私は考えています。理由は、起案が毎回1か月前より早く、差し戻しが無かったことです。
- 依頼への対応の項目は、営業部からの声も含めて、「期待を上回る」に当たると考えています。受け付けの返事の早さが、依頼した側にはっきり伝わっていました。
- 改善の項目は、正直に言うと、私が見られていた場面が少なくて、判断の材料が足りていません。今期、手順を変えたことがあれば、ここで聞かせてください。
- ここまでの私の考えについて、○○さんはどう感じていますか。私が見えていなかった仕事があれば、評価を考え直します。
- 最終の結果は、このあと会社の調整で決まります。私の考えと違う結果になったときは、理由と一緒にお伝えします。
評価の結果や処遇への反映について本人から疑問が出たときは、上司の一存で答えず、人事に確認してから伝えます。
- 評価の結果が処遇にどう反映されるかは、私からは正確に答えられません。人事に確認して、来週お伝えします。
バックオフィスの人事評価で、 おすすめしないこと
おすすめしないのは、バックオフィスの成果を、営業や開発と同じ物差しで測ろうとすることです。
- 目標を「問題を起こさない」だけで書く。問題が起きるかどうかには本人の手の届かない事情が混ざり、起きたときの対応と、起きにくくする改善が評価に入りません。
- 期末に、上司の記憶だけで点を付ける。記憶に残るのは起きた問題なので、守られていた期限や早かった対応が評価から抜けやすくなります。期の途中の記録と、依頼した側の声を材料にします。
- 売上や受注と同じ形の数字の目標を無理に作る。処理した件数だけを目標にすると、件数を増やすために依頼を細かく分けるような動きが出ることがあります。数字を使うなら、依頼した側の仕事が止まらなかったかを表す数字(返事までの時間、差し戻しの件数)にするとよいでしょう。
- 依頼した側の声を、本人に知らせずに集めて使う。本人の知らないところで情報を集める形にすると、面談で本音が出にくくなります。何のために聞くかを先に伝え、聞いた内容は本人にも伝えます。
- 兼務で部下の仕事を見ていないまま、評価の面談だけを行う。見ていない仕事は印象で付けることになります。面談より先に、本人の仕事の場面を自分の目で見る時間を取ります。
バックオフィスの評価面談を振り返る4つの手がかり
バックオフィスの評価面談がうまくいったかどうかは、面談の雰囲気より、評価の材料がどこから来ていたかで振り返ります。次の4つを手がかりにしてみてください。
- 評価の根拠に、守られていた期限や早かった対応を入れられたら、次は、その根拠を期の途中の面談でも本人と共有していきます。
- 依頼した側の声を本人に先に伝えたうえで材料にできたら、次は、本人が話を聞いてほしい相手がいるかも尋ねてみてください。
- 期の途中に本人の仕事の場面を自分の目で見られたら、次は、見て気づいたことを、その月の1on1で本人に伝えます。
- 基準の表を総務の仕事の言葉に置き換えて二人で共有できたら、次の期の初めには、本人と一緒に表を見直すとよいでしょう。
評価の根拠が起きた問題ばかりだったなら、次の期は、月に一度、本人の仕事で「問題なく済んだこと」を1つ聞いて書き留めるところから始めてみてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
評価をつける時期になって、期の初めの仕事ほど思い出せず、評価の根拠になる事実がそろわないときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
評価をつける前に、「予定・履歴」を見返すとき。
評価コメントの事実の文を、 記憶ではなく、その時期に二人で話して残した要点から書き始められます。
履歴のカードの「1on1のAI要約」には、1on1ごとに、話のまとまりごとの見出しと要点、決まった次の一歩の担当と期限が残っています。期間やテーマで絞り込んで探せます。お二人に同じ内容が表示されます。人事評価の点や評価コメントを Kakeai AI が作る機能はありません。
海外向けサポートの方向性 海外では担当が現地に行く日本式の対応が難しく、台湾製のように製品をすぐ交換・送付する方式が有効ではないかという話になった。 藤本さんが「それ、私、考えてみたいです」と話し、…売り文句の案を7月9日までに考えることを引き取った。
評価をつける前に、「概要」のダイジェストを読むとき。
期末に近い出来事だけでなく、 期の初めからの仕事の流れと、 その後どうなったかを見返したうえで評価を考えられます。
ダイジェストは、Kakeai AIが直近6か月の二人の1on1を、これまでの流れ、いま途中になっている話とそれが誰の手元にあるか、決まった次の一歩とその実行、の順に文章にしたものです。次の一歩をクリックすると、その一歩が生まれた背景、決めたこと、実行と結果がまとめて表示されます。1on1が終わるたびに書き直され、お二人に同じものが表示されます。
…比較表を作る仕事が、売り方を考える仕事へと踏み込んだ回でした。 6月11日の競合比較の話から生まれた一歩として、藤本さんが競合3社の製品比較表を6月25日までに出すことが決まっており、6月24日に実行済みです。…
評価をつける前に、決めた一歩の一覧を見るとき。
期の途中に二人で決めたことと、 そのうち実行まで進んだことを、 評価の根拠を考える材料として一覧で確認できます。
「MOVE」は、1on1で決めた次の一歩と目標が、期限の順に並ぶ一覧の画面です。種類・状態・担当・期限・テーマで絞り込めます。1on1の実施中に「決定する」をクリックした次の一歩に加え、「+ MOVEをつくる」で作った一歩や目標も並びます。実行済みの印は、担当の方がご自身で付けます。
次の一歩の例:文言「市場規模の試算の方法を決める(何を掛けるか・割合をどう置くか・理由を書く)」・担当「森 陽菜」・期限「2026/07/07」
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よくある質問
バックオフィスの人事評価は、 なぜ難しいのですか。
バックオフィスの人事評価が難しいのは、成果が上司の目の前に現れないからです。総務や経理、法務などの成果は、依頼した側である社内の他部署に現れ、しかも「問題が起きなかった」という形で現れます。契約の更新が漏れなく済んだ月は何も起きず、漏れた月だけが上司の耳に入るので、期末に記憶だけで点を付けると、起きた問題の数で評価が決まりがちです。基準を仕事の言葉で書き直し、材料を記憶の外から集めることで補いやすくなります。
バックオフィスの評価基準は、 どう書けばよいですか。
バックオフィスの評価基準は、「正確な業務遂行」「円滑な調整」のような言葉のままにせず、役割ごとに「期待通り」の状態を仕事の言葉で書き直します。観点は、期限と正確さ・依頼した側への対応・問題が起きたときの対応・起きにくくする改善の4つです。たとえば「契約の更新を期限の1か月前までに起案し、差し戻しが無い」のように書き、期の初めに本人と一緒に見て直します。本人のほうが、どの場面で何が起きるかを知っているからです。
バックオフィスの成果を、 数字で評価することはできますか。
バックオフィスの成果を数字で評価するなら、処理した件数ではなく、依頼した側の仕事が止まらなかったかを表す数字を使うことをおすすめします。たとえば、依頼から受け付けの返事までの時間、契約の起案の差し戻しの件数、同じ問い合わせの減り方です。処理した件数だけを目標にすると、件数を増やすために依頼を細かく分けるような動きが出ることがあります。「問題を起こさない」だけの目標も、起きたときの対応と改善が評価に入らなくなるので避けます。
バックオフィスの部下の仕事を上司が見ていないとき、 評価はどうすればよいですか。
バックオフィスの部下の仕事を上司が見ていないときは、評価の面談より先に、本人の仕事の場面を自分の目で見る時間を取ってください。評価の面談も1on1も、部下の仕事を見てもいないなら、上司が行う意味はありません。兼務で時間が少ないなら、月に一度でも本人の仕事の場面を見て、本人からの報告と依頼した側の声を合わせて材料にします。見ていない仕事を印象で評価することは避けます。
他部署からの評価を、 バックオフィスの人事評価に使ってよいですか。
他部署からの声は、バックオフィスの評価の大切な材料になります。ただし、本人に知らせずに集めて使う形は避けてください。何のために聞くのかを本人に先に伝え、聞いた内容は本人にも伝えます。聞くときは「助かった点と困った点をそれぞれ教えてください」のように、依頼した側の仕事がどうなったかを具体的に尋ねます。他部署の声をどこまで評価に反映するかの決まりは、評価制度の資料と人事の担当に確認してください。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/back-office-performance-evaluation
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: