上司の方へ部下との関わり
萎縮している部下への接し方
先に答え
萎縮している部下には、「気楽に話して」と声をかけるより、上司の側の言い方と、本人が話したあとの上司の反応を変えることから始めてください。問いを具体的にし、答えを聞いたら上司がどうするかを先に言い、本人が話したあとは責める言葉ではなく受け止める一言と次の動きを返します。ミスを強く指摘したあとなら、上司の側から先に、そのときの言い方について話します。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で「上司との信頼関係がなく安心して話せない」と答えた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人は25.2%でした。回答者全体の31.9%より低い数字です。安心して話せないと感じている人は、面談の成果も感じにくいということです。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司と話すための面談でも、上司との信頼関係がなく安心して話せないという困りごとを挙げた人が一定数いました。評価や見られ方が気になって本音が話せないと答えた人も、同じくらいいます。評価を気にする人の面談の成果の実感は全体と並ぶ一方、安心して話せない人では低くなっています。この数字は萎縮の理由を尋ねたものではありませんが、萎縮している相手には、評価を気にしないように促すより、安心して話せる経験を増やすことをおすすめします。
- 8.0%
- 1万人調査
- 上司との面談の困りごと(複数回答)として、「上司との信頼関係がなく安心して話せない」を挙げた人の割合
- 「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」は9.3%、「話したいこと、話すべきことを切り出せない」は9.7%でした。上司と話すための面談でも、安心して話せない、本音が話せない、切り出せないという人が、それぞれ一定数いるということです。
- 32.7%
- 1万人調査
- 評価や見られ方が気になり本音が話せないと答えた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 回答者全体では31.9%で、評価や見られ方が気になる人の成果の実感は、全体と並んでいます。評価や見られ方が気になる人でも、面談の成果を感じている人は全体と同じくらいいる、ということです。
- 25.2%
- 1万人調査
- 困りごとに「上司との信頼関係がなく安心して話せない」を挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 回答者全体の31.9%より低く、評価が気になる人の32.7%とも差があります。安心して話せないと答えた人では、面談の成果を感じている人が、評価が気になる人より少ない、ということです。
1万人調査は、上司との定期的な面談についての困りごとを尋ねたもので、部下が萎縮しているかどうかや、その理由は尋ねていません。「安心して話せない」「本音が話せない」は、困りごとの選択肢の文言です。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下が萎縮しているときの接し方は、 上司の側の言い方と反応を変えることから始める
部下が萎縮しているように見えるときは、「気楽に話して」と声をかける前に、上司の側の言い方と、本人が話したあとの上司の反応を変えることをおすすめします。萎縮は、本人が上司に話す前に「上司にどう受け取られるか」を考えて、言葉を止めている状態だと考えられます。上司が本人の言葉をどう受け取るかは、上司自身が変えられるものです。本人の性格の問題として扱うと、変えられるものが見えにくくなります。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で困っていること(複数回答)として、「上司との信頼関係がなく安心して話せない」を挙げた人が8.0%いました。「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」は9.3%、「話したいこと、話すべきことを切り出せない」は9.7%です。上司と話すための時間である面談でも、安心して話せない、見られ方が気になって言えない、という人がそれぞれ一定数いるということです。
同じ調査で、「面談が成果につながっている」と感じている人の割合を比べると、評価や見られ方が気になって本音が話せないと答えた人では32.7%で、回答者全体の31.9%と並んでいました。一方、信頼関係がなく安心して話せないと答えた人では25.2%で、全体より低くなっています。つまり、評価を気にしていても面談の成果を感じている人は全体と同じくらいいる一方、安心して話せない人では成果を感じている人が少ない、ということです。この数字は萎縮の理由を尋ねたものではありませんが、萎縮している相手には、評価を気にしないように促すより、安心して話せる経験を増やすことをおすすめします。理由は、上司が変えられるのは本人の評価への意識ではなく、本人が話したあとの自分の反応だからです。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司と部下の関係は、仕事の話を前に進める中でできていくものだと考えています。萎縮している相手との関係も、雑談で場をほぐすことより、仕事の話で質問や相談をしたら前に進んだ、という経験を積むことで変わっていくことが多いようです。ただし、上司と部下の関係には段階があります。まだ身構えている段階と、困りごとを溜めずに言える段階とでは、同じ一言の届き方が違います。
以下では、営業企画の部下が、毎週の売上集計の資料を作っている場面を例にします。先月、課の会議で集計の数字の誤りを上司から強い言い方で指摘されてから、本人は上司に話しかけられると「はい」「すみません」と短く答えるだけになり、質問や相談が来なくなっています。
萎縮の場面を分ける: 上司の前、 ミスのあと、 会議や他部署の前
萎縮が出る場面は、大きく3つに分かれます。場面によって、上司が最初にすることが違います。
| 場面 | 上司が最初にすること | 最初の一言 |
|---|---|---|
| 上司の | 問いを | 「今週の |
| ミスや | 上司の | 「先月の |
| 会議や | 発言の | 「木曜の |
上司の前で萎縮しているとき: 問いを具体的にし、 答えの受け止め方を先に言う
上司の前で言葉が短くなっているときは、「何かある?」のような大きな問いを避け、答えやすいように質問を具体的にしてください。あわせて、答えを聞いたら上司がどうするのかを先に言うと、本人は答えたあとのことを想像できます。
- 今週の集計で、数字が届くのが遅かった部署はありましたか。あれば、私からその部署に締め切りの話をします。
- 集計の手順で、自分では決めにくいと感じているところを1つ教えてもらえますか。決めるのは私が引き受けます。
- 今の話で、私が知りたかったことは分かりました。ありがとうございます。もう1つ聞きたいことが出てきたら、私から声をかけます。
本人の答えが短くても、そこで会話を切らず、答えてくれたことに一言返してから次に進みます。
- 教えてくれて、ありがとうございます。その部署には、今日のうちに私から話します。
- 今の話、助かりました。分からないことを分からないと言ってもらえると、私が動けます。
ミスや強い指摘のあとで萎縮しているとき: 上司の側から先に話す
ミスを強く指摘したあとに本人が話さなくなったときは、本人が立ち直るのを待つのではなく、上司の側から先に、そのときの言い方について話すことをおすすめします。上司が自分の言い方を振り返って言葉にすると、本人は「次に間違えたとき、どう扱われるか」を知ることができます。
- 先月の会議で、数字の誤りをあの場で強く言ったのは、私の言い方が悪かったと思っています。すみませんでした。
- 誤りは直せばよいことで、○○さんの仕事そのものを否定したつもりはありません。そう聞こえていたなら、申し訳ないです。
- これからは、数字に気になるところがあったら、会議の前に二人で見る時間を取ります。会議の場では言いません。
謝ったあとは、次に誤りがあったときの扱いを、約束として伝えます。約束は、上司が確実にできることにしてください。
- 次に数字の誤りが見つかったら、まず私が○○さんに直接伝えます。誰が間違えたかではなく、どう直すかの話をします。
- 誤りに気づいたら、○○さんから先に言ってもらえると助かります。先に言ってくれたことを、私は責めません。
会議や他部署の前で萎縮しているとき: 発言の中身を事前に二人で用意する
会議や他部署の前で発言できないときは、「もっと発言して」と言うのではなく、何を言うかを事前に二人で決めておきます。発言のあとに上司がどう受けるかも、先に決めておくと安心につながります。
- 木曜の会議で、集計の結果を1分で説明してもらえますか。言うことは、水曜に一緒に決めましょう。
- 会議で質問が出て答えにくかったら、私が引き取ります。○○さんは、集計の結果だけ話してくれれば十分です。
- 他部署に数字の確認を頼むときは、最初の1回は私も同じメールに入ります。2回目からは、○○さんから送ってみませんか。
萎縮を解くのは「気楽に」という言葉ではなく、 話した結果
萎縮している相手に「怖がらなくていい」「気楽に話して」と言っても、本人が見ているのは言葉ではなく、話したあとに何が起きるかです。質問をしたら答えが返ってきた、相談をしたら上司が動いた、誤りを言ったら直し方の話になった、といった結果が積み重なって話せるようになっていくと考えられます。
上司が本人に約束できるのは、評価の結果ではなく、上司自身の反応です。「評価には響かない」とは、上司の一存では言えません。言えるのは、質問や相談にどう応えるかまでです。
- ○○さんから相談があったら、その日のうちに返事をします。すぐに答えが出ないときも、いつまでに答えるかを伝えます。
- 集計で迷ったら、途中でも聞いてください。聞いてもらえたほうが、私も助かります。
- 私の言い方で話しにくくなっていることがあれば、教えてほしいです。言いにくければ、1on1のメモに一言書いてくれるだけでも助かります。
本人からの質問や相談がまだ来ないうちは、上司の側から、仕事の判断を1つ持ち込んで相談する形も有効です。上司が相談する姿を見せることが、相談してよい場だと伝えることになります。
- 来月から集計に新しい部署が加わるのですが、資料の形をどう変えるか、○○さんの考えを聞かせてもらえますか。
萎縮が長く続き、眠れないなど体調に出ているようなら、面談での言い方だけで解こうとしないでください。産業医や会社の相談窓口に相談することを、上司から本人に提案します。また、上司自身の過去の言動がハラスメントに当たるのではないかと不安なときは、人事の担当に相談し、会社の決まりに沿って対応します。
部下が萎縮しているときに、 避けたいこと
避けたいのは、萎縮を本人の性格や強さの問題として扱うことです。逆に、腫れ物に触るように指摘を避けてしまうことも、本人のためになりません。
- 「怖がらなくていい」「もっと堂々と」と言う。本人は、怖がらないようにしようとして、さらに言葉を選ぶことになりがちです。変えるのは、本人の態度ではなく、上司の言い方と反応です。
- 雑談で場をほぐしてから本題に入る、と決める。雑談の間も、本人は本題で何を言われるかを考えがちです。本題を先に、具体的に話したほうが、本人は安心しやすいと考えられます。
- 「評価には響かないから」と言う。評価の結果は上司の一存では決められないので、約束にはできません。約束できるのは、上司自身の反応です。
- 逆に、指摘や直してほしいことを言わなくなる。指摘がなくなると、本人は何がよくて何を直せばよいかを知る機会を失います。指摘はやめず、言う場所(会議ではなく二人のとき)と言い方(人柄ではなく直し方)を変えてください。
- 本人の性格の話にする。「気が小さい」「打たれ弱い」と言われても、本人はどう直せばよいのか分かりません。話題は、どの場面で、何が話しにくいかに絞ります。
- 本人と話す前に、他の管理職と本人の扱いを決める。本人がいない場で性格や対応を決めてしまうと、本人は上司への見方をさらに固めやすくなります。まず本人と話してください。
接し方がうまくいったかを、 どこで見るか
うまくいったかどうかは、本人が明るく話すようになったかではなく、本人からの質問や相談が上司に届くようになったかを見るとわかります。1か月ほど続けたあとに、自分に問いかけてみるとよいでしょう。
- 本人が答えやすいように、質問を具体的にして尋ねることができたでしょうか。
- 本人が話したあとに、上司は責める言葉ではなく、受け止める一言と次の動きを返せたでしょうか。
- 強い言い方をしたことについて、上司の側から先に話す機会を作れたでしょうか。
- 1か月前と比べて、二人の間で質問や相談のやり取りは増えてきたでしょうか。
萎縮している相手との会話で変えられるのは、上司の側の言い方と、本人が話したあとの反応です。その2つが変わると、本人の言葉は少しずつ戻ってきやすくなります。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下の元気や自信がないように見えても、何がきっかけなのかがわからず、声のかけ方に迷うときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
元気がないように見える理由を推測で決めつける前に、 部下が話したいことを聞く入り方を考えられます。
Kakeai AI が、選ばれたテーマと、部下が選んだ期待する対応に合わせて、どう関わるとよいかと、最初の一言の案を書きます。たとえば、話を聞いてほしいという部下には、途中で提案を挟まずに聞く入り方が勧められます。ご自身向けの内容です。
「今後のキャリアについて、今どんなことを考えているか、聞かせてもらえますか。」…途中で整理や提案を挟まず、まず話し終えてもらうことで、何を一番伝えたかったのかが見えてきます。
話を聞いてほしいテーマがある1on1の実施中に。
仕事の話だけで時間が終わる前に、 部下が話したいと選んだことに時間を取れます。
部下は「1on1の準備」で、テーマと、上司に期待する対応(「話を聞いてほしい」など)を選べます。右の列の下の球体(Kakeai AI に話題を提案させるボタン)をクリックすると、Kakeai AI が、準備されたテーマとその回の会話をもとに話題を1つ提案します。まだ触れていないテーマがあると、そのテーマに時間を取ることを勧める提案になることもあります。
事前テーマに「今後のキャリア」(期待する対応:「話を聞いてほしい」)が挙がっています。今日の会話では競合比較の話が進みましたが、このテーマはまだ触れていません。今日のうちに少し時間を取って、今どんなことを考えているか聞かせてもらえますか?
1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
「大丈夫です」をそのまま受け取って終わらせず、 次の1on1で話を聞き直すきっかけを持てます。
部下が「大丈夫です」のような短い返事で次の話に移った場面があると、次の1on1でどう声をかけ直すかの案が書かれることがあります。ご自身向けの内容です。
次回、同じ場面に戻るとしたら、「大丈夫」の一言で終わらせず、「月曜の午前が取られると、週の動き出しはどう変わってる?」のように、具体の場面を一つ挙げて聞いてみると、小野寺さんが答えやすくなるかもしれません。
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よくある質問
萎縮している部下には、 どう声をかければよいですか。
萎縮している部下には、「何かある?」のような大きな問いではなく、答えやすい具体的な質問で声をかけてください。たとえば「今週の集計で、数字が届くのが遅かった部署はありましたか」のように尋ねます。あわせて「あれば、私からその部署に話します」と、答えを聞いたら上司がどうするかを先に言います。本人の答えが短くても、答えてくれたことに一言返してから次に進むことが、話しやすさにつながります。
部下が萎縮しているのは、 上司のせいですか。
部下が萎縮している理由を、上司だけのせいと決める必要はありません。ただ、上司の側の言い方と反応は、本人が話すかどうかに関わっていると考えられます。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で「上司との信頼関係がなく安心して話せない」と答えた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人は25.2%でした。全体の31.9%より低い数字です。上司が変えられるのは自分の言い方と反応なので、そこから始めることをおすすめします。
ミスを強く叱ってから部下が萎縮してしまいました。 どうすればよいですか。
ミスを強く叱ったあとに部下が萎縮したときは、本人が立ち直るのを待つのではなく、上司の側から先に、そのときの言い方について話すことをおすすめします。「あの場で強く言ったのは私の言い方が悪かった」と伝え、次に誤りがあったときは会議の場ではなく二人で見ること、誰が間違えたかではなく直し方の話をすることを約束します。約束は、上司が確実にできることにしてください。
萎縮している部下に、 仕事の指摘をしてもよいですか。
萎縮している部下にも、仕事の指摘はしてかまいません。指摘がなくなると、本人は何がよくて何を直せばよいかを知る機会を失います。変えるのは、指摘をやめることではなく、言う場所と言い方です。会議や他の人の前ではなく二人のときに、人柄ではなく直し方について、「ここをこう直すと集計が合います」のように具体的に伝えてください。言いにくいことを言ったあとに、本人の受け止め方を尋ねる一言も添えます。
萎縮している部下に「評価には影響しないから安心して」と言ってもよいですか。
萎縮している部下に「評価には影響しない」と言うことは、おすすめしません。評価の結果は上司の一存では決められないので、約束にはできないからです。上司が約束できるのは、上司自身の反応です。「相談があったらその日のうちに返事をする」「誤りを先に言ってくれたことを責めない」のように、上司が確実にできることを伝え、実際にそう応えることを積み重ねてください。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/approaching-intimidated-subordinate
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: