上司の方へ部下との関わり
謝らない部下への指導
先に答え
謝らない部下への指導では、謝罪の言葉を引き出すより先に、ミスの影響への対処と次から同じことを起こさない手順を、二人で決めることをおすすめします。謝らないように見える理由は、場面によって違います。たとえば、ミスだと気づいていないこと、自分のミスだと思っていないこと、わかっていても言葉にしにくいことがあります。お客様やほかの部署へのお詫びが必要なときは、上司への謝罪とは分けて、誰が何を伝えるかを一緒に決めてください。上司の指示に足りない点があったなら、上司から先に認めます。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごとに「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人がいました。年代ごとに見ると、20代の回答で最も高くなっています。どちらも面談についての数字で、ミスのあとに謝るかどうかを尋ねたものではありません。
- 9.3%
- 1万人調査
- 上司との面談の困りごとに「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人の割合
- この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は32.7%で、回答者全体の31.9%と並びます。上司と定期的に面談している人の中にも、評価を気にして本音を控えている人がいるということです。
- 14.4%
- 1万人調査
- 20代の回答で「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人の割合
- 30代の回答では12.0%、40代では8.6%、50代では7.6%、60代では5.7%でした。20代の回答で最も高く、60代の回答で最も低くなっています。
1万人調査は、上司との定期的な面談での困りごとを尋ねたもので、ミスのあとに謝るかどうかや、謝らない理由は尋ねていません。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
謝らない部下への指導は、 謝罪の言葉より先に、 影響への対処と次の手順を決める
謝らない部下への指導で最初に決めたいのは、謝罪の言葉ではなく、ミスの影響への対処と、次から同じことを起こさないための手順です。「すみません」の一言があっても、対処と手順が決まっていなければ、同じことはまた起こりえます。反対に、謝罪の言葉が出なくても、二人で手順を決められれば、仕事は前に進みます。
ミスのあとに謝らない部下を前にすると、上司は「反省していない」「責任感がない」と受け取りたくなることもあります。けれども、謝らないように見える理由は1つではありません。理由によって、上司の最初の一言も変わります。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごとに「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人が9.3%いました。この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は32.7%で、回答者全体の31.9%と並びます。つまり、上司と定期的に面談している人の中にも、評価を気にして本音を控えている人がいるということです。年代ごとに見ると、20代の回答では14.4%、60代の回答では5.7%で、20代の回答で最も高くなっています。
面談についての数字ですが、ミスを認める言葉が評価にどう響くかを気にして、謝罪を口にしにくい人もいると考えられます。
以下では、経理部で月次の締めを担当している部下が、経費の計上を漏らした場面を例にします。
謝らないように見える3つの場面と、 上司の最初の一言
謝らないように見える場面は、少なくとも3つに分けられます。どの場面に近いかは、部下の最初の言葉が手がかりになります。
| 場面 | 部下の言葉の例 | 上司の最初の一言 |
|---|---|---|
| ミスだと | 「その経費は、 | 「今月の |
| 自分の | 「申請が | 「申請が |
| わかっているが、 | 黙っている。 | 「起きたことを |
ミスだと気づいていない、 影響を知らないとき
決まりや影響を知らなければ、部下には謝る理由がわかりません。まず、何が決まりだったのかと、どこに影響が出たのかを、資料を一緒に見ながら伝えます。
- この経費は、発生した月の締めに入れる決まりになっています。私からきちんと伝えられていなかったかもしれません。
- 今回の漏れで、部門ごとの今月の数字が少し変わります。営業部で数字をまとめている方には、修正を伝える必要があります。
- どのタイミングで計上するかの決まりを、一緒に確認しておきませんか。
自分のミスだと思っていないとき
部下が事情を話しているときは、言い訳と決めつけず、最後まで聞きます。申請の遅れのように、部下だけでは防げない事情があったなら、手順の側を直す話になります。
- 申請が締めの後に届いたのですね。届いたときに、私に知らせてもらう方法はありましたか。
- 締めの後に届いた申請の扱いが、決まっていなかったのかもしれません。来月からの扱いを一緒に決めましょう。
- 申請を出す側の部署には、締めの日を私から改めて伝えておきます。
- そのうえで、今月の数字の修正は○○さんにお願いしたいです。営業部への説明には、私も入ります。
わかっているが、言葉にしにくいとき
責められると身構えている部下には、謝罪を求めず、これからのことから話し始めます。落ち着いてから、部下の側からお詫びの言葉が出てくることもあります。
- 起きたことの話は、ここまでにしましょう。修正の手順を一緒に決めたいです。
- 気になっていることがあれば、今でもあとでもかまいません。話してもらえると、私も手を打ちやすくなります。
- 修正が終わったら、一言教えてもらえると助かります。営業部へ連絡する時期を合わせたいからです。
お詫びが必要な相手には、 誰が何を伝えるかを一緒に決める
上司への謝罪と、ミスの影響を受けた相手へのお詫びは、分けて考えます。上司に向けた謝罪の言葉は、仕事を前に進めるのに欠かせないものではありません。一方で、お客様やほかの部署に影響が出たときは、お詫びと今後の対応を伝えることが、仕事として必要になります。
- 営業部の方には、数字を修正したことと、お詫びを伝えておきたいです。○○さんから連絡してもらえますか。必要なら、私も一緒に行きます。
- 文面は、起きたこと、修正した内容、次からの対応の3つでよいと思います。送る前に、一緒に見ましょうか。
- 取引先への連絡は、私の名前で出します。経緯の説明では、○○さんの力を借りたいです。
部下が、影響を受けた相手へのお詫びをためらうときは、理由を尋ねてみてください。どう伝えればよいかわからない、という理由なら、文面や伝え方を一緒に考えます。
- 連絡しにくいと感じているところがあれば、教えてもらえますか。最初の一文だけでも、一緒に考えましょう。
上司の側の原因は、 上司から先に認める
ミスの経緯をたどると、上司の指示や確認の仕方に原因が見つかることもあります。そのときは、部下に謝罪を求める前に、上司が自分の側の原因を認めて伝えましょう。
- 締めの後に届いた申請の扱いを決めていなかったのは、私の落ち度です。申し訳ありませんでした。
- 確認をお願いしたときに、期限を伝えていませんでした。次からは、期限も一緒にお伝えします。
- 今回の手順の見直しは、私の確認の仕方も含めて考えたいです。気づいたことがあれば、遠慮なく言ってください。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司も部下も両方が当事者であり、どちらか一方だけに責任を負わせるものではないと考えています。ミスへの対応でも、上司の側で直せることを先に引き受けると、二人で手順を決めやすくなります。
謝らない部下への指導で、 避けたいこと
避けたいのは、謝罪の言葉にこだわりすぎることと、何も言わずに済ませることの両方です。
- 謝るまで話を終えない。謝罪の言葉を引き出すことが目的になると、影響への対応と次の手順を決める時間がなくなります。
- 人前で謝らせる。部下は事情を話しにくくなり、次のミスの報告が遅れるおそれがあります。お詫びが必要な相手には、相手と場面を選んで伝えます。
- 謝罪の言葉の有無で、反省しているかを判断する。口に出さなくても、修正や手順の見直しに取り組んでいることがあります。
- 逆に、何も言わずに上司が後始末を全部引き受ける。部下は、何が問題だったのか、次にどうすればよいのかを知る機会を失います。
- 性格の問題として片づける。「素直じゃない」と言われても、部下は次に何を変えればよいのかがわかりません。
始末書や処分、損害の扱いが関わるときは、上司が一人で判断しないでください。就業規則と人事の担当に確かめてから進めます。
指導のあと、 二人の仕事はどう変わったかを振り返る
謝らない部下への指導がうまくいったかどうかは、謝罪の言葉が出たかではなく、その後の二人の仕事で振り返ります。次の締めが終わったころに、次の点を振り返ってみてください。
- ミスがわかったときに影響への対処と次の手順を二人で決められていたなら、次は、その手順が実際に使われているかを一緒に見ます。
- 次に似たことが起きそうなときに二人の間で早めに話ができていたなら、報告を受けたときにまず「知らせてくれて助かりました」と返すことを続けます。
- 上司の側の原因を上司から先に伝えられていたなら、上司が変えた確認の仕方についても、やりにくくなっていないかを部下に尋ねます。
- 影響を受けた相手への連絡を、誰が何を伝えるかを決めてから行えていたなら、その相手との仕事に差し支えが残っていないかを、次の締めの前に二人で確かめます。
- 先月のことがあってから、締めの手順を少し変えました。やってみて、かえってやりにくくなったところはありますか。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
注意や指摘を伝える必要があるのに、切り出し方に迷って先送りしたり、伝えたあとに受け止めてもらえたのかがわからなかったりするときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の前に、「メンバーに伝えたいこと」に入力して。
注意したいことを、どの話題の流れで切り出すかを、 1on1の前に考えておけます。
マネジャー権限でご自身のメンバーと行う1on1では、「予定・履歴」の次の1on1のカードの「メンバーに伝えたいこと」に、切り出したいことを入力できます。保存すると「1on1前のAIアドバイス」が書き直され、どの話題の流れの中で切り出すと自然かが示されます。入力した内容は部下には表示されず、ご自身向けのアドバイスにだけ使われます。
伝える1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
伝える中身だけでなく、 部下が何を求めているかに合わせた切り出し方を、 1on1の前に考えておけます。
Kakeai AI が、部下が選んだ期待する対応(「具体的なアドバイスが欲しい」など)とこれまでの1on1を踏まえて、どう切り出すとよいかと、最初の一言の案を書きます。ご自身向けの内容で、部下には別の内容が表示されます。
競合の範囲と情報源については、自分がやってきた中でこういう切り方をしていた、という話をまず共有しますね。そのうえで、森さんが今どこで迷っているかを聞かせてもらえますか。
伝えた1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
言いっぱなしになった指摘や問いに、 次の1on1でどう戻るかを、 具体的な一言で準備できます。
ご自身の返し方で部下の話が途中で終わった場面や、部下が答えに詰まったまま次の話に移った場面があると、次の1on1でその話にどう戻るかの一言の案が書かれることがあります。言い方が悪かったという指摘ではなく、次に試すこととして書かれます。ご自身向けの内容です。
加藤さんが何を怖れているのか、もう少し聞ける余地が残っています。…次回、昇格試験の準備状況を確認するタイミングで、「社内の評価の場面って、具体的にどんなときが一番きつい?」と一問戻してみませんか。
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よくある質問
ミスをしても謝らない部下には、 どう指導すればよいですか。
ミスをしても謝らない部下には、謝罪の言葉を求める前に、影響への対処と次からの手順を一緒に決めることから始めるのがおすすめです。最初の一言は、謝らないように見える理由がどの場面に当たるかによって変えます。上司の側に原因があれば、上司から先に認めます。
部下に謝罪を求めるのは、 パワハラになりますか。
部下に謝罪を求めることがハラスメントに当たるかどうかは、言い方や回数や場面によって変わります。上司が一人で判断せず、就業規則と人事の担当に確かめてください。指導の場では、謝罪の言葉を求めるより、影響への対応と次の手順を二人で決めることをおすすめします。人前で謝らせることや、謝るまで話を終えないことは避けましょう。
謝らない部下は、 反省していないのでしょうか。
謝罪の言葉が出ないからといって、反省していないとは限りません。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談の困りごとに「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人が9.3%いました。ミスを認める言葉が評価にどう響くかを気にしている人もいると考えられます。言葉の有無より、修正や手順の見直しを二人で進められているかに目を向けましょう。
部下が取引先へのお詫びの連絡を嫌がるときは、 どうすればよいですか。
部下が取引先へのお詫びの連絡を嫌がるときは、まず理由を尋ねてみてください。どう伝えればよいかわからないという理由なら、起きたこと、修正した内容、次からの対応の3つで文面を一緒に考えます。影響が大きいときは、上司の名前で連絡を出し、経緯の説明で部下の力を借りる形にするのも1つの方法です。
ミスの原因が上司の指示にもあるとき、 部下にどう伝えればよいですか。
ミスの原因が上司の指示や確認の仕方にもあるときは、部下に謝罪を求める前に、上司が自分の側の原因を認めて伝えます。「期限を伝えていなかったのは私の落ち度です。次からは期限も一緒にお伝えします」のように、何が足りなかったかと、次にどうするかをセットで言うとよいでしょう。そのうえで、部下が担う修正の手順を一緒に決めます。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/guiding-a-subordinate-who-does-not-apologize
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: