上司の方へ部下との関わり
部下育成のロールプレイングのやり方
先に答え
部下育成のロールプレイングは、研修の演習として構えなくても、1on1の中の5〜10分でできます。部下が次の1〜2週間で実際にする場面を1つ選び、上司が相手役になって途中で止めずに5分間続けます。そのあと、本人の感想・上司が相手役として感じたこと・変える点1つの順で振り返り、もう一度やります。「Kakeai AI 1on1」の利用データ(抽出した30万回の1on1の記録)では、1回の時間の中央値は29.6分でした。30分の中で練習に使える時間は長くても10分ほどなので、場面は1つに絞ります。終わりに本番の日を決め、本番のあとに一言の報告をもらうところまでを1回として考えてください。
数字で見る
1on1の多くは30分前後で行われていて、ロールプレイングに使える時間は長くありません。また、面談のあとに行動につながらない理由では、「スキルが不足していてできない」を挙げた人は、情報や時間の不足を挙げた人より少ない数字でした。面談が行動につながっている人ほど、成長を実感しています。ロールプレイングは、場面を1つに絞って短く行い、本番で実際にやるところまでを1回として考えてください。
- 29.6分
- Kakeai AI 1on1 利用データ
- Kakeai AI 1on1で行われた1on1の、1回の時間の中央値
- 20〜39分の回が52.6%で、半分ほどを占めます。1on1はおよそ30分で行われていることが多く、その中でロールプレイングに使える時間は長くても10分ほどです。
- 9.1%
- 1万人調査
- 面談のあと行動につながりにくいと答えた人のうち、理由に「スキルが不足していてできない」を選んだ人の割合
- 面談のあと行動につながるのが半分くらいの回かそれより少ないと答えた人の答え(5つまで選択)です。「行動するために必要な情報が揃っていない」15.9%、「時間やコストの制約で動けない」15.4%のほうが多く挙げられていました。
- 68.1%
- 1万人調査
- 上司との面談が「毎回」行動につながっている人のうち、面談が成長につながっていると感じている人の割合
- 「全くそうなっていない」人では5.2%でした。話したことが行動に移っている人ほど、面談が成長につながっていると感じています。
調査は、ロールプレイングや研修について尋ねたものではありません。利用データの1回の時間は、1on1を始めてから終えるまでの時間で、その中で何が行われたかは集計していません。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
出典:株式会社KAKEAI「Kakeai AI 1on1 利用データの集計」(2025年10月12日〜2026年10月3日に行われた1on1から抽出した30万回の記録を、会社や個人が特定できない形で集計)
部下育成のロールプレイングは、 1on1の中の5〜10分でできる
部下育成のロールプレイングは、研修室で台本を使って行う演習だと思われがちですが、上司と部下の二人でもできます。部下が次に実際にする場面を1つ選び、上司が相手役になって、一度声に出してやってみるだけで十分です。練習の題材は、研修の架空の場面ではなく、来週その部下が実際に向き合う仕事から取ります。
KAKEAIは、仕事は、成果に対してクリアしなければならないものであると同時に、成長にとっての具体的な材料でもあると考えています。来週の商談や他部署への依頼は、成果のための仕事であると同時に、ロールプレイングの題材でもあります。架空の場面で練習するより、実際の場面で練習するほうが、本番にそのまま使えます。
「Kakeai AI 1on1」の利用データ(抽出した30万回の1on1の記録)では、1回の1on1の時間の中央値は29.6分でした。つまり、1on1の多くは30分前後で終わっていて、その中でロールプレイングに使える時間は、長くても10分ほどだということです。場面を1つに絞り、5分行って5分振り返る形が現実的です。
以下では、営業担当の部下が来週、お客様に値上げの説明をする場面を例にします。
ロールプレイングで解けるつまずきと、 解けないつまずき
ロールプレイングを始める前に、部下がその場面で何につまずいているのかを確かめてください。練習で解けるのは、つまずきのうちの一部です。
KAKEAIの1万人調査では、上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、理由を尋ねています(5つまで選択)。「スキルが不足していてできない」は9.1%で、「行動するために必要な情報が揃っていない」15.9%、「時間やコストの制約で動けない」15.4%のほうが多く挙げられていました。この質問に答えた人の中では、スキルの不足より、情報や時間の不足を挙げた人のほうが多いということです。
面談についての数字ですが、ロールプレイングで解けるのは、このうち「できるかどうか」の不安だけだと考えられます。情報が足りないときには練習ではなく情報が、時間や権限がないときには上司の調整が要ります。練習の前に、本人に尋ねてください。
- 値上げの説明で、一番引っかかっているのはどこですか。何を言うかが決まっていないのか、決まっているけれど言いにくいのか、教えてもらえますか。
| 本人がつまずいているところ | ロールプレイングが合うか | 上司がすること |
|---|---|---|
| 何を | 合う | 相手役になって、 |
| 何を | 合わない | 先に |
| 時間がない、 | 合わない | 上司が |
| やり方そのものを | 先に | 上司が |
部下育成のロールプレイングの進め方: 6つの手順
ロールプレイングは、次の6つの手順で進めます。1回の1on1の中で、1から5までを10分ほどで終えます。
- 場面を1つ選びます。部下が次の1〜2週間で実際にする場面にします。
- 来週、△△社様に値上げのお話をしますよね。その場面を、今日の1on1で5分だけ、私を相手に一度やってみませんか。
- 練習というより、本番の前に一度声に出してみる、くらいのつもりで大丈夫です。
- 役を決めます。上司が相手役、部下が本人の役です。やり方そのものを本人が知らないときは、先に上司が本人の役をやって、手本を見せます。
- 私が△△社様の購買の担当の役をやります。○○さんは、いつも通りに話してください。
- 先に私が○○さんの役で一度やってみましょうか。見てから、やりやすいところだけ取り入れてください。
- 5分間、続けて行います。途中で止めず、上司は相手役として自然に答えます。相手役をわざと厳しくしすぎないでください。本番で起こりそうな反応を1つ入れる程度にします。
- (相手役として)値上げですか。ほかの会社さんは据え置きだと聞いていますが。
- 振り返ります。順番は、まず部下の感想、次に上司が相手役として感じたこと、最後にもう一度やるときに変える点を1つです。上司が見た事実は、言葉と順番で具体的に言います。
- やってみて、どうでしたか。言いにくかったところはありましたか。
- 相手役として聞いていて、値上げの理由の説明はよくわかりました。一番よかったのは、最初に私の状況を聞いてくれたところです。あれで、話を聞く気になりました。
- 1つだけ、値上げの幅を言う前に謝る言葉が3回あって、相手役としては少し不安になりました。幅は、最初に数字で言ってみませんか。
- もう一度行います。変えるのは、4で決めた1点だけです。
- 今の1点だけ変えて、もう一度やってみましょう。ほかは、さっきのままで大丈夫です。
- 本番の日を決め、本番のあとに一言の報告をもらう約束をします。上司が引き受けることも伝えます。
- 本番は来週の火曜ですね。終わったら、1分でいいので、どうだったか教えてください。次の1on1で一緒に振り返りましょう。
- 私も、△△社様の購買の方が前回の値上げのときにどんな反応だったか、記録を見ておきます。
KAKEAIの1万人調査では、上司との面談が「毎回」そのあとの行動につながっている人のうち、面談が成長につながっていると感じている人は68.1%でした。「全くそうなっていない」人では5.2%です。話したことが行動に移っている人ほど、面談が成長につながっていると感じています。
面談についての数字ですが、ロールプレイングも、練習がうまくできたかではなく、本番で実際にやったかで振り返るのがよいと考えられます。本番の日を決めずに終えると、練習だけで終わりやすくなります。
本番のあとの振り返りで、 上司が言うこと
本番のあとの一言の報告は、立ち話で十分です。練習との違いを尋ね、練習で変えた点が本番で使えたかを二人で見ます。
- 本番、どうでしたか。練習と違ったところはありましたか。
- 練習で変えた「数字を先に言う」は、本番でも使えましたか。使えなかったなら、本番に合わなかったということなので、練習のほうを変えましょう。
- 相手の反応で、練習では出てこなかったものがあれば教えてください。次に同じ場面が来る人のためにも、残しておきたいです。
本番が練習と違っていても、それは練習が無駄だったという意味ではありません。違いがわかったことが、次の練習の題材になります。
部下育成のロールプレイングで、 避けたいこと
- 相手役を厳しくしすぎること。上司が本番より手強い相手を演じると、練習の場が試験の場になります。本番で起こりそうな反応を1つ入れる程度にしてください。
- 人前でやること。ほかのメンバーが見ている場でのロールプレイングは、見られている恥ずかしさが先に立ち、練習になりにくいものです。二人のときにします。
- 台本を覚えてもらうこと。言葉を暗記すると、本番で相手が違う反応をしたときに続けにくくなります。変える点を1つに絞り、言葉は本人のものにします。
- 練習の出来を評価の材料にすること。練習は、本番の前に失敗してよい場です。評価の話と結びつけると、部下は安全な言い方しか試しにくくなります。
- 上司が手本を見せるだけで終えること、逆に部下だけがやって上司は一度もやらないこと。手本は、やり方を知らないときにだけ見せます。知っているなら、本人がやる時間を取ります。
- 情報が足りないときに、練習で応えること。価格の根拠や相手の状況がわからないまま練習しても、本番では使えません。先に情報を渡します。
ロールプレイングがうまくいったかを、 どこで見るか
ロールプレイングがうまくいったかどうかは、練習の場の実感ではなく、本番と、そのあとの二人のやり取りで見ます。
- 本番のあとに、部下から一言の報告が来たら、次は本番で起きた違いを、次の練習の題材にしてください。
- 練習で変えた1点が本番で使えていたら、次のロールプレイングでは、別の場面か別の1点に進めます。使えていなければ、変える点の選び方を上司の側で見直します。
- 部下のほうから「この場面を一度やってみたい」と言ってくるようになったら、ロールプレイングは二人の道具になっています。それまでは、上司から場面を提案し続けてかまいません。
ロールプレイングは、1回で部下が変わる方法ではありません。ただ、来週の実際の場面を5分で一度やってみることは、毎回の1on1で続けられます。続けるうちに、本番の前に声に出して試すことが、部下にとって当たり前の準備になっていくでしょう。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
本や研修で学んだ育成のやり方を、目の前の部下との会話にどう当てはめればよいか迷うときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
部下との1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
一般的なやり方をそのまま当てはめる前に、 その部下が今回何を期待しているかに合わせた入り方を考えられます。
Kakeai AI が、選ばれたテーマと、部下が選んだ期待する対応、これまでの1on1でのやり取りをもとに、今回どう関わるとよいかと、最初の一言の案を書きます。ご自身向けの内容で、部下には部下向けの別の内容が表示されます。
加藤さんは「一緒に考えてほしい」と言っているので、答えを渡すより、どこから手をつけるかを一緒に絞る関わりが今日の軸になります。
1on1の終了後に、「今回よかった点」で。
自分の関わり方のうち続けるとよいものを、 本の中の一般論ではなく、 実際の会話の場面で確かめられます。
「1on1後のAIアドバイス」の「今回よかった点」に、その回のどの場面で、ご自身のどの問いかけや返し方が部下の言葉につながったかが、実際の発言を引用して書かれます。ご自身向けの内容で、部下には別の内容が表示されます。
数字の報告を受け取るだけでなく、担当者がその数字をどう読んでいるかを問う形は、西村さんが自分の判断を持ち込む場を作りました。
1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
本で読んだ問いかけではなく、 その部下との実際の会話から、 次の1on1で試す一言を持てます。
「1on1後のAIアドバイス」のご自身向けの欄に、その回の会話をもとに、次の1on1で部下に試せる一言の案が書かれます。部下には別の内容が表示されます。
次回、自動車系列や提案書の軸について藤本さんが実際に動いた結果を聞く場面で、「自動車系列、リストに入れてみてどうだった?」と一問返してみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
部下育成のロールプレイングは、 どのように進めればよいですか。
部下育成のロールプレイングは、部下が次の1〜2週間で実際にする場面を1つ選び、上司が相手役になって途中で止めずに5分間続けるところから始めます。そのあと、本人の感想・上司が相手役として感じたこと・変える点1つの順で振り返り、その1点だけを変えてもう一度やります。終わりに本番の日を決め、本番のあとに一言の報告をもらう約束をしてください。1on1の中の10分ほどでできます。
ロールプレイングは、1on1の中でやってもよいですか。
ロールプレイングは、1on1の中でやってかまいません。「Kakeai AI 1on1」の利用データ(抽出した30万回の1on1の記録)では、1回の1on1の時間の中央値は29.6分でした。30分の中で練習に使えるのは長くても10分ほどなので、場面を1つに絞り、5分行って5分振り返る形にします。研修室や特別な時間を用意しなくても、来週の実際の場面を題材にすれば、毎回の1on1で続けられます。
ロールプレイングで上司が相手役をするとき、 どのくらい厳しくすればよいですか。
ロールプレイングで上司が相手役をするときは、本番で起こりそうな反応を1つ入れる程度にして、本番より手強い相手を演じないでください。上司が厳しすぎる相手を演じると、練習の場が試験の場になり、部下は安全な言い方しか試しにくくなります。相手役として感じたことを、振り返りのときに「値上げの幅を言う前に謝る言葉が3回あって少し不安になりました」のように具体的に伝えるほうが役に立ちます。
部下がロールプレイングを嫌がるときは、 どうすればよいですか。
部下がロールプレイングを嫌がるときは、無理に続けず、何に引っかかっているのかを先に尋ねてください。人前でやるのが嫌なのか、評価に使われると感じているのか、何を言えばよいかの材料がそろっていないのかで、対応が変わります。材料がそろっていないなら、練習の前に情報を渡します。練習が合う場合でも、「本番の前に一度声に出してみるだけ」と伝え、二人のときに短くやる形にすると、始めやすくなります。
ロールプレイングをしても、本番で部下がうまくできないときはどうすればよいですか。
ロールプレイングをしても本番でうまくいかなかったときは、練習が無駄だったと考えず、本番と練習の違いを部下に尋ねてください。相手の反応が練習と違ったのか、練習で変えた点が本番に合わなかったのかがわかれば、それが次の練習の題材になります。練習の意味は、本番で実際にやったかどうかで決まります。本番でやったことそのものが、次の練習の題材になります。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
出典:株式会社KAKEAI「Kakeai AI 1on1 利用データの集計」(2025年10月12日〜2026年10月3日に行われた1on1から抽出した30万回の記録を、会社や個人が特定できない形で集計)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/role-playing-for-developing-subordinates-in-1on1
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: