上司の方へ部下との関わり
部下が上司に命令や指導をしてくるとき
先に答え
部下が上司に命令や指導のような言葉を向けてくるときは、言い方より先に、中身に判断と理由で答えてください。「承認してください」「触らないでください」という言葉の中身は、多くの場合、上司の判断や行動への具体的な期待です。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に一番期待することとして、具体的なアドバイス・意見・一緒に考えることのどれかを選んだ人は合わせて45.6%でした。黙って聞くことより、上司の考えや関わりを選ぶ人のほうが多いということです。納得したら引き受け、反対なら理由を言い、上司が決めることと部下に任せることを言葉にします。言い方の話は、仕事が動いたあとに別の機会で切り出すことをおすすめします。
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KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で上司に一番期待することとして、上司の考えや関わりを求める3つの答えのどれかを選んだ人は45.6%でした。「話を聞いてほしい」を選んだ人は7.9%です。また、面談のあとに動けない理由として、裁量や権限がないことを挙げる人もいます。部下から命令や指導の形で来る言葉も、上司の判断や行動への期待として受け取り、中身に判断と理由で答えることをおすすめします。
- 45.6%
- 1万人調査
- 面談で上司に一番期待することとして、アドバイス・意見・一緒に考えることのどれかを選んだ人の割合
- 「話を聞いてほしい」を選んだ人は7.9%でした。面談で上司に一番期待することとして、黙って聞いてもらうことより、上司の考えや関わりを選ぶ人のほうが多いということです。
- 9.4%
- 1万人調査
- 面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ない人のうち、理由に「裁量や権限がなくできない」を挙げた人の割合
- 面談のあと行動につながりにくい理由を尋ねた答えの1つで、部下の側には、自分では動かせないことがあるということです。面談についての数字ですが、「承認してください」という部下の言葉の中にも、上司が動かなければ進まない仕事が含まれていると考えられます。
どちらも、上司との定期的な面談について部下の立場で答えた数字です。部下が上司に指示や指導をする場面や、その言い方については尋ねていません。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
部下が上司に命令や指導をしてくるとき、 何が起きているのか
部下が上司に「今日中に承認してください」「それは触らないでください」と言ってくるとき、形は命令や指導でも、中身は多くの場合、上司の判断や行動に対する具体的な期待です。言い方に目を向ける前に、何を求められているのかを受け取ることから始めてください。
部下から上司への命令や指導に見える言葉は、おおむね次の3つの場面で出てきます。
| 場面 | 言葉の中身として受け取ること | 上司の最初の一言 |
|---|---|---|
| 部下のほうが | その分野の | 「私が |
| 上司に | 上司にしか | 「分かりました。 |
| 以前は | 役割が | 「これまでの |
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査で、上司との面談で上司に一番期待することを尋ねました。「具体的なアドバイスがほしい」「意見を聞きたい」「一緒に考えてほしい」のどれかを選んだ人は合わせて45.6%です。「話を聞いてほしい」を選んだ人は7.9%でした。つまり、一番期待することとして、黙って聞いてもらうことより上司の考えや関わりを選ぶ人のほうが多いということです。面談についての数字ですが、強い言い方で上司に何かを求めてくる部下も、上司の判断や関わりを求めている点では同じだと考えられます。
同じ調査で、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に理由を尋ねると(5つまで選択)、「裁量や権限がなくできない」を挙げた人は9.4%でした。部下の側には、自分では動かせないことがあります。面談についての数字ですが、「承認してください」「決めてください」という言葉の中にも、上司が動かなければ進まない仕事が含まれていると考えられます。
命令や指導の中身に、 上司はどう答えるか
命令や指導の形で来た言葉には、中身に対して、上司の判断と理由で答えます。従うか、はね返すかの二択ではありません。以下では、勤怠管理のシステムを新しいものに切り替える仕事で、システムに詳しい部下が担当になっている場面を例にします。
まず、求められていることと、その理由を確かめます。
- 今日中に承認が要るのは、切り替えの日程に関わるからですか。理由を聞かせてもらえると、ほかの仕事との順番を決めやすいです。
- 「触らないでほしい」というのは、私が設定を変えると、○○さんの側で確認が増えるからですか。
- 今の話で、私にしてほしいことを1つに絞ると何になりますか。承認を急ぐことか、部長に先に伝えておくことか、どちらでしょう。
中身に納得したら、そのまま引き受け、いつまでに何をするかを言葉にします。
- 分かりました。承認は今日の17時までに終えます。間に合いそうにないときは、15時までに声をかけます。
- 言ってくれて助かりました。私のところで止まっていると気づいていませんでした。
- 設定は○○さんに任せます。私が触って壊すより、頼んだほうが確実です。変更したときは、何を変えたかだけ教えてください。
部下の考えのほうが正しいと分かったら、そのことを言葉で認めます。上司が間違いを認める場面を部下が見ることは、二人の仕事にとって損ではありません。
- ○○さんの言う通りでした。先に私が確認を入れるべきでした。今回の順番で進めましょう。
反対のときは、理由と一緒に言い、部下の考えの中で自分が見落としている点がないかを尋ねます。
- その進め方には、私は反対です。切り替えの日を月末にすると、経理の締めとぶつかるからです。○○さんの考えで、私が見落としている点があれば教えてください。
その場で決められないことは、いつ決めるかを伝えます。
- 説明会に私が出るかどうかは、部長会の予定と合わせて明日決めます。○○さんの考えでは、私が出たほうがよい理由は何ですか。
上司が決めることと、 部下に任せることを言葉にする
部下から命令や指導のような言葉が続くときは、何を上司が決め、何を部下が決めてよいのかが、二人の間で言葉になっていないことがあります。詳しい人が決める、声の大きい人が決める、という状態にせず、役割として分けて伝えてください。
上司が決めるのは、仕事の範囲と期限・優先順位と人の配置・ほかの部署やお客様との約束・評価です。やり方の細かい点は、その仕事を担当している部下が決めてよい部分が大きいでしょう。
- 私の知らないことが多い分野なので、設定の中身とやり方は○○さんの判断で進めてください。一方で、ほかの部署への連絡をいつ出すかは、私が決めます。部をまたぐ連絡は、部長と私が責任を持つ範囲だからです。
- 今回の切り替えで、○○さんが決めてよいことと、私に相談してほしいことを、一度一緒に書き出しませんか。
- 私への相談は、結論を出してほしいのか、知っておいてほしいだけなのかを、先に言ってもらえると答えやすいです。
部下が上司の判断を待たずに進めてしまった場合も、人柄の話にせず、分け方の話として扱います。
- 先に進めてくれたのは助かりました。ただ、ほかの部署に日程を伝えるのは、私が決めてからにしてほしいです。向こうの部長から私に問い合わせが来るので、私が知らないままだと答えられません。
言い方について話すのは、 落ち着いてから別の機会に
言い方について伝えるのは、その場ではなく、落ち着いてから別の機会にしてください。「今日中に承認してください」と言われた直後に言い方の話を始めると、部下は中身を聞いてもらえなかったと受け取りがちです。中身への返事が済み、仕事が動いてから、1on1などで切り出します。
言い方の話は、上司の気分の話にせず、仕事への影響として伝えます。周りのメンバーにどう聞こえたか、上司がすぐ動くために何があると助かるか、という形にすると、部下にも受け取りやすくなります。
- 先週の切り替えの準備では、○○さんの判断に助けられました。1つお願いがあって、「触らないでください」という言い方は、周りのメンバーには強く聞こえたようです。同じ中身を「設定は私に任せてもらえますか」と言ってもらえると、ほかの人も○○さんに頼みやすくなると思います。
- 私への頼みごとは、理由と期限をつけて言ってもらえると、すぐ動けます。今回の「今日中に」は、理由を聞いてから納得できました。
- 私の言い方で気になることがあれば、○○さんからも言ってください。
- 急ぎのときは、「急ぎです」と最初に言ってもらえれば十分です。言い方を変えてほしいのは、急ぎの中身ではなく、周りへの伝わり方だけです。
部下が「そんなつもりはなかった」と話したら、まずそれを受け取ります。言い方の受け取られ方は、本人には見えにくいものです。
- そうですよね。中身は正しかったので、伝わり方の話だけです。話せてよかったです。
部下が上司に命令や指導をしてくるとき、 避けたいこと
避けたいのは、言い方に反応して中身を聞かないことと、逆に、言われた通りに動くだけで上司の判断を手放すことです。
- 上司の立場を守るために、はね返す。「それは部下が決めることではない」と返すと、部下が持っている知識や、止まっている仕事の情報が上司に届かなくなります。
- 言われたことを、そのまま全部受け入れる。詳しい部下の言う通りに動くだけでは、ほかの部署との調整や期限など、上司しか見ていないことが抜けます。
- 聞き役に引く。KAKEAIは、部下が強く出てくる相手だからと、上司は意見を言わず聞き役に徹する、と決めておくことをおすすめしません。面談で部下が上司に一番期待することとして最も選ばれているのも、上司の考えや関わりだからです。
- その場で言い方を注意する。中身への返事より先に言い方の話を始めると、部下は「聞いてもらえなかった」と受け取りかねません。
- 人柄や性格の問題として片づける。「上司を軽く見ている」「生意気だ」と決めつけると、分け方の話も言い方の話もできなくなります。起きていることは、仕事の分け方と伝え方の問題として扱えます。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司と部下はどちらも当事者であり、上司だけ、部下だけに責任を負わせるものではないと考えています。部下の言い方だけを直そうとするのではなく、上司の側も何を決めていつ答えるかを言葉にしていくと、強い言い方が要らない状態に近づいていくでしょう。
部下からの命令や指導への対応がうまくいったかを、 どこで見るか
対応がうまくいったかは、部下の言い方が丁寧になったかではなく、二人の間で仕事が止まらずに進んでいるかで振り返ります。次の3つを考えてみてください。
- 部下から求められたことに判断と理由で答えられていたら、次は、部下が強く言わなくても上司に届く形を二人で決めていきます。言い方への反応で終わっていたなら、次の機会は中身への返事から始めます。
- 上司が決めることと、部下が決めてよいことが二人の言葉になっていなければ、1on1で一度書き出してみてください。
- 部下からの頼みごとと、それへの上司の返事に理由と期限がつくようになっていたら、その形を続けます。頼みごとの出し方と、上司がいつまでに答えるかを決めておくと、言い方の強さに頼らなくても仕事は動きやすくなります。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下からの反論や強い言い方を、その場でどう受け止めればよいか迷い、あとから関係がぎくしゃくしてしまうときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
反対の意見が出た1on1の最中と後に、「1on1のAI要約」で。
部下の反論を感情のぶつかり合いとしてではなく、 1つの意見として記録に残し、 あとから二人で同じ言葉に立ち返れます。
部下が述べた意見は、誰が何を述べたかという形で「1on1のAI要約」に残ります。評価の言葉ではなく、事実の言葉で書くように作られています。
石田さんは「要件が固まらないまま試作の日程だけが決まっている」のは順番としておかしいと述べた。
1on1の終了後に、「今回よかった点」で。
部下の意見を、 言葉で受け止めるだけでなく、 その場で引き取った動きとして示せていたかを振り返れます。
部下の指摘や懸念を受けて、ご自身がその場で次の動きを引き取った場面があると、その返し方が、実際の発言とともに書かれることがあります。ご自身向けの内容です。
石田さんへの確認を引き取ると伝えたことで、長谷部さんが「両方の工程を用意しておきます」と自分の一歩を言語化するところまで進みました。
次の1on1の前に、前回の「次の1on1や日常へ向けて」で。
口数が少なくなった部下に、 次の1on1でどの話の流れから声をかけるかを準備できます。
部下が短い返事で話を終えた場面について、次回どの話の流れで、どんな一言で尋ねるとよいかが書かれることがあります。たとえば、同じ問いを繰り返すのではなく、部下が自分から持ち込んだ話の続きとして尋ねる案が示されます。
次回、…「主幹として動いてみて、何か引っかかっていることはありますか。」と一言置いてみてください。前回と同じ問いを繰り返すのではなく、今日の会話で石田さんが自分から持ち込んだ「進め方がおかしい」という言葉の延長として聞くと、業務の話として入りやすくなります。
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よくある質問
部下が上司に命令してくるとき、 上司はどう対応すればよいですか。
部下が上司に命令のような言葉を向けてくるときは、言い方より先に、中身に答えてください。「今日中に承認してください」と言われたら、理由を尋ねたうえで、納得すればいつまでに終えるかを言葉にし、反対なら理由と一緒に伝えます。部下の言葉の中身は、多くの場合、上司の判断や行動への具体的な期待です。言い方の話は、仕事が動いたあとで、落ち着いて別の機会に切り出すのがおすすめです。
部下が上司を指導するような口調で話すのは、 上司を軽く見ているからですか。
部下が上司を指導するような口調で話すのは、上司を軽く見ているからとは限りません。その分野に部下のほうが詳しい場合や、上司に判断を求めていて言い方が強くなる場合、以前は先輩や上司だった人の話し方が残っている場合がよくあります。人柄の問題として決めつけると、仕事の分け方や伝え方の話ができなくなります。起きていることは、何を誰が決めるかと、頼みごとの伝え方の問題として扱えます。
自分より仕事に詳しい部下に指示されたとき、 上司は従うべきですか。
自分より詳しい部下から指示されたときも、上司は従うか従わないかの二択で考える必要はありません。やり方の細かい点は、担当している部下の判断に任せてよい部分が大きいと考えられます。一方で、仕事の範囲と期限・優先順位と人の配置・ほかの部署やお客様との約束・評価は、上司が決めることです。「設定のやり方は任せます。ほかの部署への連絡の時期は私が決めます」のように、分け方を言葉にして伝えてください。
部下の上司に対する言い方が強いとき、 どう注意すればよいですか。
部下の言い方が強いときは、その場で注意せず、中身への返事が済んで仕事が動いたあとに、1on1などの別の機会で伝えてください。上司の気分の話ではなく、周りのメンバーにどう聞こえたか、上司がすぐ動くために何があると助かるか、という仕事への影響として話します。「同じ中身を『任せてもらえますか』と言ってもらえると、ほかの人も頼みやすくなると思います」のように、代わりの言い方まで添えると受け取りやすくなります。
元上司や元先輩が部下になり、 以前のように指示してくるときはどうすればよいですか。
元上司や元先輩が部下になって以前のように指示してくるときは、その人の経験を頼りにしていると伝えたうえで、今の役割で上司が決める範囲を改めて言葉にしてください。「これまでの経験を頼りにしています。一方で、期限と優先順位、ほかの部署との約束は、今は私が決める範囲です」のように伝えます。経験を軽んじる形にならないよう、やり方の判断はできるだけ本人に任せ、決める範囲だけを分けるのがおすすめです。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/subordinate-gives-orders-to-boss
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: