上司の方へ部下との関わり
上司は部下に敬語を使うべきか
先に答え
上司が部下に敬語を使うべきかどうかは、職場によって違い、どちらが正しいとは言えません。迷うなら、「です・ます」で話す丁寧語から始めることをおすすめします。決める条件は、部下の全員に同じ話し方ができること、人前でも言い直さずに使えること、部下が上司に言い返したり頼みごとをしたりしやすいことの3つです。敬語で話すと意見を言いにくくなる、という心配は、話し方ではなく言う中身の問題です。面談についての数字ですが、KAKEAIの1万人調査では、上司に一番期待することとして上司の考えや関わりを求める3つの選択肢のどれかを選んだ人が、合わせて45.6%でした。丁寧語でも、判断や指摘は言い切れます。
上司は部下に敬語を使うべきか: 答えは職場によって違う
上司が部下に敬語を使うべきかどうかに、どの職場にも当てはまる正解はありません。上司も部下も「です・ます」で話す職場もあれば、上司から部下へはくだけた話し方が普通の職場もあり、どちらが正しいとは言えません。このページでは、迷ったときにどう決めるか、決めたあとに何に気をつけるかを書きます。
話し方を決めるときの条件は3つです。
- 一緒に仕事をしている部下の全員に、同じ話し方ができるか。年齢・性別・親しさ・入社の時期で話し方が分かれると、その違いが扱いの差として受け取られます。
- 会議やお客様の前でも、言い直さずに使えるか。二人のときはくだけた話し方、人前では丁寧語、という使い分けは、どこかで混ざります。
- 部下が、上司に言い返したり頼みごとをしたりしやすいか。上司の話し方は、部下にとって、上司にどう話してよいかの目安になります。
この3つを満たしやすいのは、尊敬語や謙譲語を重ねた敬語ではなく、「です・ます」で話す丁寧語です。迷っているなら、丁寧語から始めることをおすすめします。一方で、くだけた話し方が職場の慣習として定着していて、3つの条件を満たしているなら、無理に変える必要はありません。
「敬語」と一口に言っても、「です・ます」で話す丁寧語と、「おっしゃる」「拝見する」のような尊敬語・謙譲語は別のものです。上司から部下に話すときに、尊敬語や謙譲語まで重ねる必要はありません。3つの話し方を、取引先への納期の回答を部下に頼む場面で比べると、次のようになります。
| 話し方 | 納期の回答を頼むときの例 | 3つの条件で見ると |
|---|---|---|
| 尊敬語・ | 「納期に | 社外向けの |
| 丁寧語 | 「納期の | 全員に |
| くだけた話し方 | 「納期の | 職場の |
丁寧語は、距離を取るための話し方ではありません。頼みごと、判断、指摘のどれも、丁寧語のままで言い切れます。くだけた話し方も、それだけで悪いわけではありません。気をつけたいのは、親しい部下にだけくだけること、人前で言い直すことになること、言い方が命令の形に寄ることの3つです。
敬語で話すと距離ができる、 意見を言いにくくなる、 という心配への答え
上司が敬語で話すと部下と距離ができる、言いたいことを言いにくくなる、という心配を聞きます。距離が開くかどうかは、話し方の丁寧さより、上司が判断・意見・情報を部下に話しているかどうかによるところが大きいと考えられます。丁寧語のままでも、判断や意見は言い切れます。
部下の側は、上司に何を期待しているでしょうか。面談についての数字ですが、KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で上司に一番期待することとして、「具体的なアドバイスがほしい」を選んだ人が18.3%でした。「意見を聞きたい」は14.1%、「一緒に考えてほしい」は13.2%で、3つを合わせると45.6%です。「話を聞いてほしい」は7.9%でした。つまり、部下の半数近くは、上司の考えや関わりを求めています。言葉遣いを丁寧にすることと、意見や判断を控えることは、別のことです。
丁寧語で、判断・指摘・頼みごと・断りを言い切る例です。
- A社への回答は、B案で進めましょう。納期を守れる見込みが一番高いからです。
- 先週の納期の回答で、お客様への連絡が1日遅れていました。次からは、工場の確認が取れた時点で、一度ご連絡を入れてもらえますか。
- 今回の納期の回答は、私の確認なしで出してもらって大丈夫です。
- その日程は難しいです。来週の水曜なら調整できますが、どうでしょうか。
- 私の意見を言う前に、○○さんはどう考えていますか。
意見を求められたら、まず部下自身の考えを尋ね、そのあとで上司の意見を具体的に伝えます。これも丁寧語のままでできます。
- 私なら、先にA社に電話で状況を伝えます。メールだけだと、先方の確認が遅れることがあるからです。
くだけた話し方で話すとき、 気をつけること
くだけた話し方が職場の慣習なら、それを続けてかまいません。ただし、次の3つには気を配ってください。
- 全員に同じか。親しい部下や年下の部下にだけくだけて、ほかの部下には丁寧語、という状態は、本人たちには親しさの差として見えます。
- 人前で言い直していないか。会議やお客様の前で丁寧語に切り替えるなら、普段の話し方との差が大きすぎないかを見直します。
- 命令の形や、人柄に向かう言葉になっていないか。「やれ」「何回言わせるんだ」のような強い言い方が続くと、仕事の指摘ではなく、本人への否定として届きます。こうした言い方がハラスメントに当たるかどうかの判断は、このページでは行いません。指摘を受けたときや迷うときは、就業規則と人事の担当に確認してください。
くだけた話し方でも、頼みごとには理由を、指摘には次にどうするかを添えます。
- 納期の回答、今日中に出せそう? 先方が明日の朝に社内会議をするみたいなんだ。
- 連絡が1日遅れていたね。次は、工場の確認が取れた時点で一度先方に連絡を入れてもらえる?
部下が上司に敬語で話し、上司は部下にくだけた話し方をする、という形は、多くの職場で普通のことです。その形を取るときも、部下に「敬語をやめて」と求めないでください。部下にとって、上司への話し方を変えることは、上司が思うより大きなことかもしれません。
年上の部下、 元の上司、 中途入社の部下、 話し方を変えるとき
話し方で迷いやすい場面を4つ挙げます。どの場面でも、話し方そのものより、仕事の決め方がどう変わるかを言葉にすることが要点です。
年上の部下、 以前は自分の上司だった人
年上の部下や、以前は自分の上司だった人には、丁寧語で話してかまいません。年齢や経歴に合わせた話し方を変える必要はなく、変わるのは、判断を誰がするかです。そこは話し方と分けて、はっきり伝えます。
- ○○さんには、これまで通り丁寧語で話します。ただ、この仕事の最終の判断は私がする形になるので、進め方で意見が分かれたときは、私から決めさせてください。
- 経験は○○さんのほうが長いので、進め方で気になる点があれば、遠慮なく言ってもらえると助かります。
同期や元同僚が部下になったとき
同期や元同僚が部下になったとき、くだけた話し方を急に丁寧語に変えると、相手は距離を取られたと感じることがあります。変えるなら、理由を添えて先に伝えます。変えないなら、人前での話し方だけを決めておきます。
- 話し方はこれまでと変えないつもりです。ただ、会議の場では、ほかの人と同じように丁寧語で話しますが、気にしないでください。
- 仕事の判断は私がすることになりました。これまで通り意見は言ってほしいし、私が決めたことに納得できないときは、そう言ってください。
中途入社で、前の職場の慣習が違う部下
前の職場で、上司から部下へはくだけた話し方が普通だった人は、丁寧語で話す上司に身構えることがあります。逆の場合もあります。最初に一言、この職場の慣習を伝えておくと、部下が迷いません。
- この部署では、上司も部下も「です・ます」で話すのが普通です。前の職場と違って堅く感じるかもしれませんが、距離を取っているわけではありません。
部下から「敬語をやめてください」「もっと気軽に話してください」と言われたとき
部下からそう言われたときは、気持ちに感謝したうえで、全員に同じ話し方をしたいという考えを伝えます。本人の申し出を断る形になるので、理由を言葉にしてください。
- ありがとうございます。ただ、私は全員に同じ話し方をしたいので、丁寧語のままにさせてください。堅苦しく感じたら、遠慮なく言ってください。
上司が自分の話し方を変えるとき
上司が自分の話し方をくだけた形から丁寧語にそろえるときは、本人たちに理由を伝えてから変えます。黙って変えると、怒っているのか、距離を取りたいのかと受け取られることがあります。
- 今日から、皆さんへの話し方を「です・ます」にそろえます。これまでより堅く聞こえるかもしれませんが、距離を取りたいわけではありません。言いたいことは、これまで通り言います。
言葉遣いより先に見たいのは、 部下が話を切り出せているか
言葉遣いを整えても、部下が上司に話を切り出せていなければ、二人の仕事は進みません。KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司と部下は役割が違うだけで、どちらも仕事を前に進める当事者だと考えています。上司の話し方は、部下が話を切り出しやすいかどうかの目安として選ぶとよいでしょう。
面談についての数字ですが、KAKEAIの1万人調査で、上司との面談の困りごと(複数回答)に「話したいこと、話すべきことを切り出せない」を挙げた人を年代ごとに見ました。20代の回答では15.0%、60代の回答では6.4%でした。つまり、20代の回答では、切り出せないという困りごとを挙げる人が、60代の回答より多くなっています。話し方を選ぶときも、丁寧かどうかより、部下が話を切り出しやすくなっているかを見るとよいと考えられます。
- 今日は、○○さんから話したいことがあれば、そこから始めましょう。言いにくいことほど、先に聞かせてもらえると助かります。
- 私の言い方で、言いにくくなっていることがあれば教えてください。話し方は変えられます。
言葉遣いを整えて関係ができてから仕事の話をする、という順番を、KAKEAIはおすすめしません。関係は、仕事の話を前に進める中でできるからです。丁寧語でも、くだけた話し方でも、その日の仕事の判断や情報を部下に届けることを、話し方を選ぶより先に置いてください。
話し方を見直したあと、 二人のやり取りがどう変わったかを振り返る
話し方を見直したあとに見るのは、話し方が定着したかどうかより、部下との仕事のやり取りが変わったかどうかです。全員に同じ話し方ができていて、会議でもお客様の前でも言い直していないなら、話し方そのものは整っています。次に見るのは、丁寧語にしたあとも判断や指摘を言い切れているか、という点です。遠慮が増えていたら、話し方はそのままで、判断や指摘を以前のように言い切ってください。
二人のやり取りがどう変わったかも見ます。部下から相談や頼みごとが来る回数が、見直す前と比べて減っていないでしょうか。減っていれば、話し方を変えたことが距離として受け取られているかもしれないので、理由を一度本人に伝え直します。増えていれば、その話し方で続けて大丈夫です。話し方は、一度決めたら終わりではなく、部下のほうから話が出てくるかどうかを見ながら整えていくものです。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
呼び方や食事の誘い、LINEのやりとりといった日ごろの付き合い方とは別に、1on1の場で部下の話を聞きたいときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の開始直後に、Kakeai AI のメッセージ欄で。
その回にどう関わってほしいかを、 言葉で確かめるところから1on1を始められます。
Kakeai AI が、準備されたテーマと、部下が選んだ期待する対応を挙げ、前回の一歩があればその担当の方に、無ければテーマを選んだ方に、最初の一言を向けます。期待する対応が選ばれていない回には、どう関わってほしいかを尋ねることもあります。期待する対応は、部下の側だけが選べます。
長谷部さん、このテーマを今日はどう関わってほしいですか?話を聞いてほしいのか、一緒に考えてほしいのか、具体的なアドバイスが欲しいのか、一言教えていただけますか?
1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
相談を待つだけでなく、 その回に決まった仕事の話から、 部下が困りごとを言い出しやすい問いを用意できます。
「1on1後のAIアドバイス」のご自身向けの欄に、困りごとを広く尋ねた問いに部下が短く返した場面があると、その回に決まった仕事に結びつけて尋ね直す一言の案が書かれることがあります。部下には別の内容が表示されます。
次回、同じ問いをもう少し絞って出してみることが一手になります。たとえば「仕様書の番号の件、石田さんと話した後で、長谷部さんが動きにくいことが出てきたら教えてください」のように、今日決まった動きに紐づけた形で聞くと…
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この手引きの数字のもとになった、 1万人調査のレポート
1on1の踊り場から脱却するヒント:1万人調査が解明した、形骸化を超える構造(全43ページ・PDF)
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よくある質問
上司が部下に敬語を使うのは、 おかしいですか。
上司が部下に敬語を使うことは、おかしくありません。「です・ます」で話す丁寧語は、部下の全員に同じ話し方をしやすく、会議やお客様の前でも言い直さずに使えます。一方で、上司から部下へはくだけた話し方が普通の職場もあり、どちらが正しいとは言えません。迷うなら丁寧語から始め、職場の慣習と合わないと感じたら、全員に同じ話し方ができる範囲で合わせるとよいでしょう。
上司が部下にタメ口で話すのは、 パワハラになりますか。
上司が部下にくだけた話し方(タメ口)で話すこと自体がハラスメントに当たるかどうかの判断は、このページでは行いません。くだけた話し方が職場の慣習で、部下の全員に同じで、命令の形や人柄に向かう言葉になっていなければ、問題になることは少ないと考えられます。「やれ」「何回言わせるんだ」のような強い言い方が続くときは、仕事の指摘として届かなくなります。指摘を受けたときや迷うときは、就業規則と人事の担当に確認してください。
年上の部下には、 敬語を使うべきですか。
年上の部下には、丁寧語で話してかまいません。ただし、年上の部下にだけ敬語を使い、ほかの部下にはくだけた話し方をすると、年齢で扱いが分かれているように見えます。話し方は全員にそろえ、年上の部下に新しく伝えるのは、仕事の最終の判断を上司がする形になることです。「経験は○○さんのほうが長いので、進め方で気になる点があれば遠慮なく言ってください」のように、判断の分担と、意見を聞きたいことを一緒に伝えるとよいでしょう。
部下から「敬語じゃなくていいです」と言われたら、 やめてよいですか。
部下から敬語をやめてよいと言われたときは、気持ちに感謝したうえで、どうするかは上司が決めてかまいません。その部下にだけくだけた話し方をすると、ほかの部下には親しさの差として見えます。全員に同じ話し方をしたいなら、「ありがとうございます。ただ、私は全員に同じ話し方をしたいので、丁寧語のままにさせてください」と、理由を添えて伝えます。本人の申し出を断る形になるので、理由を言葉にすることが大切です。
管理職になって、同期や元同僚が部下になりました。 話し方を変えるべきですか。
同期や元同僚が部下になったとき、話し方を急に丁寧語に変える必要はありません。急に変えると、相手は距離を取られたと感じることがあります。変えるなら理由を先に伝え、変えないなら、会議などの人前での話し方だけを決めておきます。それより先に伝えたいのは、仕事の判断を上司がする形になったことと、意見はこれまで通り言ってほしいことです。話し方より、仕事の決め方がどう変わるかを言葉にしてください。
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出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/should-managers-speak-politely-to-subordinates
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: