上司の方へ部下との関わり
ロジハラにならない部下への話し方
先に答え
ロジハラにならない話し方の要点は、正しいことを言うのをやめることではありません。言う中身を1つに絞り、結論の前に部下の言い分を聞き、結論のあとに次の一手を二人で決めることです。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に期待すること(5つまで選択)に、意見・具体的なアドバイス・一緒に考えることのどれかを選んだ人が59.8%いました。面談で上司の考えや関わりを求める人は多いということです。追い詰める形になりやすいのは、同じ結論を繰り返すときと、話を過去や人柄に広げるとき、答えの出ない問いを重ねるときです。なお、ある言動がハラスメントに当たるかどうかは、上司が一人で判断せず、就業規則と人事の担当に確かめてください。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、面談で上司の意見やアドバイス、一緒に考えることを求める人が多数でした。一方、「上司の話が役に立たない」を挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合は、困りごとの中で最も低くなっています。上司の考えを聞くことは求められている一方で、聞いた話が役に立たないと感じている人では、面談の成果を感じている人が少ないということです。
- 59.8%
- 1万人調査
- 面談で上司に期待すること(5つまで選択)に、意見・具体的なアドバイス・一緒に考えることのどれかを選んだ人の割合
- 「話を聞いてほしい」だけを選んだ人は3.2%でした。面談で上司の考えや関わりを求める人が6割近くいるという結果です。上司が自分の考えを言わないと決めておくと、この期待に応えにくくなると考えられます。
- 8.2%
- 1万人調査
- 面談の困りごとに「上司の話が役に立たない」を挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 回答者全体の31.9%を大きく下回り、15の困りごとの中で最も低い数字です。上司の話が役に立たないと感じている人では、面談の成果を感じている人がとても少ないということです。
- 11.0%
- 1万人調査
- 面談が行動につながりにくい人のうち、理由に「判断材料はあるが確信がもてない」を選んだ人の割合
- 面談のあとに動けない理由として、判断の材料が足りないことではなく、確信がもてないことを挙げる人もいるという結果です。
この調査は、ロジハラや正論の言い方について尋ねたものではありません。面談で上司に期待すること、面談の困りごと、面談が行動につながらない理由を尋ねた結果です。行動につながらない理由は、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人だけに尋ねています。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
ロジハラにならない話し方は、 正しいことを言うのをやめることではない
ロジハラ(ロジカルハラスメント)は、正論や論理で相手を追い詰める言動を指す言葉として使われています。法律で定められた言葉ではなく、どこからがハラスメントに当たるかの線も、はっきり決まっているわけではありません。ある言動がハラスメントに当たるかどうかの判断は、ここでは扱いません。心配なときは、就業規則と人事の担当に確認してください。
ここで扱うのは、上司が部下に正しいことを伝えるときに、追い詰める形にならない組み立てです。要点は3つで、言う中身を1つに絞ること、結論の前に部下の言い分を聞くこと、結論のあとに次の一手を二人で決めることです。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、面談で上司に期待すること(5つまで選択)を尋ねました。「意見を聞きたい」「具体的なアドバイスがほしい」「一緒に考えてほしい」のどれかを選んだ人は59.8%です。「話を聞いてほしい」だけを選んだ人は3.2%でした。つまり、面談で上司の考えや関わりを求めている人が多いということです。上司が正しいと考えることを言わないようにすると、面談でのこの期待に応えにくくなると考えられます。
同じ調査で、面談の困りごとに「上司の話が役に立たない」を挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人は8.2%でした。回答者全体の31.9%を大きく下回り、15の困りごとの中で最も低い数字です。上司の話が役に立たないと感じている人では、面談の成果を感じている人がとても少ないことが分かります。内容が正しくても、部下が聞いたあとに使えない話では、面談の成果につながりにくいと考えられます。追い詰める話し方を変えるのは、部下を傷つけないためだけではなく、伝えたことを仕事に使ってもらうためです。
ロジハラと受け取られやすい3つの話し方
正しいことを言っているつもりでも、次の3つの型が入ると、部下には追い詰められていると感じられやすくなります。
| 話し方の型 | 部下の側で起きていること | 代わりの組み立て |
|---|---|---|
| 同じ結論を、 | 言い分を | 結論は |
| 今回の | 直す点が | 今回の |
| 答えの | 理由を | 「どういう流れだったか」を、 |
3つの型に共通するのは、部下の側に、話す番と、次にすることが残らないことです。
KAKEAIの1万人調査では、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回かそれより少ないと答えた人に、理由を尋ねています。「判断材料はあるが確信がもてない(不安・恐れ・迷い)」を選んだ人は11.0%でした。判断の材料がそろっていても、確信がもてずに動けない人がいるということです。
指摘の場面では、説明を重ねて正しさを示すことより、次の一手を二人で決めることに時間を使うとよいでしょう。不安や迷いがあっても、何から始めるかが決まっていれば、動き出しやすくなります。
部下のミスを指摘するときの進め方と発言の例
以下では、営業事務の部下が取引先に送った請求書の金額が、見積書と違っていた場面を例にします。進め方は5つの段階に分かれます。事実を1つ伝え、部下の言い分を聞き、直してほしい点と理由を1つ伝えたうえで、次の一手を二人で決めます。最後に、1つに絞ったことをもう一度言って終えます。
1. 事実を1つ、 短く伝える
最初の一言では、何の話かと、何が起きたかだけを伝えます。原因や評価は、ここでは言いません。
- ○○さん、先週お送りした△△社様への請求書について、少し時間をもらえますか。
- 金額が見積書と違っていたと、先方の経理の方から連絡がありました。
2. 部下の言い分を、 結論の前に聞く
- 私が知らない事情があるかもしれません。どういう流れで金額を入れたのか、教えてもらえますか。
- 先方との間で、途中で金額が変わった話はありましたか。
ここで出てきた事情は、言い訳ではなく、同じことを繰り返さないための材料です。先方から口頭で変更を聞いていた、別の案件の見積書を見ていた、など、上司が知らなかった流れが出てくることもあります。
3. 直してほしい点と、その理由を1つ伝える
直してほしいことは1つに絞り、理由は仕事への影響で言います。人柄や過去の話は足しません。
- 直してほしいのは1点だけです。請求書を送る前に、見積書の金額と見比べる確認を入れてほしいんです。
- 金額が違うと、先方の経理の手続きが止まってしまいます。今回も、先方に差し替えをお願いすることになりました。
4. 次の一手を、 二人で決める
上司が決めて言い渡すのではなく、本人の案を聞いてから決めます。上司が引き受けることも、ここで言います。
- 見比べる確認を、どの段階で入れると無理がなさそうですか。
- 今月の分は、送る前に私も一度見ます。来月からは○○さんの確認だけで出せるように、手順を一緒に決めましょう。
- 先方へのお詫びと差し替えの連絡は、私からします。○○さんには、正しい金額の請求書の準備をお願いしたいです。
5. 1つに絞ったことを、 最後にもう一度言う
- 今日お伝えしたかったのは、送る前の確認を1つ足すこと、それだけです。
- 私の側で変えたほうがよいことがあれば、それも教えてください。
部下が反論したとき、 黙ったときに、追い詰めない返し方
部下が言い返してきたときは、まず内容に答えます。言い方についての話は、その場では持ち出さず、落ち着いてから別の機会に切り出すほうがよいでしょう。
- そう考えた理由は分かりました。先方から口頭で変更を聞いていたのですね。
- それなら、口頭で聞いた変更をどこに残すかを、一緒に決めませんか。
部下が黙ったときは、答えを待ち続けるより、一度区切るほうが追い詰める形になりにくいでしょう。
- 急に言われて、考えがまとまらないかもしれません。少し時間を置きましょうか。
- 今日はここまでにして、明日の朝に10分だけ続きを話しませんか。
部下から「それはロジハラです」と言われることもあります。そのときは、言い方について謝り、どこがきつかったかを尋ねます。上司が一人で「ハラスメントではない」と判断し、そのまま話を進めることは避けてください。
- 嫌な思いをさせてしまって、申し訳ありません。どの言い方がきつかったか、教えてもらえますか。
- 伝えたいのは、確認を1つ足すことです。言い方は、私が気をつけます。
部下から「ハラスメントだ」と言われた場合は、言い方を見直すとともに、就業規則と人事の担当に相談してください。ハラスメントに当たるかどうかは、上司と部下の間で決めるものではありません。
ロジハラを心配するときに、 避けたいこと
- 正論を言わないと決めておくこと。ロジハラを恐れて、上司が自分の考えを言わないと決めておくことを、KAKEAIはおすすめしません。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に期待すること(5つまで選択)で最も多かった答えは「意見を聞きたい」(33.6%)でした。上司の考えを聞きたいと思っている部下は、少なくありません。
- 質問だけで本人に気づかせようとすること。「なぜ」「どうして」を重ねる進め方は、答えを持っているのが上司だけのときには、答えの出ない問いになります。正しいと考えていることは、上司の考えとして理由と一緒に言うほうが、部下にとっても分かりやすいでしょう。
- 第三者の前で指摘すること。同僚が聞いている場では、部下は事情を言い返しにくく、上司の理解が違っていても、そのまま話が進んでしまうことがあります。
- 納得するまで説明を続けること。その場で「分かりました」と言ってもらうことを目的にしないでください。説明が正しいほど、部下は反論しにくくなりがちです。「今日はここまで」と区切り、次の一手を決めるほうが先です。
- 逆に、指摘そのものを控えること。指摘を控えて困るのは、部下のほうです。直してほしいことがあるのに言われなければ、部下は同じやり方を続けることになります。
指摘のあとに、 二人の時間をどこで振り返るか
指摘がうまく伝わったかどうかは、部下がその場で納得した様子を見せたかではなく、二人の時間の組み立てと、そのあとの仕事で振り返ります。
- 結論を先に言ってしまっていたら、次に話すときは、部下の言い分を聞く時間を先に取ってみてください。
- 話が過去や人柄に広がっていたら、次は、今回の出来事と直してほしい1点に絞って話します。
- 次にすることを上司が決めて伝えていたら、次の面談で、そのやり方に無理がないかを部下に尋ね、二人で決め直します。上司が引き受けることも、そこで言葉にします。
- 次の面談では、足した確認をやってみてどうだったかを、仕事の話として二人で話します。手間がかかりすぎているなら、手順を一緒に見直しましょう。
KAKEAIの1万人調査では、面談が毎回またはほぼ毎回その後の行動につながっている人の61.3%が、面談が成果につながっていると感じていました。ほぼ、または全くつながっていない人では7.0%です。面談が行動につながるかどうかで、成果の実感は大きく違うということです。この数字を指摘の場面に当てはめるなら、正しさが伝わったかより、そのあとに二人の行動が変わったかどうかに目を向けるとよいでしょう。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
注意や指摘を伝える必要があるのに、切り出し方に迷って先送りしたり、伝えたあとに受け止めてもらえたのかがわからなかったりするときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の前に、「メンバーに伝えたいこと」に入力して。
注意したいことを、どの話題の流れで切り出すかを、 1on1の前に考えておけます。
マネジャー権限でご自身のメンバーと行う1on1では、「予定・履歴」の次の1on1のカードの「メンバーに伝えたいこと」に、切り出したいことを入力できます。保存すると「1on1前のAIアドバイス」が書き直され、どの話題の流れの中で切り出すと自然かが示されます。入力した内容は部下には表示されず、ご自身向けのアドバイスにだけ使われます。
伝える1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
伝える中身だけでなく、 部下が何を求めているかに合わせた切り出し方を、 1on1の前に考えておけます。
Kakeai AI が、部下が選んだ期待する対応(「具体的なアドバイスが欲しい」など)とこれまでの1on1を踏まえて、どう切り出すとよいかと、最初の一言の案を書きます。ご自身向けの内容で、部下には別の内容が表示されます。
競合の範囲と情報源については、自分がやってきた中でこういう切り方をしていた、という話をまず共有しますね。そのうえで、森さんが今どこで迷っているかを聞かせてもらえますか。
伝えた1on1の終了後に、「次の1on1や日常へ向けて」で。
言いっぱなしになった指摘や問いに、 次の1on1でどう戻るかを、 具体的な一言で準備できます。
ご自身の返し方で部下の話が途中で終わった場面や、部下が答えに詰まったまま次の話に移った場面があると、次の1on1でその話にどう戻るかの一言の案が書かれることがあります。言い方が悪かったという指摘ではなく、次に試すこととして書かれます。ご自身向けの内容です。
加藤さんが何を怖れているのか、もう少し聞ける余地が残っています。…次回、昇格試験の準備状況を確認するタイミングで、「社内の評価の場面って、具体的にどんなときが一番きつい?」と一問戻してみませんか。
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よくある質問
ロジハラとは何ですか。 上司が部下に正論を言うことは、 ロジハラになりますか。
ロジハラ(ロジカルハラスメント)は、正論や論理で相手を追い詰める言動を指す言葉として使われていますが、法律で定められた言葉ではありません。上司が正しいことを言うこと自体がロジハラに当たるとは言えません。ただし、ある言動がハラスメントに当たるかどうかは、就業規則と人事の担当に確かめてください。追い詰める形になりやすいのは、同じ結論を繰り返すときと、話を過去や人柄に広げるとき、答えの出ない問いを重ねるときです。
部下から「それはロジハラです」と言われたら、 上司はどう対応すればよいですか。
部下から「ロジハラです」と言われたときは、まず言い方について謝り、どの言い方がきつかったかを尋ねてください。上司が一人で「ハラスメントではない」と判断し、そのまま話を進めるのは避けたほうがよいでしょう。伝えたい内容は1つに絞って改めて伝え、言い方は上司が気をつけると約束します。あわせて、就業規則と人事の担当に相談し、当たるかどうかの判断は会社の決まりに沿って行ってください。
ロジハラが怖くて部下に指摘できないときは、 どうすればよいですか。
ロジハラが怖くて部下に指摘できないときは、指摘をやめるのではなく、言う中身を1つに絞り、結論の前に部下の言い分を聞く順番にしてください。KAKEAIの1万人調査では、面談で上司に期待すること(5つまで選択)に、意見・具体的なアドバイス・一緒に考えることのどれかを選んだ人が59.8%いました。多くの部下は、上司の考えを聞きたいと思っています。指摘を控えて困るのは、部下のほうです。
論理的に正しく説明しているのに、 部下が納得しないのはなぜですか。
論理的に正しい説明をしても部下が納得しないときは、部下の側に言い分を言う時間と、次にすることが残っていないことが理由として考えられます。説明が正しいほど部下は反論しにくくなり、その場で「分かりました」と言っても、納得しているとは限りません。結論の前に部下の言い分を聞き、結論のあとに次の一手を二人で決める順番にすると、話が一方通行になりにくくなります。
ロジハラと正当な指導の違いは、 どこにありますか。
ロジハラと正当な指導の線引きを、一律に言い切ることはできません。判断は、就業規則と人事の担当に確かめてください。追い詰める形になりにくい指導の手がかりはあります。指摘が今回の出来事と直してほしい1点に絞られていること、部下が言い分を言う時間があること、次にすることを二人で決めて終えていることの3つです。この3つが欠けると、内容が正しくても、部下には追い詰められていると感じられやすくなります。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/avoid-logical-harassment-when-talking-to-subordinates
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: