上司の方へ部下との関わり
プレイングマネージャーは、部下をどう育成するか
先に答え
プレイングマネージャーの部下育成は、自分の仕事を減らして教える時間を作ることではなく、今の仕事の中で「任せる範囲を決める・結果を見る日を決める・見たことを伝える」を繰り返すことです。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談が「毎回」そのあとの行動につながっている人のうち、面談が成長につながっていると感じている人は68.1%でした(回答者全体では26.7%)。面談についての数字ですが、育成でも、話したことが仕事で実行されるかどうかが大事だと考えられます。同じ現場でそれを自分の目で見られることは、プレイングマネージャーの強みです。前の会話を忘れたり、任せた仕事を黙って引き取ったりしないことが、その強みを保ちます。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、面談で話したことがそのあとの行動につながっている人ほど、面談が成長につながっていると感じていました。一方、上司が以前の会話を覚えていないと感じている人の成長の実感は、全体をやや下回っています。自分も現場の仕事を持つ上司は、話したことが実行されたかを自分の目で見られる立ち位置にいます。面談についての数字ですが、その強みを生かすには、前の会話を次の回につなげることが大事だと考えられます。
- 68.1%
- 1万人調査
- 面談が「毎回」そのあとの行動につながっている人のうち、面談が成長につながっていると感じている人の割合
- 「半分くらいの回でそうなっている」人では12.8%、回答者全体では26.7%でした。面談がそのあとの行動につながっているかどうかは、成長の実感と大きく関係しています。
- 23.5%
- 1万人調査
- 「上司が以前会話したことを覚えていない」を困りごとに挙げた人のうち、成長の実感がある人の割合
- この困りごとを挙げた人は6.2%で、成長の実感は回答者全体の26.7%より低くなっています。この困りごとを挙げた人では、面談が成長につながっていると感じる人が、全体よりやや少ないということです。
- 80.0%
- Kakeai AI 1on1 利用データ
- 直近3か月に3回以上1on1を行った上司と部下の組のうち、月1回のペースで続けている組の割合
- 隔週の組は13.1%、毎週の組は5.8%でした。月1回で続けている組が多いという事実で、月1回が最もよいという意味ではありません。1万人調査では、面談の頻度が高い人ほど成果の実感は高くなっています。
1万人調査も利用データも、上司がプレイングマネージャーかどうかや、育成の進め方は尋ねていません。利用データの割合は、直近3か月に3回以上1on1を行った組だけを集計したもので、間隔の長い組はもとから入りにくい数字です。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
出典:株式会社KAKEAI「Kakeai AI 1on1 利用データの集計」(2025年10月12日〜2026年10月3日に行われた1on1から抽出した30万回の記録を、会社や個人が特定できない形で集計)
プレイングマネージャーの部下育成は、 仕事を減らしてから始めるものではない
自分も現場の仕事を持つプレイングマネージャーの部下育成は、自分の仕事を減らして教える時間を作ってから始めるものではありません。育成の材料は、今、二人の手元にある仕事の中にあります。同じ現場で同じ仕事をしている上司は、部下の仕事を自分の目で見られる立ち位置にいて、これは育成にとって大きな強みです。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談が「毎回」そのあとの行動につながっている人のうち、面談が成長につながっていると感じている人は68.1%でした。「半分くらいの回でそうなっている」人では12.8%、回答者全体では26.7%です。つまり、面談で話したことがそのあとの行動につながっている人ほど、面談が成長につながっていると感じています。
面談についての数字ですが、話したことが仕事で実行されるかどうかは、育成でも大事な点だと考えられます。プレイングマネージャーは、それを同じ現場で自分の目で見ることができます。育成では、この強みを中心に据えるとよいでしょう。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、仕事は、成果に対してクリアしなければならないものであると同時に、成長にとっての具体的な材料でもあると考えています。育成のための別の時間や教材を用意できなくても、任せる仕事の範囲を決め、結果を見て、気づいたことを伝えることはできます。それが、プレイングマネージャーの育成の中心です。
なお、自分の仕事と部下との面談の時間をどう両立させるかは、別の問題です。ここでは、取れる時間の中で育成をどう進めるかに絞って書きます。以下では、食品スーパーの店長が、自分も売り場に立ちながら、新しく配属されたスタッフに日用品売り場の発注を任せる場面を例にします。
プレイングマネージャーの育成の進め方: 任せる範囲を決め、 見る日を決め、 見て伝える
進め方は、次の3つの手順を繰り返す形です。教える時間を長く取れなくても、この3つがそろっていれば育成を進めやすくなります。
- 任せる範囲は、仕事の名前と、一人で進めてよいところまでをはっきりさせて決めます。
- 来月から、日用品売り場の発注を○○さんにお願いしたいと思っています。まず定番の商品の発注からで、特売の分は当面、私と一緒に決めましょう。
- 発注の締め時間と、欠品したときの連絡先は、今日のうちに一緒に確認しましょう。
- 結果を見る日を、先に決めます。忙しい上司ほど、「見ておくから」と言ったまま日が過ぎやすいからです。見る日は、上司が売り場に立つ日に合わせると続けやすくなります。
- 最初の2週間は、水曜の開店前に発注の内容を一緒に見ませんか。15分あれば足りると思います。
- 私が売り場に出ている日は、声をかけてもらえればその場で見ます。
- 見たことを伝え、次に任せる範囲を二人で決めます。伝えるときは、よかった点と気になった点を1つずつ、理由と一緒に話すとよいでしょう。
- 先週の発注は、週末の天気を見て飲料を増やしてくれていましたね。あの判断は、私も同じようにしたと思います。
- 1つ気になったのは、洗剤の在庫が月曜に切れていたことです。発注の数をどう決めたか、教えてもらえますか。
- 定番の発注は、もう任せて大丈夫だと感じています。来月から特売の分も○○さんが案を作って、私がそれを見る形にしませんか。
- 今日見た分で、私から伝えたいことはこれで全部です。○○さんのほうで、聞いておきたいことはありますか。
自分でやったほうが早いとき: 黙って引き取らず、 任せる範囲を狭める
プレイングマネージャーが育成でつまずきやすいのが、自分でやったほうが早い場面です。特売の前日に発注の数が合っていないと分かったとき、自分で直せば5分で済みます。けれども、直したことを本人に伝えないまま引き取ると、本人は何が違っていたのかを知る機会がなくなります。
引き取るときは、引き取ったことと理由を伝え、次は本人が自分で気づけるように、どこを見れば分かるかを一緒に確認します。
- 特売のチラシの商品の数が、昨年の実績より少なかったので、今回は私が足しました。時間がなくて先に直してしまい、すみません。
- 次の特売のときは、前日に昨年の実績を二人で見てから数を決めましょう。見方はその場で説明します。
自分でやるか任せるかの線引きは、上司の忙しさではなく、間違ったときの影響の大きさで決めるとよいでしょう。影響が小さいものは、間違いも含めて本人に任せ、影響が大きいものは一緒に決めます。
- 定番の商品は、多少の欠品や余りがあっても、○○さんの判断で進めてください。間違えたときは、その理由を一緒に見ればいいので。
- お中元の時期の発注は金額が大きいので、そこは二人で決めましょう。
自分の仕事を部下に見せることも、育成の材料になります。自分が特売の発注を決めるときに、なぜその数にしたかを声に出すだけでかまいません。
- 今日は私が特売の分を決めますが、横で見ていてください。なぜこの数にするかを、話しながらやります。
忙しさで消えやすいのは、 前回話したことと、 上司の約束
同じ現場にいる強みも、前回話したことを上司が忘れると、生かしにくくなります。KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごとに「上司が以前会話したことを覚えていない」を挙げた人は6.2%でした。この人たちのうち、面談が成長につながっていると感じている人は23.5%で、回答者全体の26.7%よりやや低い割合です。前の会話が次の回につながらないと、話したことが成長の実感に結びつきにくいと考えられます。
売り場に立ちながら頭の中だけで覚えておくのは難しいので、話したことと決めたことは、二人で見られるところに書いておくことをおすすめします。目的は、次の回を前回の続きから始めることです。
- 前回、発注の締め時間を変えてみると話していましたね。あれからどうでしたか。
- 特売の商品の入荷日については、本部に確認が取れました。木曜に入ります。
- 前回決めたことを私が忘れていたら、言ってください。売り場に出ていると、抜けることがあります。
- 来月の面談は、第1週の火曜の開店前でどうですか。売り場が落ち着いている時間なので、話に集中できると思います。
面談の回数は、毎週でなくてもかまいません。1on1を支援するサービス「Kakeai AI 1on1」の利用データ(抽出した30万回の1on1の記録)では、月1回のペースで続けている上司と部下の組が80.0%でした。対象は、直近3か月に3回以上1on1を行った組で、毎週の組は5.8%です。月1回で続けている組が多いという事実で、月1回が最もよいという意味ではありません。一方、1万人調査では、面談の頻度が高い人ほど成果の実感が高いという傾向があります。時間が取れるなら、回数を増やしてみるのも1つの方法です。そのうえで、プレイングマネージャーがまず続けられる形として、月1回の面談と、現場で結果を見る短い時間を組み合わせるのが現実的です。
プレイングマネージャーの部下育成で、 やらないほうがよいこと
- 忙しいからと、育成の中心を人事やメンターに任せる。KAKEAIは、部下との1on1を、直属の上司ではない人(人事やメンター、他部署の先輩)に任せることをおすすめしません。その部下の仕事を決められ、仕事を見ているのは直属の上司だからです。相談先を増やすことはかまいませんが、任せる範囲を決めて結果を見ることは、上司が続けます。
- 自分のやり方をそのまま教える。上司が売り場で身につけたやり方は1つの正解ですが、本人の売り場と時期が違えば合わないこともあります。やり方より、何を見て決めるか(昨年の実績、天気、チラシ)を伝えます。
- 任せた仕事を、黙って引き取る。直したことを伝えなければ、本人には何が違っていたのかが分かりません。
- 「見ているから分かる」と、面談を省く。同じ現場にいても、本人が何に迷っているか、次に何をしたいかは、聞かなければ分かりません。
- 逆に、現場で見たことを面談まで取っておく。欠品や発注の間違いは、気づいたその日に短く伝えます。1か月後の面談でまとめて言われても、本人には思い出せないことが多いからです。
プレイングマネージャーの部下育成を振り返る
育成がうまくいっているかどうかは、上司が教えた時間の長さより、任せられる範囲が広がっているかどうかと、二人のやり取りの変化で振り返るとよいでしょう。3か月に一度、次の点を自分に問いかけてみてください。
- 任せた仕事の範囲は、3か月前と比べて広がっているでしょうか。
- 結果を見ると決めた日に、二人で一緒に見られているでしょうか。
- 上司が引き取った仕事を、理由と一緒に本人に伝えられたでしょうか。
- 前回話したことを、次の回の最初に上司から出せているでしょうか。
- 本人から「ここは自分で決めていいですか」と相談が来るやり取りになってきたでしょうか。
プレイングマネージャーの育成は、別の時間を作ることより、今ある仕事と、現場で見ている事実を使うことから始まります。任せる範囲を1つ決めて、見る日を1つ決めることから始めてみてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
部下の育成を計画しても、日々の仕事の中で何に挑戦し、どこまで進んだのかが二人の間で見えなくなるときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
任せた仕事を話す1on1の実施中に、話題の提案で。
新しく任せた仕事の範囲と期限を、 1on1が終わる前に二人で決めておけます。
右の列の下の球体(Kakeai AI に話題を提案させるボタン)か、下のバーの「サイコロをふる」をクリックすると、Kakeai AI が、その回の会話とこれまでの1on1を踏まえて話題を1つ提案します。まだ決まっていない話があると、いつまでに何をするかを二人で決める提案になることがあります。お二人の画面に同じものが表示されます。
残り5分ほどです。今日話した「市場規模の試算」の件がまだ決まっていません。いつまでにどこまで仕上げるかを、お二人でここで一つ確かめておきませんか。
次の1on1の前に、「1on1前のAIアドバイス」で。
前回の1on1のあとに勧められた関わり方を、 次の1on1で続けて試せます。
前回のふりかえりで勧められた一言があると、今回の1on1のどこで使うとよいかと一緒に書かれます。ご自身向けの内容で、部下には部下向けの別の内容が表示されます。
前回(6月9日)のふりかえりでお伝えした「対象国、4か国で進めてもらって大丈夫だった?」という確認を、今日の冒頭に一言入れてみてください。
育成の振り返りや評価の前に、「概要」の画面で。
評価コメントを書く前に、 部下がどの仕事で何に取り組んできたかを、 二人の記録で見返せます。
「概要」の画面のダイジェストは、この半年の二人の1on1を、Kakeai AI がこれまでの流れ、いま途中になっている話とそれが誰の手元にあるか、決まった次の一歩とその実行の順に文章にしたものです。仕事の広がりのような変わり目が、日付と一緒に書かれることもあります。お二人に同じものが表示されます。
6月25日の2回目では、藤本さんが比較表を持ち寄り内容を確認しました。…比較表を作る仕事が、売り方を考える仕事へと踏み込んだ回でした。
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この手引きの数字のもとになった、 1万人調査のレポート
1on1の踊り場から脱却するヒント:1万人調査が解明した、形骸化を超える構造(全43ページ・PDF)
- 1万人のデータで見る、1on1の頻度・時間・場所・話題の実態
- 成果・成長の実感を左右するもの(実施理由・上司への期待・困りごと・行動への接続)
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よくある質問
プレイングマネージャーで、部下を育成する時間がないときはどうすればよいですか。
プレイングマネージャーが部下を育成する時間を別に作れないときは、今ある仕事を育成の材料にします。任せる仕事の範囲を決め、結果を見る日を先に決め、見たことは、よかった点と気になった点を1つずつ伝えます。KAKEAIの1万人調査では、面談が「毎回」そのあとの行動につながっている人の68.1%が、面談が成長につながっていると感じていました。面談についての数字ですが、育成でも、話したことが仕事で実行されるよう二人で振り返るとよいでしょう。
プレイングマネージャーは、部下に仕事を任せるとき、 何から任せればよいですか。
部下に任せる仕事は、間違ったときの影響が小さいものから始めるとよいでしょう。たとえば売り場の発注なら、定番の商品の発注を先に任せ、金額の大きい特売やお中元の時期の発注は当面、二人で決めます。任せる範囲は、仕事の名前と、一人で進めてよいところまでをはっきりさせて伝えます。「多少の欠品や余りがあっても、○○さんの判断で進めてください」と、間違いも含めて任せることを言葉にしておくと、本人も相談しやすくなります。
自分でやったほうが早いのに、 部下に任せる意味はありますか。
自分でやったほうが早い仕事でも、部下に任せる意味はあります。上司が黙って引き取ると、その仕事は上司の手元に残り続け、本人には何が違っていたのかが伝わりません。急ぎで引き取るときは、引き取ったことと理由を伝え、次は本人が自分で気づけるように、どこを見れば分かるかを一緒に確認します。「時間がなくて先に直してしまい、すみません。次は前日に二人で見てから決めましょう」と伝えれば、引き取った回も育成の材料になります。
プレイングマネージャーの部下との1on1は、 どのくらいの頻度で行えばよいですか。
プレイングマネージャーの部下との1on1は、続けられる頻度で始めることをおすすめします。Kakeai AI 1on1の利用データでは、直近3か月に3回以上1on1を行った組のうち、月1回のペースの組が80.0%でした。これは月1回で続けている組が多いことを示す数字で、月1回が最もよいことを示すものではありません。1万人調査では頻度が高い人ほど成果の実感が高い傾向があるので、時間が取れるなら回数を増やしてみるのも1つの方法です。
忙しいプレイングマネージャーの代わりに、 人事やメンターが部下の育成をしてもよいですか。
部下の育成の中心を、忙しさを理由に人事やメンターに移すことは、おすすめしません。その部下の仕事を決められ、日々の仕事を近くで見ているのは、多くの場合、直属の上司だからです。相談先として人事やメンターが加わること自体はかまいません。ただし、任せる仕事の範囲を決め、結果を見て、次に任せる範囲を二人で決めることは、直属の上司が続けます。見ているからこそ気づける点と、その場で伝えられる言葉があるためです。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
出典:株式会社KAKEAI「Kakeai AI 1on1 利用データの集計」(2025年10月12日〜2026年10月3日に行われた1on1から抽出した30万回の記録を、会社や個人が特定できない形で集計)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/playing-manager-develop-subordinates
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: