人事・経営の方へ評価の面談
人事評価制度の仕組みとつくり方
先に答え
人事評価制度は、等級・評価・報酬の3つの仕組みがつながってできています。作るときは、目的と等級の定義から始め、基準を仕事の例に置き換えます。そのうえで処遇への反映と年間の流れを決め、評価者と部下に説明して試す順をおすすめします。制度の文書に抜けやすいのは、期の途中に上司と部下が基準を見ながら話す仕組みです。KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごとが時間や記録の管理だけの人の43.2%が面談の成果を実感していました。一方、上司との関係(話が役に立たない、信頼関係がないなど)に困っている人では15.6%でした。つまり、成果の実感が大きく低いのは上司との関係に困っている人で、時間や記録に困っている人ではないということです。
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人事評価制度の文書で整えやすいのは、書式や提出の時期、手順といった実務の部分です。KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごとが時間や記録の管理だけの人では、面談の成果を実感している割合が、困りごとが無い人より高くなっていました。低いのは、上司の話が役に立たない、上司の姿勢、信頼関係といった上司との関係に困っている人です。制度をつくるときは、期の途中に上司が基準を仕事に置き換えて見通しを伝える面談を、年間の流れの中に置くことをおすすめします。
- 43.2%
- 1万人調査
- 面談の困りごとが時間や記録の管理など実務のことだけの人のうち、面談が成果につながっていると感じている人の割合
- 困りごとが無い人では37.3%でした。時間や記録の負担を感じている人のほうが、困りごとが無い人より、面談の成果を実感している割合が高いということです。成果の実感の低さは、時間や記録の負担とは別のところにあると考えられます。
- 15.6%
- 1万人調査
- 面談の困りごとが上司との関係のこと(話が役に立たない、信頼関係がないなど)だけの人のうち、成果を実感している人の割合
- 実務の困りごとだけの人(43.2%)、困りごとが無い人(37.3%)を大きく下回ります。上司との関係に困っている人では、面談の成果の実感が大きく低くなっています。困りごとの種類によって、実感に大きな差があります。
1万人調査は、上司との定期的な面談について尋ねたもので、人事評価制度の作り方や内容は尋ねていません。困りごとの4つの分け方(実務だけ・上司との関係だけ・両方・無し)は、公開しているレポートの集計のまま使っています。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
人事評価制度の仕組み: 等級・評価・報酬の3つのつながり
人事評価制度は、等級・評価・報酬の3つの仕組みがつながってできています。等級は「会社が社員に何を期待するか」を段階で示し、評価は「その期待にどこまで応えたか」を決め、報酬は「評価の結果を処遇にどう反映するか」を決めます。評価の仕組みだけを作っても、等級の定義と報酬への反映が決まっていなければ、評価の結果は処遇にも成長にも使われないまま終わってしまいます。
| 仕組み | 決めること | 制度の文書に書く主な内容 |
|---|---|---|
| 等級制度 | 社員を | 等級の |
| 評価制度 | 期待に | 評価の |
| 報酬制度 | 評価の | 評価の |
評価制度の中身: 何を、誰が、いつ、どう決めるか
評価制度の中身は、4つの問いで整理できます。何を見るかは、成果(目標の達成度)、行動や能力(期待する仕事の進め方ができているか)、仕事への姿勢の3つを組み合わせる形が一般的です。誰が決めるかは、直属の上司が一次評価をつけ、その上の役職者が二次評価をつけ、評価者の間で調整して確定する形が多く見られます。いつ決めるかは、年1回か年2回が一般的です。どう決めるかには、基準に照らして一人ずつ決める絶対評価と、同じ集団の中で順位や分布で決める相対評価があり、組み合わせている会社もあります。
この4つのうち、「何を見るか」の基準を仕事の言葉で書けているかどうかが、制度が実際に使えるかどうかを左右すると考えられます。「主体性」「コミュニケーション力」のような言葉だけで書かれた基準は、上司が部下の仕事を見ていなくても評価がつけられてしまい、部下は何を変えればよいかがわかりません。
人事評価制度のつくり方: 8つの手順
人事評価制度は、次の順で作ることをおすすめします。等級と報酬の設計を飛ばして評価の書式から作り始めると、あとで評価の結果の使い道が決まらずに手戻りが起きやすいからです。
- 制度の目的を一文で決めます。「処遇の差を納得できる形で決めるため」「期待する仕事を伝え、成長を支えるため」のどちらに重心を置くかで、基準の書き方と評価の回数が変わります。
- 等級を定義します。段階の数と、各等級に期待する役割と仕事の状態を、職種ごとに仕事の言葉で書きます。
- 評価の項目と基準を決めます。項目ごとに、各段階がどんな仕事の状態を指すのかを、具体的な仕事の例に置き換えて書きます。この文書は、評価者だけでなく部下にも配ります。
- 評価の段階と、分布の扱いを決めます。各段階の人数の枠を設けるかどうか、設ける場合はどの段階で調整するかを決め、本人に伝える決まりも書きます。
- 処遇への反映を決めます。評価の段階と昇給の幅、賞与の計算の考え方、昇格の要件を、報酬制度の文書に書きます。
- 年間の流れを決めます。期初(基準を仕事に置き換えて目標を決める)・期中(上司がその時点の見通しを伝える)・期末(自己評価と評価、調整、結果の伝達)の3つの時期で組みます。
- 評価者と部下の双方に、制度を説明します。評価者には基準の読み方と面談の進め方を伝えます。部下には、基準・自己評価の書き方・見通しを尋ねてよいこと・納得できないときの相談先を伝えます。
- 一部の部署で1期試し、評価者と部下の双方の声を集めて直してから、全社に広げます。制度は作ったあとも、1年ごとに見直す前提で運用します。
労働条件に関わる制度なので、就業規則との整合と、変更の手続きは、人事の担当と社会保険労務士などの専門家に確認しながら進めてください。
人事評価制度の文書に抜けやすいもの: 期の途中に上司と部下が基準を見ながら話す仕組み
人事評価制度の文書は、期末の手順(自己評価の提出・評価者の記入・調整・結果の通知)を中心に書かれがちです。一方で、期の途中に上司と部下が何を話すかは、制度の文書に書かれていないことがあります。この部分を制度に含めるかどうかで、制度が評価の結果を通知するだけの仕組みで終わるか、仕事と成長を前に進める仕組みになるかが変わると考えられます。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談の困りごとの種類ごとに、面談が成果につながっていると感じる人の割合を比べています。自分や上司の時間の確保、メモや記録の管理といった実務の困りごとだけがある人では43.2%でした。困りごとが無い人では37.3%です。一方、上司との関係についての困りごと(信頼関係がなく安心して話せない・上司の姿勢・上司の話が役に立たない)だけがある人では15.6%でした。つまり、時間や記録の負担を感じている人は困りごとが無い人より面談の成果を実感している割合が高く、上司との関係に困っている人ではその割合が大きく下がるということです。
制度の文書で整えやすいのは、書式、提出の時期、手順といった実務の部分です。面談についての数字ですが、制度づくりに当てはめると、整えるべきものは書式や手順だけではなく、上司と部下の会話の中身にもあるはずです。書式を精密にするより、上司が期の途中に基準に照らした自分の考えを伝え、部下の見方を聞く機会を、制度の年間の流れの中に置くことをおすすめします。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、評価の話は期末の面談に閉じ込めず、普段の面談で進めるものだと考えています。上司と部下が具体的な基準を一緒に見ながら、その時点での見通しを話すということです。制度の文書では、年間の流れの期中の欄に「月に1回ほど、上司がその時点の見通しを自分の考えとして伝え、部下の見方を聞く」と書きます。この面談には、人事への提出物をつけません。
制度を説明する言い方の例
製造ラインで組み立ての工程を担当している部下と、その上司の例で、制度の説明の言い方を示します。まず、人事が評価者に制度を説明する言い方です。
- 評価の基準は、職種ごとに仕事の例に置き換えた文書にしました。組み立ての工程なら、「正確な作業」の項目は不良の発生率と、不良が出たときに原因を自分で突き止めているかで見る、と書いてあります。
- 期の途中の面談には、人事への提出物はありません。何を話したかを人事が確認することもありません。評価の見通しを部下の方と途中で確認し合い、期末に初めて結果を聞く形にしないための時間です。
- 評価の結果と処遇の関係は報酬制度の文書に書いてあります。部下の方から処遇について聞かれたときは、約束をせずに、この文書と人事を案内してください。
人事が部下の側に制度を説明する言い方です。
- 評価の基準は、職種ごとに仕事の例に置き換えてあります。期初の面談で、上司の方と一緒に読み合わせてください。
- 自分の評価が今どのあたりかは、期の途中でも上司に尋ねてかまいません。期末に初めて聞く形にしないための仕組みです。
- 評価の結果に納得できないときの相談先は、この文書の最後にあります。
上司が期初に、基準が部下の仕事でどんな状態を指すのかを伝える言い方です。
- 今期の評価シートを一緒に見てもらえますか。「正確な作業」の項目は、○○さんの工程で言うと、不良の発生率が目標の範囲に収まっていて、不良が出たときに原因を自分で突き止められている状態だと私は考えています。○○さんは、どう思いますか。
- 「作業の改善」の項目は、段取り替えの時間を短くする工夫を、月に1つは試している状態を指すと思っています。ほかに、○○さんが大事にしたいことはありますか。
上司が期の途中に見通しを伝える言い方です。
- 今の時点での私の考えをお伝えします。不良の発生率は目標の範囲に収まっていて、「正確な作業」は基準で言うと「期待通り」に当たると考えています。○○さんは、どう感じていますか。
- 段取り替えの工夫は、先月は試せていなかったように見えました。何か引っかかっていることはありますか。私が先に動いたほうが早いことがあれば教えてください。
部下の側から尋ねられることの例です。
- 評価の基準が、私の工程ではどんな状態を指すのかを、もう一度教えていただけますか。
- 今の時点で、私の評価がどのあたりなのかを伺ってもよいでしょうか。期末に初めて聞くより、途中で知っておきたいです。
- 評価の結果が処遇にどう反映されるかは、人事に確認したほうがよいでしょうか。
- 段取り替えの工夫は、先月は別の工程の応援に入っていて手が回りませんでした。今月から、1つ試してみたいと考えています。
人事評価制度づくりで、おすすめしないこと
おすすめしないのは、評価の書式と期末の手順を精密にすることに力を注ぎ、上司と部下の会話の仕組みを制度の外に置くことです。
- 基準を、能力を表す言葉だけで書く。「主体性」「協調性」のような言葉だけの基準は、上司が部下の仕事を見ていなくても評価をつけられてしまい、部下は何を変えればよいかがわかりません。職種ごとに、仕事の状態の言葉で書いてください。
- 評価の書式から作り始める。等級の定義と処遇への反映が決まっていないと、評価の結果の使い道が決まらず、あとで手戻りが起きます。
- 期の途中の面談に、人事への提出物をつける。提出物がつくと、面談は人事への報告になり、評価の話が形だけになりがちです。
- 人事が面談の記録の中身を読んで、制度の運用を点検する。KAKEAIは、人事が1on1の記録の中身を読むことをおすすめしません。運用が回っているかは、上司と部下の双方に、見通しを話す面談があったかを尋ねて確認します。
- 面談の実施率を、評価者の目標にする。KAKEAIは、実施率を管理職の目標にすることもおすすめしません。回数が目標になると、面談は行うこと自体が目的になり、仕事の次の一歩につながる中身から離れていきます。
- 部下への説明を、結果の通知の仕方だけにする。基準・自己評価の書き方・見通しを尋ねてよいこと・納得できないときの相談先まで伝えないと、部下は制度を、結果を通知されるだけのものとして受け取ってしまいます。
人事評価制度がうまく回っているかを振り返る
人事評価制度がうまく回っているかどうかは、提出の締め切りが守られたかではなく、上司と部下の間で基準と評価の話がどう動いたかを振り返るとわかります。
- 期初に、基準が部下それぞれの仕事ではどんな状態を指すのかを話す面談があったでしょうか。
- 期の途中に、上司がその時点の見通しを伝え、部下の見方を聞く機会が月に1回ほどあったでしょうか。
- 期末に伝えた結果は、部下にとって、それまでの見通しの続きになっていたでしょうか。
- 部下は、基準と、納得できないときの相談先を知っていたでしょうか。
- 評価の結果に調整が入ったとき、どこまでが上司の考えでどこからが調整かが、本人に伝わっていたでしょうか。
期の途中の面談がなかったという答えが多いなら、制度は期末の手順だけで動いていた可能性があります。次の期は、年間の流れの期中の欄を埋め、上司と部下の双方がその面談の予定を入れるところから始めてみてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
評価の根拠を期の途中の事実に置きたいが、1on1の記録を人事が読む運用にはしたくないときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
導入の前に、記録の見え方を確かめるとき。
1on1の記録が誰に見えるかを、 上司と部下に前もって伝えられます。
文字起こし、「1on1のAI要約」、ダイジェスト、「MOVE」(1on1で決めた次の一歩と目標の一覧の画面)は、1on1をするお二人の画面に表示され、システム管理者には表示されません。ご契約によっては、要約をほかの方に共有する機能もあります(共有した相手はお二人とも確認できます)。要約やアドバイスの文章は、人を評価・採点する言葉を使わず、話された事実の言葉で書くように作られています。
評価の時期に、上司へ案内を出すとき。
上司が、期末の記憶ではなく期の途中の1on1の記録をもとに評価をつける運用を、 人事が記録の中身を読まずに進められます。
上司は、部下ごとに、履歴のカードの「1on1のAI要約」、「概要」の画面のダイジェスト、「MOVE」(1on1で決めた次の一歩と目標の一覧の画面)で、その期に二人で話したことと、決めた次の一歩とその実行を見返せます。これらはシステム管理者には表示されないため、人事が中身を読まずに、見返してから評価をつけるよう勧められます。
決まった一歩は2件、実行済みは1件です。…小野寺さんが海外仕様の要件表…を6月15日までに作成することが決まり、6月15日に実行済みとなっています。…
Kakeai AI 1on1 の導入を検討している方は、サービス資料をお受け取りください。
ご利用企業 累計600社以上/
無料の資料
Kakeai AI 1on1 のサービス資料
PDF・無料
- 1on1の前・最中・あとに、Kakeai AI が上司と部下それぞれに出すもの
- 導入の進め方と、ご利用企業の事例
- 料金の考え方
画面を見ながら説明を聞きたい方は、30分のオンライン説明をご予約いただけます。
よくある質問
人事評価制度の仕組みは、 どんな要素でできていますか。
人事評価制度は、等級・評価・報酬の3つの仕組みがつながってできています。等級は会社が社員に何を期待するかを段階で示し、評価はその期待にどこまで応えたかを決め、報酬は評価の結果を昇給・賞与・昇格にどう反映するかを決めます。評価の仕組みだけを作っても、等級の定義と報酬への反映が決まっていなければ、評価の結果は処遇にも成長にも使われないまま終わってしまいます。
人事評価制度は、何から作り始めればよいですか。
人事評価制度は、制度の目的を一文で決めることから作り始めるのがおすすめです。次に等級を定義し、評価の項目と基準を職種ごとに仕事の例に置き換えて書きます。その後は、段階と分布の扱い・処遇への反映・年間の流れ・評価者と部下への説明・一部の部署での試行と進めます。評価の書式から作り始めると、結果の使い道が決まらずに手戻りが起きやすいので、等級と報酬の設計を先に置いてください。
人事評価の基準は、 どう書けばよいですか。
人事評価の基準は、項目ごとに、各段階がどんな仕事の状態を指すのかを、職種ごとの具体的な仕事の例に置き換えて書きます。「主体性」「コミュニケーション力」のような言葉だけの基準は、上司が部下の仕事を見ていなくても評価をつけられてしまい、部下は何を変えればよいかがわかりません。基準の文書は評価者だけでなく部下にも配り、期初の面談で上司と部下が一緒に読み合わせる形にすることをおすすめします。
人事評価制度を作っても、 うまく運用されないのはなぜですか。
人事評価制度が思うように運用されない理由の1つは、制度の文書が期末の手順だけでできていて、期の途中に上司と部下が何を話すかが書かれていないことだと考えられます。評価の話が期末にしか出ないと、部下は結果を聞くだけになり、上司も記憶をもとに評価をつけることになりがちです。書式を整えるだけで終えず、期の途中に上司が基準を仕事に置き換えて見通しを伝える面談を、年間の流れに置いてください。
小さな会社でも、人事評価制度は必要ですか。
小さな会社でも、処遇に差をつけるなら、その根拠を本人に説明できる仕組みは必要です。ただし、大きな会社と同じ書式や手順をそのまま持ち込む必要はありません。等級の定義・仕事の例で書いた基準・処遇への反映の考え方・期の途中に上司が見通しを伝える面談の4つがあれば、書式は簡単なもので始められます。就業規則との整合は、人事の担当と専門家に確認してください。
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出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
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作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: