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人事・経営の方へ評価の面談

人事評価の公平性・妥当性をどう保つか

更新日 株式会社KAKEAI

先に答え

人事評価の公平性と妥当性を保つには、2つを別の問いとして扱います。公平性(同じ物差しで測られているか)は、基準を仕事の例に置き換えて評価者と本人に渡し、手順・開示・異議の窓口を規程で決めることで近づけられます。妥当性(評価が本人のこの期の仕事を根拠にしているか)は、評価者が期の途中に本人の仕事を見て聞いているかに左右され、規程だけでは保ちにくいものです。KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごととして「上司が以前会話したことを覚えていない」を挙げた人が6.2%いました。面談で話したことでさえ記憶に残らないと感じる部下がいる、という結果です。評価の見通しは、期の途中の面談で言葉にしておくことをおすすめします。

数字で見る

上司と二人で話す面談の場でさえ、評価を気にして本音を話せない人が一定数います。一方、同じ頻度で面談している人どうしで比べると、評価の話をしている人のほうが、面談が成果につながっていると感じている人の割合が高くなっています。公平性は制度で近づけられますが、妥当性は期の途中に評価者が本人の仕事を見て聞いているかに左右されると考えられます。

9.3%
1万人調査
面談の困りごと(複数回答)に「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人の割合
20代の回答では14.4%でした。上司と二人で話す面談でさえ、評価を気にして言わないことがある人がいるという結果です。
50.8%
1万人調査
上司と週1回以上面談し、そこで人事評価の話もしている人のうち、「面談が成果につながっている」と感じている人の割合
同じ週1回以上で評価の話をしていない人では39.7%でした。2週間〜1か月に一度の人でも37.4%と30.8%で、同じ頻度の人どうしで比べると、評価の話をしている人のほうが高いという結果です。

1万人調査は、上司との定期的な面談について尋ねたもので、人事評価の公平性や妥当性、異議の申し出については尋ねていません。数字は、面談で何に困っているか、面談で評価の話をしているかについての、部下の側の回答です。

出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)

この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。

人事評価の公平性と妥当性は、別のものです

人事評価の公平性と妥当性は、似た言葉ですが、問われていることが違います。公平性は、同じ等級で同じような仕事をしている人が、評価者や部署が違っても同じ物差しで測られているか、という問いです。妥当性は、その評価が本人のこの期の仕事と成果を根拠にしているか、印象や思い出せた範囲の記憶で点をつけていないか、という問いです。

公平は、平等とも違います。平等は全員を同じ扱いにすることで、公平は同じ基準に照らした結果として差がつくことです。全員の点をそろえれば不満は出にくくなりますが、それは公平な評価ではなく、評価をしていない状態に近いと言えます。

言葉問われていること保たれなくなるとき
公平性同じ等級・同じ仕事の人が、同じ物差しで測られているか評価者ごとに基準の読み方が違う。部署ごとに「期待通り」とする水準が違う
妥当性評価が、本人のこの期の仕事と成果を根拠にしているか評価者が本人の仕事を見ておらず、期末に記憶と印象で点を埋めている
平等全員が同じ扱いか評価とは別の問い。全員を同じ点にすることは公平とは違う

たとえば、製造ラインで働く2人の作業者が、同じ等級で「改善提案」の項目を評価される場面を考えます。一方の班長は提案の件数を見てAをつけ、もう一方の班長は実際にラインの不良が減った提案だけを見てBをつけました。2人の班長の物差しが違うので、公平性が保たれていません。さらに、一方の班長は本人の提案のうち半分しか知らず、知らない提案を評価に含めていませんでした。この点は、妥当性の問題です。公平性は制度で近づけられますが、妥当性は評価者が本人の仕事をどれだけ見て聞いているかに左右され、規程だけでは保ちにくいものです。

人事評価の公平性を保つために、制度で決めること

公平性を保つために人事ができるのは、評価者が違っても同じ物差しになるように、基準・手順・開示の3つを決めておくことです。評価者の心がけに頼る部分を減らし、文書と手順で同じ形にします。

  • 基準と段階の定義を、仕事の例で書く。「主体的に業務を改善する」という文言だけでは、どこからBとするかが評価者ごとの判断に任されます。等級ごとに「この仕事ではどんな状態がBか」を書いた例を作り、評価者と部下の両方に期の初めに渡します。
  • 評価の手順を同じにする。項目の順番、自己評価を見るタイミング、根拠を書く欄を全員同じにします。評価者が点を先に決めて根拠を後から書く形になっていないかも、手順で防ぎます。
  • 調整会議は、点ではなく根拠を並べる場にする。点の分布だけを見て動かすと、本当に成果の高い部署の点まで下がりかねません。
  • 結果と根拠を本人に伝える決まりを置く。点だけが通知される会社では、本人は何を根拠に点がついたのかを知らないままになります。
  • 異議を申し出る窓口を決める。誰に、いつまでに、どう申し出るかを規程に書きます。

異議の窓口は公平性の最後の支えですが、窓口が使われないことは、不公平がない証明にはなりません。KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で困っていること(複数回答)として「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人が9.3%いました。20代の回答では14.4%です。つまり、上司と二人で話す面談の場でさえ、評価を気にして言わないことがある人が一定数いる、ということです。面談についての数字ですが、評価をつけた上司に向かって異議を申し出るのは、面談で本音を話すよりさらに言い出しにくいと考えられます。窓口の利用件数の少なさを、公平性が保たれている根拠にはしないでください。

人事から評価者に伝える言い方の例です。

  • 評価の基準を、皆さんの部署の仕事に置き換えた例を作りたいと考えています。改善提案の項目で言うと、この等級の「期待通り」はどんな状態でしょうか。
  • 班によって違う例が出てかまいません。違いが見えれば、同じ基準をそれぞれ別の読み方をしていたとわかるので、そこからそろえていきたいんです。
  • この例は評価者だけのものにせず、期の初めに本人にも渡す前提で作ります。本人が知らない物差しで測ることは、避けたいと考えています。
  • 調整会議では、点を見比べる前に、点の根拠にした仕事を1つずつ出していただきます。分布は、そのあとで見ます。

人事評価の妥当性を保つには、材料を期末の記憶から期の途中の事実に移す

妥当性を保つ一番の方法は、評価の材料を期末の記憶ではなく、期の途中に見た事実と、本人から聞いた仕事にすることです。評価者が知っているのは、自分の目で見た仕事と、報告や相談を受けた仕事だけです。知らない仕事は、どれだけ公平な基準があっても評価に入りません。

1万人調査では、上司との面談で困っていることとして「上司が以前会話したことを覚えていない」を挙げた人が6.2%いました。面談で直接話したことでさえ、上司の記憶に残っていないと感じている部下がいるということです。期末に記憶だけで点をつければ、思い出せた仕事の多さで点が変わりかねません。評価者ごとに思い出せる仕事が違えば、妥当性だけでなく公平性も崩れてしまいます。

期の途中で評価の話をすることをためらう評価者もいます。けれども、1万人調査では、上司と週1回以上面談している人のうち面談で人事評価の話をしている人の50.8%が「面談が成果につながっている」と感じていました。評価の話をしていない人では39.7%です。2週間〜1か月に一度の人でも37.4%と30.8%で、同じ頻度の人どうしで比べると、どの頻度でも評価の話をしている人のほうが高いという結果です。つまり、同じ頻度で面談している人どうしで比べると、評価の話をしている人のほうが面談が成果につながっていると感じている、ということです。評価の話を普段の面談に入れることが、成果の実感を損なうとは考えにくいと言えます。

KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、評価の話は半年に一度の面談に閉じ込めず、普段の面談で進めるものだと考えています。上司と部下が、具体的な基準を一緒に見ながら話すということです。妥当性は、期末の評価シートの上ではなく、この期の途中のやり取りの中で保たれるものだと言えます。

評価者が、期の途中に部下と話す言い方の例です。

  • 今の時点での私の考えをお伝えしたいので、改善提案の項目の基準の例を一緒に見てもらえますか。今のところ、私は「期待通り」に当たると考えています。○○さんは、どう感じていますか。
  • 先月の、検査工程の手順を見直した提案は、不良が目に見えて減りましたね。私はこの提案を、今期の評価の根拠の1つにしたいと考えています。
  • 私がまだ知らない提案や、他の班に出した提案があれば教えてもらえますか。見ていないものを評価から落としたくないんです。
  • 件数は多いのですが、効果が出た提案がまだ少ないことが、私は気になっています。○○さんから見て、効果が出にくい理由はどこにありそうですか。
  • 効果が出たかどうかは、不良率の月次の表で一緒に見ていきませんか。私の印象だけで決めたくないんです。

期末に、評価の結果を伝えるときの言い方の例です。

  • 評価シートの改善提案の項目を、一緒に見てもらえますか。私は、今期はBだと考えています。期の途中でお伝えしてきた考えと、変わっていません。
  • 理由は、効果が確認できた提案が2件だったことです。Aの例にある「ラインの不良率を下げた提案が継続して出ている」状態には、まだ届いていないと考えました。ここまで聞いて、どう感じていますか。
  • 私の見方が違っていたら、教えてください。私が知らないまま評価していることがあるかもしれません。

部下の側から、上司に尋ねる言い方の例です。

  • 今回の評価の根拠になった提案を、具体的に教えていただけますか。4月に出した搬送の手順の提案が含まれているかも、確認したいです。
  • 来期は、期の途中でその時点でのお考えを伺う機会をいただけますか。期末に初めて聞くと、どこを変えればよいかがわからないままになってしまいます。
  • 他の班に出した提案は、評価の対象に含まれるのでしょうか。含まれるなら、来期は私から早めにお伝えします。

人事評価の公平性・妥当性を保つときに、おすすめしないこと

おすすめしないのは、公平に見せるために評価から人の判断を消そうとすることと、妥当性を保つために部下を記録の対象にすることです。

  • 主観をなくすために、数値の項目だけで評価する。数値にしにくい仕事(後輩に手順を教える、他の班の不良を見つけて知らせる)は、評価から消えます。主観はなくそうとするより、根拠を言葉にして見比べられるようにします。
  • 全員を同じ点にして、公平に見せる。差をつけないことは平等ではあっても、公平ではありません。差の理由を本人に説明できないことが問題なら、点をそろえるのではなく、根拠を言葉にして伝えられるようにします。
  • 妥当性のために、部下の言動を評価の証拠として記録する。記録されていると感じた部下は、面談で言わないことを増やすと考えられます。評価者が書き留めるのは、自分が何を見て、どの時点でどんな見通しを伝えたかです。
  • 人事が1on1の記録の中身を読んで、評価の妥当性を点検する。KAKEAIは、人事が1on1の記録の中身を読むことをおすすめしません。読まれることが前提の面談では、部下が話す中身が変わりかねず、評価の材料そのものが減るおそれがあります。
  • 異議の窓口を置いて、納得は窓口に任せる。窓口に届くのは、言い出せる人の不満になりがちです。納得は、窓口ではなく期の途中の面談で作ることをおすすめします。

人事評価の公平性・妥当性が保たれているかを、どこで見るか

公平性と妥当性が保たれているかは、点の分布や異議の件数ではなく、期の途中のやり取りを振り返るとわかります。

  • 同じ等級の「期待通り」について、評価者の間で同じような仕事の例が挙がっているでしょうか。
  • 期の途中に、上司と部下の間で評価の見通しが言葉になっていたでしょうか。
  • 期末の面談で、上司が知らなかった仕事が新しく出てくることが、前の期より減っているでしょうか。
  • 評価の結果を伝えたあと、根拠になった仕事として、上司と部下が同じものを挙げられるでしょうか。

評価者の間で同じような仕事の例がまだ挙がっていないのであれば、次の期は、基準を部署ごとの仕事の例に置き換える作業から始めることをおすすめします。

この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること

Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。

評価の根拠を期の途中の事実に置きたいが、1on1の記録を人事が読む運用にはしたくないときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。

導入の前に、記録の見え方を確かめるとき。

1on1の記録が誰に見えるかを、上司と部下に前もって伝えられます。

文字起こし、「1on1のAI要約」、ダイジェスト、「MOVE」(1on1で決めた次の一歩と目標の一覧の画面)は、1on1をするお二人の画面に表示され、システム管理者には表示されません。ご契約によっては、要約をほかの方に共有する機能もあります(共有した相手はお二人とも確認できます)。要約やアドバイスの文章は、人を評価・採点する言葉を使わず、話された事実の言葉で書くように作られています。

評価の時期に、上司へ案内を出すとき。

上司が、期末の記憶ではなく期の途中の1on1の記録をもとに評価をつける運用を、人事が記録の中身を読まずに進められます。

上司は、部下ごとに、履歴のカードの「1on1のAI要約」、「概要」の画面のダイジェスト、「MOVE」(1on1で決めた次の一歩と目標の一覧の画面)で、その期に二人で話したことと、決めた次の一歩とその実行を見返せます。これらはシステム管理者には表示されないため、人事が中身を読まずに、見返してから評価をつけるよう勧められます。

表示の例(テスト用の1on1で、実際に作られた表示です。人名・社名・案件は架空です)

決まった一歩は2件、実行済みは1件です。…小野寺さんが海外仕様の要件表…を6月15日までに作成することが決まり、6月15日に実行済みとなっています。…

Kakeai AI 1on1 の導入を検討している方は、サービス資料をお受け取りください。

ご利用企業 累計600社以上/1on1実施 累計300万回以上(2020年から)

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よくある質問

人事評価の公平性と妥当性は、どう違うのですか。

人事評価の公平性は、同じ等級で同じような仕事をしている人が、評価者や部署が違っても同じ物差しで測られているか、という問いです。妥当性は、その評価が本人のこの期の仕事と成果を根拠にしているか、印象や記憶で埋めた点になっていないか、という問いです。公平性は基準・手順・開示の規程で近づけられますが、妥当性は評価者が本人の仕事をどれだけ見て聞いているかに左右され、規程だけでは保ちにくいものです。

人事評価の公平と平等は、同じことですか。

人事評価の公平と平等は、同じではありません。平等は全員を同じ扱いにすることで、公平は同じ基準に照らした結果として差がつくことです。不満を避けるために全員の点をそろえると、平等には見えても、評価をしていない状態に近づきます。差の理由を本人に説明できないことが問題なら、点をそろえるのではなく、根拠を言葉にして伝えられるようにすることをおすすめします。

人事評価の公平性を保つために、人事は何を決めておけばよいですか。

人事評価の公平性を保つために人事が決めておきたいのは、基準・手順・開示の3つです。等級ごとの基準と段階の定義を、具体的な仕事の例で書いて評価者と本人に渡します。評価の手順(項目の順番、根拠を書く欄)は全員同じにし、結果と根拠を本人に伝える決まりと、異議を申し出る窓口も置きます。調整会議は、点の分布ではなく根拠を並べる場にします。

人事評価の妥当性を高めるには、どうすればよいですか。

人事評価の妥当性を高めるには、評価の材料を期末の記憶ではなく、期の途中に評価者が見た事実と、本人から聞いた仕事にすることをおすすめします。KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごととして「上司が以前会話したことを覚えていない」を挙げた人が6.2%いました。期の途中の面談で評価の見通しを伝え、上司が知らない仕事を本人に尋ねておくと、期末の点が、思い出せた範囲の印象だけで決まることを避けやすくなります。

評価への異議の申し出が少ないのは、評価が公平だからと考えてよいですか。

評価への異議の申し出が少ないことを、評価が公平である根拠と受け取ることはおすすめしません。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で困っていることとして「自分自身への評価や見られ方への影響が気になり本音が話せない」を挙げた人が9.3%いました。面談についての数字ですが、評価をつけた上司に異議を申し出るのは、面談で本音を話すよりさらに言い出しにくいと考えられます。窓口は置いたうえで、納得は期の途中の面談で作ってください。

出典と、この数字を引用するときの書き方

出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)

調査と利用データの集計について

引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。

このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/performance-review-fairness-and-validity

作成者と運営者

KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。

このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。

運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: