人事・経営の方へ評価の面談
人事評価のマニュアルやガイドラインをどう整えるか
先に答え
人事評価のマニュアルやガイドラインは、評価シートの書き方や提出の期限といった期末の手順だけでなく、期初・期中・期末・伝え方の4つの章で整えることをおすすめします。期初の章には基準を部下の仕事の例に置き換える手順を、期中の章には評価者が見た事実を書き留めて月に1回ほど見通しを伝える手順を入れます。伝え方の章には、面談でそのまま使える言い方の例を入れます。面談についての数字ですが、KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごとに書式への準備の負担を挙げた人が「面談が成果につながっている」と感じている割合は32.8%でした。回答者全体の31.9%と並ぶ数字で、上司のふるまいに困っている人では21.1%です。評価者向けのマニュアルと一緒に、部下向けの説明も作ってください。
数字で見る
面談についての数字ですが、KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごとに書式への事前入力などの負担を挙げた人でも、面談の成果の実感は回答者全体と並んでいました。一方、上司のふるまいに困っている人では低くなっています。部下が困っているのは書式より上司の関わり方だと考えられるので、評価のマニュアルも、評価者が期の途中に何を見て何を伝えるかの章を中心に組むことをおすすめします。
- 12.6%
- 1万人調査
- 上司との面談で困っていること(複数回答)に「決められた書式やフォーマットへの事前入力など準備の負担」を挙げた人の割合
- この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は32.8%で、回答者全体の31.9%と並んでいます。書式の負担を感じている人でも、面談の成果の実感は全体と変わらないという結果です。
- 27.3%
- 1万人調査
- 面談の困りごとに、上司の対応が期待と違う、会話を覚えていないなど上司のふるまいの5つのどれかを挙げた人の割合
- この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は21.1%で、回答者全体の31.9%を下回ります。書式に困っている人(32.8%)と比べると、面談の成果の実感は、書式の負担より上司のふるまいへの困りごとと関係があることがうかがえます。
1万人調査は、上司との定期的な面談について尋ねたもので、人事評価のマニュアルやガイドラインについては尋ねていません。「上司のふるまいについての5つ」は、「上司の対応が期待するものと違う」「上司が以前会話したことを覚えていない」「会話したことを上司が日常にいかさない・約束を守らない」「上司の話が役に立たない」「上司が実施に前向きではない」の5つの困りごとです。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
人事評価のマニュアル・ガイドラインに何を書くか: 期末の手順だけでは足りない
人事評価のマニュアルやガイドラインは、評価シートの書き方、段階の定義、提出の期限といった期末の手順が中心になりがちです。期末の手順に加えて、2つの章を入れることをおすすめします。期の途中に評価者が何を見て何を部下に伝えるかの章と、評価を伝える面談の言い方の章です。部下にとっての面談の価値は、書式より上司のふるまいに関わっていると考えるためです。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で困っていること(複数回答)として「決められた書式やフォーマットへの事前入力など準備の負担」を挙げた人は12.6%でした。この人たちのうち、「面談が成果につながっている」と感じている人は32.8%で、回答者全体の31.9%と並んでいます。つまり、書式の負担を感じている人でも、面談の成果の実感は全体と変わらないということです。
1万人調査では、上司のふるまいについての困りごとのどれかを挙げた人は27.3%でした。上司のふるまいについての困りごととは、「上司の対応が期待するものと違う」「上司が以前会話したことを覚えていない」「上司の話が役に立たない」など5つの答えです。この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は21.1%です。つまり、面談の成果の実感は、書式の負担を挙げたかどうかではほとんど変わらず、上司のふるまいに困っているかどうかで差がついているということです。
面談についての数字ですが、評価のマニュアルに当てはめるなら、書式を整える章だけを厚くしても、部下が感じている問題には届きにくいと考えられます。評価者が期の途中に部下の仕事をどう見て、見通しをどう伝え、期末にどう話すかを書いた章を、マニュアルの中心に置きます。
人事評価マニュアルの構成: 期初・期中・期末・伝え方の4つの章
人事評価のマニュアルは、評価の1年を時期で分け、4つの章で組むとよいでしょう。評価者が、今の時期に何をするかを知りたいときに、その章を開けばよい形にします。
| 章 | 評価者がすること | マニュアルに書くこと |
|---|---|---|
| 期初 | 基準を | 等級ごとの |
| 期中 | 見た | 何を |
| 期末 | 自己評価を | 評価シートの |
| 伝え方 | 評価の | 評価面談の |
期末の章は、多くの会社のマニュアルに既にあるでしょう。一方で、期初と期中の章は、まだ整っていない会社も多いと思われます。期初の章には、基準の文言を自分の部署の仕事の例に置き換える手順を入れます。「主体的に業務を改善する」という基準が、システムの障害対応の仕事ではどんな状態を指すのかを、評価者が部下と話して決める手順です。期中の章には、月に1回ほど見通しを伝えることと、何を書き留めるかを入れます。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、評価の話は普段の面談で進めるものだと考えています。評価の話を半年に一度の面談だけで済ませず、具体的な基準を上司と部下が一緒に見ながら話す、ということです。マニュアルの期中の章は、この考えを評価者の手順にしたものです。
人事が評価者にマニュアルの使い方を説明する言い方の例です。
- このマニュアルは、期末に開くものではなく、期の初めから使うものとして作りました。まず期初の章を見て、基準をご自身の部署の仕事の例に置き換えてください。
- 期中の章にある記録は、部下の言動を集めるためのものではありません。皆さんが何を見て、何を伝えたかを、期末に自分で思い出すためのものです。人事がその中身を読むことはありません。
- 伝え方の章の言い方の例は、そのまま読む台本ではありません。言いにくい場面で、言い方の参考にしてください。
人事評価のガイドラインに入れる、 面談の言い方の例
ガイドラインには、評価者がそのまま使える面談の言い方の例を、時期ごとに入れることをおすすめします。基準の文言や段階の定義だけでは、評価者は部下の前で何と言えばよいかに迷いがちです。以下は、システムの障害対応(問い合わせを受けて原因を調べ、復旧する仕事)をしている部下との面談を例にした、言い方の例です。
期初の面談で、 基準を仕事に置き換える
- 評価シートのこの項目を、一緒に見てもらえますか。「主体的に業務を改善する」は、障害対応の仕事で言うと、同じ原因の障害を減らす手を自分から打てている状態だと私は考えています。○○さんは、どう思いますか。
- 今期、特に大事にしたいと考えているのは、復旧までの時間と、復旧のあとに原因と再発防止を書いた報告が出ているかの2つです。ほかに、○○さんが大事にしたいことはありますか。
期中の面談で、 見通しを伝える
- 今の時点での私の考えをお伝えします。復旧の速さは、この等級の基準で言うと「期待通り」に当たると考えています。再発防止の報告がまだ出ていない障害がいくつかあるので、そこが気になっています。
- 先月お伝えした見通しから、変わった点はありません。○○さんの側で、私がまだ知らない対応があれば教えてもらえますか。
- 再発防止の報告が遅れている理由は、どこにありそうですか。時間の問題なのか、原因がつかめていないのか、教えてください。
期末の面談で、 結果を伝える
- 今期の「主体的に業務を改善する」の項目は、私はBだと考えています。理由は、復旧は期限内に終えた一方で、再発防止の報告が出ていない件が3件あったことです。
- 今日うかがった内容を踏まえても、私の考えは変わっていません。理由は、報告が出ていない障害については、再発を防ぐ手が打たれたかどうかが、私にもチームにもわからないままになるからです。
- この結果が昇給や賞与にどう反映されるかは、規程の通りで、私からは言えません。人事からの説明の予定を確認してお伝えします。
- 来期は、報告の様式を二人で短くしませんか。3件とも、様式を埋める時間が取れなかったと聞いたので、そこから変えたいです。
ガイドラインには、評価者が言ってはいけないことも書いておきます。評価の結果と処遇を約束する言葉(「この評価なら昇給は大丈夫です」)、人柄への評価(「真面目さが足りない」)、他の部下との比較(「○○さんはもっと早い」)の3つです。人柄への評価と他の部下との比較は、部下が次に何を変えればよいかを示しません。処遇の約束は、上司の一存では決められないことを約束する言葉になります。
部下向けの説明を、 マニュアルと一緒に整える
評価者向けのマニュアルを整えるときは、部下向けの説明も一緒に作ることをおすすめします。評価は、上司と部下の両方が当事者です。部下の側も、基準の場所や自己評価の書き方、面談で何を聞けばよいかを知らなければ、マニュアルの通りに進める上司と話がかみ合いにくくなります。
部下向けの説明に入れたいのは、次の4つです。
- 等級ごとの基準と、それを仕事の例に置き換えた文(評価者向けの章と同じもの)。
- 自己評価の書き方。上司が知らない仕事と、自分がつけた点の根拠を書く欄だという説明。
- 期の途中で、評価の見通しを上司に尋ねてよいこと。
- 評価に納得できないときの相談先と、異議を申し立てる仕組みがあるかどうか。
部下が面談で使える言い方の例も、部下向けの説明に入れておきます。
- 今の時点で、私の評価がどのあたりなのかを伺ってもよいでしょうか。
- 「主体的に業務を改善する」の項目で、私の等級で上の段階に当たるのは、障害対応の仕事で言うとどんな状態でしょうか。
- 今期の評価の根拠になった対応を、具体的に教えていただけますか。私のほうで、お伝えしていなかった対応もあるかもしれません。
- 評価の結果に納得できないときの相談先は、どこになりますか。人事に確認したほうがよければ、そうします。
人事評価のマニュアル作りで、 おすすめしないこと
おすすめしないのは、マニュアルを厚くすることで評価の質を上げようとすることです。
- 書式と手順の章だけを詳しくする。KAKEAIの1万人調査では、面談の成果の実感は、書式に困っている人では回答者全体と並び、上司のふるまいに困っている人では全体より低くなっていました。書式の説明を増やしても、部下が困っていることの解決にはつながりにくいでしょう。
- 評価エラーの名前を並べて「注意しましょう」で終える。ハロー効果や中心化傾向の名前を覚えても、期末に記憶から点をつける形が変わらなければ、同じ偏りが入りやすいままです。名前の一覧より、期中に何を書き留めるかの手順を書くほうが、偏りを防ぐ助けになるでしょう。
- 言い方の例を、そのまま読む台本にする。台本の通りに読まれた言葉は、部下にもわかるものです。例は、言いにくい場面で参考にするものとして渡します。
- 部下の言動を記録して証拠を残す手順を書く。記録の目的を「評価者が見た事実と伝えたことを、自分で思い出すため」と書き、証拠集めの手順にしないでください。ハラスメントや体調など、会社の決まりとして記録が必要な場面は、人事に相談したうえで会社の決まりに沿う、と別に書きます。
- 人事がマニュアルの運用を、記録の中身を読んで点検する。KAKEAIは、人事が1on1の記録の中身を読むことをおすすめしません。マニュアルが使われているかは、人事が記録の中身を読むのではなく、評価者と部下の双方に、期初と期中の面談があったかを尋ねて確かめます。
人事評価のマニュアル・ガイドラインが使われているかを、 どこで見るか
マニュアルが使われているかどうかは、提出の期限が守られたかではなく、期の終わりに評価者と部下の双方に次の点を尋ねるとわかります。
- 期の初めに、基準を自分の仕事の例に置き換えて話す面談があったでしょうか。
- 期の途中に、上司からその時点の評価の見通しを聞いた機会が、月に1回ほどあったでしょうか。
- 期末の評価面談で、評価の根拠を、上司と部下が同じ仕事の事実で説明できていたでしょうか。
- 部下向けの説明を読んで、自己評価と面談で何をすればよいかがわかったでしょうか。
期初と期中の面談がなかったという答えが多ければ、マニュアルは期末にしか開かれていないのでしょう。次の期は、期初の章の使い方を評価者に説明する機会から始めることをおすすめします。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
評価の根拠を期の途中の事実に置きたいが、1on1の記録を人事が読む運用にはしたくないときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
導入の前に、記録の見え方を確かめるとき。
1on1の記録が誰に見えるかを、 上司と部下に前もって伝えられます。
文字起こし、「1on1のAI要約」、ダイジェスト、「MOVE」(1on1で決めた次の一歩と目標の一覧の画面)は、1on1をするお二人の画面に表示され、システム管理者には表示されません。ご契約によっては、要約をほかの方に共有する機能もあります(共有した相手はお二人とも確認できます)。要約やアドバイスの文章は、人を評価・採点する言葉を使わず、話された事実の言葉で書くように作られています。
評価の時期に、上司へ案内を出すとき。
上司が、期末の記憶ではなく期の途中の1on1の記録をもとに評価をつける運用を、 人事が記録の中身を読まずに進められます。
上司は、部下ごとに、履歴のカードの「1on1のAI要約」、「概要」の画面のダイジェスト、「MOVE」(1on1で決めた次の一歩と目標の一覧の画面)で、その期に二人で話したことと、決めた次の一歩とその実行を見返せます。これらはシステム管理者には表示されないため、人事が中身を読まずに、見返してから評価をつけるよう勧められます。
決まった一歩は2件、実行済みは1件です。…小野寺さんが海外仕様の要件表…を6月15日までに作成することが決まり、6月15日に実行済みとなっています。…
Kakeai AI 1on1 の導入を検討している方は、サービス資料をお受け取りください。
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- 1on1の前・最中・あとに、Kakeai AI が上司と部下それぞれに出すもの
- 導入の進め方と、ご利用企業の事例
- 料金の考え方
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よくある質問
人事評価のマニュアルには、 何を書けばよいですか。
人事評価のマニュアルには、評価シートの書き方や提出の期限といった期末の手順に加えて、期初・期中・伝え方の3つの章を入れることをおすすめします。期初の章には基準を部下の仕事の例に置き換える手順を、期中の章には評価者が見た事実を書き留めて月に1回ほど見通しを伝える手順を書きます。伝え方の章には、評価面談の言い方の例と、言ってはいけないこと、相談先を入れます。評価者が、今の時期にすることをすぐに探せる構成にします。
人事評価のガイドラインと評価者研修は、 どちらを先に整えればよいですか。
人事評価のガイドラインと評価者研修は、ガイドラインを先に整え、研修はガイドラインの期初の章を実際に使う場として組むことをおすすめします。研修で評価エラーの名前や心構えを学んでも、期の途中に何を見て何を伝えるかの手順がなければ、期末の評価は記憶と印象に戻りがちです。研修では、評価者が基準を自分の部署の仕事の例に置き換える作業を、ガイドラインに沿って実際に行う時間を取ってみてください。
人事評価の手引きに、 面談の言い方の例を入れるべきですか。
人事評価の手引きには、面談の言い方の例を時期ごとに入れることをおすすめします。基準の文言や段階の定義だけでは、評価者は部下の前で何と言えばよいかに迷いがちです。期初に基準を仕事に置き換える言い方、期中に見通しを伝える言い方、期末に結果を自分の考えとして伝える言い方を、具体的な仕事の例で書きます。ただし、そのまま読む台本ではなく、言いにくい場面の参考として渡してください。
人事評価のマニュアルは、 部下にも配るべきですか。
人事評価のマニュアルそのものを部下に配るかどうかは会社の判断ですが、部下向けの説明は別に作って配ることをおすすめします。入れたいのは4つです。等級ごとの基準を仕事の例に置き換えた文と、自己評価の書き方(上司が知らない仕事と点の根拠を書く欄だという説明)、期の途中で評価の見通しを上司に尋ねてよいこと、納得できないときの相談先です。評価は上司と部下の両方が当事者なので、部下の側にも手順が要ります。
人事評価のマニュアルが現場で使われていないとき、 どうすればよいですか。
人事評価のマニュアルが現場で使われていないときは、提出の期限や記録の中身を点検するより、評価者と部下の双方に尋ねてみてください。期初に基準を仕事に置き換える面談があったか、期中に見通しを聞く機会があったかの2つです。期末にだけ開かれているなら、マニュアルの構成が期末の手順中心になっている可能性があります。期初の章の使い方を評価者に説明する機会を、期の初めに設けることから始めるとよいでしょう。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
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作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
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