部下の方へ上司との関わり
上司から「勉強しろ」と言われたとき
先に答え
上司から「勉強しろ」と言われたときは、まず受け止めてから、どの仕事のどこで足りないと見えたのかを尋ねてください。「この資料のどの部分が浅いと感じられたか、1か所だけ教えていただけますか」のように聞くと、「勉強しろ」の中身が具体的な助言に変わりやすくなります。何を・どこまで・何のためにを1on1で上司と決め、次の資料や仕事で形にして見てもらいます。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で「スキルや力の向上」の話をしている人のうち面談が成果につながっていると感じている人は39.6%で、していない人の29.7%を上回っていました。面談で力を伸ばす話をしている人のほうが、面談が成果につながっていると感じている割合が高いということです。
数字で見る
上司との面談で力を伸ばす話をしている人は少ないものの、している人のほうが、面談が成果につながっていると感じている割合は高くなっています。また、面談で上司に一番期待することとして、具体的なアドバイスを選んだ人は2番目に多くなっていました。面談のあとに動けない理由としては、力の不足より、情報の不足のほうが多く挙げられています。つまり、面談では力を伸ばす話や具体的な助言を求める声があり、動けないときの理由は力の不足だけとは限らない、ということです。
- 22.2%
- 1万人調査
- 上司との面談で「スキルや力の向上」の話をしている人の割合(複数回答)
- 「具体的な仕事」の話をしている人は76.7%で、力を伸ばす話は面談の話題として少ないという結果です。一方、この話をしている人のうち面談が成果につながっていると感じている人は39.6%で、していない人の29.7%を上回っています。
- 18.3%
- 1万人調査
- 上司との面談で一番期待することとして「具体的なアドバイスがほしい」を選んだ人の割合
- 「その時々によって違う」20.9%に続いて、2番目に多い答えです。上司との面談で、具体的な助言を一番に求めている人が少なくない、という意味です。
- 9.1%
- 1万人調査
- 面談が行動につながらない理由(5つまで選択)に「スキルが不足していてできない」を挙げた人の割合
- 面談が行動につながるのは半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に尋ねた結果です。「行動するために必要な情報が揃っていない」は15.9%で、動けない理由として本人が挙げるのは、力の不足より情報の不足のほうが多くなっています。
1万人調査は、上司から「勉強しろ」と言われた経験を尋ねたものではありません。数字は、面談の話題、面談で上司に一番期待すること、面談が行動につながらない理由を尋ねた結果です。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
上司の「勉強しろ」は、 何が抜けている助言か
上司から「勉強しろ」と言われたとき、部下がそのまま動きにくいのは、この一言に「何を」「どこまで」「何のために」が入っていないからだと考えられます。資格の勉強を始めるのか、今の仕事の進め方を見直すのか、業界の知識を増やすのか、言われた側には分かりません。「勉強しろ」を人柄や態度への評価と受け取るより、抜けている3つを上司に尋ねて具体的な助言に変えるほうが、部下の側で動けることが増えるでしょう。
上司の側にも事情があるのかもしれません。部下の仕事を見て「ここが足りない」と感じたものの、何が足りないかを言葉にする前に、短い一言で済ませていることがあります。悪意や見下しと決めつける必要はなく、尋ねれば中身が出てくることもあります。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で「スキルや力の向上」の話をしている人は22.2%でした。「具体的な仕事」の話をしている人の76.7%と比べると、力を伸ばす話は面談の話題として少ないという結果です。一方で、「スキルや力の向上」の話をしている人のうち面談が成果につながっていると感じている人は39.6%で、していない人の29.7%を上回っています。つまり、力を伸ばす話をしている人のほうが、面談が成果につながっていると感じている割合が高いということです。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、仕事は成果に対してクリアしなければならないものであると同時に、成長にとっての具体的な材料でもあると考えています。「勉強しろ」と言われたときも、何を学ぶかは、今の仕事の中から見つけるとよいでしょう。
「勉強しろ」と言われたその場の返し方: 受け止めて、足りないと見えた場面を尋ねる
「勉強しろ」と言われたその場では、言い返すことも謝るだけで終えることもせず、まず受け止めてから、どの仕事のどこで足りないと見えたのかを尋ねます。以下では、営業事務から販売データの集計と分析の資料を任された部下が、営業会議の前に「この資料、分析が浅い。もっと勉強しろ」と上司に言われた場面を例にします。
その場の返し方です。
- ご指摘ありがとうございます。この資料のどの部分が浅いと感じられたか、1か所だけ教えていただけますか。
- 勉強が必要だとお感じになったのは、データの読み方のことでしょうか。それとも、商品や市場の知識のことでしょうか。
- 今日の会議までに直せる点があれば、まずそこを直します。その先で何を学ぶかは、あとで改めてご相談したいです。
上司が忙しそうで、その場で中身を聞けないときは、時間を改めて尋ねる約束だけをしておきます。
- 今はお時間がないようですので、何を勉強すればよいかを、今週の1on1で伺ってもよいでしょうか。
言われた直後は、腹が立ったり落ち込んだりするものです。その場で言い返すと、「勉強しろ」の中身を聞く機会がなくなります。中身を聞くことと、言い方へのお願いは分け、言い方の話は落ち着いた別の機会に切り出します。
1on1で「勉強しろ」の中身を具体的なアドバイスに変える聞き方
1on1では、「勉強しろ」の中身を、何を・どこまで・何のために、の3つの言葉に変え、学んだことをどう確かめるかも上司と決めていきます。上司の助言を具体的にすることは、部下の側からもできます。
KAKEAIの1万人調査では、上司との面談で一番期待することとして「具体的なアドバイスがほしい」を選んだ人が18.3%いました。選べる答えの中で、「その時々によって違う」20.9%に続いて2番目に多い答えです。つまり、上司との面談で、具体的な助言を一番に求めている人は少なくありません。「勉強しろ」の中身を1on1で尋ね、具体的な助言にしてもらうことは、こうした期待とも重なると考えられます。
| 上司の言葉 | 部下が尋ねること | 二人で決めること |
|---|---|---|
| 「分析が浅い」 | どの数字の、 | 次の |
| 「もっと勉強しろ」 | 何を、 | 最初に |
| 「自分で | 考えた | 構成の |
尋ね方の例です。
- 先日「分析が浅い」とご指摘いただいた点について、改めて伺いたいです。会議で使う資料として、どんな見方が足りていなかったでしょうか。
- 私の案では、前年の同じ月との比較と、商品ごとの内訳を足そうと考えています。この2つで、ご指摘の点に近づけますか。
- 学ぶ順番としては、まず表計算での集計の仕方、次に商品の知識、と考えています。課長から見て、順番は逆のほうがよいでしょうか。
- 1か月後の資料で、どこが変わっていれば「勉強した」と見ていただけますか。
足りないと言われたことが、本当にスキルの問題かどうかも、尋ねる中で分かってきます。KAKEAIの1万人調査では、上司との面談が行動につながるのは半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、その理由を尋ねています(5つまで選択)。「スキルが不足していてできない」を挙げた人は9.1%で、「行動するために必要な情報が揃っていない」の15.9%より少ない答えでした。つまり、動けない理由として本人が挙げるのは、力の不足より情報の不足のほうが多いということです。面談についての数字ですが、「分析が浅い」と言われたときも、分析に必要なデータや前提が部下に渡っていないことが背景にある場合があると考えられます。その場合は、学ぶ前に情報を頼むことをおすすめします。
- 分析を深めるには、商品ごとの原価のデータが必要だと思います。私が見られる範囲にはないので、共有していただけますか。
- 会議でこの資料をどう使うかを教えていただけると、何を強調すればよいかが分かります。
決めたことは、次の1on1で進み具合を話す約束にします。
- では、来月の資料に前年比較と商品別の内訳を入れます。次の1on1で、できた資料を見ていただきながら、次に学ぶことを決めたいです。
「勉強しろ」が口癖のとき・時間外の勉強を求められていると感じるとき
「勉強しろ」が上司の口癖になっていて、尋ねても中身が出てこないことがあります。この場合は、学ぶ中身を部下の側で1つ決めて、その結果を上司に見てもらうとよいでしょう。
- 何を学ぶとよいか迷っていたので、今月は、私のほうでデータの見方を1つ身につけることにしました。来月の資料で見ていただけますか。
- 学んだことが資料に出ているかどうかを、次の1on1で一言いただけると、方向を直しやすいです。
業務時間の外で勉強するように求められていると感じるときは、学ぶこと自体と、いつ学ぶかを分けて考えます。業務として学ぶ時間を取れるか、講座や書籍の費用を会社が負担するか、時間外の学習を労働時間として扱うかは、会社によって決まりが異なります。そのため、就業規則を読んだうえで人事の担当に確認することをおすすめします。
- 業務の中で学ぶ時間を、週に1〜2時間取ってもよいでしょうか。会議の資料に直接生かせる内容なので、仕事の一部として進めたいです。
- 外部の講座を考えています。費用の扱いについて、人事に確認してよいでしょうか。
「勉強しろ」という言葉が、怒鳴り声や人格を否定する言葉と一緒に繰り返される場合は、助言の中身を尋ねる場面とは分けて考えます。就業規則を読み、人事の担当や会社の相談窓口に確認してください。
「勉強しろ」と言われたときに、 避けたいこと
- 言われた通りに、資格や本の勉強を始める。上司が足りないと感じた点と合っていなければ、時間をかけた割に、仕事への評価は変わりにくくなります。先に中身を尋ねます。
- 反発して聞き流す。「勉強しろ」の中身には、上司が部下の仕事を見て感じた具体的な点が含まれていることがあります。聞き流すと、その点を知る機会を失います。
- 謝るだけで終える。「すみません、勉強します」で終えると、何を学ぶかが決まらないまま、次も同じ指摘を受けます。
- 上司の意図を、見下しや嫌がらせと決めつける。言い方が強くても、中身を尋ねれば具体的な助言が出てくることがあります。言い方へのお願いは、中身を聞いたあとで、落ち着いた場で伝えます。
「勉強しろ」と言われたあとの進み方を振り返る
「勉強しろ」と言われたあとの進み方は、勉強した時間より、学んだことが次の仕事に出ているかに目を向けるとよいでしょう。次の点から、二人のやり取りを振り返ってみてください。
- 「勉強しろ」の中身を、何を・どこまで・何のために、の言葉で上司に尋ねられたら、次は、学ぶことを1つに決めて、いつまでにどこまでかを上司と約束してみてください。
- 学んだことが次の資料や仕事に1つでも出せたら、その資料を1on1で見てもらいながら、次に学ぶことを相談できます。
- 上司から、「勉強しろ」の代わりに具体的な指摘や助言が返ってくるようになったら、その指摘を次に学ぶことの候補にしていきましょう。
学んだことが仕事に出ているのに「勉強しろ」が続くなら、上司が見ている点と自分が学んだ点がずれている可能性があります。もう一度、どの資料のどこを見てそう言っているのかを尋ねてみてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
上司と考えが違う、上司の間違いに気づいた、上司に言われたことの意味が分からないというときに、会社でKakeai AI 1on1を利用している場合は次のことができます。
1on1の前やその場で、前回の履歴のカードで。
上司の記憶と食い違ったときに、 どちらが正しいかを言い合う代わりに、 前回決めたことを二人で同じ記録を見ながら確認できます。
履歴のカードには、その回を一言で表したタイトル、1on1全体の概要、話のまとまりごとの要点、決まった次の一歩の担当と期限が残っています。Kakeai AI が会話から書き、終了時に確定させたものです。お二人の画面に同じ内容が表示されます。
…D社への聞き取りは7月の訪問時に聞けたところまでで構わないと柳瀬さんが述べました。…
1on1後のAIアドバイスの「今回よかった点」で。
上司と違う考えを伝えた場面で、 何を言葉にできたのかを、 次の1on1の前に振り返れます。
その回に自分の考えを上司に返せた場面が、実際の発言を引いて取り上げられます。ご自身向けの内容で、上司には別の内容が表示されます。
…これは、柳瀬さんの問いに答えた場面ですが、答えの中身が際立っていました。砂・認証という柳瀬さんの整理に対して、値段という別の軸を自分の言葉で置いた一言です。…
1on1後のAIアドバイスの「次の1on1や日常へ向けて」で。
上司から困りごとを聞かれて短く答えた場面について、 何を教えてほしいのかを具体的に頼む一言を、 次の1on1の前に用意できます。
上司の問いかけに短い返事で終えた場面について、次に自分から具体的に頼む一言の例が示されることがあります。ご自身向けの内容です。
…「稟議の書き方を一度教えていただけますか」と具体的に言い出してみることも一つの選択肢です。…
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この手引きの数字のもとになった、 1万人調査のレポート
1on1の踊り場から脱却するヒント:1万人調査が解明した、形骸化を超える構造(全43ページ・PDF)
- 1万人のデータで見る、1on1の頻度・時間・場所・話題の実態
- 成果・成長の実感を左右するもの(実施理由・上司への期待・困りごと・行動への接続)
- 明日の1on1からできること(前・最中・直後・日常の4つの場面と、具体的な声のかけ方)
よくある質問
上司に「勉強しろ」と言われたら、 何と返せばよいですか。
上司に「勉強しろ」と言われたら、「ご指摘ありがとうございます。どの部分が足りないと感じられたか、1か所だけ教えていただけますか」と返してください。言い返すことも、「すみません、勉強します」と謝るだけで終えることもせず、まず受け止めてから中身を尋ねます。上司が忙しそうなら、「何を勉強すればよいかを、今週の1on1で伺ってもよいでしょうか」と、時間を改めて聞く約束だけをしておきます。
上司の「勉強しろ」は、 パワハラや見下しではないのですか。
上司の「勉強しろ」の一言だけで、パワハラかどうかを判断することはできません。上司が部下の仕事を見て「ここが足りない」と感じたものの、何が足りないかを言葉にする前に短い一言で済ませていることがあります。中身を尋ねれば、具体的な助言が出てくることもあります。ただし、怒鳴ることや人格を否定する言葉と一緒に繰り返される場合は、就業規則を読んだうえで人事の担当や会社の相談窓口に相談してください。
「勉強しろ」と言われたら、 何を勉強すればよいですか。
「勉強しろ」と言われたときに何を勉強するかは、上司がどの仕事のどこで足りないと見たのかを尋ねてから決めてください。資格や本から始めるより、「次の資料で足す見方を1つ」のように今の仕事に直接出るものから選ぶと、学んだことが上司にも見えやすくなります。足りないのがスキルではなく、分析に必要なデータや前提であることもあります。その場合は、学ぶ前に上司に情報を頼むことが先になります。
上司から業務時間外に勉強するように言われたら、 従わなければなりませんか。
上司から業務時間外に勉強するように言われたときの扱いは、会社によって決まりが異なるため、一概には言えません。業務として学ぶ時間を取れるか、講座や書籍の費用を会社が負担するか、時間外の学習を労働時間として扱うかは、就業規則を読んだうえで人事の担当に確認してください。上司には、「業務の中で学ぶ時間を週に1〜2時間取ってもよいでしょうか」と相談する言い方があります。
勉強しているのに、上司から「勉強しろ」と言われ続けるのはなぜですか。
勉強しているのに「勉強しろ」と言われ続けるときは、上司が見ている点と、自分が学んでいる点がずれている可能性があります。「どの資料のどこを見てそう感じられたのか」をもう一度尋ね、学んだことを次の資料や仕事に形にして見せてください。1on1で、「1か月後の資料で、どこが変わっていれば勉強したと見ていただけますか」と確かめる基準を上司と決めておくと、ずれに早めに気づきやすくなります。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/boss-says-study-more-what-to-do
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KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
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