部下の方へ上司との関わり
上司の間違いや忘れを角が立たずに指摘したい
先に答え
上司の間違いや忘れは、「間違っています」と上司本人に向けて言わず、資料や前回決めたことを一緒に見る確認の形にすると、角が立ちにくくなります。「3ページの数字が前年のもののようです。見比べていただけますか」のように、どこが何と違うかを示し、直し方の判断は上司に委ねます。忘れには、期限とそのあとに起きることを添え、自分が引き受けられることも伝えます。KAKEAIの1万人調査では、面談の困りごとに上司が以前の会話を覚えていないことを挙げた人のうち、面談が成果につながっていると感じている人は26.4%で、回答者全体より低い数字でした。面談についての数字ですが、上司の忘れは、面談の成果の感じ方にも関わる困りごとだと考えられます。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司が以前の会話を覚えていないことや約束を守らないことを、面談の困りごとに挙げた人がいます。この人たちが面談の成果を感じている割合は、回答者全体より低くなっていました。面談についての数字ですが、上司の忘れは、部下にとって面談の成果にも関わる困りごとだと考えられます。伝えるときは、資料や決めたことを一緒に見る確認の形にすることをおすすめします。
- 26.4%
- 1万人調査
- 面談の困りごとに「上司が以前会話したことを覚えていない」を挙げた人のうち、面談の成果を感じている人の割合
- 回答者全体では31.9%でした。この困りごとを挙げた人は6.2%と多くありませんが、挙げた人では、面談の成果を感じている割合が全体より低くなっています。
- 23.2%
- 1万人調査
- 困りごとに「会話したことを上司が日常にいかさない・約束を守らない」を挙げた人のうち、面談の成果を感じている人の割合
- 挙げた人は6.2%で、回答者全体の成果の実感31.9%と比べて低い数字です。この困りごとを挙げた人は、面談の成果も感じにくくなっています。
1万人調査は、上司の間違いや忘れを部下が指摘したかどうかは尋ねていません。上の数字は、上司との定期的な面談について部下の側が挙げた困りごとと、成果の実感を集計したものです。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
上司の間違いや忘れを指摘するとき、 角が立つのはどこか
上司の間違いや忘れを指摘して角が立つのは、「間違っています」「忘れていますよね」と、上司本人に向けて言うときです。資料の数字、前回決めたこと、期限といった仕事のものを二人で見る形にして、「3ページの数字は前年のもののようです。見比べていただけますか」と確認すれば、同じ内容でも角は立ちにくくなります。指摘が上司の誤りを正す行為ではなく、仕事を進めるための確認になるからです。
部下が黙っていると、間違った数字のまま資料が先に進み、忘れられた約束は期限の日になって表に出ます。困るのは上司だけではなく、その仕事に関わる部下自身と周りの人です。
KAKEAIの1万人調査では、上司との面談の困りごと(複数回答)に「上司が以前会話したことを覚えていない」を挙げた人は6.2%でした。この人たちのうち、面談が成果につながっていると感じている人は26.4%です。「会話したことを上司が日常にいかさない・約束を守らない」を挙げた人も6.2%で、成果の実感は23.2%です。回答者全体では31.9%なので、上司の忘れを困りごとに挙げた人は、面談の成果を感じている割合が全体より低いということです。面談についての数字ですが、上司の忘れは、部下が面談の成果を感じにくくなるほどの困りごとだと考えられます。
| 場面 | 角が立ちやすい言い方 | 確認の形にした言い方 |
|---|---|---|
| 資料の | 「この数字、 | 「3ページの |
| 約束を | 「経理への | 「経理への |
| 前に | 「前と | 「前回は |
上司の間違いを指摘する言い方: 資料を一緒に見て、 確認の形で尋ねる
上司の間違いを指摘するときは、どの箇所が何と違うのかを資料の上で示し、自分の理解が違っている可能性を添えて、どう直すかの判断は上司に委ねます。以下では、課長が作った部署の予算申請の資料を、部下が経理に提出する前に見直している場面を例にします。
資料の数字や日付が間違っているとき
数字の誤りは、どの箇所が、どの資料の数字と違うのかを言えば、それだけで伝わります。
- 予算申請の資料で、1点確認したいところがあります。3ページの出張費が前年の金額になっているようです。今年の見込みの表と見比べていただけますか。
- 私のほうで今年の数字に直してもよろしいでしょうか。直したあとに、もう一度ご確認をお願いします。
- 提出日が3月31日になっていますが、経理からの案内では3月28日が締め切りでした。案内のメールを一緒に見てもよいですか。
上司が会議で説明した内容が事実と違うとき
会議の最中に上司の説明の誤りに気づいたときは、急ぎでなければ会議のあとに二人で伝えます。その場で直す必要があるときは、上司を正すのではなく、自分の持っている情報を補う形にします。
- (会議のあとで)先ほどの説明で、研修費の上限は前年と同じと話されていましたが、今年は経理から見直しの通知が来ています。通知の文書をお送りしますので、ご確認いただけますか。
- (その場で言うとき)補足してもよろしいでしょうか。研修費については、先週、経理から上限を見直す通知が届いています。詳しい数字は、会議のあとにお伝えします。
上司の理解が、 決まったことと違うとき
方針や決定事項の受け取り違いは、どちらが正しいかを争わず、決まったことが書かれたものを二人で見ます。
- 新しい備品の購入は、部長会議で来期に回すと決まったと聞いています。課長が聞かれている内容と違っていたら教えてください。議事録を一緒に確認したいです。
- 私の聞き違いかもしれません。来期に回す話は、どの会議で決まったものか、課長はご存じでしょうか。
上司が忘れているときの伝え方: 期限と影響を添えて、 思い出してもらう
上司が約束や頼まれた確認を忘れているときは、「忘れていますか」とは聞きません。期限とそのあとに起きることを伝え、自分が引き受けられることを添えます。上司は複数の案件や会議を同時に抱えていることが多く、忘れたこと自体を責めても仕事は進みません。
上司が引き受けたことが進んでいないとき
- 予算申請の資料は、明日の17時が経理への提出の締め切りです。課長から提出していただく予定でしたが、ご都合はいかがでしょうか。
- 私から経理に送ることもできます。課長の確認が済んでいれば、今日のうちに送っておきましょうか。
- 部長への事前の説明は、もうお済みでしょうか。まだでしたら、説明に使える1枚の要約を私が作ります。
頼んだ確認の返事が来ないとき
- 先週お送りした予算の内訳の確認について、改めてご連絡しました。木曜までにお返事をいただけると、締め切りに間に合います。
- お忙しいようでしたら、気になる点だけ口頭で伺って、私が直す形でもかまいません。5分ほどお時間をいただけますか。
前に決めたことを、 上司が覚えていないとき
- 前回の1on1で、消耗品の予算は昨年の実績で申請すると決めていました。その方向で資料を作っていますが、変わりありませんか。
- 前回決めたことは、1on1のメモに残してあります。次回から、最初にメモを一緒に見てから始めてもよいでしょうか。
上司の間違いをメールやチャットで指摘するときの書き方
メールやチャットで指摘するときは、件名と最初の1行で「確認のお願い」だと分かるようにします。本文は、間違いの箇所・自分の手元の情報・直し方の案・判断のお願いの順に書きます。宛先は上司だけにして、ほかの人を入れません。急ぎのときや込み入った話は、メールより口頭で伝えるほうが早く済みます。
- 件名:予算申請の資料の数字について(ご確認のお願い)
- ○○課長
- お疲れさまです。△△です。予算申請の資料で、1点ご確認をお願いしたいところがあります。
- 3ページの出張費が、前年の実績の金額のままになっているようです。今年の見込みの表の金額と違っています。
- 私のほうで今年の数字に直してよろしければ、本日中に直して再送します。私の見方が違っていたら、お知らせください。
- よろしくお願いいたします。
チャットなら、もっと短くてかまいません。忘れを思い出してもらうときも同じです。
- 課長、予算申請の資料の3ページの出張費が、前年の金額のようです。今年の見込みの表の数字に直しておいてよいでしょうか。
- 課長、予算申請の提出は明日17時が締め切りです。私から経理に送っておきましょうか。課長から送られる予定でしたら、そのままお任せします。
上司の間違いや忘れを指摘するときに、 避けたいこと
- 黙って自分で直す。直した数字を上司が知らなければ、上司は会議で古い数字を説明してしまうかもしれません。直すなら、直したことを一言伝えます。
- 皆の前で正す。会議や共有のチャットで「それは違います」と言うと、上司は内容より言われた場所が気になり、部下の話を聞けなくなることがあります。急ぎでなければ二人のときに、急ぎなら補足の形で伝えます。
- 遠回しにしすぎる。「少し気になる点があるような気もするのですが」と前置きが長いと、何の話か伝わりません。箇所と違いを短く言うほうが、相手は受け取りやすいものです。
- 謝りすぎる。「申し訳ありませんが」「差し出がましいのですが」を重ねると、指摘が悪いことのように響き、上司も身構えます。確認のお願いは、普通の仕事のやり取りです。
- 過去の間違いを蒸し返す。「前にも同じことがありました」は、今直したい箇所の話から外れます。続くようなら、1on1で進め方の話として切り出すとよいでしょう。
上司の側にも事情があります。複数の案件や会議を抱え、資料の細部まで目が届かない日は誰にでもあります。だからこそ、仕事の細部を見ている部下の確認は、上司にとっても助けになります。
KAKEAIは、300万回以上の1on1を支援してきた経験と1万人調査の結果から、上司と部下の間で決めたことについては、上司も部下も両方が当事者だと考えています。上司の間違いや忘れを上司だけの問題にせず、気づいた部下が確認の一言を出すことで、二人の仕事は止まりにくくなります。
上司との間で、 間違いや忘れのやり取りが変わったかを振り返る
指摘がうまくいったかどうかは、その場の上司の反応より、そのあとの仕事の流れで見えてきます。
- 確認を出したあとに、資料や約束がその日のうちに直り、仕事が止まらずに進んでいれば、言い方は伝わっています。
- 上司から「気づいたら言ってほしい」と言われたり、上司のほうから部下に確認を求める場面が出てきたりしたら、確認のやり取りが二人の間に定着してきています。
- 前回決めたことをどちらかが最初に確認する習慣ができてきたら、次は、忘れやすいこと(提出の期限、ほかの部署への連絡)を二人で先にメモに残すことから始めてみてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
上司と考えが違う、上司の間違いに気づいた、上司に言われたことの意味が分からないというときに、会社でKakeai AI 1on1を利用している場合は次のことができます。
1on1の前やその場で、前回の履歴のカードで。
上司の記憶と食い違ったときに、 どちらが正しいかを言い合う代わりに、 前回決めたことを二人で同じ記録を見ながら確認できます。
履歴のカードには、その回を一言で表したタイトル、1on1全体の概要、話のまとまりごとの要点、決まった次の一歩の担当と期限が残っています。Kakeai AI が会話から書き、終了時に確定させたものです。お二人の画面に同じ内容が表示されます。
…D社への聞き取りは7月の訪問時に聞けたところまでで構わないと柳瀬さんが述べました。…
1on1後のAIアドバイスの「今回よかった点」で。
上司と違う考えを伝えた場面で、 何を言葉にできたのかを、 次の1on1の前に振り返れます。
その回に自分の考えを上司に返せた場面が、実際の発言を引いて取り上げられます。ご自身向けの内容で、上司には別の内容が表示されます。
…これは、柳瀬さんの問いに答えた場面ですが、答えの中身が際立っていました。砂・認証という柳瀬さんの整理に対して、値段という別の軸を自分の言葉で置いた一言です。…
1on1後のAIアドバイスの「次の1on1や日常へ向けて」で。
上司から困りごとを聞かれて短く答えた場面について、 何を教えてほしいのかを具体的に頼む一言を、 次の1on1の前に用意できます。
上司の問いかけに短い返事で終えた場面について、次に自分から具体的に頼む一言の例が示されることがあります。ご自身向けの内容です。
…「稟議の書き方を一度教えていただけますか」と具体的に言い出してみることも一つの選択肢です。…
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よくある質問
上司の間違いを部下が指摘するのは失礼ですか。
上司の間違いを部下が指摘することは、失礼ではありません。間違った資料や説明がそのまま進むと、困るのは上司だけでなく、その仕事に関わる人全員です。失礼に聞こえるかどうかは、言い方で決まります。「間違っています」と人に向けて言うのではなく、「3ページの数字が前年のもののようです。見比べていただけますか」と、資料を一緒に見る確認の形で伝えると、上司も受け取りやすくなります。
上司が約束や頼まれたことを忘れているとき、 どう催促すればよいですか。
上司が約束を忘れているときは、「忘れていますか」と聞かず、期限と、そのあとに起きることを伝えて思い出してもらいます。「予算申請の提出は明日17時が締め切りです。ご都合はいかがでしょうか」と尋ね、「私から経理に送ることもできます」のように、自分が引き受けられることを添えると、上司は答えやすくなります。催促は、期限の直前ではなく、間に合う余裕のあるうちに出すとよいでしょう。
上司の間違いをメールで指摘するときは、 どう書けばよいですか。
上司の間違いをメールで指摘するときは、件名を「○○の数字について(ご確認のお願い)」のように確認のお願いの形にします。本文は、間違いの箇所・自分の手元の情報・直し方の案・判断のお願いの順に書きます。宛先は上司だけにして、ほかの人を入れません。急ぎのときや、説明が長くなる話は、メールより口頭か短いチャットのほうが早く済みます。
上司に間違いを伝えても、 直してくれないときはどうすればよいですか。
上司に間違いを伝えても直らないときは、上司にも理由があると考えて、その理由を尋ねます。「この数字で進める理由を教えていただけますか」と聞くと、部下の知らない事情(別の部署との調整、方針の変更)が出てくることがあります。理由を聞いても納得できず、仕事に影響が出るなら、1on1で進め方の話として切り出し、決めたことを二人でメモに残すところから始めてみてください。
会議中に上司の説明が間違っていると気づいたら、 その場で言うべきですか。
会議中に上司の説明の間違いに気づいたときは、その場で直さないと周りの人の仕事に影響が出る場合だけ、「補足してもよろしいでしょうか」と、自分の持っている情報を足す形で伝えます。急ぎでなければ、会議のあとに二人で伝え、正しい情報が書かれた文書を一緒に見ます。皆の前で「それは違います」と正すと、上司は内容より言われた場所が気になり、話を聞けなくなることがあります。
関連するページ
出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/pointing-out-boss-mistake-politely
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: