部下の方へ上司との関わり
マネジメントが下手な上司にどう対処するか
先に答え
マネジメントが下手だと感じる上司のもとでは、上司の力量を評価するより先に、自分の仕事がどこで止まっているかを分け、部下の側から尋ねるとよいでしょう。止まりやすいのは、目指す状態・優先順位・自分で決めてよい範囲・判断の期限の4つです。KAKEAIの1万人調査では、面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ない人の16.3%が、理由に「ありたい状態が定まっていない」を挙げていました。面談のあとに動けない理由として、目指す状態が決まっていないことが上位に入っています。相談するときは、自分の案と期限を添えると、上司も判断しやすくなります。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に理由を尋ねました(5つまで選択)。下の2つは、その人たちのうち各項目を選んだ人の割合です。目指す状態が決まっていないことや、裁量や権限がないことが、動けない理由として挙がっていました。
- 16.3%
- 1万人調査
- 面談が行動につながるのが半分くらいか、それより少ない人のうち、「ありたい状態が定まっていない」を理由に選んだ人の割合
- 10個の理由のうち、「その時々によって違う」26.1%、「特にない」23.4%に次いで3番目に多い答えでした。「その時々によって違う」「特にない」を除くと、目指す状態が決まっていないことが最も多く挙がっています。
- 9.4%
- 1万人調査
- 面談が行動につながるのが半分くらいか、それより少ない人のうち、「裁量や権限がなくできない」を理由に選んだ人の割合
- 同じ質問で「スキルが不足していてできない」は9.1%でした。自分で決められる範囲がないことも、面談のあとに動けない理由の1つとして挙がっているということです。
1万人調査は、上司との定期的な面談について尋ねたもので、上司のマネジメントの上手・下手については尋ねていません。2つの数字は、理由を尋ねた6,074人のうちの割合です。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
マネジメントが下手な上司のもとで困らないために、 まず分けること
マネジメントが下手だと感じる上司のもとで困らないためには、上司の力量を評価するより先に、自分の仕事がどこで止まっているのかを分けてみるとよいでしょう。「マネジメントができない」という言葉には、さまざまな困りごとが含まれます。たとえば、指示があいまいなこと、優先順位を決めてもらえないこと、相談しても返事がないことなどです。
仕事が止まりやすい点は、次の4つに分けられます。どこで止まっているのかがわかれば、部下の側から上司にお願いできることも見えてきます。
| 止まっている点 | 起きていることの例 | 部下からの最初の一言 |
|---|---|---|
| 目指す状態 | 何ができていれば | 「どこまでできていれば |
| 優先順位 | 仕事が | 「Aと |
| 自分で | 任せきりで | 「この範囲は、 |
| 判断の期限 | 相談したことへの | 「木曜までに |
上司の側にも事情があるかもしれません。たとえば、自分の担当の仕事を多く抱えていることや、初めて部下と仕事をする立場になったこと、会社の方針がまだ決まっていないことです。上司の人柄や力量を決めつけず、止まっている点を1つずつ言葉にして尋ねるほうが、仕事は前に進みやすくなります。
1万人調査で、面談のあとに動けない理由として挙がっていること
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談のあと行動につながるのが半分くらいの回か、それより少ないと答えた人に、その理由を5つまで選んでもらいました。最も多いのは「その時々によって違う」の26.1%、次が「特にない」の23.4%で、3番目が「ありたい状態が定まっていない」の16.3%でした。同じ質問で、「裁量や権限がなくできない」を選んだ人は9.4%です。つまり、「その時々によって違う」「特にない」を除くと、目指す状態が決まっていないことが最も多く挙がり、自分で決められる範囲がないことも理由として挙がっているということです。
面談についての数字ですが、上司のマネジメントが下手だと感じる場面でも、目指す状態や自分で決めてよい範囲がはっきりしないために、仕事が止まっている場合があると考えられます。
上司のやり方が変わるのを待つより、止まっている点を部下の側から尋ねてみることをおすすめします。何を決めてほしいのかがはっきりした相談であれば、上司も答えを出しやすくなります。
止まっている点ごとの、 マネジメントが下手な上司への伝え方
以下では、年に一度のお客様向けセミナーの運営(会場の手配・登壇者との調整・案内のメール)を任されている部下が、課長に相談する場面を例にします。どの場面でも、自分の案を添えて尋ねると、上司も判断しやすくなります。
目指す状態がはっきりしないとき
何ができていれば十分なのかを、自分の考えを添えて尋ねます。上司の頭の中にある完成の姿が、まだ言葉になっていないだけのこともあります。
- 来月のセミナーについて、どこまでできていれば十分か、一度ご相談できますか。
- 私は、申し込みの人数を昨年と同じくらいにすることと、終了後のアンケートを集めることを目標に考えています。課長のお考えと違う点があれば、教えてください。
- 会場の飾り付けや配布資料の見た目は、どの程度まで手をかければよいでしょうか。
優先順位がわからないとき
重なっている仕事を並べ、自分ならどの順に進めるかを先に伝えます。上司が、ほかに抱えている仕事を知らないまま依頼していることもあります。
- セミナーの準備と、月末の請求書の確認が、来週に重なっています。
- 私は、請求書の確認を先に終えて、セミナーの準備は水曜から進めようと考えています。この順番でよいでしょうか。
- 昨日いただいた資料の作成は、セミナーのあとに回してもよいでしょうか。
自分で決めてよい範囲がわからないとき
任せきりにされているときと、細かいことまで確認が必要なときとでは、困りごとの向きが逆です。どちらの場合も、自分で決めてよい範囲と、上司に確認する範囲を、具体的に区切って相談します。
任せきりで、判断の基準がないときは、次のように尋ねます。
- 会場の選定は、予算の範囲に収まるなら、私が決めてもよいでしょうか。決めたあとで、結果をご報告します。
- 予算を超えそうなときと、日程を動かすときだけは、事前にご相談します。
細かいことまで確認が必要になっているときは、確認をお願いする場面を絞る提案をします。
- 案内のメールの文面を毎回見ていただき、ありがとうございます。
- 定型の部分は私の判断で送り、日程や料金が変わるときだけご確認をお願いする形でもよいでしょうか。そのほうが、お客様への案内も早く出せます。
相談しても判断が返ってこないとき
判断が必要な理由と期限、期限までに返事がないときにどうするかを、あわせて伝えます。返事がないのは、忙しさのほかに、判断の材料が足りないことが理由の場合もあります。
- 登壇者の方に、金曜までにお返事することになっています。A案とB案のどちらで進めるか、木曜までにご判断をいただけますか。
- A案は費用を抑えられ、B案は集客が見込めます。私はA案がよいと考えています。
- 木曜までにご判断が難しい場合は、A案で進めてもよろしいでしょうか。
決まったことは、その日のうちに短いメッセージで二人で確認しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
- 先ほどはありがとうございました。会場はA案で進め、予算を超えるときは事前にご相談します。念のため、ご連絡しました。
マネジメントが下手だと感じる上司と、 話す時間を部下の側からお願いする
マネジメントが下手だと感じる上司とは、そもそも話す機会が少ないこともあります。その場合は、短い時間でよいので、定期的に話す時間を部下の側からお願いしてみてください。
- セミナーが終わるまで、週に一度、15分だけ進み具合をご相談する時間をいただけないでしょうか。
- 前日までに、話したいことと、課長にお願いしたいことをお送りします。
毎回、話したいことと上司に期待することを先に伝えておくと、短い時間でも話が進みやすくなります。上司に期待することとは、判断がほしいのか、意見を聞きたいのか、報告だけなのかといったことです。上司から返ってきた意見や判断には、お礼と、次に自分がすることを一言添えます。
- ご意見をいただき、ありがとうございます。教えていただいた順番で、まず会場の予約から進めます。
KAKEAIは、上司も部下も、両方が当事者だと考えています。仕事が進まないことの責任は、上司だけ、部下だけにあるものではありません。上司のマネジメントを待つだけにせず、一人で抱え込むこともせず、二人で仕事を前に進められるように、自分からできることを続けていきます。
マネジメントが下手な上司のことを、 一人で抱えないほうがよいとき
上司に尋ねても仕事が止まったままのときや、心身の調子に影響が出ているときは、一人で抱え込まず、上司の上司や人事の担当に相談してください。相談するときは、上司の人柄への不満ではなく、何がどこで止まっているのかを事実として伝えると、相手も対応を考えやすくなります。
- セミナーの準備で、会場と登壇者の判断が2週間止まっています。課長にも何度かご相談していますが、進め方について一度ご相談できますか。
上司の言動がハラスメントに当たるかもしれないと感じるときは、就業規則で定められた相談窓口や人事の担当に相談してください。眠れない、出社がつらいといった状態が続くときは、仕事の進め方の話より先に、産業医や医療の専門家に相談してください。
上司とのやり取りがうまくいっているかの振り返り方
上司とのやり取りがうまくいっているかどうかは、上司のマネジメントが上手になったかではなく、自分の仕事が止まらずに進んでいるかで振り返ります。
- 相談したことについて期限までに次の作業に移れたら、次は、期限を決めずに相談したままのことが残っていないかを見直してみてください。
- 自分で決めてよい範囲が二人の間で言葉になったら、次は、その範囲の中で決めた結果を、上司に短く報告します。
- 話したいことと上司に期待することを話す前に伝えられたら、次は、上司から返ってきた判断に、次に自分がすることを添えて返します。
- 決まったことをその日のうちに二人で確認できたら、次は、食い違いに気づいたときに、早めに尋ね直すようにしてみましょう。
進め方について、上司の考えを尋ねてみるのも1つの方法です。
- ご相談の仕方で、課長にとってやりにくいところはありませんか。直したほうがよい点があれば、教えてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
上司が引き受けたことが進まない、決めたことを覚えていない、必要なときにつかまらないというときに、会社でKakeai AI 1on1を利用している場合は次のことができます。
1on1の最中に、次の一歩の候補で。
上司が口頭で引き受けたことも、 担当のついた一歩として、 二人が見る一覧に残せます。
会話の中で上司が「確認しておく」と引き受けたことも、次の一歩の候補になることがあります。候補の担当と期限は、会話に出てきたものを Kakeai AI が入力します。お二人のどちらからも「決定する」をクリックでき、決定した一歩は、1on1を終了したときに「MOVE」(1on1で決めた次の一歩と目標を、相手ごとに一覧にする画面)に追加されます。決めなかった候補も、終了後の要約に残ります。
バンコク拠点の技術担当者の窓口を確認する
1on1の最中と終了後に、「1on1のAI要約」で。
上司が口頭で引き受けたことを、 催促の形をとらずに、 二人の記録で確かめ合えます。
Kakeai AI が、話のまとまりごとの要点と、決まった次の一歩の担当と期限を書きます。上司が引き受けた確認が、誰がいつまでにするかの形で要点に書かれることもあります。お二人の画面に同じ内容が表示されます。
…バンコクの要件はまだ未確認で、柳瀬さんが来訪中のタイ拠点長に6月15日の週のうちに確認する。…
1on1の前に、「概要」の「ダイジェスト」で。
どの話が上司の確認待ちで止まっているかを、 上司と同じ文章で確認してから、 次の1on1に臨めます。
Kakeai AI が、この半年の二人の1on1を文章にしたものです。1on1が終わるたびに書き直され、お二人に同じものが表示されます。いま途中になっている話も書かれ、どの話が誰の確認待ちかが書かれることもあります。
…石田さんの返答が出るまで長谷部さんは仕様書側を動かさない方針で、現在は柳瀬さんの確認待ちの状態です。…
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この手引きの数字のもとになった、 1万人調査のレポート
1on1の踊り場から脱却するヒント:1万人調査が解明した、形骸化を超える構造(全43ページ・PDF)
- 1万人のデータで見る、1on1の頻度・時間・場所・話題の実態
- 成果・成長の実感を左右するもの(実施理由・上司への期待・困りごと・行動への接続)
- 明日の1on1からできること(前・最中・直後・日常の4つの場面と、具体的な声のかけ方)
よくある質問
マネジメントができない上司のもとで働くとき、 部下は何をすればよいですか。
マネジメントができないと感じる上司のもとでは、自分の仕事がどこで止まっているかを、目指す状態・優先順位・自分で決めてよい範囲・判断の期限の4つに分けてみるとよいでしょう。止まっている点がわかったら、「私はA案がよいと考えています。木曜までにご判断をいただけますか」のように、自分の案と期限を添えて上司に尋ねます。何を決めてほしいのかがはっきりすると、上司も答えを出しやすくなります。
上司が仕事を丸投げしてくるときは、 どうすればよいですか。
上司から仕事を任せきりにされているときは、自分で決めてよい範囲と、上司に確認する範囲を区切って相談するとよいでしょう。たとえば「予算の範囲に収まるなら、会場は私が決めてもよいでしょうか。予算を超えるときと日程を動かすときだけ、事前にご相談します」と伝えます。範囲が決まれば、その中では自分の判断で進め、決めた結果を報告できます。
上司が細かいことまで口を出してくるときは、 どうすればよいですか。
上司が細かいことまで確認したがるときは、確認をお願いする場面を絞る提案をしてみてください。「定型の部分は私の判断で送り、日程や料金が変わるときだけご確認をお願いする形でもよいでしょうか」のように、どこを確認してほしいのかを具体的に示します。先にお礼を伝え、仕事が早く進むという理由を添えると、上司も受け入れやすくなります。
上司のマネジメントの悪いところを、 本人に伝えてもよいですか。
上司のマネジメントについて伝えたいときは、欠点の指摘としてではなく、自分の仕事を進めるためのお願いとして伝えるほうが、話が前に進みやすくなります。「判断の期限を決めていただけると、予定通りに進められます」のように、何をしてほしいのかと、それで仕事がどう進むのかをセットで話します。あわせて、自分の相談の仕方でやりにくい点がないかも尋ねるとよいでしょう。
マネジメントが下手な上司のことを、 上司の上司や人事に相談してもよいですか。
上司に尋ねても仕事が止まったままのときや、心身の調子に影響が出ているときは、上司の上司や人事の担当に相談してかまいません。相談するときは、上司の人柄への不満ではなく、何がどこで止まっているのかを事実として伝えます。上司の言動がハラスメントに当たるかもしれないと感じるときは、就業規則で定められた相談窓口に、体調の不安が続くときは産業医や医療の専門家に相談してください。
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出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/boss-poor-at-management-how-to-cope
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
運営者:株式会社KAKEAI(会社概要) 更新日: