上司の方へ会議・ミーティング
会議で相手の意見を否定しない進め方
先に答え
会議で相手の意見を否定しない進め方とは、反対意見を言わないことではなく、案を出した人と、出したこと自体を打ち消さないことです。「それは意味がない」「分かっていない」と人や発言の価値を否定する言い方をやめ、案の弱点は「どの点が気になるか・なぜか・代わりにどうするか」の形で言います。進め方としては、案を出す段階(否定も評価もしない)と決める段階(理由のある反対を歓迎する)を分け、今どちらの段階かを司会が言葉にします。司会である上司が自分の案への反対を先に求めると、反対を言ってよい場だということが伝わりやすくなります。
数字で見る
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査は、上司との1対1の面談について尋ねたものです。面談で上司に期待すること(5つまで選択)として最も多く選ばれたのは「意見を聞きたい」で、「話を聞いてほしい」を選んだ人より多くなっていました。聞いてもらうことより、上司の意見を求める答えが上位に並んでいます。
- 33.6%
- 1万人調査
- 面談で上司に期待すること(5つまで選択)として「意見を聞きたい」を選んだ人の割合(選べる答えの中で最多)
- 「具体的なアドバイスがほしい」は32.0%、「一緒に考えてほしい」は29.4%でした。面談で上司に期待することとして、上司の意見や考えを求める答えが上位に並んでいる、という意味です。
- 20.8%
- 1万人調査
- 面談で上司に期待すること(5つまで選択)として「話を聞いてほしい」を選んだ人の割合
- 「意見を聞きたい」の33.6%より少ない結果です。5つまで選べる質問でも、聞いてもらうことを挙げた人は、上司の意見を挙げた人より少なかったということです。
この調査は上司との1対1の面談について尋ねたもので、複数人の会議や、会議のルールについては尋ねていません。数字は、面談で部下が上司に何を期待しているかを示すもので、会議での上司の意見の出し方を考える参考として載せています。
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
この調査は、上司と定期的に面談をしている会社員1万人に、面談を受ける立場での実感を尋ねたものです。
会議の「否定しない」ルールの意味: 反対を言わないことではなく、 人を否定しないこと
会議のルールとしてよく掲げられる「相手の意見を否定しない」は、反対意見を言わないという意味ではありません。否定しないのは、発言した人と、発言そのものの価値です。「それは違う」「意味がない」「分かっていない」と、案を出した人や、出したこと自体を打ち消す言い方をしない、という約束です。案の弱点を理由とともに言うことは否定ではなく、決めるために要る反対意見です。
| 「否定しない」ルールで | しないこと | してよいこと |
|---|---|---|
| 人に対して | 「○○ | 「○○ |
| 発言そのものに対して | 「それは | 「出してもらえて |
| 案に対して | 理由を | 「どの点が・ |
ルールを「否定しない=反対しない」と運用すると、会議は賛成と沈黙だけになりやすく、決めるために要る懸念が出にくくなります。決めたあとに「実は気になっていた」が出てくる会議は、否定しないルールが反対を封じている印かもしれません。
KAKEAIが会社員1万人を対象に行った調査では、上司との面談で上司に期待すること(5つまで選択)を尋ねています。「意見を聞きたい」を選んだ人は33.6%で、選べる答えの中で最も多く、「話を聞いてほしい」は20.8%でした。つまり、面談で上司に期待することとして、上司の意見を挙げた人は、話を聞いてもらうことを挙げた人より多いということです。面談についての数字ですが、会議でも、上司が「否定しない」を「意見を言わない」と受け取って黙ると、求められている意見が出ないままになるかもしれません。
以下では、カスタマーサポート課の6人で、お客様アンケートの設問を決める会議を例にします。司会は課長です。
「否定しない」と「反対を言う」を両立させる進め方: 案を出す段階と決める段階を分ける
否定しないことと反対を言うことは、会議の段階を分けると両立します。案を出す段階では、否定も評価もせずに数を出します。決める段階では、理由のある反対を歓迎します。1つの会議の中で、今どちらの段階かを司会が言葉にします。
案を出す段階: 否定も評価もしない
- ここから15分は、設問の案を出す時間にします。この時間は、よい悪いを言わずに、思いついたものを全部出してください。私も出します。
- 似ている案があってもかまいません。あとでまとめます。
- 今の△△さんの案、書き留めました。次の方、どうぞ。
この段階で「それは前にやって駄目だった」と言いたくなっても、いったん書き留めるだけにします。評価は次の段階でします。
決める段階: 理由のある反対を、 司会が先に求める
- ここからは、出た案を絞る時間にします。ここでは、反対や懸念を言ってもらうほうが助かります。案を出した人を否定するのではなく、案を強くするために言う、と皆で決めておきましょう。
- まず私の案から見てもらえますか。「満足度を10段階で」という案ですが、気になる点があれば、遠慮なく言ってください。
- ○○さんの案と△△さんの案は、どちらも設問を減らす方向ですね。2つを並べて、違いを見てみましょう。
司会である上司が、自分の案への反対を先に求めると、反対を言ってよい場だということが、言葉で説明するより伝わりやすくなります。
否定にならない反対の言い方: どの点が、なぜ、代わりに
反対意見が否定に聞こえるかどうかは、反対の強さではなく、形で変わります。「どの点が気になるのか」「なぜそう思うのか」「代わりにどうするか」の3つがそろっていれば、強い反対でも、案を出した人への否定にはなりにくいものです。
| 否定に聞こえる言い方 | 否定にならない言い方 |
|---|---|
| 「それは | 「設問が |
| 「前にもやって | 「去年も |
| 「お客様のことを | 「お客様の |
上司が部下の案に反対するときも、同じ形で言います。上司の反対は部下には決定に聞こえやすいので、反対のあとに、部下の考えを尋ねる一言を添えます。
- ○○さんの案の、設問の順番が気になっています。最初に不満を聞くと、そのあとの答えが厳しくなりやすいと思うからです。満足している点を先に聞くのはどうでしょうか。○○さんは、どう思いますか。
- 私の理解が違っていたら教えてください。この設問は、電話の対応について聞くものという理解で合っていますか。
逆に、上司が部下から反対されたときは、反対の中身に答えます。言い方が気になっても中身に答えれば、上司自身も否定しないルールを守ることになります。
- なるほど、そこは考えていませんでした。設問を5個に絞るなら、どれを残しますか。
- 反対してもらえて助かります。私の案のまま進めていたら、途中でやめるお客様が増えていたかもしれません。
KAKEAIは、上司は意見を言わないとあらかじめ決めておくことをおすすめしません。部下の期待は、人と回によって異なるからです。会議でも、上司が意見を言わないことをルールにするのではなく、気になる点に理由と代わりの案を添えて意見を言うことをおすすめします。
「否定しない」ルールが破られたときの、 司会である上司の対応
否定しないルールは、掲げただけでは守られにくいものです。会議の中で「それは意味がない」のような言い方が出たときに司会がどう扱うかで、ルールが生きるかどうかが変わります。
その場では、言った人を注意するのではなく、発言を「どの点が・なぜ」の形に言い直して、案の中身に戻します。
- 今の「意味がない」は、どの点が気になっているのか、もう少し聞かせてもらえますか。回答の数が集まらないという心配でしょうか。
- □□さんの案に懸念が出ましたが、案そのものは残しておきます。懸念の点を直せるかを、少し考えてみませんか。
言い方そのものについて話したいときは、会議の場ではなく、落ち着いてから別の機会に、本人と1対1で話します。皆の前で言い方を注意すると、注意された人が黙るだけでなく、ほかの人も反対を言いにくくなります。
- 今日の会議で、□□さんの案に「意味がない」と言った場面がありましたよね。言いたかったことは分かるのですが、□□さんが次の案を出しにくくなったように見えました。「回答が集まらないのが心配」と言ってもらえると、同じ中身でも受け取り方が変わると思います。
ルールを破ったのが上司自身のときは、その場で言い直します。
- すみません、今の言い方は否定になっていました。言い直します。設問が長いという点が気になっていて、理由は、途中でやめる人が出ると思うからです。
会議で出なかった反対は、会議のあとの1on1で聞きます。否定しないルールがあっても、人前では言いにくい懸念は残ります。
- 今日の会議で決めた設問について、言いにくかったことや、気になっている点はありますか。私の案への反対でも、もちろん大丈夫です。
会議の「否定しない」ルールで、 避けたいこと
会議の「否定しない」ルールで避けたいのは、反対意見まで封じてしまう運用です。次の5つは、よく行われますが、決めるために要る懸念を会議から消してしまいます。
- 「否定しない」を「反対しない」と運用する。賛成と沈黙だけの会議になりやすく、決めたあとに懸念が出てくることになります。ルールの文を「人を否定しない。案には理由をつけて反対してよい」と2つに分けて書き直してください。
- 「でも」「無理」を禁止用語にする。言葉を禁じても、否定の中身は別の言葉で出てきます。禁じるより、理由と代わりの案を添えた反対の言い方を示すほうが、言い方は変わりやすくなります。
- ルールを張り紙にして終える。会議の始まりで司会が一言添えないと、ルールは参加者の記憶から薄れていきます。
- 上司が「否定しない」と言いながら、部下の案を理由なく退ける。上司の「それは難しい」は、部下には決定として届きやすいものです。上司こそ、理由と代わりの案を添えます。
- ルールを破った人を、その場で皆の前で注意する。注意された人も、周りの人も、反対を言いにくくなります。言い方の話は、1対1で、落ち着いてからにします。
「否定しない」ルールがうまく働いているかを振り返る
否定しないルールがうまく働いているかどうかは、会議の空気が穏やかだったかではなく、決める前に反対意見が出ていたかで振り返ってみてください。振り返る点は次の3つです。
- 決める段階で、上司の案を含めて、理由のついた反対意見が1つは出ていたでしょうか。
- 反対された人が、そのあとの会議でも案を出し続けていたでしょうか。
- 決めたあとに「実は気になっていた」という懸念が、会議の外から出てこなかったでしょうか。
反対意見が出ないまま決まる会議が続くなら、次の会議では司会である上司が自分の案を先に出し、「気になる点があれば遠慮なく言ってください」と反対を求めるところから始めてみてください。
この場面で、Kakeai AI 1on1 でできること
Kakeai AI 1on1 は、上司と部下の1on1の準備・会話・ふりかえり、そして日常の仕事の場面で、お二人のこれまでの1on1を踏まえた具体的な支援を届ける AI です。
会議では発言の少ない人の考えが聞けない、意見がぶつかったり否定されたと感じたりした人の受け止めがわからないときに、Kakeai AI 1on1では次のことができます。
1on1の実施中に、球体をクリックしたとき。
会議では発言の少ない人の考えを、 1on1で、その人に向けた問いから聞くきっかけになります。
球体は、「1on1実施中」の画面の右の列の下にある、Kakeai AI に話題を提案させるボタンです。Kakeai AI が、準備されたテーマやこれまでの1on1を踏まえて、話題を一つ、相手に問いかける形で出します。お二人に同じ内容が表示されます。
小野寺さんが今日のテーマとして「業務の進捗や進め方」を入れてくださっています。今どの業務が気になっているか、まず聞かせてもらえますか。小野寺さん、いかがでしょう?
上司の側で、1on1のあとに「1on1後のAIアドバイス」で。
相手の話を自分の一言で切り上げていなかったかを、 次に使える問いかけと一緒に振り返れます。
大事な話の途中で相手の返事が短くなった場面があると、次に試せる問いかけの例が書かれることがあります。上司ご本人にだけ表示されます。
…次回、昇格試験の準備状況を確認するタイミングで、「社内の評価の場面って、具体的にどんなときが一番きつい?」と一問戻してみませんか。…
上司の側で、1on1のあとに「1on1後のAIアドバイス」で。
会議で意見をまとめる前に一人ひとりの考えを聞くとき、 どの問いかけで相手の話が進んだかを具体的に振り返れます。
上司の問いかけをきっかけに、相手が自分の言葉で話した場面が、その回の会話をもとに書かれることがあります。上司ご本人にだけ表示されます。
「どのへんが一番」と掘り下げた問いに、長谷部さんは意思決定の手順の違いを自分の言葉で説明してくれました。…
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よくある質問
会議の「否定しない」ルールとは、 どういう意味ですか。
会議の「否定しない」ルールとは、案を出した人と、案を出したこと自体の価値を打ち消さない、という約束です。「それは意味がない」「分かっていない」のように、人の能力や姿勢を評したり、出したこと自体を否定したりする言い方をやめます。反対意見を言わないという意味ではありません。案の弱点を「どの点が気になるか・なぜか・代わりにどうするか」の形で言うことは、否定ではなく、決めるために要る反対意見です。
「否定しない」ルールがある会議では、 反対意見を言ってはいけないのですか。
「否定しない」ルールがある会議でも、反対意見は言ってかまいません。むしろ、理由のある反対が出ないと、決めるために要る懸念が会議から消え、決めたあとに「実は気になっていた」が出てきやすくなります。否定と反対の違いは形にあります。「それは無理だと思います」は否定に聞こえますが、「設問が12個という点が気になります。途中でやめる人が出ると思うからです。5個に絞るのはどうでしょうか」は、同じ反対でも否定にはなりにくい言い方です。
上司が会議で部下の案に反対するときは、 どう言えばよいですか。
上司が会議で部下の案に反対するときは、「どの点が気になるか・なぜか・代わりにどうするか」の形で言い、そのあとに「○○さんは、どう思いますか」と部下の考えを尋ねます。上司の反対は、部下には決定として聞こえやすいからです。理由を言わずに「それは難しい」と退けると、否定しないルールを掲げていても、部下は次の案を出しにくくなります。自分の案への反対を先に求めておくと、部下も反対を言いやすくなります。
会議で「でも」を禁止用語にするのは、 効果がありますか。
会議で「でも」や「無理」を禁止用語にしても、否定の中身は別の言葉で出てくるので、効果は限られます。言葉を禁じるより、反対の形を「どの点が気になるか・なぜか・代わりにどうするか」にそろえることをおすすめします。司会が会議の始まりで形を示し、自分の案への反対を先に求めると、参加者の言い方は変わりやすくなります。禁止用語を作ると、言い方を気にして反対そのものを控える人が増えるおそれもあります。
会議で「否定しない」ルールを破った人には、 どう対応すればよいですか。
会議で「否定しない」ルールを破った人には、その場では注意せず、司会が発言を「どの点が気になるのか」の形に言い直して、案の中身に戻します。「今の『意味がない』は、どの点が気になっているのか、もう少し聞かせてもらえますか」のように尋ねます。言い方そのものについて話したいときは、落ち着いてから別の機会に、本人と1対1で話してください。皆の前で注意すると、注意された人も周りの人も、反対を言いにくくなります。
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出典と、この数字を引用するときの書き方
出典:株式会社KAKEAI「1on1実態調査」(N=10,000、2026年5月実施、インターネット調査)
引用する際は、「出典:株式会社KAKEAI『1on1実態調査』(2026年)」と、このページのURLを明記してください。
このページのURL:https://kakeai.co.jp/guide/meeting-rule-do-not-dismiss-opinions
作成者と運営者
KAKEAIでは普段、「上司」「部下」という言葉を使っていません。このページでは、多くの方に伝わりやすいよう、一般的な呼び方として「上司」「部下」と書いています。
このページは、Kakeai AI 1on1 を提供する株式会社KAKEAIが、自社で実施した1万人調査と Kakeai AI 1on1 の利用データの集計をもとに作成したものです。
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