階層を越えた対話は、何を生むのか。営業部長がメンバー全員と直接1on1する理由
石松 卓さん(左)、武村 怜さん(共にSMFLみらいパートナーズに出向中)

リース・金融大手、三井住友ファイナンス&リースの戦略子会社、SMFLみらいパートナーズ。再エネ・省エネ事業を手がける環境エネルギー本部エネルギーサービス部では、メンバーとチームリーダー、チームリーダーと部長による1on1に加え、部長の石松卓さんもメンバー全員と定期的に1on1を重ねています。階層を越えた対話は何を生み出しているのか。石松さんと入社2年目の武村怜さんに、1on1の実践について話をうかがいました。

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<石松さんインタビュー>
Q:貴部の業務内容と体制を教えてください。
再エネ・省エネ事業を担う、36人の営業組織
私が所属するSMFLみらいパートナーズは、親会社のSMFLが培ってきたリースの知見を活かしながら、不動産や環境エネルギーをはじめ、複数の事業領域を担っている会社です。
私の部では、お客さまの施設・建物等に太陽光発電設備を設置するオンサイトPPAのほか、省エネ補助金を活用したリース・申請コンサル、工場設備の保有・サービス提供といったビジネスを手がけています。
部の規模は36人で、5チームに分かれています。私の下に各チームのリーダーが1名ずつ、その下にメンバーが所属しています。営業職4チーム、業務職1チームの部構成です。
このチーム構造の中で、メンバーはまず各チームリーダーと1on1をしています。それに加えて、私自身も36人全員と1on1を実施しています。

Q:どのような目的で1on1を行っていますか。
36人との接点を作る場として、3カ月に1回
一番大事にしているのは「接点」を作ることです。36人もいると、会話がないまま1日が終わるメンバーも出てきます。業務の必要性だけでは接点が大きく減ってしまうので、対話の機会を生み出すために意図的に1on1を続けています。
運用は、3カ月に1回30分。継続できなければ、やる意味がないので、仕組みは試行錯誤しています。現在は、メンバーを三つのグループに分け、グループごとに実施月を割り振っています。例えばあるグループは6月・9月・12月・3月。実施月になったら、メンバー自身に私のカレンダーへ予定を入れてもらいます。
一方で、形式にとらわれない柔軟さも大事にしています。スケジュールは双方の業務に合わせて適宜変更しています。また、大阪拠点の4人は、私が出張するタイミングに合わせて面前で行うようにしています。
コミュニケーションを取り続けることが目的なので、手段は状況に合わせています。
Q:階層を越えた1on1には、どのような意義がありますか。
「相談を持ち込める場」があるという安心感につながる
例えば、メンバーの武村さんと私は二回り違います。それだけ年齢が離れた相手と話す際には、気を遣うこともあると思います。いきなり私のところに来て「石松さん、相談があります」と言うのは、周りの目もあるし気が引けますよね。
だからこそ、定例の場があることに意味があると思っています。「悩んだ時に、次の1on1で話そう」と思ってもらえたら、それで十分。そういう距離感を意識しています。

Q:Kakeai導入の前後で、1on1に変化はありましたか?
部下への想像が深まり、対話にも集中できるように
以前は1on1の最中に、手元のノートに内容を書き留めていました。そうしないと次回までに忘れてしまうからですが、対話の最中に下を向いてしまうのは良いことではありません。
その点、Kakeaiは話しながらメモできますし、書いた内容をお互いに見られるのも良い。1on1で話すテーマは多岐にわたるので、過去のやり取りを思い出すために、メモを活用しています。
また、メンバーは、1on1の前にトークテーマを設定してくれます。それを受け取った時、「あのことを話したいのかな」「この前の仕事で何か思うところがあったのかな」と想像を巡らせるようになりました。相手の状態を1on1の前から考えられるようになったのは、紙のノート時代にはなかった変化です。
Q:メモ以外に、Kakeaiでよく使う機能はありますか。
「サイコロトーク」が、対話の入り口に
サイコロトークは、なんだかんだ使い勝手が良いですね。「じゃあ始めようか」のお決まりのスタートボタンになっています。
ただ、単なる雰囲気づくりだけではありません。サイコロトークのテーマには軽めから重めまであり、重めを引いたときは、二人で真剣に悩みながら話し、対話がぐっと深いところへ入っていく。そこから「この人はこう考えるのか」と相手の思考の輪郭が見え、互いの景色の交換につながることがあります。

他では、月次で届く1on1データ(当月の1on1の実施回数やトークテーマなどの集計)は、自分自身を振り返る材料になっています。ただ、データを見ながら難しいなと思うことも少なくありません。
例えばKakeaiでは、上司の対応の得意・不得意がバブルチャートで可視化されます。私の場合「意見を聞きたい」という対応が不得意となることがあるのですが、これがなかなか悩ましい。もっと意見を伝えたほうがいいのかとも思いますが、上司が意見を出しすぎると、それは指示になってしまう。どこまで踏み込むかは、いつも悩むところです。
Q:1on1で意識しているマイルールはありますか?
話しすぎない、明るくする、伝えたいことは一つに絞る
期初に部の業務方針を20枚くらいのスライドで話すのですが、その中に必ず1枚、「当部の1on1について」というページを入れています。「(メンバーの)皆さんの時間です」「リラックスして話してください」「話すテーマを一つ考えてきてください」と必ず伝えるようにしています。
私自身が意識しているのは、まず話しすぎないこと。それから、明るくすること。最後に、私から伝えたいことがあっても一つだけにすることです。たくさん言われても消化できないし、そもそもメンバーの時間ですから。何か伝えたいことがあるときは、「最後に1個だけいい?」と前置きして言うようにしています。

Kakeaiのサイコロトークの後には、必ず「困っていることや悩んでいること、伝えたいことはある?」と聞くこともルーティンにしています。「特にないです」と言われることもありますが、業務中に些細な悩みを伝える時間が他にないので、必ず確認するようにしています。
Q:仕事の詰まりを抱えているメンバーとの1on1では、どんなことを意識していますか?
理想の手前にある、“次の一歩”を一緒に決める
誰しも「こうありたい」という理想がありますが、そこに辿り着くまでの道のりは遠く感じるものです。「本当はもっとこうしたいのに」とジレンマに陥ることもよくあります。そんなとき、私は、“手前の一歩”を一緒に考えるようにしています。

「ここまで行ったら次はこういうことがあるから、まずはここまでやってみよう」と。そして「そのためにどう動こうか?」を聞いてみる。
本人からスッと答えが出てくれば「それいいね」と返しますし、出てこなければ「じゃあこうしてみる?」と一緒に考えながら提案します。
小さな成功を積み重ねるほうが、やりがいや充実感につながると言いますよね。1on1は、相談を受けたメンバーのステップを整理して、次の一歩を一緒に押し出す場だと思っています。
<武村さんインタビュー>
Q:入社当時は、1on1の時間をどう過ごしていましたか?
準備をして臨む習慣がなく、思いつきで話していた
入って間もない頃は業務内容を十分に把握できておらず、悩みらしい悩みもありませんでした。話す内容はコミュニケーションの取り方や対人的なことが中心で、雑談的なカジュアルな会話も多かったように思います。
当時は事前準備という発想もなく、その場で思いついたことを話していました。時間配分もうまくできず、本当は聞きたいことがあるのに、その手前の話に時間を割きすぎ、タイムリミットが来てしまった、ということもありました。
Q:1年目の後半にKakeaiが導入されました。1on1に変化はありましたか?
雑談の時間から、成長やキャリアを考える時間へ
Kakeaiを使うようになってから、自分の成長やキャリアを考える時間になったと感じます。中長期的な視点を持ち、「次にどういう仕事をしたいか」「次の一番手前の目標は何か」といったことを話せるようになりました。
きっかけは事前のテーマ設定です。Kakeaiにはトークテーマが用意されているので、それらに照らしながら「自分は今こういうことで悩んでいる」「この仕事はこれからこうしていきたい」と頭の中を整理してから臨むようになりました。

Kakeaiではテーマと一緒に「アドバイスが欲しい」「意見を聞きたい」といった「期待する対応」も選べるので、自分が今何を求めているのかも整理した上で、石松さんに事前に共有しています。そうすることで、自分の悩みに対して具体的なアドバイスや意見をいただけるようになったんです。
時間配分も上手くなったと思います。Kakeaiでは「あと何分」と残り時間が表示されるので、その時々の話したいテーマに集中して時間を使えるようになりました。
Q:1on1に臨む時、どんなことを意識していますか?
「アドバイス」だけでなく「意見」をもらいに行く
意識しているのは、上司から「アドバイス」だけでなく「意見」をもらうことです。アドバイスもありがたいのですが、「こうしたほうがいい」と言われた方法が自分に合わないこともあります。意見だと、自分の考えを崩さずに新しい選択肢として取り入れたり、別の角度の視点として受け取ったりできます。
だからこそ、1on1の中では、自分から「これってどう思いますか」と聞くようにしています。30分の中で何か一つでも学びや気付きを持ち帰りたいと思っています。

Q:Kakeaiで重宝している機能はありますか?
非表示メモは「自分が自分に向けて書く場所」
メモ機能ですね。上司と共有できる通常のメモと、自分だけが見られる非表示メモを使い分けています。
非表示メモは、1on1で得た学びや気付き、自分が思ったことを書いておく場所。1on1の最中に少し書き、終わった後にも書き足します。自分自身に対して思っていることを残しておく、という感覚ですね。
これが振り返りの財産になっています。1年を省みるときに、2、3カ月ごとに「この時はこんなことで悩んでいたな」「この時はこう思っていたけれど、今は少し目線が違うな」と見返せて、自分の成長を実感できます。
元々日記を書く習慣があったのですが、Kakeaiのメモはそれに近い役割を果たしてくれています。
Q:チームリーダーと石松さんという、二人の上司と定期的に1on1をしています。相手によって使い分けを意識していますか?
チームリーダーには案件、石松さんには大枠やキャリアを
チームリーダーとは具体的な案件の相談をすることが多く、石松さんとはプレゼンの仕方や大枠の話、キャリアの話を相談することが多いです。
石松さんは人事部や他の部署を経験されているので、「サプライヤーの目線だとこうだよ」「他の部店から見たらこうだよ」と、私がまだ見たことのない角度からの意見をいただけます。そういう経験則に基づくアドバイスが欲しいときは、石松さんに相談するようにしています。

Q:1on1を続けて、ご自身に変化はありましたか?
「落ち込んで終わる」から「悔しさをバネにする」へ
仕事の仕方というよりは、マインドセットが変わったと思います。私は失敗するとネガティブに反省しがちなタイプなのですが、あるときの1on1で、石松さんが「反省するのもいいけれど、悔しさに変えて次にどう動くかを考えてほしい。失敗からは必ず学ぶことがあるから、学べた自分のことを褒めてほしい」と言ってくださいました。
それが強く印象に残っていて、反省で終わらせず、前を向いて次に生かすという考え方に切り替わりました。

Q:1on1の継続により、チームに起きた変化はありますか?
同期との横の共有で、他のメンバーの1on1からも学ぶ
1on1をきっかけに、同期とのコミュニケーションのあり方が少し変わったかもしれません。
同期の中には、同じ部で働くメンバーもいますが、担当する業務は違うので、仕事の中身までは互いに詳しく知りません。だから「どんな仕事をしているの?」と聞くことはあっても、「何に悩んでる?」と中身まで踏み込む機会はあまりありませんでした。
ところが「同じ石松さんと1on1をしている」という共通点があると、話が変わります。「今日の1on1、何を話した?」のひと言から、自然と悩みの中身まで会話が広がっていくんです。
こうして同期の話を聞くと、「石松さんはこんなアドバイスをするんだ」「この人はこんなことで悩んでいたんだ」と、新しい発見があります。それが自分の学びにもなる。1on1という共通の場が、同期との横のつながりまで深めてくれていると感じます。
※上記事例に記載された内容は、2026年6月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。






