1on1は未来への成長投資。マニュアルや研修だけではできない「個人の成長を伸ばす」コミュニケーション支援
業界:不動産・飲食・宿泊|従業員数:500名〜999名|導入目的:育成・成長支援
株式会社グローバルエージェンツ
HR本部 マネジャー 廣田 章剛 さん
1on1導入の背景:
・2022年4月にHR本部を立ち上げ。事業成長のために「組織開発」に着手
・マネジャーとメンバー間のコミュニケーション支援、自立型組織構築のためのコミュニケーション支援で1on1を導入
『Kakeai』導入の決め手:
・社内のコミュニケーションを定量的に把握できる
・部下の話したいテーマと部下が上司に期待する対応を重要視して構築されている
導入6ヶ月で感じる効果:
・日常的なコミュニケーションの変化
-マネジャーの部下の話を聴くスタンスの醸成
-「傾聴」という新たな共通ワードが生まれた
今後の取り組み:
・『Kakeai』のデータを活用し、人事から個別のマネジャー支援を強化
・事業部を跨いだ「斜め1on1」でメンバーのキャリア支援を開始
株式会社グローバルエージェンツの廣田さんに、1on1支援ツール『Kakeai』の導入の背景や、今後の取り組みについて伺いました。
後半では、2組のマネジャーとメンバーの皆さんに「ご利用ユーザーの声」として導入前後の変化や実感されている1on1の良さについても伺いました。
〈導入ご決裁者の声〉
「1on1は未来への成長投資。マニュアルや研修だけではできない「個人の成長を伸ばす」コミュニケーション支援
Q:事業内容について教えてください。
住まいや旅、働くための ”場づくり” をしている会社です。
具体的には、隣人交流型賃貸住宅「ソーシャルアパートメント」やライフスタイルホテル「LIVELYHOTELS(ライブリーホテルズ)」の運営、住宅やホテルに併設する形での飲食事業やワークプレイス事業を展開しています。
Q:1on1導入の経緯と『Kakeai』導入の決め手について教えてください。
まず、こういう取り組みをする際、課題ありきで「改善施策」として取り組むことも多いと思います。しかし、私たちは「未来への成長投資」として、今後の組織の成長フェーズを見据えた組織開発として取り組んでいます。
約2年前の2022年4月、私は飲食事業やPR広報の立ち上げ経験を経て、HR本部の立ち上げを任されました。当時はコロナの流行もありホテルや飲食事業をしている私たちには逆風とも言える厳しい時期でしたが、代表から「みんなで乗り越えて、これからもう一度成長していこう!」という声がけがありました。私たちは ”場づくり” をしている会社なので、成長というのは「場を増やす・広げていくこと」であり、必然的に組織規模が拡大していきます。そこで、HR本部に与えられたミッションは「どう組織を強く成長させられるか、そして組織成長と事業成長をどう結びつけられるか」であると、整理をしました。
そして、真っ先に取り組んだのが「組織開発」です。
「組織開発」と言っても、すべての従業員に対してコミュニケーションをしていくわけではなく、まずマネジャーの成長支援に取り組みました。マネジャーの成長は、メンバーの成長とチームを強くすることに繋がるからです。
具体的には、マネジャーに対するコーチング研修などを導入し、次のステップとしてマネジャーとメンバーとのコミュニケーションを支援するために1on1を導入しました。1on1は、マニュアルや研修だけではできない、個人の成長を伸ばす仕組みだと感じています。
また、私たちが目指す組織は、上位職から縦割りで業務を振るのではなく、よりフラットな関係性の組織です。その中で、自立自走するような従業員を育てていく「自立型の組織」を作っていくためにもコミュニケーション支援をすることが必要だと考えました。
『Kakeai』は、組織内のコミュニケーションを定量的に把握できること、そしてシンプルな機能ですが「部下の話したいテーマ×部下が上司に期待する対応」を重要視して構築されている点が決め手でした。
「傾聴」という共通ワードで、圧倒的に聞くスタンスや意識が向上
Q:組織開発において重要視されているポイントを教えてください。
マネジャーと対峙する際「そもそもマネジャーに求めていること」をきちんと伝えることです。求める成果を明文化をすることで、マネジャーが施策の背景を理解しながら取り組むことができると思っています。
私がマネジャーに求めている成果は3つです。
①組織開発:人と人との関係性や相互作用を理解し、最大化していくこと
②人材開発:メンバー個人の成長を伸ばしていくこと。成長支援。
③業績貢献:組織開発と人材開発の結果も含めて、業績に貢献すること
1on1を開始する際も「①組織開発や②人材開発におけるコミュニケーションって重要だよね。それをどう管理していくかは会社としても大事な指標にしていて、今回導入する『Kakeai』はコミュニケーションを定量把握できる点がポイントで導入しました。」と、取り組みの背景、目的を整理して導入することができました。
Q:ご導入後、組織全体において実感されている効果について教えてください。
日常的なコミュニケーションに変化を感じています。
1on1の導入は1〜2年間をかけた長期的な施策だと考えています。また、課題解決ではなく未来投資として導入したので「〇〇の問題が解消された」というドラマチックなエピソードはありません。しかし、マネジャーの部下の話を聴くスタンスや意識が圧倒的に向上していることは目に見えて実感しています。また、「傾聴」という新たな共通ワードが生まれ、社内のマネジャー同士での会話の中でも耳にすることが増えました。
そして、コーチング研修などを踏まえて学んでいるマネジャーも多いので、「人に任せていく」ことに対して明らかな行動変化も見えていて、スタートラインとしてはすごく良い変化だなと思っています。今後も長期的に取り組んでいくことで、チームや個人が成長し、組織がより強くなっている状態に向けて取り組んでいきたいと思っています。
客観的データとして1on1を振り返り、それを活かしていくサイクルを作りたい
Q:今後の取り組みについて教えてください。
よく「マネジャー育成」って人事ワードとしてありますが、人事として求められる役割は育成だけではないと思うんですよ。今、強く感じていることはマネジャーが人事に求めていることって育成ではなく、「支援」だと思います。今後、『Kakeai』に集まっていく情報やデータを上手に使える人もいれば、1人だけで分析できない人もいると思うので、マネジャーに並走して一緒に客観的データとして振り返り、それを活かしていくサイクルを作っていきたいと思っています。
また、直近では、企業へのロイヤリティを測るサーベイを導入しました。
『Kakeai』のデータとサーベイの因果関係や相関関係を特定することで、コミュニケーションの内容や質を向上させ、どのようにロイヤリティの向上に繋げていけるのかを明らかにしていきたいと思います。
そして、現在は上司部下から1on1を始めていますが、次にやりたいのは「斜め1on1」です。キャリアを相談する際、相手は人事や上司に限らず、社内の経験者に聞くことが有効だと思います。アパートメント事業からホテル事業へ、ホテル事業から本社のマーケティング部署へ、メンバーからマネジメントへ等、多様な経験を持つ社員が増えているからこそ、1on1の発展性に期待しています。
〈ご利用ユーザーのお声 1 〉
株式会社グローバルエージェンツ
写真左:HR本部 マネジャー 廣田 章剛 さん
写真右:HR本部 採用担当 三枝 玖瑠美 さん
10年来の付き合いだからこそ「言わなくても分かってもらえる」を無くし”関係性に甘えない”コミュニケーションの場に
Q:『Kakeai』ご利用開始前後の変化について教えてください。
廣田さん:
コロナ後にリモートで仕事をすることが多くなり、雑談を含むコミュニケーション量が激減しました。『Kakeai』で定期的な1on1をすることで、コミュニケーション量の確保と、業務に偏らない会話の幅を持たせられています。
三枝さん:
廣田さんとはお互い社歴が長く、入社当時に同じチームだったこともあり、社内でもコミュニケーションをとりやすい方なんです。そんな関係性でも、以前は業務について話すことが多かったので、いつも緊張感がありました。しかし、1on1の場ができたことで、雑談をしながら、よりカジュアルに話せる環境ができたことが大きな変化です。
廣田さん:
三枝さんは、関係性が近くても、しっかりと気も遣ってくれる人です。業務ミーティングでは、要点を端的に伝えて会話が広がらないように意識してくれていました。その影響か、当初は1on1のテーマの決め方が硬くなりすぎる傾向がありました。結局、業務連絡の時間になってしまっていたので「業務については業務ミーティングですれば良いから、ガス抜きのための雑談にしよう」と伝えて、方向転換したことで会話の幅が広がりました。
Q:1on1の良さをどのように感じられていますか?
三枝さん:
仕事のやりがいや、モチベーションを再認識する場になっています。
私は話をしながら考えを整理するタイプなので、1on1の場で自分の想いを再認識したり、廣田さんが私の想いや考えを違う形で言語化してくださることで、改めて気づくこともたくさんあります。私にとってモチベーションはすごく大事ですし「やっぱりこの会社のこういうところが良いな」「話すって良いな」と、1on1を通じてこんな愛おしく感じる瞬間があることが最高です!
また、他の部署の人と話すときに、業務以外のことを積極的に話すようにしよう!と自ら動けるようにもなりました。
廣田さん:
1on1は、新しく採用したり、初めて同じチームで働く人との方が効果を実感しやすいと思っていましたが、すでに関係性がある人とだからこそ重要な点があることに気がつきました。関係性が深くなってくると、お互いにコミュニケーションに甘えが出てきます。「言わなくても分かってもらえるだろう」とか「自分の特性は理解してくれているだろう」とか。そこから生まれるコミュニケーションミスもあると思います。
いくら付き合いが長くても、時間が経てば考えも特性も変わりますし、お互いに甘えずに理解を深める努力が必要です。そういう意味で、『Kakeai』での1on1の時間は、関係性に頼らずに「テーマ」と「対応」を選んでしっかりと会話ができる、公平性が担保されていると感じます。
〈ご利用ユーザーのお声 2 〉
株式会社グローバルエージェンツ
写真左:ホテル飲食事業部 ビジネスディベロップメントマネジャー
ESTINATE HOTEL 那覇 ホテルマネジャー 濱田 佳菜 さん
写真右:ESTINATE HOTEL 那覇 名嘉 美保 さん
「次の1on1で話を聞いてもらえるから今は頑張ろう」と気持ちを切り替えることができています。
Q:『Kakeai』ご利用開始前後の変化について教えてください。
名嘉さん:
私と濱田さんは、2015年に「ESTINATE HOTEL 那覇」の開業メンバーとして働いていて、その後、部署異動や育休産休を経て改めて一緒のチームとなりました。そのような経緯もあるので、飲みに行ったり遊びにいくほど仲が良いですが、仕事上では上司部下という関係性があります。
お互いの忙しさもあって、話かけることを躊躇することもありましたが、1on1の時間があることで「堂々と相談して良いし、雑談して良いんだ」と思えるようになりました。
濱田さん:
私は出張も多いですし、面接調整中などスケジュールがブロックされていることも多いので、気軽に話しかけられる雰囲気を多く作ることができず申し訳ないと思っています。だからこそ、1on1の時は「業務のことを話しちゃダメとはしない、でも業務の話だけにはしない」ということを大切にしています。
去年入社した20代前半の若手社員が2名いるのですが、「何を話したら良いか分からない」状態からのスタートだったので、アイスブレイクを使ったり、最近気になっている映画だったり、趣味だったり「何でも話して良いよ」という時間からスタートすることも多くありました。
毎月2回、1on1の時間があることで、自ら話す話題を考えてきてくれたり、「この時間があるから話します」みたいなコミュニケーションが増えてきました。また、自分の考えや気になっていることを発信する機会がほとんど無かったので、話すこと、表現すること、伝えることが上手くなって、メンバーの話が面白くなってきているな!と感じます。
Q:1on1の良さをどのように感じられていますか?
濱田さん:
先ほどお話しした通り、「コミュニケーションに変化が出ている」ことと「メンバー全員と公平に、定期的に話をする機会を持てている」点ですごく良かったと思います。
一般論として言えることですがマネジャーも人なので、出勤時間が重なることが少なかったり、少なからずコミュニケーションが取りづらい人には苦手意識を持ってしまい、結果的に仲の良いメンバーとだけよく話すということになってしまうこともあるかと思います。1on1が導入され、月2回話す場があることで「せっかくなら1on1の時間が楽しかったと思ってほしいし、話をして何かを感じてもらえたら良いな」と思いながら会話をすることができました。定期的に話す場があることで結果として、各人に一定のコミュニケーションの時間が確保されそれを均一化することもでき、ともするとコミュニケーションを重ねることで苦手意識も薄れることがあるのではないでしょうか。
名嘉さん:
私にとっては、次の1on1のスケジュールが決まっていることが重要で、自分の気持ちにアップダウンがあった際も「1on1で話を聞いてもらえるから今は頑張ろう!」と気持ちを切り替えることができています。また、1on1では、濱田さんのキャリアや今後について聞くこともあります。1on1はメンバーのための時間だよと仰ってくださるのですが、濱田さんのことを聞くことでヒントをもらったり、お互いをさらに知る時間になっています。
※上記事例に記載された内容は、2024年1月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。