■INTERACTION LAB.コラボレーションセミナー

脳科学 ×人と人・人と組織の関わり方〜

「人と人・人と組織の関わり方を、共に研究し、未来を創発する」ことを目的としてスタートしたINTERACTION LAB.(インタラクション・ラボ)が主催し、研究者や専門家、事業の最前線で活動される方をゲストに迎えてお届けするオンラインセミナーです。
Profile
■登壇者
岩手医科大学 薬学部神経科学分野 教授 駒野宏人
東京大学薬学部卒業後、同大学助手、米国スタンフォード大学・ミシガン大学医学部研究員、国立長寿医療研究センター室長を経て2007年4月より現職。アルツハイマー病の発症や予防に関与する分子の解析を主な研究テーマとし、神経科学・脳科学分野の教育活動に従事。また、専門領域以外に、生きがいや意欲を引き出すコーチング活動も主催。米国CTI認定コーアクティブコーチ(CPCC)・米国NLP協会認定NLPトレーナー・一般社団法人「人生100年生き方塾」代表理事・ブレインフィットネスコーチング主催
武井 章敏(インタラクション・ラボ 所長)
早稲⽥⼤学卒業後、マツダにて、営業・海外での⽣産⼯場の⽴ち上げ・⼈材開発・⼈事制度の改⾰をリード。その後、アップルジャパン、ファーストリテイリングにて⼈事部⻑を歴任。2012年〜2020年3⽉末までアクセンチュア執行役員人事本部長 兼 グローバルHRマネジメントコミッティメンバー。コラボレーション&イノベーションを主軸に、デジタル&ヒューマンな”働き方改革”を促進。
武井さん:Interaction Lab.セミナー2回目は岩手医科大学 薬学部神経科学分野 駒野宏人教授をお迎えしました。人は、「これが良い」と思ってもなかなか行動に移せなかったり、習慣化できなかったり、どうしてネガティブに考えがちになってしまったり。いろんな悩みの中で、皆さん、日々人と組織のことに携わっておられると思います。でも、その悩みは実は生じて当然で、「そもそも人間の脳はそうなっている」と駒野先生に伺いました。
今日は、人類の進化の中で培われた脳の構造を紐解き、そのメカニズムを探っていきます。
駒野先生:私の専門は認知症の研究で、人の支援ができないかと考えた時にコーチングに出会い、コーチングの勉強をして資格を取り現在にいたります。一言で言えば、教育・研究活動のかわたら、良い生き方の支援をやっています。
脳の3層構造:脳幹、大脳辺縁系、そして考える大脳新皮質
駒野先生:簡単に脳の話をします。ざっくりですが、脳は進化の過程で生存に有利になるように、進化してきたのです。動く生物と動かない生物がいますが、動く生物だけが神経が発達しています。動きと共に脳が発達していて、動くと脳に良い因子が出てくるということです。
脳は三層構造になっていて、進化そのものを表していて、一番真ん中が脳幹というものです。これは呼吸や心臓など無意識で生きることを司り、本能的行動にも関わります。その上に大脳辺縁系という感じる脳、あるいは記憶もここに入っています。これは哺乳動物からあります。そして、つながりにも関与しています。
その上に人間の考える脳が来ます、残念ながら生きることが一番大切であるため、脳幹の神経回路の方が一番強いです。次に感じる、その次に考える。考えるは理解によって変わる、感じるは中の繰り返しによって変わる、生きるは長らく変えにくい、その三層構造になっています。
考える脳の1万年前、それ以外は20万年のモデルのまま
駒野先生:脳幹は身体で、それに乗っかっているのが感情で、その上に思考があります。身体が良い状況なら良い感情と良い思考になります。体が危険になっている思考は逃げる・闘う思考になる。考えることについては言葉なんて1万年前くらいにでき、その前のモデルを20万年、猿からいくと300万年くらいの歴史を辿っているので、思考の力はそんなに強くないです。テクノロジーが発達していますが、自分をコントロールすると言った時には、身体と感情の方が強いのです。
人と繋がるってことはとても気持ちが良い
駒野先生:そして、神経伝達物質の話をしましょう。ぼくらは集団で戦って生きてきたので、人と繋がるってことはとても気持ちが良いのです。つながらないとほとんど死を意味しているくらいに、私たちは辛く感じる。そして繋がるという絆を感じるとオキシトシンという脳内ホルモンが産生され、それによって今度は心を穏やかにするセロトニンが産生されます。
そして、不安になった時に戦い逃げるという反応をしますが、その時はノルアドレナリンモードになってきています。最後に、喜びや興奮に反応する「ワクワク」がドパミンです。
このセロトニンとオキシトシンとドパミンの3つのバランスが取れていると安定した、よくいう幸せと感じる状態になります。
現代は、感じる力という大脳辺縁系が鍛えにくい
武井さん:全体像としてご説明いただきましたが、最終的には共感、共創する、繋がる、どうやって集団で力を発揮していくかについて、いろんなご意見をいただけたらと思います。
駒野先生にお話いただいたことの復習として、まさに、生きるために脳幹があって、感じる力という大脳辺縁系が非常に大事だということですね。脳幹があってこそ初めて大脳新皮質でいろんな物事を考えられるということですが、これは現代社会ではほとんど考えることばかり行ってしまって、大脳辺縁系を使う鍛えることが疎かになってしまっている。
私たちは集団で生きていて、公平であることに対して敏感
駒野先生:私たちは集団で生きており、集団から外れるとイコール死と感じる。実際、孤独を感じると身体を傷つけた時と同じくらい苦しいと感じる部分があります。一方で、身体を傷つけても痛みはあるが苦しくはありません。
社会的な苦痛は集団から外れることで、逆に集団に貢献できるととても嬉しい気持ちになる。この集団にいるということが実はメリットとデメリットがあって、メリットは敵から身を守ることで獲物をとる時に協力して効率よく取れるなどがあります。デメリットは少しの獲物を撮った時、ひとりが独り占めすることは許されない、食べ物と繁殖に関して競争が生まれます。だから集団の中でのデメリットのために、ひとは公平であることに対して敏感になっています。
人と合わせることと自分の感じたことのバランスを
駒野先生:そしてもう一つは、自分からリソースをとられたり、あるいは誰か一人が勝ったりすると嫉妬心という感情が出てくる。全て進化で説明できます。しかも子供から成人まで、集団に合わせるように、つながりを感じるステージがあります。次に心を読むというステージがあり、さらには、人と合わせるというステージがあります。現代は、人と合わせることそれが勝ってきて、それが肥大化している状態です。
それは、人の物語で自分の評価を作っている状態です。人の評価こそが、本来の自分だと思うところがありますが、社会と調和する社会の中で生きていくというのが強すぎて、今ここにいる自分がおざなりになってしまっている。今いる自分はまさに脳幹の動物たちで、それがおざなりになっていると、結果脳幹の働きも弱くなってしまいます。
脳幹を強くするためには動く、体を鍛える
駒野先生:もう一つはすごく大事なポイントですが、僕らは狩猟採取生活をしてきて、それが一番長く、農耕生活が始まったのはかなり後になります。人類史を1日で例えると、農耕生活からとコンピューター時代まで、わずか1時間くらいしかありません。狩猟採取生活をしていた時の歩いた量や運動していた量はとても多いです。アフリカの狩猟採取生活している部族の運動量を測った研究によると、1日10Km程度移動していたと見られています。ところが、農耕生活になって運動量は少し減りました。今さらに減っています。
それがさらに脳幹という生きる力を弱くしてしまいっている。僕らはネット社会になり、繋がるというところは不自由しないが、動きというところが不足し、実際鬱などにもなってきます。脳幹を強くするためには極端な話「動きなさい、体を鍛えなさい」と僕は言います。もう一つは、つながりを強くすること。今ここで何を感じているか、身体感覚とか味わいにフォーカスしていくことも有効です。
一緒にいないと不安だけれども、合わせすぎてしまうと逆にストレスに
武井さん:今いくつか非常に大事なヒントをいただきましたが、まさに印象的だったのが、昔はひとりになると死を意味する。どんな動物が襲ってくるかわからないので、集団から離れることはつまり何かの動物の集団に襲われて死んでしまうという生活を何重万年も送ってきたわけですから、当然ひとりになると恐怖や不安を覚え、生きる力が不安によって弱まってくる。まさにそういうことなのかなと思いました。
ところが面白いなと思ったのが、現代社会は人に合わせすぎて逆にそれがストレスになっているという点ですね。みんなと一緒にいないと不安だけれども、合わせすぎてしまうと逆にストレスになって弱くなってしまう。そういう毎日を我々は送っているなと感じています。とても納得感がありました
そして、動いてないと脳が働かないというのはまさにそうだと思います。「運動しましょう」、「健康を保ちましょう」とよく産業医から指導も受けますが、動かないと脳の大脳辺縁系や大脳皮質が活性化しないということですね。納得しました。
よく立ちながら会議したり、ウロウロすると閃いたりするのは脳の活性化ということなんですね。そして、共感や繋がりが感じられないと、最後の大脳皮質がやはり活性化しない。つまり考える力が養われないということですが、繋がるとか、共感というところにテーマを移していきましょう。
武井さん:このようなご質問をいただいております。
「脳は常にストレス(負荷)がかかっている状態かと思いますが、人と人のコミュニケーションでその負荷が和らぐ・リラックスする場合は、どのような状態なのでしょうか?メンバーとの日々の接し方に生かしたいです」
話して、感情をラベル化することで、動くことでストレスが減る
駒野先生:人に話しただけで、気持ちが和らいだという経験はありませんか?喋ると和らぐんですよ、自分の感情をラベル化できます。例えば怒っていることをラベル化するだけでも、扁桃体でストレスが減ることがわかっています。
あとは、よく運動することです。ストレスがかかっている時にセロトニンが少なくなってバランスが崩れます。運動するとドーパミンが出てくる、人と喋るとオキシトシンが出てきてセロトニンも出る、人が共感してくれると嬉しい気持ちになる。人と話すだけで和らいでくる。運動はしつこいようですが、とっても大事です。しかし、運動や好きなことやって発散しても、ストレスがくるといつも同じことを繰り返してします。ストレスを読み替えていく(リフレーミング)がコーチングとなります。ストレスを自分の成長に変えていくその読み替えができるようになると、ストレスは苦しくなくなります。
武井さん:今の質問ですが、ストレスを読み替えて自分の成長に変えていくというのは、一般的には難しいかなと思われますが、どうしたらいいでしょうか。
駒野先生:まずはセルフコーチングです。自分が苦しいということに気づくことです。気づかないと。
武井さん:自分の辛さを認めてあげるということですね。
ストレスをストレスとして認識するだけで変わっていく
駒井先生:まず気づいて、受け入れていく。ストレスを感じているのはこと扁桃体という部分です。ストレスに気づいた瞬間に、脳の違う部分が活性化します。ストレスに気づいた時には、もう扁桃体にはいないので、これだけでも違う。さっきラベルにして出すと話しましたが、ストレスをストレスとして認識するだけでも、変わってきます。自分のことに気づく、そして人と話をする、それだけでも脳が違うところが活性化していきます。
武井さん:「辛いことを出さない、自分で背負ってしまう、自分だけが辛い思いをすればいいんだと我慢してしまうことはいけないこと」というのが、まさに今の話ですね。辛いことに気づいて、自分は辛いのだなと認めて、あるいは辛いことを出すといいますか、周りの人に伝える問いいうことこそが、まさに負荷を和らげるということですね。どんどん喋ることが大事ですね。
駒野先生:その場合周りの人がきっと大変でしょうね。聞いてあげる人がいると全然ちがいますね。それがコーチングや、カウンセラーの役割だと思いますが。そういう人がいなくて抱えると大変ですね。ストレスを抱えて交感神経が昂った状態で、慢性的になり体調を崩すことがおきますね。
辛い自分を認めてあげて、自分に耳を傾ける
武井さん:どうしても仕事の中では考えることが求められますし、考えて考え抜くというのが仕事だと思いがちです。辛い自分を認めてあげて、人にも伝えて、あるいは人のそういう状態にも耳を傾ける、目を向けてあげるということが、いかに大切かと。そういうことをすること自体がサステイナブルな状態であること。いろんな学術的なコーチングの理論がありますが、脳科学的に見るとスッと説明がつきますね。
駒野先生:共感についてもお話したいと思っています。
武井さん:いかに繋がるか、共感するか、この共感脳というのが、集団の力を上げていく。
私もどうやって個人の力を集団の力に変えていくのかというご相談をよくいただいていて、そういったご支援をしているのですが、まさに共感あるいはつながる、それがどう集団の力になっていくのか、この辺の触りのお話でもお願いできますか?
違う世界にいながら無意識にお互い貢献にしあっている世界を知る
駒野先生:例えば、森にはたくさんの生物がいますが、それらの生物は、生物によってまったく違う世界に住んでいます。例えばシラミは暖かさか汗の匂いしか感じる器官がないのです。僕らが見ている世界とはまったく違う。でも調和しています。
まるで死がないかのように、死んでも栄養になり木の餌になり循環しています。同じ違う世界、人の社会は実は同じで、同じ空間で同じように見えるますだけど、先も行ったように人によっては色眼鏡が違って、価値観がみんな違う。その中でうまくやっているというのは、彼ら森の中では無意識に貢献し合っています。蜂は無意識に蜜を取りながら花粉を運んでいるわけですよ。無意識に貢献している、違う世界にいながら無意識にお互いの世界に貢献しています。
例えば人間の集団で、あるいはぼくらの細胞も実はそうで、ある程度までは増殖していきますが、あるステージになると上昇が止まってお互いに心臓は脳に、脳は心臓に、それぞれお互いにいい物質を出し合っている。そうして全体を使う。これが貢献です。組織の中でみんなが無意識で貢献し合うと、良い組織ができると思いませんか?
武井さん:それが先ほどの利他的な精神というところにつながっていくのですね。
駒野先生:問題はみんな利他心を持てるか。人のために尽くせるか、ということです。
相手の人になにができるかという利他心を
武井さん:実は私前職八年勤めていたアクセンチュアという会社のコアバリューの中に、スチュワードシップという言葉がありました。周りの人のために何ができるかとかあるいはそのいいものをつないでいく、考え方をすごく大事にするコアバリューがありました。
アクセンチュアと言う会社に関わっていた、OBなどの方々に、アクセンチュアのコアバリューで一番大事な物はなにかと伺うと、みなさんが「スチュワードシップ」だとおっしゃいました。まさに利他心のところで、相手の人になにができるか。つまり「自分が、自分が」ではなく、自分が成績をあげるとか、自分が評価されたいとか、自分が何かでかいことをやるのではなくて、お客さんのために、仲間のためにチームのために何ができるかというそういう気持ちを持っている人、が成功する。いろんな人の協力を得ながら。自分の力も発揮できて、みなからも支援されて、物事がいい方向に動く。まさに先生のお話に通じるものを感じました。
どうすれば利他心を持てるのか
駒野先生:そう言うことですよ。だけど「利他心をもてますか?」と言うことなのですね。人間は自分を守るのと集団で生きるのと、利己心と利他心がバランスをとっています。これは完成形ではなく、今までの中ではそうだった。世界の人口70億人で、もはやこれ以上開拓をしていく土地もない。細胞は密になってこれ以上増殖できなくなると分化し、お互いに他の組織・器官に益になるような因子を出します。私たちも、細胞が密になったときと同じ状況になりつつあると思います。今お互いが協力し合って新しいものを作ると言った時に、利他心が必要。組織の中で利他心はとても大事だと思うのですが、利他心を産む方法があるんです。
武井さん:利他心と利己心をどうバランスさせていくかというのが大事かというお話をいただきました。ただ、いろいろVUCAの時代と言われ競争が激しくなっていて、将来不安がある。その中でなかなか利他心が生み出せない。では、利他心を生み出すにはどうしたらいいか、その方法があるということですね。
駒野先生:人は、どれくらい利己心が強くて、利他心があるのかについての実験があります。例えば、Aさんが電気刺激を受けているBさんを見ているという設定です。Aさんに許されているのは2つの選択肢です。1つ目は、「自分が変わってあげる(集団で生きてきたので、人の痛みはすごく辛いので、それを代わってあげる)」。2つ目は、「電気刺激を見て辛く感じたら家に帰ってもいい」というものです。
最初の電気刺激でみんな「代わっていい」ということで、代わってあげる人も出てくるのですが、もう一つのグループで何が起きたのかというと、みんな家に帰ってしまった。やっぱり、「辛い」という人に代わってあげるというのは、利他心の現れです。とはいえ、自分も辛いと利己心がまさってしまいます。しかし、あることをすると必ず代わってあげるようになるのです。
武井さん:あることとは、どのようなことですか?
共感が生まれると利他心が動く
駒野先生:AさんとBさんに共感の感覚を与えるようなワークです。このワークをすると「どちらも、家に帰っていいよ」と言われても自分が代わりにやってあげるようになる。つまり組織の中で、共感が生まれると利他心が動くようになる。利他心の心はすごく強い。だから僕は組織の中でとても大切なのは、共感を作ること。共に感じる。これは明確にわかっていることです。共感はオキシトシンが出ることです。そうなるにはどうしたらいいのかというところがポイントですね。
細胞なんかみても隣同士で隣にいい因子を与えて、隣からいい因子をもらって、近場で与え合っていく、この総和でいい組織ができるのではないかと思っています。
リーダーは方向性、リーダーはやっぱりビジョンやミッションを明確に共有できるような、みんなが喜ぶようなものをつくってあげること。そして、個々では話を聞くことが大事です。そして、承認していくこと。承認の仕方を組織で学んだことがないと、人の悪い欠点を直すことや埋めることばかりに目がいって、「ダメじゃないか!」とやってしまうと言われた方はグサってきてしまいます。
NLP(神経言語プログラミング)という心理学の一つでは、意識段階が六つに分けられているのですが、一番下位が「環境レベル」。それは、例えば自分が住んでいる場所や仕事場などで、その上に、環境の中でどういう行動をするのかという「行動レベル」、その上位は「能力レベル」、その上位に次に「価値観レベル」、その上位に「アイデンティティーレベル」があります。
例えば、どこかに出かける時に、Google マップを使える能力がある人はそれを使う。Google マップの使い方がわからなければ誰かに聞く。その状況によって行動することが能力です。その上位に価値観があり、自分には何が大事で、何を避けているか。さらにその前に自分は何か、自分は誰かという「ミッション」というのがあり、自分はどんな役割を持っているか、どんな貢献ができるかというこという「アイデンティティーレベル」があります。さらに、その上に人との繋がりがあるわけです。例えば、褒める時にはどのレベルを褒めるか?例えばこんな服を選んでいる武井さんは素敵(アイデンティティーレベル)ですねと言われた場合と、この服素敵ですね(環境レベル)と言われたら、感じ方どうですか。
武井さん:両方嬉しいですけど、自分のことを言われる方が嬉しいですね。
駒野先生:それが最初に触れた脳幹のレベルです。そこのこんなセンスのいい武井さんが素敵ですねと言った場合です。さらにつながりというところで、「武井さんの周りの人ってとても幸せでしょうね」と言われたらどうですか?
武井さん:なんか嬉しいですね。
相手の存在を否定すると、共感は完全に失われる 指摘する時は、行動レベルに
駒野先生:嬉しいでしょ。周りの人がみんな幸せだと言われたら嬉しいですよね。
ところが怒る時、よくやるのが「あなたバカね」と言ってします。相手の存在を否定してしまう。そうすると完全に共感が失われ、自分がダメな存在だと思い、相手は守りに入ってしまう。これは悪いわけではなく、これは自分を守るという選択であって、自分が安心安全のときに初めて利他心が生まれるんです。だから叱る時や、指摘する時は、行動レベルに止めるべきです。価値観に触れた場合も、「カチン」と来るかもしれない。
人のつながりを感じる脳をなおざりにしない
そういったことを職場ではごちゃごちゃとした状態で、やっている状況ですよね。服装などを褒めるなどは良いのですが、ダメ出ししてしまうと、言われた方もカチンときてしまう。その辺のスキルの重要性を唱えていく必要があると思っています。人と人とのコミュニケーションは、「共感の上で、どこを承認して、適切な意識レベルで承認し、どこを指摘するかそこがとても大切です。僕は職場の中で、ちゃんと知ってく必要があると思います。今までは知識を学びことが多く、脳の外側ばかり使っておりました。ところが人と人のつながりは脳の内部の哺乳類脳に該当します。ここが、まだなおざりにされています。優れたリーダーというのは先見の明があるとか、いくつかあるのですが、必ず人に信頼されるリーダーは人間関係が先にあって、その上で先見の明やリーダーシップだとかがあります。人間関係ができている人が一番評価されます。そのような人が、うまく組織をまとめられるというわけです。
うなずき、ボディランゲージで同意を伝える
話の聞き方も大事です。「うん、うん」とうなずくだけでいいのです。そうすると脳が、相手が、承認してくれると勝手に勘違いしてくれます。本当に共感してくれるのです。つまんないなとちゃんと聞いていなかったりすると、その繋がりが切れますので、自分は相手にされていないと考えるようになります。つまらない話をしている時にそっぽむいていると全然ダメで、これはコーチングでも習う手法です。本当につまらなかったとしても、「そうなんですね」と繰り返して、うなずき、ボディランゲージで同意を伝え、相手の言葉を繰り返して、そんなこと感じているのだねとフィードバックしてあげるとなぜかわからないが、頭の回路はつまらない話でも興味を持ち始める。先まで興味なかったのにと。共感ができると、人のためにという利他心が生まれてくるのですね。面白いでしょ?
脳のメカニズムを知ることで得られるヒント
武井さん:共創、集団で力をあげていくためには共感が大事、共感を得るためには承認や、称賛が必要。承認と賞賛は安心安全という脳幹の一番大事なところをつなげる。これがつながってないのに、知識とか意見、論理で外側ばっかりでつながろうとしてもつながれないと。
そこは共感して本当に生きるという脳幹の部分でつながれて、初めていろんな意見交換が自由にできたり、安心して意見をいったり、批判というか反対意見も言えるし建設的な理論ができてより良い理論が生まれてくる、そのように整理をしました。
30年ほど人事の仕事をしているのですが、とかく仕組みとか制度とかのルール作りについ目がいってしまうのです。しかし、その前に脳のメカニズムを知るということが人事に限らず、今日いらしてる事業部や経営者の方も今を進めるためのヒントを得られると思います。コーチングで共感が大事で賞賛が大事だと言葉は聞いたことあります。それは脳の構造で、20数万年培われてきた脳の構造がそうなっているのだということを理解するということがすごく重要だと改めて認識しました。
共感、承認、そして創発へ
駒野先生:しかもお互いが協力してやると相乗効果でとんでもない結果がでます。自分では考えられないような結果が生み出せます。これは、創発という言葉を使いますが、とんでもない一つ一つの力が噛み合わさると予想できない素晴らしい結果ができる。それを引き出す場を作ってあげる、承認そして共感をやっていくことが大切です。
■INTERACTION LAB.とは「人と人・人と組織の関わり方を、共に研究し、未来を創発する」ことを目的としてスタートしたINTERACTION LAB.(インタラクション・ラボ)が主催し、研究者や専門家、事業の最前線で活動される方をゲストに迎えてお届けするオンライン配信のセミナーです。
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