リモートワーク体制の中で入社したメンバーの孤独を埋めたい。導入半年で離職ゼロを実現。1on1導入をきっかけに、経営者自ら社員全員と1on1を実施

株式会社図研プリサイト

代表取締役 尾関 将さん
管理グループ 大谷真央さん
営業部xWorkTech営業課 鵜飼将成さん

Q:図研プリサイト様の事業内容について教えてください

尾関さん:
私どもの会社は、ソフトウェアの開発を行っている会社です。自動車や電化製品など、日本のものづくりを担う製造業様向けの業務アプリケーションに特化したソフトウェアメーカーです。100%国産で、開発・販売・サポートまで一貫しておこなっています。

Q:1on1導入前に抱えていた組織課題と、1on1導入の背景と期待について教えてください

大谷さん:
1on1導入を考えた発端は、社長とともに、従業員の離職を止めるための施策を何かできないかな?と考えたところにあります。元々、離職率がすごく高いわけではなかったのですが、約50名の会社ですので、数名の離職でも大きく響きます。また、近年の離職の特徴として、中途入社から3年経たずに辞めてしまうケースが多くありました。

原因分析をしたところ、2020年から開始したリモートワーク環境下で、相互理解を促し、つながりを醸成するための有機的なコミュニケーションが希薄になっているという課題が見つかりました。とはいえ、リモートワークにはメリットも多く、継続したい思いがありました。

有機的なコミュニケーションで人間関係をつくってからリモートワークに入るのと、リモートワーク体制の中に入社して人間関係をつくるのとでは全く状態が異なるので、リモートワークでもコミュニケーションを担保したいというのがまず初めに考えたことでした。
中途入社者の孤独を埋めたい、会社の一員であることを感じてもらいたい、会社に貢献できているかどうかの不安を埋めてあげたい。そのための機会がなかったので、まずは機会をつくることからという意味合いで施策を検討し、結果的に1on1を始めることになりました。

大谷 真央さん

Q:1on1導入時に最初からツールをご検討された背景と、Kakeaiを採用いただいた「決め手」について教えてください

尾関さん:
組織課題の解決に向けて、企業理念を策定したり、社長賞を設定したり、いろいろなことを進めていく中で、「世の中にはITを使った離職防止ツールが沢山あるから、フラットな目で調査してくれないか?その中でよいと思うものを3つ4つ提案してほしい」と大谷に依頼しました。

代表取締役 尾関 将さん

大谷さん:
実は、最初から1on1に注目していたわけではなく、サーベイであったり、サンクスポイントであったり、いろいろな角度からITツールを調べました。本当にたくさんの組織改善施策や、それに基づくツールがあり、最終的に8種類ほどピックアップしました。

社内のマネジャーを集めた場で、どのツールがよいか投票してもらう形をとったところ、Kakeaiにどんどん票が入っていって、ほぼ満場一致でそのまま1on1の実施およびKakeaiの導入が決まった流れになります。

尾関さん:
いろいろなタイプのツールがある中で、「Kakeaiを使ってみたい」という結論にいたったというわけです。元々自主的に1on1をやっている部署もあったのですが、一度全社でやってみようという話になりました。

Q: マネジャーの方々が満場一致で1on1をやってみたいと言われたとのことですが、その背景について教えてください

大谷さん:
一番は、従業員一人ひとりと話をする機会がなかったことに気づいたことじゃないかと思います。業務の中で十分にコミュニケーションがとれていると思っていたけれど、100%社員のための時間なのかと言われると、そういったスタンスで社員の話を聴いてあげる機会は、それまでにまったく無かったことを改めて認識したということですね。

1on1というきっかけがあることで、マネジャーもメンバーの話を聴く機会を作れますし、双方にとって、対話をするための良い意味での「口実」になっていると思います。

尾関さん:
ひとつ補足をすると、実は以前、組織改善のための取組みの一環で、マネジャーとメンバーに向けてアンケートを実施したんです。そこで顕在化したのが、マネジャーとメンバーのコミュニケーションの課題でした。忙しい状況の中で上司に相談事をしていいのだろうか?と躊躇してしまう社員が想定よりも多く、驚きというかショックに近いものがありました。これは、マネジャーたちもそうだったと思います。

Q: Kakeaiがお役に立てていることには、どのようなことがありますか?

鵜飼さん:
まず、ツールがあることで、業務時間内に上司と1on1の時間を確保できる点ですね。それに加えて、当社独自の取組みとして、社長と全社員とが1on1をする機会ができたことです。メンバーが社長と1対1で、対話を密にする機会を持てることはそうそうないと思うのですが、Kakeaiの導入をきっかけにそのような仕組みができたのは魅力的だと感じます。社長との1on1では、私の年代の頃の社長の考え方などを聞けたのですが、こういう対話はKakeaiじゃないとなかなかできなかったと思うので、導入されてよかったと思っています。

また、自分の上司とのコミュニケーションについては、元々円滑ではあったのですが、業務外の部分にまでわたって会話していたかというと、できていない部分もあったように思います。Kakeaiの存在が話題を広げることにも役立っており、今まで以上にコミュニケーションが円滑になっていると感じています。

鵜飼 将成さん

大谷さん:
まず社長は、「マネジャーとメンバー間の1on1を月に1回実施する」という方針を掲げてくれたのですが、それだけではなく、鵜飼からもあった通り、社長自身が全社員と1on1を必ず実施すると宣言してくれました。すでに社長との1on1を終えたメンバーから話を聴くと、ドキドキしたりワクワクしたり、普段にはないような刺激にもなっている様子で、社長と話す機会を楽しんでくれているようです。そのような機会を作れたのも大きなことだと思います。

また、当初の狙いどおり、定期的にコミュニケーションの機会をつくる点で十分機能していると感じています。メンバー側が「今日は何を話そうかな」と考えることで、それがたとえ苦し紛れにポロっと発した些細なことであったとしても、上司にとっては組織課題の盲点であったり、メンバーにとっても意図せずガス抜きになっていたりするのかなと。必ずしも大切ではないように思える話が意外と組織づくりの上ではポイントだったりするのだと思います。

正直私自身も、時には上長との1on1の話題に悩むことがあるのですが、そういうときこそ肩の力を抜いて、この30分を楽しく過ごそうと思い、雑談をしたりして、リフレッシュの機会にしています。他のメンバーにも気楽な気持ちで1on1の時間を利用してほしいと思っています。

鵜飼さん:
日頃から業務に関する相談はできているので、Kakeaiを使った1on1で業務に関する話をするときには、少し先の話、例えば、自分の担当している製品の将来の方向性といったような、目の前のことより少し先の話をしています。雑談と業務の話の間くらいの話をする中で企画が生まれたりもしていて、先日も1on1で話した企画を社長に提案しました。

このような点でもKakeaiを使った1on1が業務に役立っているなと感じています。業務でのコミュニケーションに困ってはいなかったのですが、いざ1on1をやってみると、意外と話せていないことってあるのだなと気づきました。

大谷さん:
私も上長の意外な一面を知れたり、いままで聴いたことがなかった話を聴くことができたりするのは、こういう機会があるからだと思っています。

Q: 尾関さんが社員全員と1on1をする中でお気づきになったことや感じられたこと教えてください

尾関さん:
なかなか社員全員とまんべんなく会話をする機会を持てず、リモートワークになってからは特に少なくなってしまっていました。全員と1on1をすることで、それぞれの社員が考えていることを知れる良い機会になっています。

ジェネレーションギャップを感じることもありますし、その一方で「自分も若い頃はこんな風に思っていたな。現代の若者も同じなのだな」ということもありました。

マネジャーには、「1on1はマネジャーのためではなく、メンバーのための仕組みです。Kakeaiはマネジメントツールではなく、コミュニケーションツールだから、メンバーを管理するツールじゃないよ」と伝えています。社員のエンゲージメント向上という意味では効果が出ていると感じますし、メンバーだけでなく、マネジャーも実感していると思います。

社員全員と1on1の時間を取ることは大変ですが、本当にいろいろな話をしてくれますし、話題も千差万別で楽しいですよ。

大谷さん:
メンバー側からすると、社長自ら社員と話す気持ちがあるという心を見せてくれていること自体がホッとしますし、安心します。「いつでも話を聴くよ」と言われても、メンバーから声をかけるのはなかなか難しい場合もあるので、そういう機会を設けてもらえることをとてもありがたく思っています。

Q: 鵜飼さんは半年間の育休取得実績があり、育児と仕事の両立をしている現役育児世代のモデルケースのお一人と伺っております。上長と1on1でどのようなことをお話されているのか、可能な範囲で教えてください。

鵜飼さん:
Kakeaiのトピックを順番に使いながら、まんべんなく会話をしています。半年間お休みを頂いたので、今後のキャリアであったり、スキルの向上であったり、また、プライベートに関する話もしています。

子育てや家族の話は、コロナ禍になる前であれば、呑み会の席などで話すイメージでしたけど、コロナ禍以降はなかなかそういった機会は減ったように思いますし、自分自身も今は仕事が終わったら、早く家に帰って子供と過ごしたいので、1on1でプライベートの話ができるのはとてもよいです。

当社は育休も非常に取りやすい環境ですし、上長自身も子育て中なので相談もしやすいです。上長からは育休を1年とっていいよと言ってもらったのですが、家族と相談して半年に決めたという経緯もあります。

大谷さん:
この2年以内で、延べ6名の男性社員に育休取得実績があるのは、うちの企業規模からすると多い方だと思います。ご家庭の状況や本人の希望によって期間は異なりますが、1年以上取得している方もいます。

男性、女性に関わらず、育児と仕事の両立をしていく働き方は、すでに次世代を担う労働者の中では当たり前の常識になっていますが、当社内においてもそういった働き方がマジョリティになりつつあります。まだ上長世代と多少ギャップが発生することもあるかもしれませんが、そういうことも話せる場になっていたらいいなと思います。

Q:Kakeaiがお役にたっていると感じられるのはどのようなところか教えてください

鵜飼さん:
事前準備ができる点であったり、1on1の時間が近づいてきた時のリマインド機能であったり、1on1中のメモ機能であったり、時系列で振り返りができたり…。ユーザー目線では全体的にとても使いやすいツールだと思っています。

1on1は一見ツールがなくてもできるように思えますが、実際ツールがない状態でここまでできるか、継続的に続けることができるか、というと難しいと思います。

そういった意味では、やはり継続しやすい点や、全体的に使いやすい所は良いですよね。また、ユーザーインターフェースが使いやすいことは、ツールとしてとても重要だと感じています。僕はメンバーなので見えてはいないですが、マネジャーへのフィードバック機能が、1on1の質向上につながっている点もいいツールだなと思っています。

大谷さん:
Kakeaiは、1on1初心者に優しいというか、初めて1on1を実施するマネジャーやメンバーへの寄り添い方が違うなと感じました。あと、UIの親しみやすさであったり、サイコロでランダムトークができる遊び心のある機能(アイスブレイク)であったり、交流を目的にした機能がかなり多い印象があります。

また、ユーザービリティがとても高いツールだと感じています。当社の開発担当も「よくできている。これをつくるのがすごい」と言っていました。エンジニアが褒めているツールという点でも信頼のおけるツールだと思っています。

マネジャーの得意分野、不得意分野の分析については、匿名性を担保しつつフィードバックできるようになっているので、内省しやすい点がよいと思います。

尾関さん:
トピックが並んでいて、それをメンバーが選んで始められるのもいいですね。1on1をやったことがないメンバーが多かったので、こういう形で始めればいいとか、困ったことへのHintを与えてくれる機能があるので、それもすごくいいなと思います。

去年までは3年以内の離職が多かったので、一連の組織改善に関する取組みの中で3年以内の離職をゼロにしよう!という明確な目標を立てました。そして、4月からKakeaiを導入して半年経過しましたが、現段階では離職者は発生していません。まだ半年ではありますが、今年度の折り返し地点まできたので、このまま1年の目標として達成できたらと思っています。

Kakeaiを通じた1on1のおかげで、離職の一歩手前で防止できていることもあるのではと感じています。

大谷さん:
当社はもともとメンバーの自立心が高いという特性があったので、その特性を損なわないようにしながらも、お互いがもう少し歩み寄った自己開示がしていけるような組織が作れたらいいなと考えています。自走できるからといって自分の中で完結しないこと、周りの仲間とのコミュニケーションをさぼらないこと…。会社の一員として、皆がともに走っていける組織を目指し、そのための環境づくりをする意識で今後も取組んでいきます。


※上記事例に記載された内容は、2023年10月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。