マネジメントプロセスのさらなる標準化を通じて組織マネジメント力向上へ。「パフォーマンス最大化」をより加速させるための1on1


業界:化学|従業員数:3,000名〜4,999名|導入目的:マネジメント力強化・支援
株式会社 資生堂
モノづくり技術革新部 部長 萩野吉宏さん(右)
モノづくり技術革新部 デジタル技術グループ GM 鈴江喬弘さん(左)
1on1導入の背景:
・「メンバーのパフォーマンスをより引き出す方法」について課題を感じていた
・在宅勤務が増え、対話を継続することの重要性がより高まった
目指す組織像:
・ビジネスゴールを目指す過程で必要な「主体性」が生まれやすい組織
・マネジャー・メンバーともに「人を動かすリーダーシップ」を発揮し続けている組織
『Kakeai』導入の決め手:
・対話・コミュニケーションの質向上・標準化ができる
・メンバー起点で継続的に1on1に取り組める
導入約1年で感じる『Kakeai』の効果:
・全社標準プロセスに組み込まれている1on1だが、その状況でもより定着・習慣化した
・メンバーの主体的な言動変容が見られるようになった
・マネジャーの情報交換によって組織のマネジメント力が向上している
株式会社 資生堂の萩野さんと鈴江さんに、1on1支援ツール『Kakeai』の導入の背景や、今後の取り組みについて伺いました。
「メンバーのパフォーマンスを引き出すプロセス」をツールで標準化したい。個人差のあるマネジメントスキルへの課題感
Q:事業内容について教えてください。
萩野さん:
資生堂はスキンケア、メイクアップ、フレグランスなどの「化粧品」を中心とした事業展開の他「レストラン事業」「教育・保育事業」なども幅広く展開しています。 私たち「モノづくり技術革新部」は、モノづくりにおけるイノベーションをリードすることをミッションとしています。弊社では、TRUST 8という、仕事をする上で大切にしている8つの心構えがあります。その中で特に1on1の場面では、マネジャーとメンバーが共にBe Open, Act with Integrity, Applaud Successの行動を発揮することを1on1における期待する行動として定めています。
Q:1on1導入のきっかけについて教えてください。
鈴江さん:
グループマネジャーとして新たな立場になり、特に会社から期待されることは「メンバーのパフォーマンスを最大限に引き出すこと」でした。しかし、メンバー時代から感じていたのが「メンバーのパフォーマンスを引き出すプロセスやスキルがマネジャーごとに個人差がある」という点です。マネジャーという立場となり、この課題により向き合っている中で、プロセスの観点からサポートしてくれるツール『Kakeai』を見つけました。
デジタルツールの良い所は標準化できることです。メンバー主体の1on1実施サイクルや、自身の課題にあわせたヒント表示、メンバーからのフィードバックなど。誰がマネジャーになっても『Kakeai』のプロセスで1on1をすれば、1on1の質が向上し、メンバーの力を引き出すことに繋がると感じています。
また、私たちは、モノづくり技術革新部という役割だからこそ、新たなデジタルソリューションを積極的に取り入れ、良いものであれば社内に展開していきたいと考えています。私の動機と部門の方針が一致して、上長である萩野さんに相談をしました。
萩野さん:
私は工場勤務出身なのですが、工場で働いている人は、多様なバックグラウンドがあるため上司に求めるニーズも視点も異なります。各個人それぞれの成長度合いや希望・意志を汲み取りながら、限られた人数で成果を出すことが求められていました。そのような環境もあってか、自然と一人ひとりに向き合う以外に成果を生み出す方法はないと思うようになり、その時から1on1に取り組んでいます。
現在の部署でも、月に1回ほどの頻度で継続していたのですが、コロナの影響による在宅勤務の増加で、日々変わるメンバー個々の成長度合いや希望・意志をマネジャーが掴むことが難しくなり、対話の機会を意図的に作ることが必要になりました。そんなタイミングで鈴江さんから『Kakeai』を導入したいという話があり、部署全体で導入することを決めました。

「1on1の場をどう上手に使うべきか」メンバーの主体的な思考が、自身を成長させる
Q:『Kakeai』導入の決め手と、実感されている効果について教えてください。
萩野さん:
1on1を定期的に続けることは、メンバーへ成長の機会を与え続けることと同じだと思っています。1on1はメンバーが話したいテーマを設定しそれに対してマネジャーが応える場であり、メンバー主体の時間です。だからこそ「1on1の場をどう上手に使うべきか、自分がいま何に向き合えばいいのか、向き合った結果として何から取り組むべきなのか」といったことはメンバー主体で思考することが理想です。そのような思考が人を成長させると思います。『Kakeai』の仕組みによってメンバーが思考するきっかけが作られ、その機会を定期的に与え続けるため、自然と習慣化できます。
また、『Kakeai』の1on1を継続していると、マネジャー側もメンバー個々に対して考えるきっかけが作れるので、結果としてマネジャーも学ぶことが多く、メンバーとマネジャーの双方の成長機会となっています。
『Kakeai』は、メンバーと深く対話するからこそ直面する課題に対して、先回りしてサポートしてくれると感じます。例えば、1on1をメンバー・マネジャーお互いが作り上げる場とするためにテーマが選択できること、1on1の記録が自動で残りいつでも振り返られることなどです。開発されている方々が実際に1on1をしていて、そこで困っていることを本気で解決しようとしているのが使い続けるほど伝わってきます。
鈴江さん:
1on1をすることが習慣化されました。習慣化していく中で初めて、マネジャーはどのくらいストレッチをさせてメンバーに成長機会を与えたら良いか見えてきます。マネジャーがメンバーに対して成長の余地を伝えることで、メンバーも自分の伸び代を認識し、そのギャップを埋めるためには?を考え、行動に移せるので成長に繋がっていると感じます。メンバー側としては、心地良い壁にぶつかりながら、定期的にマネジャーからのサポートを求める1on1の場があるので、主体的な言動を安心して発揮しやすくなっています。
さらに我々は、メンバーにマネジャー職を出来る限り早期に任せ、会社の成長循環を促せる仕組みを作らないと競合に勝てないと考えています。そうした時に、『Kakeai』があることで、リーダーの層がロールモデルとなる管理者の振る舞いを早期に学ぶことができる点も魅力だと感じています。

『Kakeai』のデータを共通言語に。マネジャー同士が共に考える場を通じて、組織のマネジメント力を高める
Q:グループマネジャー同士で、1on1の振り返り会を実施されていると伺いました。取り組みの経緯や狙いを教えてください。
萩野さん:
マネジャーはとても孤独です。マネジメント力がないと評価されるのではと不安になり、悩みを相談できないこともあります。そこで、マネジャー同士が「お互いの違いをシェアして学び合うことができる場」として振り返り会を実施しています。前提として、この振り返り会は、査定評価には使わないという約束をすることで、よりオープンに話せるようにしています。
ある若手のグループマネジャーは『Kakeai』内でのメンバーからの満足度が目に見えて上がっていました。『Kakeai』は、1on1のコミュニケーションを客観的なデータとして可視化できるので、お互いのデータを見せ合いながら情報交換やディスカッションの材料として活用しています。こうした取り組みを通じて、マネジャー間でもロールモデルを参考にしたり、この不安や悩みは自分だけではないんだ、といった気付きになるので、全体のマネジメント力が強くなっていると実感しています。
鈴江さん:
『Kakeai』を通じて得られる1on1の学びから日々の言動を変えようとする取り組みは、メンバーだけでなくマネジャー自身も持てるかという観点は、1on1の質向上においてとても大切です。
そのため、『Kakeai』を使用している他部署のマネジャーとのディスカッションも行っています。『Kakeai』のデータが共通言語になることで、組織の枠を超えて一緒に取り組みやすいと感じています。また、振り返るだけではなく、会社の年間スケジュールに照らし合わせて「この時期にこんなテーマで話をしよう」とマネジャーから仕掛けられることがないか、なども話し合うきっかけになっています。
Q:今後の組織への想い、『Kakeai』へのご期待について教えてください。
鈴江さん:
私たちが目指す「モノづくりの変革」には4Mの要素があって、その中のひとつが「huMan=人」です。組織のミッションをいくら掲げても、働く人に組織が向き合っていなければ誰もついて来れないですよね。働く人たちが、常にパワーが出る状態で、そのパワーがお互いに影響し合うようなチームを作っていきたいと思っています。
そのためには、メンバー個々人が考えるリーダーシップを主体的に発揮できるよう、きっかけ作りの場として1on1を活用していきたいです。これはマネジャー着任当初から変わらない想いであり、これからも一貫して大切にしていきたいと思います。
萩野さん:
私も「人を活かす」ことは特に重視しています。多様な人材がいるからこそイノベーションが生まれる。そうした環境となって初めて自律分散型組織と呼ばれる、一人ひとりが自らの意思決定で行動できるような組織が作れると考えます。
その中で、マネジャー・メンバーには「人を動かすリーダーシップ」を期待しています。マネジャーが役割や権限を根拠にしたパワーでメンバーを動かすのは簡単です。それはリーダーシップではなくただのパワー。そうではなくて、個人が誰かを動かす。例えばメンバーがマネジャーを動かすことによって、メンバー本人が成長し仕事の幅も広がっていきます。その積み重ねで組織が強くなります。そんなリーダーシップが生まれ続ける状態を期待しますし、私自身もそうした状態が生まれやすい環境を作っていきます。
改めてにはなりますが、私たちマネジャーからはビジネスゴールや戦略を最初に提示した上で、それをどう各個人が考えて、どう結果を生み出していくのか、その過程で大切な ”主体性” を促す仕組みとして1on1は有効だと考えています。またその仕組みを最大化するためのツールという意味で『Kakeai』を今後も活用していきます。
※上記事例に記載された内容は、2024年2月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。