京極卓也氏
株式会社インテック 人事本部人材開発部長(2022年3月取材時)

「信用」と「誇り」を高める1on1を全社で推進
対話で個人とチームの力を高め、さらなる価値提供を目指す

Q:1on1を会社として行う事になった背景や狙いを教えて下さい。

信用と誇りを社員に感じてもらうために1on1を活用

いわゆるVUCAの時代という将来の予測が困難な時代になってきました。社会やお客様に認めていただけるような価値を提供し続けるためには「今のままではいけない」という考えが前提として必要です。いわゆる指示待ちの働き方では、価値が提供できない時代に突入しています。だからこそ、社員が自発的に熱意を持って行動してくれるようにしていかなければなりません。

組織調査の結果を参照したところ、弊社は「信用」と「誇り」二つの項目が相対的に低い傾向にありました。「信用」と「誇り」を高めようと考えたときに、「会社との繋がりを感じられること」そして、「上司と部下が二人三脚で時間をかけて継続的に対話する」必要があると考えました。そこで、まさに1on1をやっていこうという流れになりました。

上司と部下が定期的にコミュニケーションをとって、相互理解し、信頼関係を構築していく中で、「信用」と「誇り」を高めていく。そうすると、部下の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」が芽生え、自発的に熱意をもって行動することにつながっていく。そういったことを目指して1on1を推進していくことになりました。

Q:「信用」と「誇り」を高めるために、上司と部下の対話を重ねていくことに関して、部門内ではどのような議論がありましたか?

原点に回帰して、対話を積み重ねる

弊社は富山の地で1964年に創業して、当時は今で言うベンチャー企業でした。「電気や水道と同じようにいつでも、どこでも、だれもが、自由にコンピュータを利用できるコンピュータ・ユーティリティの実現」という高い志を持って様々な事業を行ってきた歴史があります。そう考えると当時は自然に、自分たちの仕事に対して誇りをもって働けていたと思います。

当時は「どうすればもっと我々は社会に貢献できるんだ」というような議論がそこかしこであったと思うのです。そこで、原点に立ち返り、しっかり今の組織の中で対話を重ねる事が大切だということで目線合わせをしました。

Q:会社が成長する中での変化があったからこそ、原点回帰をしようということですね。

一生懸命に取り組むからこそ、仕事の意義を対話を通して気付けるようにする

おっしゃる通りですね。目の前の仕事に集中していると、社会の役に立っているか、お客様に役に立っているのかをなかなか実感しにくいものです。
それを自分で気付くのはなかなか難しいところもあるので、上司がしっかりと伝えてあげなくてはいけません。

Q:全体的な1on1の推進についてはどのように進めてきましたか?

最初は、まずはやってみようから

1on1に対して、会社全体として期待が大きいですが、不安な部分もあるというのが実情だと思います。最初は上司と部下で定期的な対話の機会を持つことができている状態を目指していましたので、「まずやってみましょう」と声がけをしました。

次のステップとしては、上司・部下が素直に対話することができている状態を目指しています。そうなると、上司の力量が求められますし、部下も自分にとって1on1の時間が役に立つものだと実感しないといけません。そのために上司の方向けの研修や部下の方向けのセミナーなど仕掛けを色々用意しています。

当面はここまでをゴールと設定し、最終的には部下が自発的に熱意をもって行動するところまで持って行きたいと考えています。

Q:貴社では会社目線の現在×未来、社員目線の現在×未来というように1on1で話すテーマの例を整理されていますよね。これはどのような意図があるのでしょうか?

現在の話から、社員目線での未来の話に発展させていく

「信用」と「誇り」を高めるために1on1を行っていますが、会社目線の話をすると「誇り」に繋がるような内容になりやすいと考えています。例えば、「会社が目指そうとしている方向はこんなところだよ」とか「あなたの仕事の意義ってこうだよ」とか、会社の目線に立った話ができたときに、今の仕事に対して誇りを感じられるのではないかと考えています。一方で、社員目線の話は、自己実現や成長というような、社員からすると「会社が私のことを考えてくれているのだな」という実感を得られた結果、信用が高まっていくと考えています。ただ難しいテーマだと思いますので、まずは会社目線×現在の、目の前の業務や仕事の話や、社員目線×現在の、今の困り事から徐々に話がつながっていけばよいと思っています。

社員の自己実現についてもう少し言及すると、1on1単独で自己実現の話をするのは、どうしても唐突感が出てしまいます。弊社はキャリア面談という社員のキャリアを支援していくための取り組みを行っていますので、年度初めにキャリア面談でキャリアの話をしっかりして、それからは毎月の1on1の中でこまめなフォローをするようにするなど、1on1と周りの取り組みとを連動しながら推進していくことで、少しずつ狙っているテーマの話ができてくるのではないかなと思います。

Q:Kakeaiにはどのような点をご期待いただいていましたか?

現場に負荷をかけずに、上司へフィードバックを

Kakeaiを選んだポイントは2つあります。1つは、現場への負担が最小限で、1on1実施に必要な補助機能利用と実施状況管理が出来る点です。Kakeaiでは最初にこのトピックと対応を選んでから1on1を始めるというような1on1に関するノウハウがUIに反映されている点も特徴的だと思います。だから部下も1on1で話す内容を選びやすいし、上司の1on1の前の心構えがしやすくなるだろうと感じました。

もう1つは、上司へのサポート機能が充実している点です。1on1は上司の方が圧倒的に負荷が高いからこそ、上司へのこまめなフィードバックができるかどうかは特に重視していました。部下からのフィードバックを受けると、「役に立っているんだ。だったら頑張ろう」という前向きな感情が湧いてくると思うのです。
その2点を重視した結果、Kakeaiが最もマッチしたサービスだと判断しました。

Q:推進していくなかで感じる手応えや、起きた変化はありましたか?

1on1の目的を意識することで、対話の質が変わりはじめた

私自身の感想でもありますが、私の部門では日常的に部下と会話もしているので、結構部下のことは把握できていると思っていましたが、1対1の対話を積み重ねると、今まで気がついていなかった、部下のパーソナリティがよりわかるようになって、コミュニケーションも円滑になったと思います。

また、1on1を継続してきたなかで、最初は手探りで始まったところから、メンバー自身が「自分のためにこの1on1の時間を使おう」という姿勢が見られ始めて大変嬉しく思っています。毎月テーマは異なりますが、それぞれに話したいこと、聞きたいことがあって、自分の仕事のためにとか、自分の成長のためにこの時間を使おうとしているのが良い傾向だなと手応えを感じています。

Q:今後の推進の方向性について改めてコメントをお願いします。

部門の特性を踏まえた細かいフォローを行っていく

全社展開を進める中で、まずはしっかりと1on1を継続して実施していくことをサポートする必要があると思います。全社で150部門ぐらいあるのですが、北は北海道から南は九州まで拠点があって、ロケーション的な違いや仕事環境の違いもありますので、それぞれの部門特性に応じて、できるだけ細かいフォローをできたらと考えています。

我々だけだとリソースは限られているので、推進をするうえではKakeaiさんのようなノウハウを持っているプロの方々にもいろいろアドバイスいただきながらやっていきたいなと思っています。

Q:今すでに貴社内で1on1をされている方、これから1on1を始めていく方に対してメッセージをお願いいたします。

コミュニケーションを取り続けることで得られる達成感を是非感じ取ってほしい

我々の仕事は、チームでする仕事がほとんどです。だからこそ、対話を重ねてチームメンバー同士の関係性を強化することが、チームと個人のパフォーマンスに大きく関わります。日々の業務では様々なハードルもあるかもしれませんが、前向きにコミュニケーションを取り続けることで、個人が自分自身のやりがいの実感を得て、壁を乗り越えた達成感をチームで味わえるようにしていきたいですね。

※上記事例に記載された内容は取材当時のものです。