1on1で成長とキャリア形成支援の標準化を推進

アサヒ飲料株式会社
人事総務部 人事企画G 長谷川 千浩さん
営業本部
営業戦略部 部長 林未知香さん
営業戦略グループ グループリーダー 半田憲昭さん
営業戦略グループ 兼 営業システム改革プロジェクト課長補佐 川崎達也さん

環境変化も見据え、部下の成長を促す1on1を仕組み化

人事総務部 人事企画G 長谷川 千浩さん

Q:1on1の導入の背景を教えてください。

質の高いコミュニケーションを取れる環境を

アサヒ飲料では、21年から1on1制度を導入しています。働き方が多様化するなかで、業務だけでなく、関係作りのコミュニケーションを意識的に作っていく必要がありました。実態として、コロナ禍で入社している新入社員はリモートワークが導入された環境で仕事をしている状況です。そして、リモートワークの同じ組織に属する社員とも会いづらい環境で、成長やキャリアを描くことが求められています。だからこそ、1on1を制度として導入し、コミュニケーションの環境を整備していくことが重要だと考えました。
現状のスナップショットから見えてくる課題だけでなく、例えば5年後、10年後にもっと働き方が多様化することが想定されます。今後の変化も見据えると、この21年のタイミングで1on1を導入した意義があると考えています。

Q:Kakeaiに着目した理由を教えてください。

業務以外のテーマを話せる場が個々人の成長に繋がる

1on1の推進にあたり、前提として社員一人ひとりが関係構築しやすい環境をつくり、働きやすい組織風土を醸成することを目指しています。また部署毎にコミュニケーションの量・質ともに差が生まれないように、高いレベルで標準化され、どこの部署に配属されても、成長できる環境を整えることが必要です。
そのような背景もあり、アサヒ飲料としては、成長支援を目的とした1on1を通して、個々人の成長を加速させるためにコミュニケーションの質を高めるサポートツールが必要だと考えました。Kakeaiで着目したのは、業務の進捗管理のみならず、今後のキャリアや悩んでいること、そして他愛ない話等、業務以外の話がしやすい環境となる機能が充実しているからです。
また、人事としても、「今、1on1でどのようなトピックが話されているのか」、「部下側はどのような対応を上司に求めているのか」、「上司は部下の求めることに対応できているのか」等の観点でデータから現状を捉え、より最適な支援環境を整えたいとの狙いもありました。

Q:Kakeaiの導入による変化はありましたか。

部下が主体的に1on1の場を活用できるように

現場のメンバーから「これまでは、場当たり的に1on1を実施していたけれど、Kakeaiでトピックや対応を選ぶことで、何を話そうか考えるようになった」という声がありました。部下が主体的に、話したいことを選んで1on1の時間をどう使うかを考えるということは目指したい状態の1つでしたので、手応えを感じています。Kakeaiを使うことで、1on1の型は一定ありますので、アサヒ飲料の1on1のカラーを踏まえた活用をしていけたらと思っています。
現状は、システムを活用した1on1の実施促進を定着させていくフェーズですが、その先にKakeaiが持つ支援機能を少しずつ取り入れながら、組織全体として1on1の創意工夫が生まれ、皆の顔つきが変わってくるような段階に進めていきたいですね。1on1で部下から「こんなことにチャレンジしたいので、サポートしてほしい」という話がでてきて、上司がその実現をサポートするようなサイクルを作っていければ、組織の中で様々な成長機会を提供できるようになると思います。そうした積み重ねを通じて、エンゲージメントも向上していくのではないかと考えています。

部下の「こうしたい!」を引き出す1on1で組織を強く

営業戦略部 部長 林未知香さん
営業戦略グループ グループリーダー 半田憲昭さん

Q:まず、営業戦略部、営業統括部のミッションを教えてください。

答えを作り出す部署だからこそ、1on1で部下の想いを引き出したい

(林さん)営業戦略部は、22年4月に新設された部署で、中長期視点での戦略立案や企画をミッションとしてお預かりしています。本社スタッフとして、各エリアの営業担当が、地域特性を踏まえてマーケティング活動を行うための仕組みや研修等を立案・運営しています。また、営業担当が、本質的な業務に集中するためのITインフラ整備やDXの推進も担っています。究極的には、営業部門の組織文化改革を進めていくことが求められている部署になります。

(半田さん)「会社を大きく変えていこう、営業部門を大きく変えて行こう」という仕事に携わっているので、やはり会社のミッション・ビジョン・バリューや部門の方針をしっかりメンバーに理解してもらいたいと考えています。また一方で、当部門では、過去の前例もなく、何が正しいのか答えを自分たちで作っていかなくてはなりません。
そうすると、上司が「こうしなさい」と指示を出すアプローチではなく、上司が部下に「何をすべきだと思う?何がやりたい?」などと、投げかけていかなくてはいけないと考えています。だからこそ、1on1はしっかりやらなくてはいけないと思っています。
1on1でミッションを繰り返し共有し、部下が関わっている改革プロジェクトに対しての問いを投げかけることによって、部下側から「こうしたい」という想いを引き出すのが上司の役目だと考えています。

Q:1on1はどのように実施されていますか。

リーダーと部長が定期的に部下との1on1を実施して
「伝えられる」環境を

(半田さん)まず、業務の面では、答えがない仕事で毎日悩むことがあるので、その日の悩みはその日中に解決できるように毎日メンバーと話をする時間をとっています。また、PDCAを回していく会議を週に2回実施して、チームとしての業務を進めスピードアップを図るようにしています。
月1回での1on1では、できるだけ業務以外のトピックについて話を聞くようにしています。「将来何をしたいのか」、「プライベートで困っていること」や「半期を振り返ってどうだったか」なども話すようにしています。とはいえ、メンバーが私に関して全てを話せないこともあるでしょうから、各部下は林部長と2ヶ月1回の頻度で1on1を実施しています。

(林さん)半田が月1回の1on1を相当しっかりやってくれていますが、リモートワークでは、私と1度も話さないで1ヶ月過ぎてしまうというメンバーも出てきてしまいます。ですので、私との1on1のテーマは本当になんでも自由で、隔月で実施することにしています。もともと構想していたというよりも、やりながらより良い形を見つけてきました。
やはり、直属の上司に面と向かって言えないということもあると思います。すぐに何かが変わって解決しなくても、組織の中で伝えられたというだけで「すっきり」することがありますよね。部長が知ってくれているという状態が心理的安全性にも繋がるので、メンバーにも「ちょっと気になっている」というレベルでも話してほしいと伝えています。実際にメンバーからも「全体を俯瞰する立場でどう考えるか、本音を聞いてみたい」という質問を受けることもあります。

Q:営業戦略部では、直属の上司と部下だけではなく、斜めの関係で“クロス1on1”を実施されていると伺いました。どのような取り組みなのでしょうか。

“クロス1on1”で組織の一体感を醸成。気軽に声がかけられるきっかけに

(半田さん)営業戦略部は2チームから編成されていますが、リモートワーク以降「お互いのチーム間でコミュニケーションが希薄で一体感がない」、「そもそも他のチームが何をやっているのかも分からない」という声が聞こえてきました、なので、チームをシャッフルしてペアを作り“クロス1on1”をしてみようということになりました。

(林さん)マネジメントの立場からするとドキッとしますよね。毎週、当部門の業務の進行状況や他部門の動きなどをフィードバックして、情報を流しているつもりでした。しかし、気がついたら「一体感がない」、「なんとなく風通しが良くない」という状況になっていたわけです。

(半田さん)結局、一方通行で伝えたとしても、なかなかメンバーの心や考えに染み込んでいかないのだと思います。お互い質問して、どう考えるかを伝え合うことで、腹落ちしていくということでしょうか。とはいえ大勢が参加する会議の場では、言いにくいこともあるので、“クロス1on1”を試してみました。
結果、具体的には「“クロス1on1”をしたことで声をかけやすくなった」、「親近感が沸いた」、「やっと、一体感がでてきた」という声も出てくるほど非常に満足度が高かったです。今後も、部内で“クロス1on1”を定期的に実施していく方向です。さらには、当部のみでなく、営業、それ以外の部門でも活用する意義があるのではないかと考えています。

(林さん)組織文化の改革を進める上では、上司と部下の縦の関係のみでなく、同僚や他部署の上司などの横や斜めのコミュニケーションを活用することが有効だと思っています。ちょっとした会話で新しい視点に気づくこともありますし、みんなも悩みながら進んでいるのだと実感できることだけでも、組織内に活力が生まれてきます。

(半田さん)市場の拡大期から転換期においては、社内はもちろん得意先やあらゆるステークホルダーと連携して、一人ひとりが「消費者にどう価値を提供するか」を考えて工夫することが求められます。だからこそ縦・横・斜めの1on1を通じて、年齢や等級の垣根を越えて、当社の価値を共有し、共鳴し合うことが重要です。まさに、シェアードバリューの精神が大切だと思っています。そのような価値観の共有が、得意先へのコミュニケーション力向上、ひいては提供価値向上に繋がっていくと考えます。

Kakeaiでの1on1で上司と部下が本音で向き合える場に

営業戦略部
営業戦略グループ グループリーダー 半田憲昭さん
営業戦略グループ 兼 営業システム改革プロジェクト課長補佐 川崎達也さん

Q:半田さんと川崎さんは上司と部下として1on1をどのように実施されていますか。

チーム会議とは別の1対1の時間だからこそ、本音を話せる

(半田さん)毎月1日に今月のスケジュールとして、Kakeaiで1on1を何日から何日の間で設定してほしいとメンバーに発信しています。1on1を始めた当初は、雑談で終わってしまったということもありましたが、テーマについてはメンバーにKakeaiで話したいテーマを設定してもらうか、メンバー側からの話したいテーマがない場合は、上司側の私からこのテーマを話したいと投げかけています。
できるだけ、業務以外の話をしようと伝えているので、1on1だからこそ業務以外の話をしようと上手く1on1を活用してくれています。1on1の時間中は傾聴を意識して、部下の自律を促すためにも「何がしたいか」ということを聴くように心がけています。

(川崎さん)グループ週1回の会議がありますが、他のメンバーいるので、1on1では、素直に上司である半田の本音を聞いてみたいという想いがあります。私にとっては「本音で話せる場」という位置付けの時間となっていて、ありがたいです。
Kakeaiを使った1on1では、キャリアの話もしますが、年に1回のキャリア面談とは別で日常的に上司から「今後、あなたはどうなりたいのか」という深い質問をいただけると自分自身で考えるようになります。過去事例をお話いただいたり、難しい局面で状況をどう捉えて前に進めていくかという観点でのフィードバックもいただいたりしています。
Kakeaiの1on1の場は上司の投げかけを受けながら、メンバーが主体的に考えるサイクルを回す場にもなっていると思います。当然、メンバーも言ったことに対して責任が伴います。自律的に動くという意味でも、「これを言うのであれば、日々の実務で自分はこの責任を全うしよう」と腹が括れます。双方が本音を言い合えるようになれば、当然もっと信頼関係も強くなっていくと思います。

Q:1on1でKakeaiを活用することで変化はありましたか。

上司と部下の双方にとって事前準備から振り返りがスムーズに

(川崎さん)Kakeaiの導入前は、日々の業務がある中で、特に準備もせず1on1がスタートして「結局、何を話せば良いのか?」という状況になることもありました。Kakeaiでは、メンバーが事前に話したいトピックや上司に期待する対応を選んでおけるので、自分の中で考えを整理した上で、1on1で話ができています。せっかく上司と1対1で話せる機会ですので、「これを言わないといけない」ということを明確にするのに役立っています。
また、1on1ではメモを取るようにしています。Kakeaiでは、上司とメンバーが同じ画面で何を議論してきたのか、時系列で確認できるというのは非常に良い点だと感じています。Kakeaiに蓄積しているメモを見れば、自分自身でも振り返りやすいです。

(半田さん)私個人のことで言うと、人材マネジメントがうまくいっていない時期があり、マネジメントが上手な人がやっていることは全部やろうと思って取り組んできました。人のマネジメントにおいては仮にうまくできたとしてもその理由を本人が分かっていないことも多々あると思います。ですので、Kakeaiで表示される他のマネジャーが意識したことや、メンバーがやってもらって嬉しかったことなどのHintにしっかり目を通しています。
また、Kakeaiを通じて、マネジャーは1on1の満足度やトピックと対応別の得意・苦手など自分の改善点を確認できます。これらのデータはすごく参考にしています。また、Monthly hearingでメンバーの成長実感も確認できるのでメンバーの認識と自分の見立てのギャップがわかるというのはマネジメントにおいて大事だと思います。上司側がすごく成果が出て成長を感じている時に、本人は成長実感が得られていないのであれば、成長している点をあらためて伝えて認識合わせすることもできます。今後もデータやHintを活用しながら部下との対話を深めていきたいです。

※上記事例に記載された内容は取材当時のものです。