成果数字にこだわる営業組織だからこそ、
1on1で部下の力を引き出す「経過の承認」を
旭化成ホームズ株式会社
住宅事業集合建築本部 本部長
佐藤 友亮 さん
Q:Kakeaiに興味をお持ちいただいた背景を教えてください。
トップダウンの文化だからこそ、部下主体の対話を組織的に生み出す
不動産業界、住宅業界全体の傾向かもしれませんが、トップダウン型の組織であることは認識しています。会食やゴルフなどのお付き合いが当たり前という風潮もありますし、徹底的に数字を上げるために動く組織風土を変えるのは容易ではありません。
ですので、トップダウンの文化で育った管理職の世代が1on1をしようとしてもどうしても指導・管理の面談になってしまいがちです。しかし、若い世代の皆さんが強いアプローチの面談を通じて、成長していくことを期待するのは難しいと感じています。そのような問題意識を持っていたところに、1on1をサポートする仕組みがあるのを聞いて、部下起点での話をする場が作りやすくなるということに関心を持ちました。
1on1はどうしても属人的になる要素が高いと思っています。部下からしたら1on1自体が拷問のような時間になってしまうことも想定されるわけです。ですので、1on1の状況を組織として掴めるツールがあることは安心材料になると感じました。
トップダウンの文化の組織に1on1のツールを入れていくとどうなるのか、私自身は実験的な感覚で様子を見ていました。当初は、管理職層は最初1on1の場をどうしていったら良いのか戸惑いもあったようです。しかし、回数を重ねていくうちに、部下の新しい側面を発見するなど何かしら対話することの良さを発見して、管理職も意識が変わってきたように感じています。管理職側の意識変革もセットで1on1やKakeaiの利用を進めていけるとスムーズだと考えています。
Q:Kakeaiをご活用いただくなかで良かった点を教えてください。
営業活動の経過の承認を1on1の場で。当初より対話の質の変化を実感
私も1on1だけではなく会議やイベントなどでアイスブレイクをするようにしているのですが、若いメンバーはすごく嬉しいみたいなんですね。課長層は自分のプライベートについて話すことに照れてしまうようなのですが、例えば、Kakeaiのアイスブレイクでプライベートの話をすることもできます。課長層にとっては自分の子供くらいの年齢のメンバーとざっくばらんに会話することに衒いがあったとしても仕組みがあれば意外とすんなり会話することができているようです。
私たちは、営業組織ですので当然数字を作るのがミッションです。とはいえ、ただ数字だけを求めていても結果はついてきません。営業活動の経過をしっかり承認してあげることが重要だと考えています。経過の承認を通じて部下自身が「これでいいのだ!」とか「もっとこういうことをやらないといけない」と感じることが活動をする上での支えになっていくと思います。一方で、この非常に重要なプロセスが、日々の営業活動の中では、優先順位が落ちてしまってないがしろにされていることが結構多いと感じています。Kakeaiを通じた1on1を通じても、ゴールまでの途中経過の承認を繰り返すことを意識してほしいと考えています。
どうしてもプレイヤーとして優秀な人がマネジャーになることになりますので、自分のナレッジをしっかり部下に伝えて育成をするところにコミットしていけるように組織としてサポートしていきたいと考えています。営業組織でメンバーが主体的になり日々の活動を下支えできるような1on1ができてきているのでKakeaiを導入して良かったと感じています。また、1on1が終了した後にメンバーが入力してくれる満足度のポイントも当初より確実に上昇しています。Kakeaiを使っている他社のスコアも社会全体の傾向として確認できるので、データによって相対感を掴めるのも手応えに繋がっているかもしれません。
営業組織では、突発的な対応がどうしても入ってしまって1on1の日程が流れてしまうということもあります。どうしても顧客対応を優先してしまうケースがあるのですが、当初は部下との対話が苦手だと言っていた課長が、しっかり徹底して1on1をやってくれています。恐らく課長として部下の向き合い方や1on1をするからこそ営業活動の質が高まるという手応えを自分で学んでくれたのではないかと思います。管理職としての成功体験を積むことで1on1だけではなく部下とのコミュニケーション全般で対応の幅が広がっていくのではないでしょうか。
Kakeaiでの1on1で選ばれているトピックと対応の傾向も変化してきているようです。最初は業務の話が多かったようですが、最近では今後のキャリアやスキルの向上など回を重ねるごとに会話の幅が広がってきています。また、対応に関しても「一緒に考えてほしい」が選ばれることが増えています。日々のやりとりでは上司が部下からアドバイスをもらうということが多いので、部下側から「一緒に考えてほしい」というニーズが出てきていることは一つの進化ですね。部下側が自分に向き合ってもらえるのだという認識があるからこそ、出てきているニーズなのだと捉えています。
Q:今後1on1や組織内の対話をどのように進化させていきたいですか。
メンバーの夢や目標を踏まえた会話で働きがいを感じられる環境に
会社自体が年功序列の傾向が強いからこそ、仕組みを含めて組織内での対話が意味のある形でできるようにしていきたいです。変わってきている面もあるのですが、新入社員の頃にキラキラしていたメンバーが3年ぐらいすると表情が曇りがちになってしまうということもあります。恐らくこれは会社側がメンバーの夢や想いを意図せず潰してしまっていることもあるのではないかと感じています。目標をなくしてしまうと、ともすると会社に行くのは給料をもらいにいくためというような仕事のイメージになってしまいます。
そのような状態に陥らないためにも日々の活動の中で、誰かが承認してくれるという状態を組織で作ることが必要なのだと思います。せっかく入社してくれたメンバーの夢や目標に影響を与えられるような職場にしようとしていくとコミュニケーションは必須になりますよね。管理職層にもこのような視点で人を見て欲しいと思いますし、メンバー本人の文脈での対話が増えることで実態的なパフォーマンスの向上や働きがいを持って活躍できる環境に変わっていくのではないかと思います。
※上記事例に記載された内容は、2024年7月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。