エンジニアチームの1on1。コミュニケーションに苦手意識のあるマネジャーの心理的ハードルを下げる

業界:電気機器|従業員数:5,000名〜|導入目的:エンゲージメント向上

株式会社アドバンテスト

写真左:西脇 智康 さん
人事本部
人事部 Labor Relations Group Leader

写真右:寒竹 秀介 さん
ATEビジネスグループ
テクノロジー開発本部 テクノロジー統括部 第3開発部 部長


組織課題:
・コミュニケーションに苦手意識があり、メンバーとの対話に積極的になれないマネジャーがいる
・(1on1の実施はマネジャーごとに判断しているが、)1on1を実施していないマネジャーの部下(メンバー)が対話の機会を求めていた場合、メンバーにとって不幸せな状態が生じうる

 

解決策:
・マネジャーの心理的負担を軽減し、1on1を実施・継続しやすい環境づくりのために『Kakeai』を導入
・他部署のマネジャーとメンバーが1on1を実施できるように「斜め1on1」プロジェクトを有志で立ち上げ

 

導入6ヶ月で感じる『Kakeai』の効果:
・コミュニケーションが苦手なマネジャーにとっても1on1を始めやすくなった
・事前準備とフィードバックがあることで、マネジャーとメンバーのすれ違いが無くなる
・マネジャー・メンバー共に1on1の実施・継続が楽になる


株式会社アドバンテスト、寒竹さん・西脇さんに、1on1支援ツール『Kakeai』の導入の背景や、目指す組織について伺いました。
今回の導入では、寒竹さん他12名のマネジャーで『Kakeai』のご利用を開始。その後、西脇さんを中心に全社で募集をしていただき、現在、約200名の方にご利用をいただいております。


お互いが気持ちよく最大限能力を発揮できるようなチームへ。リスペクトしあえる関係性を目指す1on1

Q:業務内容と組織について教えてください。

寒竹さん:
当社の主力製品は半導体の試験装置で、半導体メーカーの方々がお客様です
私が所属しているテクノロジー統括部は、主に半導体試験装置のハードウェア設計・開発をしています。約200名の設計開発のエンジニアとそのマネジャーがおり、私が部長をしている第3開発部は約20名が在籍しています。

Q:1on1導入の経緯について教えてください。

寒竹さん:
2018年4月、私がドイツ出向から帰任してきたタイミングで1on1を始めました。
ドイツにいた頃は、ドイツと日本の開発部門をつなぐ役割をしていたので「自分の部署」という感覚はありませんでした。その後、久しぶりに課長職として日本に戻った際に、メンバーとどのようにコミュニケーションをとって、組織を運営していくべきか戸惑いがありました。そんな中、他部門のマネジャーから「コミュニケーションづくりに1on1が良いよ」と教えてもらい『ヤフーの1on1』など数冊の本を読んだ上で、1on1を始めました。
また、同じように1on1に興味をもったマネジャーもいたので「1on1友の会」という有志のグループをつくって、情報交換をしながら進めました。

Q:どのような組織を目指していますか。

寒竹さん:
当社は、世界中の従業員が心を一つにして、仲間のため、顧客のため、そして社会のために奉仕するにあたっての心構えとしてコア・バリュー「INTEGRITY」を定めています。私はINTEGRITYを社内に浸透させるアンバサダーに就任し、マネジャーとの関係性や風通しの良い、やりがいを持って良い環境でみんなが気持ちよくいきいきと働ける会社を目指しています。
限界はあったとしても、上下ではなくてリスペクトできる関係性、お互いが気持ちよく最大限能力を発揮できるようなチームを目指していきたいです
また、そういう意識を全社で広げていくためにも、1on1の文化を広めていきたいです。

Q:1on1を開始していかがでしたか。

寒竹さん:
1on1を始める前は、距離が近く話しやすいメンバーとそうではないメンバーと、コミュニケーションの濃淡がついていました。1on1によって少なくとも全てのメンバーと等しく時間を持つことで、関係性が変わってきている手応えを感じています。もともと関係性があったメンバーとも、1on1の中で意外な一面や新たな発見がありました。また、当初は1on1について否定的なメンバーもいたのですが、回数を重ねるうちに、心を開いてくれてポジティブに捉えてくれるようになったことも嬉しかったです。

1on1の属人性を無くし、コミュニケーションに苦手意識のあるマネジャーの心理的ハードルを下げる

Q:『Kakeai』導入の経緯や実感されている効果を教えてください。

寒竹さん:
大きく3つございます。

①コミュニケーションが苦手なマネジャーにとっても1on1を始めやすい仕組みがある。

「属人性をなくしていく」という『Kakeai』のメッセージに強く共感しています。特にエンジニア経験の長いマネジャーは、設計や技術は大好きだけど、人とのコミュニケーションは、やればできるんだけどそもそも興味がないという人もいます。好きじゃないからやらない、やらないから得意にならない、という負の循環が起きがちです。マネジャーの性格や特徴によって、その下のメンバーが不幸になってしまうのは避けたいですよね。『Kakeai』を活用すれば、1on1を導入・継続するハードルが下がることを実感していますので、少しずつマネジャー側の意識の壁を崩していきたいです。

②事前準備とフィードバックがあることで、すれ違いがなくなる。

私自身、約4年間1on1を続けている中で、メンバーが本当に満足してくれているかという不安がありました。匿名のアンケートを取ってみると、「私の話をもっと聞いてもらいたかったのに、途中からアドバイスをされてしまったので十分に話せなかった。もっと聞いてほしかった」というメンバーからの声がありました。マネジャーも相手のことを想うあまりのアドバイスだったと思うのですが、その悲しいすれ違いに悶々としていました。
『Kakeai』は、事前にトピックと期待する対応を入れてもらうことで、メンバーもマネジャーも準備して臨めるので、以前よりも会話が深まった感覚があります
また、マネジャーへのフィードバックがあることで、マネジャーが変化するきっかけがあります。あるマネジャーは、Kakeaiのデータから自分が話しすぎていることに気がつき、その点を意識して1on1を実施したところ、メンバーからのフィードバックが改善しました。

③マネジャー・メンバー共に1on1の実施・継続が楽になる。

1on1の設定って地味に大変なんですよね。『Kakeai』は1on1の設定から振り返りまでワンストップなので継続が楽になりました。特に、1on1中に共通の画面でメモを残せることが好評です。壁打ちみたいな形で、メンバーもメモを見ながら反芻することできるし、記録が残るところも対話の継続の観点から価値を感じています。

「斜め1on1」プロジェクトで、他部署との交流を広げる

Q:人事本部としての支援体制を教えてください。

西脇さん:
寒竹さんはじめ一部のマネジャーの1on1の取り組みを知り、2019年頃から「1on1研修」を人事本部として展開しています。現場主義を大切にしているので無理強いはせず、希望する既存マネジャーと新人マネジャー向けの研修プログラムとして実施しています。

また、「斜め1on1」というプロジェクトを行っています
プロジェクトに登録しているメンバー(メンティー)が、希望する他部署のマネジャー(メンター)とペアになり1on1を実施できる仕組みです。こちらも開発部門のメンバーが発起人となって始めて途中から支援した形になりますが、現在、50ペア超が実施しています。

寒竹さん:
西脇さんからお伝えした通り、当社は現場主義な考え方があるので、1on1の実施は任意です。しかし、1on1をやっていない部署のメンバーが誰かに話を聞いてほしいとか、1on1をやっていても直属の上司に言いづらいこともあるのではないか、という声があがりこのプロジェクトを立ち上げました。最初は身近にいる人に声をかける形で開始し、その後、人事のサポートもあり、全社で募集をしています。

自分と違う仕事をしている人との対話は刺激にもなり、組織が活性化するひとつのきっかけになると感じています。一方で、仕事内容も人柄もまったく分からない状態から1on1が始まるので、その時間を有意義にすることに苦労していました。特に「斜め1on1」は、明確な問題意識がある人と、関係構築のためにまずは話をしてみたいと思っている人と2つのパターンに分かれます。1on1の目的はどっちだろう?と模索するところからのスタートだったので、事前の目的を明確にすることができる『Kakeai』を活用することで、対話の質が向上するのではないかと期待しています

西脇さん:
「斜め1on1」とは別視点になるのですが、現在、『Kakeai』を使用しているマネジャーの中に、韓国やアメリカなど海外拠点のメンバーもいます。海外では、ビジネスよりのテーマになったりと、日本との違いがあると思います。その中でどのように『Kakeai』が活用されていくのか、マネジャーの支援に繋がるのかどうかは追っていきたいと思っています。


※上記事例に記載された内容は、2023年4月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。