■INTERACTION LAB.現場で組織の成功循環モデルを生み出すには

■INTERACTION LAB.現場で組織の成功循環モデルを生み出すには

Profile
■登壇者
株式会社インタラクションプロ 代表取締役
株式会社KAKEAIインタラクションラボ所長前アクセンチュア執行役員人事本部長
兼 グローバルHRマネジメントコミッティーメンバー
武井章敏 氏
■モデレーター
株式会社KAKEAI 取締役 共同創業者
皆川恵美
現場で組織の成功循環モデルを生み出すには
皆川:今回は「現場で組織の成功循環モデルを生み出すには 関係の質・行動の質が上がり、結果の質が上がるのか?」についてディスカッションをしていきます。
「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」は循環していますが、そこでグッドサイクルを作り出すためには「関係の質」の改善も必要不可欠です。
「関係の質」の改善については難しく感じている方が多いと思います。
武井さん、この辺り何かポイントございますか?
武井さん:結論から先に言うと、「関係の質をどうにかしたいんだけどうまくいかないんだよね」という相談は非常に多いんですね。
「関係の質を改善するためにあの手この手を尽くしたんだけれどうまくいかない」という人に私がお話ししているのは「何のために関係の質を構築していこうとしているのか」ということです。
部下と一緒になって「思考の質」「行動の質」「結果の質」をあげていくことによって、結果的に「関係の質」も自然と高まります。
具体的には部下に「あなたがどうなりたいか」と聞くだけでなく「自分がどうなりたいか」「こんなことやってみたいよね」「こんな成果あげてみたいよね」という話をしていくと言うことです。
仕事の上では仲良くすることや考えることが最終の目的ではないので、結果に直接結びつく行動の質が変わっていかなければならないということで、今日はこの辺りお話ししていけたらと思っています。
皆川:私は比較的物事を大真面目に捉える気質がありますので、関係の質が上がらないと思考の質にいきにくくて、その状況でも行動の質や結果は求められてという中で昔よく考えていたなと思っているところです。
ここからは、「御社・あなたの部署では、どのような目的で1on1をやっているのか?(どんな背景があるのか)」「どんな工夫をしているのか?打ち手が打てないのであれば、何が課題なのか?」の2点についてグループディスカッションをしていただきます。
その後そこで出た意見や感想をシェアしていただければと思います。
Q:御社・あなたの部署では、どのような目的で1on1をやっているのか?(どんな背景があるのか)
・事業部人事と事業部の方と立場の違いがあり、面白さがありました。
1on1の目的に関しては「会社として信頼関係の構築」「部下の成長支援」「目標達成」といったものを5つ程度挙げている会社の方もいたが、当社では「学びの定着や体系化」「部下側のモヤモヤの解消」としている。
・1on1の目的が手触り感のある「モヤモヤの解消」などの言葉で言語化されている点が学びになった。当社では目標が綺麗な言葉に収まってしまっていて、具体的にどうすれば良いのか不明確だというのが課題だと認識した。現場にとってイメージの湧く言葉で目的設定することが浸透において重要。
・半期年俸制で半年ごとに評価を査定して、次期の話をしていく制度となっている。半期中は毎月1回必ず1on1を実施し「できた、できない」「具体的にどうできたのか」「なぜできなかったのか」「どこで躓いたのかという」を確認しながら、能力開発を進めている。
業績構築と個人の能力開発に切り分けたときに、1on1はあくまでも能力開発を目的としている。「人としてどうしていきたいのか」「営業としてどう成長していくのか」を手助けしていくものと位置付けている。目標や夢でも何でも良いが、その未来に向かってこの半年間で何ができるのかを落とし込んで、現実的な目標を明確にした上で対話をしている。
・1on1は他の人事施策との連動が肝なはず。あらゆる人事施策の中での1on1の位置付けをどう考えるかというのは気になるテーマだという話になった。
Q:どんな工夫をしているのか? 打ち手が打てないのであれば、何が課題なのか?
・現場の有志で1on1のガイドラインを作成していると聞き、現場から取り組みが出てくるのは素晴らしいと感じた。
・部分的に1on1を実施しているが、目的は幅広く捉えて「何でも話をしていい場」としている。課題としては、目的を明確にしないと機能しないという面とせっかくの1on1の時間が指導の時間になっているケースも散見されること。行動の質を上げないと関係の質が上がらない。今は、1on1をやる側のスキルを上げる必要がある。
・全社の方針はありそれは大事だが、それだけでは現場は動けないし、納得感もできない。WhatやHowが大事。事業部人事や現場の方が、「自分たちはどのように運用していくのか」という現場目線のエッセンスを入れていくことが重要。
・1on1で大事なのは、上司と部下が1on1の場の価値をいかに実感できているかが重要だと感じた。そのために、事例共有などコツコツ啓蒙活動しながら進めてきている。
・月1回1on1をされているが、平均10人の部下で30分程度を徹底されていることに驚いた。現場が、1on1の重要性や効率を上げるツールになることを実感していると感じた。人事として、施策を打ち出す中で現場としては「また、仕事が増えるのか?」という反応が出てきてしまうので、地道に価値を啓蒙していくことの重要性を改めて認識した。
・部下側で1on1をしているが、組織風土や関係性強化という目的を理解して1on1に臨んでいる。部下側も1on1の意義をどのように理解して、その時間に臨むのかが重要。
〜今回のInteraction Labのまとめ〜
武井さんから皆さんへのメッセージ
・具体的な取り組みとしては、部門人事として活動する中でのアメとムチの使い分けをされている企業があったのが発見でした。部署全体のチーミングとして、部署で「ラジオ」としてなんでも話してOKの場を作っているアメの部分。逆にムチの部分は、部下本人に対して「過去3ヶ月の成長はどうか?」逆に上司に対して「部下がどのような悩みを持っているか分かるか?」と抜き打ちで投げかけている。1on1を推進していく上でアメとムチの使い分けという視点が参考になりました。
・各社「まずはやってみる」「やってみたら気づきがある」「一通りやってみたが、まだまだ変えられるという」「軌道に乗ってきて成果を共有していく」というステージなど様々でしたが、部下の組み合わせや会社の状況も変わる中で、1on1を進化させ続けることが重要だと異なるステージの方のお話をお伺いして改めて感じました。
・1on1はまずは、上司と部下から取り組むが、上司と部下というユニットが強くなった結果、チーム全体がよくなることを目指していると思います。個人が孤軍奮闘している状態から、個々人が役割や仕事をしている意味を納得・定義して共創しながら前に進める状態を作るための1on1と捉えると、それぞれのステージの次が見えてくるのではないかと感じました。「まずは、始めてみました」「うまくいっています」そして、次のステップは?という視点で見ていくと「やるべきこと」や「やれること」があるのではないかと思いました。
・そのための視点としては、上司と部下が関わるには、上司自身、部下自身が何にフォーカスしているか、双方が自分を知ることが前提になります。部下も上司も1on1する前に、自分と1on1をしてこそ、相手との1on1が意味をなしていくのではないでしょうか。そこを起点に、上司部下に関わらず、様々なステークホルダーとも繋がりが広がっていくのではないかと感じました。
今後もこのようなセミナーを開催予定です。ご興味ご関心のある方は、ぜひ以下よりエントリーください
エントリーはこちらから