■INTERACTION LAB.コラボレーションセミナー

〜キャリア×人と人・人と組織の関わり方

「人と人・人と組織の関わり方を、共に研究し、未来を創発する」ことを目的としてスタートしたINTERACTION LAB.(インタラクション・ラボ)が主催し、研究者や専門家、事業の最前線で活動される方をゲストに迎えてお届けするオンラインセミナーです。
Profile
■登壇者
小杉 俊哉
合同会社THS経営組織研究所 代表社員
慶應義塾大学大学院理工学研究科 訪問教授
早稲田大学法学部卒業後、日本電気株式会社(NEC)入社。自費でマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ人事総務本部長兼米アップル社人事担当ディレクターを経て独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授などを経て、合同会社THS経営組織研究所を設立。元立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科客員教授。元慶應義塾大学大学院理工学研究科特任教授。
ふくおかフィナンシャルグループ・福岡銀行、エスペックなどの社外取締役を務める。長年、ベンチャー支援や、公立小中高校教諭教育、国家・地方公務員教育も行っている。専門は、人事、組織、キャリア、リーダーシップ開発。
組織が活性化し、個人が元気によりよく生きるために、組織と個人の両面から支援している。2006年から13年半の間、学生からの要請で単位にならない自主ゼミを開催し続け、奇跡のゼミと呼ばれる。2020年から社会人個人向けのオンラインサロン「大人の小杉ゼミ」も主催。
著書に『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング)、『職業としてのプロ経営者』(同)、『リーダーシップ3.0』(祥伝社)など多数。
武井 章敏(インタラクション・ラボ 所長)
早稲⽥⼤学卒業後、マツダにて、営業・海外での⽣産⼯場の⽴ち上げ・⼈材開発・⼈事制度の改⾰をリード。その後、アップルジャパン、ファーストリテイリングにて⼈事部⻑を歴任。2012年〜2020年3⽉末までアクセンチュア執行役員人事本部長 兼 グローバルHRマネジメントコミッティメンバー。コラボレーション&イノベーションを主軸に、デジタル&ヒューマンな”働き方改革”を促進。
個人の方がより主体的に自分のキャリアと成長を考えるサポートを求めている
武井さん:本日はINTERACTION LAB.コラボレーションセミナーの第一回目として、「混沌とした時代に成長し活躍していただくためには、何が必要か、何が大事か」をテーマに進めていきます
起業家のように企業で働くとは具体的にどういうことなのか。VUCAの先の見えない時代に、「どのように企業の中で起業家のように働いていくべきか」についてディスカッションしていきます。
その前に、1on1やマネジメント強化・支援の「ピープルサクセスプラットフォーム|カケアイ」に蓄積した3,000回の1on1実績データの分析をご紹介します。
約45%が業務に関してですが、約21%はキャリやスキルのお話をされています。一方で、会話するにあたり、部下が上司に求める対応を見てみましょう。
実は部下からすると「一緒に考えてほしい」「話を聞いてほしい」「意見を聞きたい」が約75%を占めており、「具体的なアドバイスほしい」がほしいのは15%程度というデータが出ています。
これは、個人の方がより主体的に自分のキャリアと成長を考えるサポートやヒント、支援を求めていることの現れだと思っています。本人の意思をどう尊重してどのように支援していくと、社員一人一人が自分の進むべき方向を明確にできるのかというのは、大きなテーマだと考えています。これがKAKEAIのデータから読み取れる今日の一つのディスカッションポイントになります。
全ての人が会社のリソースを利用して自分のやりたいことを実現する時代に
武井さん:早速ですが、小杉先生のご著作の『起業家のように企業で働く』を拝読しました。ずばり令和の時代に入った今、キャリアを考える上でどのようなことが大切だとお考えですか?
小杉先生:ご紹介いただいた書籍では、副題で君はただ会社から言われた通り働き続けるのかというチャレンジングな問いかけがあります。これ私が大企業とお付き合いして、いろんな社員と交流して来ましたが、一方でずっとIT系を中心としたベンチャー支援をし,スタートアップの人材にも関わっておりました。
もともと両者はまったく別物だと思っていたようですが、今となっては一緒なのではないかと考えています。大企業であっても、やっぱり自分自身がどれだけ会社のリソースを利用して世の中で自分のやりたいことを実現する、自己実現するのかという風に考えないと、楽しく働けないし、自分のキャリア人生も切り開けなくなるんじゃないかという風に感じています。
実際に『起業家のように企業で働く』を書いたきっかけは、どんな大企業や官僚でも必ず起業家のように働いてる人がいて、その人たちがその組織をリードいるということに気づいたことです。この本にはその人たちに登場してもらっています。会社のブランド・カネ・ヒト、その他のリソースを利用してやりたいことができるじゃないという視点を持っている人たちです。ベンチャーで失敗するとやはり日本では個人財産を抵当に融資を受けたりするとそれを失ったりする。あるいは風土として、一度失敗をすると烙印を押されて次がないということもあります。それがシリコンバレーなど海外との違いで、失敗したら経験があるから次は成功するだろうと見なされるのとは正反対です。
しかし、会社員は成果を出そうが出すまいが毎月決まった給料が支払われる。私は23年間毎月決まった給料が支払われない生活をしているので痛感しますが、コロナ禍であっても少なくとも大企業であれば担保されているという側面があります。
これらを考えるとリスクなくいろんなチャレンジができる環境があるので、それを利用したらいいのではないかということです。
あともう一つはコロナ禍において、社員がはっきりと気づいてしまったこと。それは、経営者や上司がこのような環境下でどうしたらいいのかわかっていないということです。20年以上前に慶應大学で自律的な働き方を日本に紹介したのですが、多くの人、企業にとって長らく理想論でした。しかし、上司やトップとて答えを持っていないのであれば、社員一人ひとりが自発的に働き、顧客志向を持って、積極的に自分を高め、そして課題を発見し仮説を構築する、すなわち自分で何をやるかを考えることが突きつけられているわけで、企業もそれなしでは運営ができない。それは受験や資格試験の延長にはないのです。出題者側が答えを持っていて、それを回答すれば正解、そうするといい点が取れる、いい大学に入れるという発想ではない。そもそも一体どんな問題文がこの環境下において必要なのかから考え,自分で問題分をつくらなければならない。こんなことが、突きつけられています。
心ある経営者や管理者はそれに気づいている。でも気づいていない方もまだたくさんいる。そんな風に今の環境を捉えています。
ボリュームの時代からバリューの時代に、答えが見えない中でのマインドシフトを
武井さん:私もまったく同じことを思っておりました。そもそもよくトラディショナルな日本の企業において、社員の自由や社員のやりたいことをやるなんてとんでもない、みたいな風潮が以前はありました。しかし、まさに今はボリュームの時代からバリューの時代に変わってきているのではないかと思っています。先生がおっしゃっていたことを私なりに解釈しますと、「決められたことを早くたくさんやる、同じことをいかに品質いいものをたくさん作る」という時代においては、おそらく構造化して定型化した教務を生産的にやっていく、当然時間をかければかけるほどたくさん作れるので、必然的にたくさん作ろうと思えば残業すればたくさんできるという成果が出せるという時代だった。今は、先生がおっしゃっていたように、「答えが見えなくなってきている、その中でどうマインドシフトをしていくのか」、本人も上司もその考え方を切変えて行かないといけないのかというのが一番のポイントかなと思いました。同じやり方で一生懸命上司が正しい回答を探してそれを上司が背負ってなかなかいい回答ができない、だったら部下を巻き込んで一緒に考えて、一緒に競争していく。部下の主体性を重んじて、部下がやりたいことあるいはその強みだと思っていること、そのことをどんどん引き出していくようなまさに今求められていることかなと、このように理解しています。
過去の成功体験からはイノベーションは生まれない
小杉先生:まさに定型化して大量に作ると言うことはAIロボットが得意とするところで、今後AIとロボットに取り替えられてしまうとも言われています。そうすると人間がそれを手放した時に、何をやれば良いかわからない、そうするとAIロボットに使われてしまうということです。また、イノベーションとは新結合であり、従来からある既存のものとその組織にとっては新しいものとの組み合わせがこれによって別の新しいものが生まれるということです。どんなイノベーションが生まれるかわからない、試行錯誤が必要、という特徴から、上司や経営者がかつて自分の成功体験やうまくいったことをベースに教えることは機能しなくなります。
まさにこれはベンチャーがやっていることで、それを大企業がやらなければいけない。知の深化と知の探索が両方必要です。知の深化は日本人の得意とするところです。新卒採用で一括採用し、育てて成果を出すと言うのが高度成長期・安定期で機能していたことです。一方知の探索は多様性のある人が集まって社内外で知の組み合わせを試行錯誤することが必要です。過去を振り返ればトヨタの看板方式が米ウオルマートから、ヤマトの個人宅配特化が吉野やの牛丼から、コンビニエンスクラブが消費者金融からヒントを得るなど、全然違う分野からヒントを得てそれを取り入れて新しい革新的なものが生まれたと言われています。それを考えると、いつの間にか管理することによってそれをやろうとしていることに非常に危機感を覚えます。
経営の関心は、オペレーションエクセエレンストコストダウンからイノベーションに
武井さん:今年まで8年ほどアクセンチュアに勤めていたのですが、6年くらい前からボリュームの時代からシフトして行ったなと感じることがありました。それは企業のCXOの方たちと話しますと、オペレーションエクセレンスがいかにコストを下げるかということにみなさん興味を持っておらず、「新規事業とか新しい商品サービスをどう生み出していくか」、というそういう声がだんだん増えてきました。オペレーションのことは現場に任せて、ここ2−3年で圧倒的に新しい生み出すことに経営の危機感も変わってきています。
ボリュームの時代の働き方がなぜ変えられないのか
武井さん:ところが令和時代のキャリア支援について触れたいと思っているのですが、経営などが一所懸命バリューの時代に移行しようとしているのに、どうして現場の上司部下はいまだにボリューム時代の仕事の進め方やキャリア案の考え方から抜け出せないでいるのかというところが大きな課題であるように感じます。
人事の責任者クラスの方が、共通で抱えている課題としてどうしたら現場で令和時代のキャリアの建て方や支援の仕方に変わっていけるのか、是非先生からアドバイスをいただきたいと思います。
与えられたものをやるだけだと、成長スピードが遅くなると気づいてしまっている
小杉先生:先ほどの続きのところからお話しいたします。自分で問題を一人一人で作るというところからですが、日本はEOD(Employee of Demand)ができておらず、新卒一括採用しています。一方で、欧米だけでなく、中国やアジアの企業の多くは、一般的にこのビジネスをやるために必要な人材のリソース確保に非常に機動力がありスピードが早い。
日本の新卒を雇って育ててビジネスをやっていくことは安定性があり、中長期的には非常に有効に機能するという要素がある反面、今や足かせにもなっています。そこで多様な社員に自律的に働いてもらわないといけない、これがちゃんと考えている経営者ならすでに思い至っていてもおかしくないところです。実際そういう方もたくさんいらっしゃいます。出現率で言えば、『2%のエース思考』という本を書いているのですが、自律した人は2%ほどしかいません。偏差値70以上の学力じゃなくて、自律した人です。自律的した人というのは、自分で仕事を作り出して、自らの責任において自分事化して、結果まで自分が背負うというように考えています。一方、ITベンチャーだと、東大の院生で理系の人たちが希望の第一はスタートアップであり、大手の電機メーカーではなくなりました。これが大企業には自律的に働ける環境がないと彼らが分かってしまった、ということを表していると思います。
その働き方改革は、効率アップか、アウトプットの極大化か
なぜなら大企業では自律的に働くには抵抗が大きすぎるからです。与えられたものだけをやらなければいけないと自分自身の成長スピードが遅くなると気づいてしまっている。こういった環境があるスタートアップにはどんなに少なくてもその20-40%の人が自律して働いている。
懸念の一つとして、コロナ禍前に一生懸命働き方改革をやっていましたが、日本は生産性が低いと言われており、いかに労働投入量をあげるかということに終始してしまってきたということですね。実際多くの企業が残業規制をしてみんな早く出るようになって、見かけ上の生産は上がりました。同じアウトプットを今まで150でやっていたのだが、100になったということですが、一方でこの数式は今までと同じアウトプットをより短い時間でインプット行う効率アップの話です。しかし、もう一つ単位時間あたりのアウトプットを極大化するという効果アップの話があります。
限られた時間で何をやったら良いか考えて、それを管理者が支援する
例えば海外のイマージング企業は効率アップなんて考えもしません。いかにアウトプットを極大化するかがグローバル的な動きですね、実際にいわゆるエースやエリートと言われる人は欧米アジアにかかわらずめちゃくちゃ働いています。
ですから社員の全員を一律に扱ってしまっていいものだろうかというところが大きな懸念です。グーグルの20%ルールやスリーエムの15%カルチャーは理にかなっており、
やらなければいけない仕事に100%かけていちゃいけないのです、今まで150欠けていたものを100にするのではなく80まで絞って、そこで20浮かせてそこの分で将来の飯のタネに、つまりイノベーションを生み出すために使うということです。
製品開発商品開発だけではなく、営業も含めて全員が明日の飯の種のために一部の時間を自分でWhatを考える時間に使っているわけです。100%担当者が自分でやれと突き放すのは無理がありますが、「効率化した結果浮かせた一部の時間で何をやったら良いか考え実行すること、それを管理者が支援する」、ことから始めてみてはどうでしょうかという風に思います
社員が自らWHY、WHAT、HOWを考えていくには
武井さん:最初の話に戻ってしまいますが、自律型人間が大きな企業でわずか2%しかいないというお話がありましたが、これは由々しき問題ですね。
そう考えると、自律型人間を採用すれば良いのではないか。という議論になると思うんですが、「いかにその98%の人をより自律型にするか」がやるべきことではないかなと思います。どうしたら自律型になっていくのかということで、後半のお話の中にヒントがあります。まさにおっしゃる通り、おそらくボリュームの時代は、WHY、WHAT、HOWを全部上から落として、社員にはDoing をしてもらう。ここからいかに社員にWHY、WHAT、HOWを考えてもらうかということにシフトしていかないといけないのかなという非常に大きな課題を突きつけた気がしています。著書の中でも志を持つあるいは会社のリソースを使うとありますが、それはどうしたら社員が自らWHY、WHAT、HOWを考えて、そのプロセスとしてはどのようなメッセージをいただけますでしょうか。
チャレンジを加点することで自律性を育む
小杉先生:最近パーパスという言葉がよく使われますが、なんのためにやるのかという志の話はまさに第一章に書いていますが、一般に志を持てと言われてもなかなか持てないです。キャリアビジョンを描けといっても描けません。ではどうしたら良いのかというと具体的な管理者とか、上司がどう部下とメンバーに接するか。全部じゃなくて良いので、一部の時間をこういう風に使ったらどうかという提案はできると思います。それはMBOで、成果主義導入で成果達成度を測ってそれでボーナスを決めますというのが、人事の皆さんなのでご存知かもしれませんが、ピータードラッカーの発明ですね。ドラッカーはManagement By Objectives & Self-Developmentの効用を述べたのですが、ところが後半を切ってMBOだけ残し、成果主義として企業で導入されました。
しかも企業全体の業績、部門の業績から降りてきた個人の業績目標を立てさせて、コミットメントを求め、達成したら褒美を与える、ダメだったら減らすという飴と鞭をやったというのは、今日のクリエイティブな仕事には機能しないという結論が出ています。例えば、20%や15%の部分に関しては自由にやってもらって、OKR(Objectives and Key Results)を立てて今期のKPI(Key Performance Index)を設定し、それに対して達成度合いはMBOと違って50〜60%くらいで良いとする。チャレンジとそこに行き着くまでのインデックスをたてて、それを達成できたら加点してあげるようなことをやることによって、自分でしっかり考えて動くという習慣づけができるのではないかと考えています。
役職関係なく、個人の名前で周りに影響力をもたれて何かを
武井さん:今日は「志」の話、企業内で起業家として活躍していくためのマインドセット、最後に大きな会社にいるからこそ一人じゃできない大きなことができるのだということを小杉先生からお話いただき最後まとめたいと思います。
小杉先生:続きとしまして、マネジャー・経営者側がどう関わるかという話をして、本人の志のところにいきたいと思います。これは今武井さんからお話しいただいた内容とも関係するのですが、上司はマネジャーでもありリーダーでもある。これは私の『リーダーシップ3.0』という本で書かせていただいたのですが、マネジャーは組織上の役割役職をちゃんとやる、これはやってもらわないと、組織が機能しないからやらなければいけない。
一方でリーダーの方はどれくらいの人がやっているのでしょうか。こちらは変革したり新しいことを開始したりする。人と向き合い、信頼を醸成し、長期的に考え、何故・何を、自分のオリジナル、現状に挑戦する、自分自身という自己。つまり役職関係なく、個人の名前で周りに影響力を与えて何かを始めたり、変えたりする。これがリーダーだ、ということですね。
企業で研修させていただくと、リーダーの意識を持っている管理職は残念ながら非常に少ないと言わざるを得ない。マネジャーは一言でいうと物事を正しく行う、HOWが課題で、これは組織上の役割を全うし、上から言われたことを下に伝えてやらせるということですよね。一方リーダーの方は正しいことを行うWHATが課題、そもそもこの環境下で何をやるかを考える必要がある、正しいことは環境が変われば変わっていきます。
ですから何かを変える、始めるとする場合、必要なのはリーダーシップでありマネジメントではないということです。何か変えたり始めたりするときにマネジメントで管理しようとする、だから上手く行かない。この一文だけで大企業でイノベーションが起こらないことを説明できると思います。正しいことは何かを考え、始めるのは、冒頭でも話しましたが、スタートアップと同じで、試行錯誤が必要です。もともと管理できないという風に考えないといけない。同じようにやってしまうので新しいものが生まれない、ということです。
例えばちゃんとメンバーと向きあって承認すると、一人一人と向き合って力を引き出せる。それは対面じゃなくても、1on1ミーティングはむしろネットでやりやすかったりします。ちょっとした時間をつかって、5分でも10分でも話して、ちゃんと部下を承認してあげるということが重要です。承認をしてあげると、相手もやる気を引き出されていきます。甘やかすのではないです。存在を認める、その頻度を増やすということです。
相手を知らなければ話にならない
武井さん:志を持つというとついつい何か立派なことを考えがちですが、まず志を持つためにはそもそも明確な基準が必要だったり、あるいは基準に達していない場合、指導も必要だったり、達成した時の称賛いわゆる承認、お互いの信頼関係を作っていく上でも必要な関係性がないと、いきなりそこに志をもとうと言ってもそれは難しいというメッセージとして受けとりました。もう一つはいまのお話の後半でもありましたように、まさに相手を知らなければ話にならないなと。そこには部下の方本人が自分を伝えるという努力が必要だと思いますし、上司の方は部下の方を知る、仕事の出来栄えだけじゃなくて、その人の地震のものの見方や考え方感じ方いろんなこと知らないと、その先にはいけないのだなと。もうちょっと基礎の段階がすごく大事だというメッセージとして受け取らせていただきました。
そもそもこの会社で何を残したいのか、なにを貢献したいのか
小杉先生:よく言われるのが心理的安全性ですよね、グーグルが高い成果を得ているチームは何が違うのかと結論づけたことで改めて注目されたのですが、自由にモノを言える、ダメ出ししない、つまり言える化・聴ける化かというところですが、何かにチャレンジして失敗してもその後も引き続きちゃんと尊重されるという環境を作るのがまず必要なんじゃないかなと言えます。
また、志を持つというのは、非常に古臭い言葉ですが、なんで志が必要かというと、企業に組織に所属している以上そこの理念やビジョンを実現しないといけないからです。ただやっていてもやらされてしまうので、そもそもこの会社で何を残したいのか、なにを貢献したいのかということが、自分がこういう仕事がやりたいとか、自分の業績をあげたいよりも先に考える必要がある、ということです。起業家のように働いている人は起業家ですから、そういう風に働いています。だから成功していると言える。
実はそんなに難しいことではなくて、この会社この業界に入ったということは、この会社の理念や業界のあり方というのに対して共感しているから入ったはずです。ですから会社の経営理念など、抽象度の高い物なので、もしこれがピンとこないなら、そもそもその会社にいない方がいいのです。大概の人にとってはそれが良いと思って入っているわけですから、確認すれば良いだけです。そして、それをどうやって 具現化するか、経営者だけじゃなくて一人一人の社員が考えるということがまず必要なことではないかということです。
先ほどの話のように、自分がやらなければいけない領域から出るという、抽象度が高いことを言っていますが、「成功をすることはベストを尽くすことを楽しいと感じると同時に、何か自身を超えたことに役立っていなければならない。」とミハイ・チクセントミハイが言うとおりなのです。企業もよりSDGsに向けて実現を目指していくわけで、そうすると一人一人の担当者もそれを意識するということを、働く環境として会社側も働きかける必要があります。そういった世の中に貢献するという位置付けをいかにするかいうこと、それに合致した行動をとってもらえるように支援することですね。
先を読んで各個人が変わり、組織が変わり、社会が変わる循環を
武井さん:日本の将来や社会の将来のために、社員一人一人が変わらないと会社が変わらない、会社が変わらないと日本が変わらない、日本が変わらないと世界にもいけない。そこに経営者や上司の方はそこに着目していかないと、いけないんじゃないかなと強いメッセージをいただきました。どうしても企業人生活をしていると、日銭を稼ぐ生活というか目の前の利益をどうあげるかということについ100%の力を使いがちですが、まさに先を読んで各個人が変わって、組織が変わり、社会が変わる好循環を生み出すことが日本全体で最も必要なことなんじゃないかと思います。そういう非常に熱く暖かいメッセージをいただきました。
武井さん;最後にもう一言プッシュということで、今日お話しいただいたことで一歩踏み込んで、あるいはそれらを実現するためにメッセージを人事の責任者や事業の責任者の方々にいただけたらと思います。
組織・チームの中に発散と収束のフェーズを
小杉先生:多くの企業で、いきなり会議で正解を求め、素晴らしい案を出せと言うと、上の人間は経験が長い分気付きはたくさんあります。これの収支がいつとれるようになるのかなどツッコミをしてしまう。それは収斂のフェーズです。その前に発散・拡散のフェーズが必要で、これは突拍子もない馬鹿なアイディアでも良い、社歴の浅い人が斬新なアイディアを持っていたり、外部から入ってきた人が業界の変なところを指摘できたりするのです。それをちゃんと受け止めることがすごく重要で、右脳を使って発散するというフェーズをすっ飛ばして、いきなり左脳の収斂の作業に入る。そこでは従来の経験、成功体験がある人、役職が上の人、声の大きい方が場を牛耳ってしまう傾向があります。そうすると面白いアイディアが全部落ちしてしまうことになってしまいます。
発散して考える環境を設けてみる、彼らの考えを面白がってみるというのが一つ重要な視点ではないかと思います。そうすると関係性が良くなり、ダニエル・キムの成功循環モデルと合致する。この循環がうまくいかないことが大企業で2%しか自律型の人間がいない最大の原因ではないでしょうか。ちゃんと認めてあげる、向き合う、自由に言ってもらう、そうすると思考が前向きになり主体的な行動をとるようになる。結果が伴います。
武井さん:最後にお話しをいただきましたことが非常に重要なポイントです、よく「寄り添う」や「傾聴する」ということが言われますが、それは一体なんのためにするのかということの答えだったような気がします。
結論を求める前に、本人の気持ちや感じ方、その人の中にある物にアプローチしていくのがより良いもの新しいものを作る上で非常に重要なフェーズなんじゃないかと思います。ここで時間を作っていかないと既存のフレームワークの中でしか物事は考えられず新しいものが生まれない。そのようなヒントをいただいていたと思います。まずは共感、感じる、中にある物を見ていくところから、一人一人の活性化ひいては、組織や日本の活性化にご尽力いただける道筋ができたらと思います。
■INTERACTION LAB.とは「人と人・人と組織の関わり方を、共に研究し、未来を創発する」ことを目的としてスタートしたINTERACTION LAB.(インタラクション・ラボ)が主催し、研究者や専門家、事業の最前線で活動される方をゲストに迎えてお届けするオンライン配信のセミナーです。
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